こんにちは、日本HPでロングライフPCを担当している竹下 雅洋です。前回のIoT OSに関したブログ記事はいかがでしたでしょうか? 今回は、新しくリリースされたWindows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC のアップデートを兼ねて、新製品のHP Engage Flex Mini のレビューを発信してみようと思います。HP Engage Flex Miniは 2014年発売のmp9 modle9000 から数えて4世代目の超小型モジュラー型POSで、POS用途はもちろん、IoT OSや米軍調達基準(MIL-STD 810H準拠)の特徴を生かした長期調達、運用が可能なロングライフPCとして利用されています。今回はFlex Miniの概要とスペック、そしてWindows10 IoT Enterprise 2021 LTSC OSの起動画面にも迫ってみたいと思います。
※本掲載は執筆時点のもので、仕様・スケジュールについて変更される場合がございます
HP Engage Flex Mini はインテル第10世代CPUを採用した超小型PCとしてリリースされました。通常PC製品はインテル社製CPUやチップセットのライフサイクルと連動して、12カ月程度でモデルチェンジされますが、Flex Mini製品については、3年程度の供給期間を持つロングライフPCとして全世界で様々な用途で利用されています。
図1. HP モジュラー型POS 超小型カテゴリー製品の変遷
HP ロングライフ PCが利用される分野・業界
左から)ヘルスケア・ライフサイエンス、産業・オートメーション、 サービス・オートメーション、運輸・物流、 小売・サービス
HP Engage Flex Mini はビジネスをパワフルにドライブするコンパクトなデバイスとして、バックオフィス業務からキオスク端末への組み込みやPOS用途まで、ビジネスのあらゆる領域をサポートします。インテル第10世代Core プロセッサ採用によるスケーラビリティの高さと、別売りのオプションを使用することで筐体をモニターの背面や壁等に設置することができるなど、コンパクトなスタイルながら高いパフォーマンスを提供する点が本製品のポイントです。また、Windows 10 IoT によるOSバージョン固定により、幅広い特定用途向けデバイスとしても最適です。
HP Engage Flex Mini製品詳細 WEB https://jp.ext.hp.com/retail-solutions/engage_flex_mini/
モニターマウントキット https://jp.ext.hp.com/campaign/business/desktops/dm_accessory/
1. USB Type-c 3.2 2. USB 3.2 GEN2 3. USB 3.2 GEN1 WITH HP SLEEP & CHARGE 4. CTIA/OMTPヘッドセット対応コンボジャック 5. 電源ボタン |
6. USB 3.2 GEN1 7. セキュリティロック 8. フレックスポート1 9. フレックスポート2 10. ディスプレイポート 11. USB 3.2 GEN2 12. RJ-45 LAN 13. 電源 |
図2. Flex Mini 各部名称
HP Engage Flex Mini の主な仕様についてご紹介します
OS仕様
Windows 11 Pro
Windows 10 pro (windows 11 Proからのダウングレード) ※販売終了
Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC
Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC
CPU仕様
Intel® Core™ i3-10100T (3.0 GHz, 6 MB cache, 4 cores)
Intel® Core™ i5-10500T (2.3 GHz, up to 3.8 GHz with Intel Turbo Boost, 12 MB cache, 6 cores)
Intel® Core™ i7-10700T (2.0 GHz, up to 4.5 GHz with Intel Turbo Boost, 16 MB cache, 8 cores) ※販売終了
Intel® Core™ i9-10900T (1.9 GHz, up to 4.6 GHz with Intel Turbo Boost, 20 MB cache, 8 cores) ※販売終了
共通スペック
チップセット | Intel® 470 chipset |
グラフィックス | Intel® UHD Graphics 630 |
メモリ | 8GB DDR4-SODIMM x1 、最大64 GB |
ストレージ | 256GB M.2 2280 NVMe TLC SSD |
USBインターフェース | TYPE-A 3.2 Gen 1×3(前面×1/背面×2) 、TYPE-A 3.2 Gen 2×3(前面×1/背面×2)、Type-C™ 3.2 Gen 2 ×1 (前面) |
フレックスポート1 | HDMI 2.0×1 |
フレックスポート2 | シリアル(RS-232) x1 |
ビデオ | DisplayPort 1.4×2 |
オーディオ | CTIA/OMTPヘッドセット対応ユニバーサルオーディオジャック×1 |
ネットワーク | Intel® I219-LM ギガビット・ネットワーク・コネクション 10/100/1000 イーサネット(RJ-45 x1) |
ワイヤレスLAN | なし |
ダストフィルター | 標準搭載 |
使用環境 | 温度5-35°C(動作時)、湿度5-90%(動作時) |
サイズ、質量 | 177 x 175 x 34.2 mm(W×D×H)、1.25kg |
保証期間 | 標準保証 3年保証(3年間翌営業日オンサイト対応、3年間パーツ保証) |
なお、フレックスポート(選択可能ポート)は
日本で販売しているモデルは フレックスポート1: HDMI 2.0 、 フレックスポート2: シリアルポート の固定販売となっていますが、特別構成モデルでは以下のモジュールを選択することが可能です。特別構成モデルの構成・受注条件等については営業担当に確認いただくようお願いします。なお 工場選択オプションのため、購入後の追加や変更はできません。
フレックスポート1:工場オプション | フレックスポート2:工場オプション |
・DisplayPort | ・2x Type-A USB Port |
・HDMI Port | ・Serial Port |
・NIC 2.5Gbps Port | |
・Type-C USB3.1 Gen2 Port with 100W PD | |
・VGA Port | |
・Serial Port |
製品外観
左)i5カタログモデル(516C7PA#ABJ)前面
右)i5 カタログモデル 背面
左)付属のダストフィルターを装着した状態。前面に4mm厚の吸気フィルターを装着
右)こちらはi9 CPUの特別構成サンプル にオプションのI/Oエキスパンションモジュールを装着
フレックスポート1.にHDMIの代わりに2.5Gbps NIC、またWLAN用アンテナ端子が追加されている
左)筐体を開けた状態。516C7#ABJカタログモデルは256GB SSDが標準だが、2.5"SATAケージが装着
された状態で出荷される
右)ファンユニットを持ち上げるとDDR4のSODIMMモジュールが露出する。メモリの奥にCPUユニッ
トがあり、コンパクトながらも、エアフローが考慮された設計である事がわかる
左)i9 特別構成には 2.5インチ1TB HDDが装着されている。 これをSATAケージのみの i5モデルに移植
してみようと試すが、ケーブル類は必要ないため簡単に設置することが可能ではある。ただし
別売品の2.5インチHDD用ネジキットが必要になるため注意が必要。写真でも各ネジの部分に
ゴムで防振されたネジがマウントされていることが見える
右)SATA HDDをマウントした状態。SATAケージの上部フタは写真では開けているが、これがロック
機構を兼ねており、写真の状態からフタを閉じるとHDDがSATAコネクタに接続され、かつ防振
ゴムネジを介してマウントされる仕組み
左)HP 320 USB 日本語キーボード、HP 320 USB 光学スクロールマウス
右)ACアダプタ、日本向け電源ケーブル(1.8m)
ここまでは、新製品のFlex Miniについて触れてきましたが、搭載OSであり、製品を特徴づけしているWin10 IoT OSについて見ていきます。HP Engage Flex Miniでは IoT OSとして Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC または Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCが工場出荷OSとして採用されています。
前回のブログでも触れているようにWin10 Pro との違いは機能更新に対する考え方で、ProはWaaS(Windows as a Service)によるSAC(Semi-Annual-Channel;半期チャネル)の更新サイクルで機能アップグレード(バージョンまたはビルドと呼ばれる)がリリースされ、約18か月間のサポート期間となっているため、更新サイクルごとに、アプリやデバイスの動作チェックが必要ですが(現在のリリースは21H2) Windows IoT OS では バーション固定の決め打ち構成となっており、2019LTSCは1809がベース、2021 LTSCについては21H2がベースになっており、WebブラウザではMicrosoft EDGEが標準搭載されているなど、細部で異なります。どちらのOSも併売されていますので、用途に合わせてOSを選択できることがFlex Miniの強みでもあります。
図. デジタルサイネージのコントローラとしての利用イメージ
ここでHP Engage Flex Miniを実際に起動してみて、IoT OSそれぞれの画面の違いや収録されているアプリケーションについて比較してみようと思います。比較前提としては、
Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC については工場出荷イメージ
Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCについてはクラウドリカバリによるOSイメージとなります。
実際の工場出荷機と内容が異なる可能性がありますので、ご参考としてください。またWindows10 Proとの対比は前回ブログをご参照ください。
Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC
デスクトップやタスクバーには最新のウェブブラウザであるMicrosoft EDGE が表示されており、Windows10 Proのレイアウトに近い配置となっている。
Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC
タスクバーにはショートカットアイコンはほとんどなし、デスクトップはごみ箱とTCO Certified (IT機器の国際サステナビリティ認証)のみ。
Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC
Microsoft Edge のみピン留めされています。
Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC
前回のFlex Proと若干異なりますが、HP Client Security, myHP といったHPのアプリケーションが
ピン留めされているのみでした。
Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC
21H2 ベースの IoT OSであることがわかります。OSビルドは適用パッチで変わるのでご参考程度に
Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC
winver を立ち上げた状態。こちらも1809ベースのOSであることがわかります。
名称 | 機能や概要など |
Microsoft Edge | インターネットブラウザ |
名称 | 機能や概要など |
HP Client Security Manager | セキュリティ管理ソフトウェア |
HP Connection Optimizer | ネットワーク接続最適化 |
HP Documentation | ドキュメント、マニュアル |
HP Notifications | サポート通知アプリケーション |
HP Security Update Service | セキュリティアップデート管理サービス |
HP Wolf Security | 統合セキュリティ管理ソフトウェア |
※各製品のデスクトップ画面や、収録されているアプリケーションは出荷される時期により異なる場合があります。
前回のブログと異なり IoT OS同士の比較となります。また前回と工場出荷時期が異なるため、例えばWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC での工場出荷イメージに収録されているアプリが異なることが
分かりますが、たいへんすっきりしたスタートメニューとなっています。
今回、Win10 IoTとは(vol.2)として、新しくリリースされたWindows 10 IoT enterprise 2021 LTSCの 概要や画面イメージについてブログにしてみました。ブログに書くスペースがありませんでしたがHPが持つワールドワイドでの製品展開や、セキュリティなどに対しての開発力なども含めPC製品トータルでHPが業界をリードしていくブランドであることを改めて思いました。
話は変わりますが、今回ご紹介したHP Engage Flex Mini とさらに一体型新製品である HP Engage One Essential について、新たに HPのオンラインストアである HP Directplusでも取り扱いが始まりました。Flex Mini 3形式、Engage One Essential が2形式でのスタートとなります。
特徴のあるIoT OSを搭載したPOS/ロングライフPCが、オンラインストアからでも購入できるようになり、今後ますますDXなどの変革に利用されていくものと思います。 ここで今回のテーマについて終了します。内容についてのご感想・ご要望についてはPOSウェブサイトの「お問合せ」までお願いします。次回もよろしくお願いいたします。