第4回「Copilot+ PC で進化する Windows 検索と「設定のエージェント」で探す時間を減らす」編

「Microsoft 365 AIエージェントを業務で使おう!」シリーズ

2026-06-10

第4回「Copilot+ PC で進化する Windows 検索と「設定のエージェント」で探す時間を減らす」編
第4回「Copilot+ PC で進化する Windows 検索と「設定のエージェント」で探す時間を減らす」編

今回は、高速なNPUを搭載した Copilot+ PC における「改善された Windows 検索」について説明します。セマンティック検索によって、単なる「キーワードの一致」ではなく、ユーザーの検索意図や言葉の意味・文脈をコンピュータが理解して、最適な情報を探し出すことができます。また、専任のIT担当がいない企業や情報システム部門の人員が少ない企業にとって、大きなメリットをもたらす「設定のエージェント」についても紹介します。

MKTインターナショナル株式会社 CEO/代表取締役社長:赤井 誠

これまでの Windows 検索は、ファイル名やフォルダ名を「完全一致」または「部分一致」で探す仕組みが中心でした。そのため、以下のような場面で検索が行き詰まることが多くありました。

  • ファイル名を正確に覚えていないと見つけられない
  • 「先週見た参考になる調査レポート」「お客様に送った提案書」といった曖昧な表現では検索できない
  • 写真や画像の内容では検索できない(例:「夏のセミナーで部長が登壇した写真」)

こうした限界は、検索が「文字の並び」しか見ていなかったことに起因します。

私個人の経験を見ても、何かのドキュメントを「作る」ために、かなりの時間を、ファイルを「探す」時間に費やしています。たとえば、提案書は、メール添付で送付したのか、クラウドストレージで共有したのかの記憶が曖昧になったり、Webからダウンロードした参考の調査レポートは、どこに保存したのかなどを探し始めると、フォルダをたどったり、曖昧な記憶をたよりにキーワードを変えながら何度も検索したりで、数分〜十数分があっという間に過ぎてしまいます。

このような課題を解決するために、Copilot+ PC では、「改善された Windows 検索」という機能が実装されました。この機能は「セマンティック検索」というテクノロジーを使っています。セマンティック( Semantic )とは「言葉の意味」を指し、「ユーザーが何を意図しているか、その言葉が持つ本当の意味や文脈」をコンピュータが理解して結果を出す仕組みを指します。

そのため「去年の夏の旅行写真」など、あいまいな自然言語のキーワードでも目的の情報に近い結果を返せます。ファイル名に「旅行」という文字がなくても、撮影日時や画像内容(海・山・家族の顔など)からそれらしい写真をまとめて提示できます。

このセマンティック検索は、リコール機能 (プレビュー)とも連動しています。リコール機能でスナップショットを撮った内容に対して、「先週調べた Web ページ」「先月書きかけた提案書」なども自然言語で検索可能になっています。

この検索機能は、 Microsoft 365 Copilot でも利用できるようになっており、検索で時間が取られていたビジネスパーソンにとって、生産性を向上させるツールとなることが期待できます。

改善された Windows 検索の設定方法(検索対象=インデックス範囲の調整)

この機能は、インデックスが作成されないと機能しないため、簡単な設定が必要です。

  1. 対象ファイルが「インデックス」されている場所に保存されていることが前提になります。設定を起動して、 プライバシーとセキュリティ →検索を開きます。
  2. 「ファイルを検索」で、クラシックまたは拡張を選びます。拡張を選ぶとPC全体を対象にしやすくなりますが、初回のインデックス作成に時間がかかったり、電力消費が増える場合があります。
    「ファイルを検索」で、クラシックまたは拡張を選びます。拡張を選ぶとPC全体を対象にしやすくなりますが、初回のインデックス作成に時間がかかったり、電力消費が増える場合があります。
    「ファイルを検索」で、クラシックまたは拡張を選びます。拡張を選ぶとPC全体を対象にしやすくなりますが、初回のインデックス作成に時間がかかったり、電力消費が増える場合があります。
  3. 必要に応じて、インデックスから除外するフォルダ(例:一時保存フォルダ、プログラムファイル等)を追加して、不必要な検索による負荷を減らします。

改善された Windows 検索の利用

改善された Windows 検索には次の2つの方法があります。

  • タスクバーの検索から、探したい内容をそのまま文章で入力します(例:「先週修正した営業資料」「赤い倉庫の写真」)。
  • エクスプローラーの右上の検索ボックスでも同様に、文書・写真を自然文で検索できます。

ここでは、エクスプローラーから検索してみましょう。次のような画像が複数あるフォルダーを使いましょう。いくつかの画像が保存されていることが分かります。

いくつかの画像が保存されていることが分かります。
いくつかの画像が保存されていることが分かります。

このとき、「帽子を被った男性」と検索すると、その単語が含まれていないながら、3つのファイルが検索されました。すべてが期待する結果かはファイルを開けてからの確認になりますが、男性の写真が2つ表示されていることが分かります。

男性の写真が2つ表示されていることが分かります。
男性の写真が2つ表示されていることが分かります。

コツは、キーワードを短く切るよりも、「何についての資料か」「いつ頃か」「どんな見た目か」といった手がかりを、会話のように足していくことです。たとえば「出張の予定表」「第2四半期の数字が入ったスライド」「夕焼けの橋の写真」のように書くと探しやすくなります。

Windows 11 の設定には、ディスプレイ、サウンド、ネットワーク、アクセシビリティ、セキュリティなど膨大な項目があります。使い慣れたユーザーでも「どこにあったっけ?」と迷うことがあるほどです(わたしも、よく迷います。そして、Web 検索を行う)。

ユーザーにとって、実は時間を奪うのがこの「設定の迷子」です。専任のIT担当者がいない企業では、詳しい人に相談が集中したり、情報システム部門があったとしても、たとえば「画面が暗い」「音が小さい」「マウスのカーソルが小さい」といった、 “PCの使い勝手”に起因する相談は、1件あたりは軽く見えても、件数が積み上がると対応が大変です。

“PCの使い勝手”に起因する相談は、1件あたりは軽く見えても、件数が積み上がると対応が大変です。
“PCの使い勝手”に起因する相談は、1件あたりは軽く見えても、件数が積み上がると対応が大変です。

結果として企業は本来やりたいDX化やセキュリティ強化に手が回らなくなります。

Copilot +PC に搭載された「設定のエージェント」は、この課題を解決してくれる機能の1つです。「設定のエージェント」は、Windows の複雑な設定項目をユーザーに代わって探し出してくれます。

ユーザーは、日本語で困りごとや行いたいことを入力するだけで、AI が適切な設定項目を見つけてくれます。設定方法を探して、メニューを何層もたどったりする必要はありません。

「設定のエージェント」は、Windows の「設定」アプリを開くと上部に表示される検索ボックスから利用します。

【使用例 1】「文字が小さい」

入力例 文字が小さい

Copilot+ PC ではない、通常の Windows 11 の設定画面で入力しても、Windows 11 は何も反応しません。

通常の Windows 11 の設定の検索
通常の Windows 11 の設定の検索
通常の Windows 11 の設定の検索

Copilot+ PC の「設定のエージェント」は、この入力から「テキストサイズの変更」の設定が必要だと判断します。すると、設定メニューへの直接リンク(「テキストのサイズ」スライダー画面)がチャット内に表示され、ワンクリックで該当画面に移動できます。

Copilot+ PC の設定の検索
Copilot+ PC の設定の検索
Copilot+ PC の設定の検索

従来であれば「設定 → アクセシビリティ → テキストのサイズ」と複数の階層をたどる必要がありましたが、AI エージェントがその過程を完全に代行します。

【使用例 2】「画面が暗い」

入力例 画面が暗い
通常の Windows 11 の設定の検索
通常の Windows 11 の設定の検索
通常の Windows 11 の設定の検索

AI エージェントは「輝度(明るさ)の調整」設定が必要と判断し、「設定 → システム → ディスプレイ」内の「明るさ」スライダー画面への直接リンクを提示します。

Copilot+ PC の設定の検索
Copilot+ PC の設定の検索
Copilot+ PC の設定の検索

このように「設定のエージェント」は、ユーザーが入力したテキストを解析し、Windows の設定データベースと照合し、素早く解決するための画面を呼び出します。ただし、エージェントは設定を提案するだけで、変更操作を自動的には行いません。 ユーザーはエージェントに変更を明示的に指示する必要があります。

つまり、ユーザーが設定項目の場所や専門用語を知らなくても、「困っていること」をそのまま伝えれば、該当設定にたどり着ける導線が用意されます。これによって、ITに詳しい人や情シスに尋ねられがちな“初歩的だけどよくある”問い合わせを、現場の社員が自己解決できる割合が高くなります。

この設定のエージェントは、Mu という Microsoft が開発した Copilot+ PC 向けの小さなAI言語モデルを利用しています。

Mu の最大の特長は、インターネットに接続せず、Copilot+ PC 本体の中で高速に動く点です。Mu は、Copilot+ PC に搭載されているNPUを活用することで、人が待たされない速さ(毎秒100語以上)で応答できます。これは、設定操作のように「すぐ反応してほしい場面」に適した設計といえるかもしれません。

Mu は、ChatGPT のような万能AIではなく、モデルサイズは小さいですが、必要な場面では高い精度とスピードを両立しています。

「設定のエージェント」は、すべての設定を行える万能ツールではありません。Mu をベースに「Windows の設定」という目的に特化して作られています。数百の設定シナリオに基づいて開発されているものにすぎず、あらゆるトラブルを解決するわけではありません。しかし、情シスの負担を少しでも減らせるなら、IT部門の生産性改善策としては十分に意味があるでしょう。

Microsoft は2026年3月17日、「Microsoft 365 Copilot Chat」の仕様変更を発表し、「Microsoft 365 Copilot」アドオンライセンスのないユーザーに対して、次のように使用権が変わることを発表しました。

① 2,000シート以上の組織
「Microsoft 365 Copilot」アドオンライセンスが割り当てられていないシートでは、Word・Excel・PowerPoint・OneNote での Copilot 利用ができなくなります。 製品内ラベルは 「Copilot Chat (Basic)」 となります。

② 2,000シート未満の組織
引き続きWord・Excel・PowerPoint・OneNoteで Copilot を利用できますが、「標準アクセス」の範囲内に制限されます。製品内ラベルは 「M365 Copilot (Basic)」 となります。

「標準アクセス」の制限内容

「標準アクセス」では音声アクセスなどの一部機能が提供されないほか、需要が集中するピーク時に利用が一時的に制限されることがあります。制限を解除するにはIT管理者が「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを追加購入し、ユーザーに割り当てる必要があります。

アドオンなしでも引き続き制限なく使える機能

以下の機能はアドオンライセンスがなくても(「Basic」ラベル状態でも)制限なしに利用可能です。

  • 「Microsoft 365 Copilot」アプリ内の Copilot Chat
  • Outlook の受信トレイやカレンダーにおける「Copilot in Outlook」

いままで、アドオンライセンスがなくても、Copilot を利用できることを何と呼んだらいいのかが、分からなかったのが、「M365 Copilot (Basic)」という名称になったのはよかったと思います。

連載
  1. 第1回:「Microsoft 365 エージェント事始め」編
  2. 第2回:「Microsoft 365 Copilot 搭載 エージェント ビルダー によるエージェント自作ガイド」編
  3. 第3回:「Copilot in Excelの“Copilot で編集”機能で、データ分析を実行する」編
  4. 第4回:「Copilot+ PC で進化する Windows 検索と「設定のエージェント」で探す時間を減らす」編
  5. 第5回:「Copilot in OneDrive:ファイルを開かない仕事術」~OneDriveのファイルを要約・比較・質問・FAQで活用する~編

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

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