2021.03.17
誰もがインターネット上で自身の考えや作品、情報を発信できる時代になった。その形はテキスト、音声、画像──そして動画と、テクノロジーの進歩によって、コンテンツはリッチなものへと変化している。
特に昨今はYouTubeのような動画共有サイトを筆頭としてコンテンツを発信できるプラットフォームが進化している。動画の世界では「自身のコンテンツで広告収益が得られる」という道が切り開かれ、それを仕事にもできるようになった。特にフリーランスで働く人にとっては、大きなチャンスと捉えている人も少なくないはずだ。
ガジェットや暮らしのモノ系ブログ「トバログ」を軸に活動する鳥羽恒彰さんも、そんな動画を使った発信の世界に足を踏み入れた1人だ。鳥羽さんは大学卒業後、会社員を経て2018年に独立。自身のブログや寄稿などの収益で生計を立てるようになった。2020年1月にはYouTubeで動画投稿をスタート。ブログの世界観を踏襲した独自の視点によるコンテンツで、チャンネル登録者数が約1年で9万人を突破するなど、多くの人を引きつけていることが数字にも表れている。
そんな鳥羽さんは最近、動画編集を行うPCをWindowsマシンに移行した。長年使っていた他社のOSからWindowsに乗り換えたのは大きな変化を伴うのではと考えられるが、そこにどんな背景があったのか。
YouTubeを始めたきっかけや、実際に触れて分かったWindowsマシンの使い勝手を伺いながら、今回は鳥羽さんのようなクリエイターに向けた日本HPのモバイルワークステーション「ZBook Create」を試してもらった。
「しゃべりもうまくないし、動画は文章と全く違うので、動画を見てくれるフォロワーを増やすのは難しいなと」──鳥羽さんは以前から「ブロガーとして活動したい」という思いが強く、動画コンテンツを避けていたという。
しかし、考えを改めたのは2019年に海外を旅しているときだった。「個人で発信するなら今はYouTubeでしょう」と先々で出会った人からいわれることが多く、自分と世間との認識の違いに気付いたという。
「『ブログで記事を書いている』と、出会った人に話しても反応が薄かった。『好きなブロガーはいないが、好きなYouTuberはいる』といわれたのです。YouTubeだったら私たちも見られるのにと」(鳥羽さん)
そんな経緯から動画を使って情報発信すると決めた鳥羽さん。しかし、得意分野であるガジェット系やテック系のコンテンツは既にYouTubeのそこかしこにあり、飽和状態だった。
他と差別化しながらアクセスを伸ばすためにはどうすればいいのか──鳥羽さんはブログで取り入れていた“雑誌風のコンテンツ作り”をすればライフスタイル系のコンテンツを好む視聴者に受け入れられるのではと考えた。
動画のテーマや構成、色合いまで、鳥羽さんの動画はライフスタイル誌を思い起こすような作りをしているのが特徴だ。
YouTubeで動画を発信することの面白さは、姿がありのままに写るため良くも悪くもうそをつけないことだ。内容によってテンションが上がったり下がったりすることがダイレクトに伝わりやすいという。一方で、鳥羽さんは動画が持つ強みも感じている。
「テキストだけではイメージしづらいものが、動画にするだけで一瞬のうちに伝わるのが印象的です。字幕で自動翻訳を付けているのもありますが、海外からのアクセスも多くあります」(鳥羽さん)
鳥羽さんが公開する動画は、およそ20分程度にまとめられていることが多い。これらは平均して4~5時間の編集時間をかけているという。撮影後に動画の構成を練り、そこから動画を編集。サムネイルを作ってタイトルや概要文を考える。午後3時から4時ぐらいに制作を始めて、午後9時に公開するスケジュールだ。
動画を編集するマシンはこれまでWindows以外のOSを使ってきた。外に持ち運んで使うこともあるためノートPCの上位モデルを選択していたが、性能面で限界を感じていたという。
「4K動画を編集することも増え、上位のCPUやGPUを搭載するモデルでもパフォーマンス面で厳しい場面が増えていました。自分がメインで使っているAdobe Premiere Proとの相性も良いとはいえず、挙動がカクついたり、動画にモーショングラフィックスを入れようとすると5秒ぐらい待たされたりすることもありました」(鳥羽さん)
鳥羽さんはそんな背景から、2020年11月に日本HPのクリエイター向けノートPC「ENVY 15」を購入して動画編集に使い始めた。4K30p動画をタイムライン上に3本並べての編集や、10bitのCimema4K動画を扱う動画の制作などラップトップでありながらハイエンドな編集作業もこなせる点が気に入っていると話す。
日々の活動で出会う動画クリエイターの意見もこの選択を後押ししたという。「映像制作のプロはPremiere Proをワークステーションで使っていることが多く、『制作環境はWindowsだよ』といわれることも多々ありました」(鳥羽さん)
実際に他のOSからWindowsに環境を移す場合、鳥羽さんは一般的に「フォントが美しくない」「キーボードの変換/無変換が使いづらい」「スペースキーでプレビューできない」「OSに使いやすいファイル転送機能が用意されていない」といった不満点を挙げられる場合もあるというが、こうした点についてはすでに代替できる機能があり、Windowsでもまったく困らないと感じているという。
Windowsマシンを自身の意思で選び使い始めた鳥羽さん。今回は日本HPが投入したモバイルワークステーションの新モデル「ZBook Create」を試してもらう機会を設けた。ZBook Createはインテル第10世代Core i7/i9のハイパフォーマンスCPUに、NVIDIA の「GeForce/Quadro」シリーズのGPUを搭載するクリエイター向け製品だ。
ワークステーションといえば「法人向け/業務用」というイメージが先行しがちだが、ZBook Createはまさに鳥羽さんのような個人クリエイターに業務用レベルの高いクオリティーを提供する意欲的な製品に仕上がっている。
鳥羽さんには早速、AdobeのPremiere Proを使った動画のエンコードを試してもらったところ、ファイルサイズが8GBに上る4K動画のエンコードが17分で完了したと驚いていた。YouTubeで情報発信をする人にとって、エンコードという“待ち”時間は短ければ短いほどいい。全体の作業時間が短縮できるのはもちろんだが、例えば動画を公開した後にミスを発見し、改めて編集しなければいけないといった場面でも迅速に対応できるからだ。
「テキストとは違い、動画は後から細かな部分を修正する場合も多くの時間がかかってしまいます。このPCを使ってみて、エンコード時間が短いことのメリットを実感しています」(鳥羽さん)
加えて鳥羽さんが評価したポイントが15.6型の4K OLED(有機EL)ディスプレイだ。Premiere Proのような動画編集ソフトでは、動画をタイムライン上に配置して編集していくのが一般的で、タイムラインを広く表示できるか否かは作業効率に大きく影響を与える。
「OLEDの4K表示は美しく、細かい文字も見やすいです。内蔵ディスプレイでも広い領域で作業ができるため、外部ディスプレイに接続しなくても快適に作業できると思います」(鳥羽さん)
鳥羽さんはアルミ素材で構成された本体ボディーにも注目。「ヘアライン加工がかっこよく、背面のZロゴもプレミアムな製品という印象を与えている感じですね。USB Type-Cポートが2つ用意されていて、Thunderboltにも対応している。USB Type-AポートもあるのでUSBハブを用意する必要がなく、特にSDメモリカードもハブを介さず直接差し込める点もいいですね!」
ワークステーションらしくない薄い筐体でありながら、重さが1.9キロに収まっているのに加え、バッテリー動作時間が公称値で約13.6時間と長いのも評価ポイントだ。
一方、ノート型は持ち運びができるが可動部が多くて故障しやすいという欠点もある。その点、ZBook Createは3年間の製品保証が標準で提供され、依頼した翌日にサービスマンが訪問修理に駆け付けるサービスなども充実している。制作したコンテンツが収益にそのままつながるクリエイターにとって、ダウンタイムが短縮できる手厚い保証は心強いはずだ。
「カラーバリエーションがあればさらにいいなとも思いますが、お世辞抜きでいいマシンだと思います」(鳥羽さん)
鳥羽さんは、今後もブログと動画を両軸に活動の幅を広げていきたいと語る。
「動画はブログと方向性が異なるものだと考えています。スペックシートのような説明や詳しい比較はブログの方が分かりやすく、製品に対する率直な感想や紹介は動画の方が魅力的です。お互いに相乗効果を生み出せるようにしていきたいですね」(鳥羽さん)
自己表現の手段が豊富に用意されている今の時代。個人で何かを生み出す人は今後も増えていくだろう。デジタルの領域で自身の創造力をさらに高めるために、日本HPのワークステーションという選択肢を検討してみてはいかがだろうか。
【本記事は2021年2月8日 、ITmedia NEWS SPECIAL に掲載されたコンテンツを転載したものです】