名水を育む日本有数の自然環境を持つ自治体
鳥取県と岡山県の県境に位置する江府町は、日本百名山のひとつとして知られる中国地方の最高峰「大山」の麓にある自治体だ。江府町は別名「奥大山」と呼ばれていることからもわかるように、大山の南壁を臨みつつ、その大いなる懐に包まれた自然の豊かさが魅力となっている。「川が合流して『府』となす。」という町名の成り立ちからも、水と深い関わりをもっていることがうかがえる江府町には、現在約2,479人(令和5年2月時点)の人々が暮らしており、江府町役場は町民を支える様々なサービスを届けるために活動を続けている。
「大山を一望する景観は私たちの町のランドマークにもなっています。世界的な飲料メーカーがこの地に工場を構えていることからもわかるように、特に良質の水資源は各方面から注目を集めるほどです」と語るのは副町長の八幡氏だ。
江府町では、数年前よりDXを積極的に推進している。「職員のリテラシーの問題もありますが、当初は用意してあるITシステムやアプリケーションを積極的に使うという文化がなかなか根付きませんでした。グループウェアを最大限に活用して合意形成の速度を上げたり、ペーパーレスを促進したりといった行動が、どれほど仕事の効率化につながるかが、なかなか伝わらなかったのです。ですから、まずはシステムやアプリケーションを便利に使える環境づくりを大切にしようと考えました」と語る八幡氏。

鳥取県江府町 副町長 八幡 徳弘氏
江府町はもちろん、自治体システムのほとんどについていわれるのは、その使いづらさだ。いわゆる三層分離の状態で基幹システムとインターネット上の各種サービスを利用するには、クライアントPCを使い分ける必要があるなど、業務の重荷になってしまうような仕様も多く、改善が求められているケースが多い。
「江府町でも同じような課題が浮上していました。そこで以前からお付き合いのあった株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以降、ID)にIT専任者の常駐を依頼し問題点や課題を指摘してもらいました。その結果、セキュリティ上、クライアントPCを2台に分ける必要があることは確かだが、業務が煩雑になり、職員への負担も大きいという判断をされました。この点をまずは業務改善の入り口にしようと私たちは考えました」と語る土居氏。こうしたきっかけにより、江府町の課題解決への取り組みがはじまった。