日本の医療・福祉を支えてきた賛育会
1918年の創立以降、105年の歩みを持つ社会福祉法人 賛育会(以降、賛育会)。創立当初は、婦人や小児の保護、保健、救療を目的とした組織としてスタートし、以降も医療や社会福祉で地域に貢献する活動を継続。現在では病院や特別養護老人ホーム、保育園などを中心に医療と福祉サービスを提供している。長年培ったノウハウや創立当初から変わらない「隣人愛」の精神で、多くの市民に愛される、地域になくてはならない組織として活躍している。
「賛育会が創立されたのは大正時代ですが、当時子どもは家で産む文化であり、新生児や小児の死亡率が高い、ある意味厳しい時代でした。そんな中、賛育会は少しでも妊婦さんや子どもたちの命を守りたいという思いで組織を立ち上げ、地域で困っている方々のために精力的に活動を続けました。2018年に賛育会は100周年を迎えたのですが、その年に世界的な慈善団体が、日本が世界一、新生児の死亡率の低い国だと発表しました。まだ婦人科や保育施設が無かった当時から懸命に活動を続けた結果、私たちの組織が多くのご婦人や子どもたちの健やかな未来づくりに貢献できたのだと喜んでおります」と語る遠矢氏。
東京都墨田区、中央区、江東区、町田市、長野県長野市、静岡県御前崎市、静岡県牧之原市などに複数の拠点を持ち、正職員、非常勤職員などを含め、約2,000人規模の組織へと成長し、地域にとって最善のサービスを提供している賛育会。そんな同組織は、IT活用やDXへの取り組みも意欲的に行っている。「電子カルテやグループウェアの活用による情報共有、業務効率化、生産性向上などは常に最適なものを模索しながら運用を続けています。ただし、IT部門に割けるリソースには限りがあり、特にIT人材の確保には苦労しています」と遠矢氏は語る。DXが進む中、IT部門の人材確保はどの企業や組織にとっても急務だけに、賛育会でもその点が課題になっているのだ。
「病院の基幹システムともいえる電子カルテシステムには専任の管理者を付けています。しかし、限られたリソースの中でそれ以外の業務にはそれほど人材を配置できるわけではありません。特にセキュリティに関しては、標的型攻撃やランサムウェアの流行などで、エンドポイントの強化が急務です。しかし、専任の管理者に依存できないため、複雑な管理を必要とするシステムは構築できません。ですから、管理者への負担が極力少ない安全策を講じる必要性を常々考えていました」と遠矢氏は課題を語る。
またコストに関しても、診療報酬は国により設定されており、ITに投資をしたからといって、その分をサービスで回収しようとするのも簡単ではなく、ソリューションの導入にはどうしてもコストパフォーマンスを考えなくてはならないのだという。
「ですから、コストメリットが高く、できれば専任管理者が不在でも運用できるセキュリティソリューションが必要だったのです」と語る遠矢氏。賛育会が抱えている課題解決のため、遠矢氏らIT管理メンバーによるセキュリティソリューションの選定が急がれるようになったのだ。
左から、社会福祉法人 賛育会
法人事務局 統括情報システム管理者 遠矢 充宏氏、
法人事務局 IT担当(テクバン株式会社) 永嶋 貴憲氏
左から、株式会社ブロード
セキュリティ事業本部 第二セキュリティ事業部 ディレクター 小出和希氏、
株式会社GRCS
セキュリティソリューション部 セキュリティエンジニア 六平 圭一氏、
ソリューション戦略部 セキュリティコンサルタント 北島 康晴氏