脅威の巧妙さを再認識
一般社団法人 新情報センター(以降、新情報センター)は、世論調査や統計調査などの公益性の高い事業を行い、プロフェッショナルの視点で信頼性の高い調査を提供している法人だ。科学的な理論に基づいた的確な調査企画や、熟練調査員による信頼性の高い情報収集など、専門調査機関としての特色を活かし、官公庁をはじめ大学や公的機関などから業務を受託している。また、2022年1月には設立50周年を向かえた歴史ある企業でもあり、同法人が掲げる企業理念である「誠実」「公正」「正確」な日々の企業活動を通じて、社会貢献を現在も追求し続けている。
活動内容からも分かるように、官公庁からの受託業務が多く、調査対象者の個人情報のデータ量は膨大になる。万が一、それらが漏えいした際のリスクは想像を超えるものになる可能性すらあるのだ。
「ブラックハッカーは主に大企業を標的にするので、私たちのような組織規模の企業が狙われることはないのではないかとの声もあるが、万が一のことがあった場合、お客様にご迷惑がかかるという懸念はぬぐえません。その不安から、弊社では定期的にセキュリティテストを行っています。そんな中、不審メールを装ったテストメールを配信したところ、うっかり開いてしまう職員が複数名いる状態だったのです」と課題を語るのは、新情報センターで情報システム部をリードする山本氏。新情報センターが懸念しているのは巧妙化を続け、あらゆる手段で組織内へ潜り込もうとするランサムウェアへの対応だった。
(左から)一般社団法人 新情報センター 情報システム部 飯沼 章太氏、情報システム部 部長 山本 健浩氏、情報システム部 佐藤 奈々恵氏
「昨今ランサムウェアの中でもEmotetが流行しています。信頼が何よりも大切な組織ですから、感染するわけにはいきません」と決意を語る新情報センター 山本氏。実際にEmotetの猛威は止まらず、コロナ禍にあっても感染する企業は後を絶たない。「そういったニュースを見かけるたびに、最新の脅威への対応が難しいことを実感しました。狙われたら防ぎきれない可能性もありますが、官公庁等からの受託業務では高いセキュリティを担保しなければなりません。セキュリティテストでも、万が一はありえることが分かったので早急に対応を始めることにしました」(新情報センター 山本氏)。こうして新情報センターはランサムウェア対策を実施すべく行動を開始することになった。