さらなる市民サービスの向上を目指す養父市
兵庫県養父市は、同県但馬地域にある豊かな自然に囲まれた市だ。兵庫県下最高峰の氷ノ山をはじめ、ハチ高原、若杉高原など、雄大な地形を持っており、明延鉱山や養父神社、別宮の棚田といった観光名所も多く、かつては交通の要衝として栄えた八鹿、用水路に泳ぐ錦鯉で有名な養父、養蚕の中心として栄えた大屋など歴史が息づく町並みも人気だ。
そんな養父市では2024年4月現在、約22,000人が暮らしており、「豊かで持続可能なスマートヴィレッジの共創」を10年後の将来像に掲げ挑戦できるまち、「住み続けたい」と思うことができるまちを目指し、精力的に活動している。
「養父市ではデジタルファースト課を中心にDXを推進しています。市民サービスで使うことができるデジタルポイント「やっぷるポイント」の採用や、養父市で活用できる個人カード「やっぷるカード」の導入など、市民サービスの向上にも努めています。私たち情報課は、主にネットワークの保守、運用管理などをメイン業務としています」と養父市のDXを支えるインフラ管理を担当する情報課の津崎氏は語る。
独自のサービスを展開させつつ、DXを推進していく一方で、市役所職員、市民からもニーズが高いインターネットを使った各種サービスの活用には課題があったのだという。「自治体としてαモデルでのシステム運用をしている関係上、どうしても外部のネットワークにアクセスしづらい環境となっていました。そのため、物理的な分離策、いわゆる役所内で使うPCと外部にアクセス可能なPCを明確に分けての運用をしていました」と振り返るのは、同じく情報課の長谷川氏だ。
左から、養父市 危機管理室
情報課 長谷川 伸也氏、
同 危機管理室
情報課 課長 津崎 朋彦氏
物理的な分離方式でのインターネット活用は、シンプルでセキュリティ対策もしやすく、パフォーマンスも問題ない。しかし、業務内容によって2台の端末を使い分けることは不便な側面も多くあり、外部接続用のPCを別途購入する必要があるなどコストも多く掛かってしまうという課題があったのだ。「そこで、現状のシステムに大きな影響を与えず、安全かつもっとインターネットが扱いやすくなるソリューションはないか、探してみることにしたのです」と語る津崎氏。
2023年3月、こうして養父市は新たなソリューションを求めて活動をはじめた。