2021.11.05
HP EliteBookシリーズの人気モデルElite 800シリーズにAeroという製品が追加された。今回発表された「HP EliteBook 840 Aero G8」(以下840 Aero G8)は最新のプロセッサーの採用と軽量ボディを理由にすでに大きな注目を浴びている。今回は特別にレビュー機を入手できたのでその実力を試してみようと思う。
HPの法人向けノートPCシリーズにおいて840 Aero G8はハイパフォーマンスノートPCの位置づけになる。サイズとしてはモバイル向けでは大型の部類に入る14インチディスプレイを採用しつつ、軽量であることが最も特徴的だ。
今回のG8世代では総重量が約1.13kgとなっており、オーバー1kgではあるものの最薄部17.9mmというスリムデザインによって手に持った感覚はまさに“Aero”とうなりたくなる軽快な製品に仕上がっている。
同じG8の世代でもAeroでない840もあるが、840が約1.32kgなのに対し、840 Aeroは同じ14インチのディスプレイを備えながらも、筐体の素材を変更することにより約1.13kgと170gもの軽量化を実現している。わずかと思われるかもしれないが、スマートフォン1台分違うと思えば素直にメーカーの努力を賞賛したくなるはずだ。
スペック面では最新の第11世代インテル® Core™ プロセッサーを採用し、パワーアップが図られている。処理能力の向上はもちろんだが、オンコアグラフィックスがインテル® Iris® Xe グラフィックスになっており、描画能力が大きく向上している。
また、プロセッサーのアップデートによってインテルが次世代ノートPCの指標としている「インテル® Evo™ プラットフォーム」にほとんどのモデルが準拠しているのもG8の特長になる。この規格はプロセッサーパワーのほか、バッテリー使用時の長時間駆動やOS、アプリケーションの素早い起動、高速充電、Wi-Fi6への対応やThunderbolt4の採用など、厳しい条件を満たした製品にだけ与えられるものなので、マシン選びの際の大きな目安として利用できる指標といえる。
最薄部17.9mm、重量1.13kgという“Aero”デザイン
先ほども触れたように840 Aero G8では第11世代インテル® Core™ プロセッサーが採用されている。具体的には「インテル® Core™ i5-1135G7 プロセッサー」「インテル® Core™ i7-1165G7 プロセッサー」またはインテル® vPro™ テクノロジー採用の「インテル® Core™ i5-1145G7 プロセッサー」「インテル® Core™ i7-1185G7 プロセッサー」などから選ぶことができる。
このプロセッサーは前世代と比較して、それぞれ10~20%程度の能力向上が見られる上に、電力効率も上がっているので省電力性能も高くなっているのが特長だ。マルチタスクやマクロを使った大規模演算などをおこなう業務ではこれらの恩恵を最大限に受けることができる。
また、クライアント端末管理もリモートで行ないたいという企業にとってはインテル® vPro™ テクノロジー採用モデルが選べるのは大きな魅力で、IT資産管理はもちろん、日常のヘルプデスクまでかなりの端末管理がリモートで出来るようになる。情シスの担当者もテレワーク中ということもあると思われるので要注目のテクノロジーだ。
そしてテレワーク時代に必須ともいえるエンドポイントセキュリティの強化という点では、840 Aero G8はかなり高度な対応が可能となっている。これはHPのノートPC製品全般にいえることだが、デフォルトの状態でも数々のセキュリティ機能を提供する「HP Wolf Security for Business」が採用されている。
例えばウイルス対策などの主要なプロセスやアプリケーション監視をおこなう「HP Sure Run」や、マスタードライブのデータを完全消去する「HP Secure Erase」、添付ファイルに潜む悪意を分離して無効化する「HP Sure Click」など、多重的な対策がなされており、購入時点からセキュアな端末運用が可能になっている。
安全な端末管理という観点ではもちろんだが、追加予算無しでこれだけのセキュリティ対策が可能であれば、コストメリット的にもかなり期待できる。もちろん追加でさらに高度なセキュリティも構築できるので、ワンストップでの安全対策という点でもかなり有効だ。これらに関するさらなる情報は誌面の都合で省かせていただくが、気になる方はぜひ一度HPに相談してみるといい。
処理能力の高いプロセッサーと先進のセキュリティでビジネスをサポート
セキュリティための機能を統合した「HP Wolf Security」をプリインストール
紛失しても追跡が可能な「Tile」も搭載
もちろん、指紋認証センサーもついている。Webカメラも顔認証対応なのでログイン環境はセキュアだ
コロナ禍以降にリリースされたということもあり、どうしても試してみたいのはテレワーク時の使い心地だ。特にここ数年大幅に増加している業務にWeb会議がある。顧客との会議はもちろん、これまでデスク越しに行っていたチーム内での会話もほとんどがWeb会議ツール上に置き換わっている。つまり、Web会議が快適におこなえる環境がなければ、業務効率にも大きな影響があるといっても過言ではない。
まずディスプレイだ。画面から得られる最大の情報は相手の表情だ。もちろん、カメラや回線の状況にもよるが、いずれの場合でもできる限りの描画性能は欲しいところだ。840 Aero G8のディスプレイは1000nitsという非常に明るいディスプレイが選択可能。例えば、自宅のリビングなど太陽光がよく射し込む部屋でも相手の表情をくっきり鮮やかに伝えてくれるから安心だ。
次にWebカメラだが、720p HD品質なのでこちらの表情を伝えるには十分な解像度を持っている。実際の映像を見てみると顔色なども明るく表現してくれているので相手への印象もかなり良くなる。ただし、カメラの性能に頼るだけでなく、照明の位置などにも多少配慮するとさらに安心だろう。
マイクに関しては全方位マイクが内蔵されている。テレワーク時にはあまり必要ないが、会議室で複数名が同席してWeb会議をする際、全員が参加するとハウリングの問題がおこる。
そんな場合でも、840 Aero G8のみを接続しておけば、背面に位置する人の声も良く拾ってくれるので、コミュニケーションが続けやすくなるのが特長だ。
また、ノイズキャンセル機能が付いているのも見逃せないポイントだ。テレワーク中のバックグラウンドノイズを除去し、自分の声にフォーカスをあてて相手に届けられるので、電話会議中にスマートフォンからの通知音や、外から漏れ聞こえるサイレンの音、騒音など相手に必要のないサウンドを自動的に除去してくれるので、必要以上の気を使わなくて良いというのは、自分にも相手にも配慮した機能と言える。
Webカメラには物理シャッターもついている。必要時以外は目隠しができるので、万一の不意にカメラが起動してしまっても、自分の姿は映らないので安心だ。
最後にスピーカーだが、HP製品のミドルレンジ以上に搭載される「Audio by Bang &Olufsen」のデュアルスピーカーから発せられる音声はすこぶる聞き取りやすい。音楽の再現性に定評のあるブランドがチューニングしたスピーカーだけに、クリアで奥行きのあるサウンドは従来の法人向けノートPCとは比較にならないほどだ。
これらの機能を使ってのWeb会議は快適そのもので、相手に聞いても「音も映像も品質が高い」という感想をもらうことができた。場合によっては長時間におよぶWeb会議では機能的なストレスがあると、その内容にも悪影響が出てしまいがちだ。840 Aero G8ならその心配はまったく不要で、いつでも快適なコミュニケーションを約束してくれると断言できる。
また、在宅ワークではあまり気にならないかもしれないが、カフェやサテライトオフィスなどでの作業には長時間バッテリーと急速充電がとても便利だ。HPが公表している最大バッテリー駆動時間は約20.7時間(JEITA2.0)だが、実際に使っている感覚でもそれにほぼ近い値になることに驚いた。もちろん、編集作業やマルチタスクだけを長時間続けていれば話は違うだろうが、日常的に短時間のWeb会議とブラウジングによる情報収集、資料作成、それにメールチェックといった日常的な使い方であれば、ビジネスタイムを超えても安心して連続使用できる印象だ。
さらに便利なのが、バッテリーが少なくなった状態でも30分程度電源を繋ぐだけで50%近くまで復活できる急速バッテリー機能だ。そもそも電力効率が良いのでバッテリーの残量が50%もあれば、あと数時間は作業が続行できるのだ。緊急の仕事が発生したときでも慌てずに済むのはとてもありがたい。
コロナ禍以降、いわゆるニューノーマルと呼ばれる時代がくることは必然だろう。そんなときに心強い機能が満載されたHP EliteBook 840 Aero G8はビジネスの心強いパートナーになってくれると確信できた。ここで紹介したほかにもLTEモデルなども選べるので幅広い用途でピンポイントのスペックを持たせることも可能だ。新しい時代に頼れるノートPCが欲しい方はぜひ本製品を手にしていただきたい。
大画面かつ薄型軽量のハイパフォーマンスノートPC
HP EliteBook 840 Aero G8
第11世代インテル🄬Core™プロセッサー搭載。
オフィスアプリの利用のみならず、クリエイティブ用途やオンラインコミュニケーションにおけるオーディオビジュアルを駆使した利用を想定し、Core™ i5、Core™ i7では、インテル ® Iris® Xe 高性能グラフィックスを搭載。薄型軽量ノートPC 向けの世界最高クラスのプロセッサーとして、最新PCの使い心地やセキュリティ支援を支えます。ビジネスにおける幅広い用途で活躍します。