※ 本ブログは、2021年10月28日にHP WOLF SECURITY BLOGにポストされたOut of Sight & Out of Mind: Insights into the Cybersecurity Challenges of Hybrid Workplacesの日本語訳です。
「自分が持っているとわかっていないものを守ることはできない。」 このセキュリティの格言は、今も昔も変わりません。しかし、この18ヶ月間に起こったリモートワークへの大規模な移行は、企業にとってこのアドバイスに従うことをより困難にしています。オフィスで使用されているテクノロジーの正確なインベントリを維持することだけでも大変なのに、今度は従業員がリモートワークをサポートするために自宅で使用しているテクノロジーを監査しなければならないという事態に直面しています。これらのテクノロジーは予期せぬセキュリティリスクをもたらす可能性がありますが、それらが雇用者に見えなければ、理解、評価、そして最終的には管理ができません。
HP Wolf Securityの最新レポート -Out of Sight & Out of Mind(目の届かないところで軽視されるセキュリティ)- では、ハイブリッドワークの台頭によりユーザーの行動が変化し、IT部門に新たなサイバーセキュリティの課題が生じていることを明らかにしています。調査によると、IT部門の管轄外で認可されていないデバイスを購入して接続するユーザーが増えていることがわかります。また、攻撃者が防御を回避したり、ユーザーを騙してフィッシングリンクや悪意のある電子メールを開かせたりすることに成功するケースが増えており、脅威のレベルが高まっていることも明らかになっています。これらのことが、ITサポートをこれまで以上に複雑で時間とコストのかかるものにしています。
本レポートは、パンデミック時にリモートワークに移行したオフィスワーカー8,443人を対象にしたYouGovのグローバルオンライン調査と、Tolunaが実施した1,100人のIT部門の意思決定者を対象としたグローバル調査のデータを用いて検討しています。
「分散化が進む中、クリックする前に何かおかしくないかと健全性を確認する普段の繋がりが減っています。教育は役に立つという程度でしかありません。従業員がインシデントを報告しやすく奨励する必要はありますが、自己報告のみに頼ることはできません。適切なレベルの可視性を実現できる多層型のセキュリティを確立することが重要です。」- HP Inc.最高情報セキュリティ責任者(CISO)、 Joanna Burkey
ハイブリッドワークがもたらすリスクを軽減するには、システマティックなアプローチが必要です。今回の調査で明らかになった従来のセキュリティアプローチの弱点の1つは、ユーザーが簡単に単一障害点になってしまうことです。この問題の根源は、メールクライアントがメッセージを開く、Webブラウザがリンクを開くなど、アプリケーションが処理するリスクの高いタスクが、デフォルトで必要以上のオペレーティングシステム(OS)へのアクセスを与えられてしまうことにあります。このような境界の欠如により、攻撃者はアプリケーションを悪用し、エンドポイントを完全に制御することができます。
この弱点に対処する1つの方法は、HP Sure Clickで採用されているような粒度の細かいZero Trustモデルをエンドポイントに導入することです。そのアプリケーション隔離技術は、危険なアクティビティをハードウェアで強化されたマイクロ仮想マシン内に隔離することで、エクスプロイトの影響を制限し、ユーザーのワークフローをサポートしながら、アプリケーションが機能するための最低限のデータとアクセスのみを許可します。これにより、アプリケーションがエクスプロイトされても、悪意のあるコードはホストシステムから隔離され、無害なものとなります。
「未来をリードする技術は、設計に組み込まれた『Secure by Design』の考え方を採用し十分なインテリジェンスを備えたものになり、脅威を検知するだけでなく、その影響を封じ込めて緩和し、いつでも誰にでも起こり得るセキュリティ侵害を受けた場合に迅速に復旧できるでしょう。このような保護は、OS下やOS上に拡張し、既知と未知の脅威だけでなくゼロデイ攻撃に対する保護も提供するべきです。ハードウェアからセキュリティを構築することで、サポート部門の負担を軽減し、ユーザーが制限を受けずに業務をこなせるようになります。」- HP Inc. パーソナルシステムズ事業、セキュリティ部門グローバル責任者、Ian Pratt
企業が直面する2つ目の課題は、ネットワークの可視性が低く、迅速かつ大規模な修復ができないことです。この問題に対処するためには、IT 部門とセキュリティ部門がより優れた可視性と管理性を備えたエンドポイント・セキュリティを装備することが必要です。企業は、エンドポイントのOS以下の部分のセキュリティについても検討する必要があります。なぜなら、しつこい攻撃者はますますデバイスのファームウェアを標的にしているからです。例えば、リモート・リカバリー機能を備えたデバイスや自己修復機能を備えたファームウェアなどを内蔵したエンドポイントを検討すべきです。
本レポートは以下に基づいています。
HP Wolf Security Out of Sight & Out of Mind Report 目の届かないところで軽視されるセキュリティ
Author : HP WOLF SECURITY
監訳:日本HP