今後ますます必要となる
ITを活用した問題解決能力の向上を目指し、
HP 2in1デバイスを活用
- 千代田女学園中学校・高等学校
- 教務部長
- 西田 浩之氏
1888年島地黙雷によって創立された千代田女学園は、浄土真宗の教えを教育の柱に、品位ある自立した女性の育成を目指しています。現在は、国際バカロレア(IB)ディプロマプログラムの候補校となっており、2年後の認定を目指しています。その中心となるのは2年後にIBのプログラムに基づいた教育を受ける8年生(中学2年生)ですが、今回紹介する11年生(高校2年生)の、体験からテーマを探し、調べ、考え、まとめ、それをプレゼンテーションするという取り組みは、探究し、考え、コミュニケーションができる人を学習者主体で育成するという意味で、IB教育の延長線上にあります。さらに教育用SNSを活用し、生徒と教師との円滑な情報交換・共有を実現しており、そのための端末として1人1台のHP 2in1デバイスを貸与しています。この取り組みに携わった西田浩之先生にお聞きしました。
難関大学への進学を目指す特進コースの世界史の授業で、研修旅行で行った京都と長崎に残された「世界とのつながりを感じられる写真」を題材に、各自が「日本と世界のつながり発見」というテーマで資料を作成し、授業で発表しました。何を題材とするかは各自が主体的に決めるので、単に知識をまとめるだけでなく、自分なりに考えてストーリーを組み立てます。また、実際の体験を基に学ぶことで、知識を自分のものにすることができます。そのうえで、それをわかりやすく伝え、議論することを目指しました。
当日は思ったよりしっかりした発表で、参照した資料もWikipediaだけではなく多様性に富んでおり、感心しました。
HP 2in1デバイスがなかったら、資料作成がこんなに速くできなかったと思います。たとえば、図書館で机にHP 2in1デバイスを置きタブレットにして書棚に持っていき、必要な資料の写真を撮って机に戻り、それを見ながら資料を作るようなことをしていました。ちょっとの距離ですが、できるとできないでは効率がまったく違います。彼女たちなりの工夫でHP 2in1デバイスデバイスならではのうまい使い方をして、楽しそうに取り組んでいました。
2016年10月初旬から利用を開始しました。基本的には、授業で配布するプリントのPDFやWordを使った教材をクラウドストレージにアップし、配布しています。SNS自体はスマートフォンでも利用でき、全員スマートフォンは持っているので、必ずしもWindows PCが必要というわけではありません。しかし、プリントのPDFはB4サイズなのでスマートフォンではかなり見づらい。その点HP 2in1デバイスならディスプレイが大きいので、楽に閲覧できます。同様にWordも、スマートフォンではやはり使いづらく、環境によっては使えないこともあります。PCが家にある子とない子がいるので、公平性を考えるとWordでの教材は使えませんでした。その点HP 2in1デバイスはWindows PCなので、Wordでの教材が文字化けなどもなく問題なく使えます。教育用SNSを導入しても公平性が保てると考えました。
デバイスそのものの導入は特に問題ありませんでしたが、いかに使わせるかには苦労しました。生徒はスマートフォンに慣れているので、放っておくと何でもスマートフォンでやろうとします。なので、タイピングはHP 2in1デバイスの方が便利と気づかせるよう気をつけました。かといって、「Wordでレポートを提出すること」と言ってしまうと、それはそれで自由な学びを阻害します。自ら気づかせ、HP 2in1デバイスとスマートフォンをうまく使い分けるよう目指しました。
SNSに過去のプリントなど自分の学習履歴が集約されるので、過去に学んだことをすぐに調べられるなど、便利に使っているようです。ただ、SNSで発言するのは恥ずかしいようで、まだこちらからの一方的な情報提供が中心で、そこが今後の課題です。
現在世界史だけで使っていますが、生徒からは他の授業でも使いたいという声が出ています。ぜひ、教科横断的なツールとしてHP 2in1デバイスとSNSを活用していきたいと思っています。
一方で、今SNSで宿題を出すと、見た子が気づいていない子にLINEで連絡しています。そうではなく、SNSで既につながっているので、そこで連絡しあったり、もっと活発に質問をしあって互いに学びあう協働学習を推進していきたいですね。
以前からPCに興味があり、親に買ってほしいと頼んでいますが、まだ買ってもらえていなかったので、今回HP 2in1デバイスが貸与されてすごくうれしかったです。イラストを描くのが好きで、スマートフォンでも描いていますが、画面が小さくて不満でした。その点HP 2in1デバイスはディスプレイがタッチパネルで、タッチペンですらすら描け、画面も大きいので楽に描けます。今回のプレゼンテーションにもイラストを入れることができました。3Dモデルを踊らせる動画にチャレンジしましたが、難しくて現在苦戦中です。プログラミングにも興味があり、HP 2in1デバイスをいろいろなことに活用していきたいです。
千代田女学園高等学校
11年B組
宮本 礼香さん
PCは、高校1年の情報の授業で、都道府県について調べてプレゼンテーション資料を作って発表したときに使ったくらいで、あまり使ったことがありませんでした。でも、Windowsは特に違和感なく、慣れれば使いやすかったです。キーボードも割とすぐ慣れました。Wordが使えるようになったので、世界史だけでなく、自分で英語の穴埋め問題を作ったりしています。忘れた頃にやって覚えているか確認するんです。HP 2in1デバイスのサイズは、スクールバッグにちょうど収まる大きさで、思ったより軽く、気に入りました。キーボードを外すとタブレットにもなるので、通学の電車の中で調べものをしたり、とても便利です。
千代田女学園高等学校
11年B組
下田 明香里さん
千代田女学園は、現在国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム認定へ向けた取り組みは、2年後にIBのプログラムに基づいた教育を受ける8年生を中心におこなっています。ただ、彼らの取り組みを見ることによって、他の生徒や教員、保護者にも、新たな学習者主体の学びについて理解が広がっています。今回の11年生の取り組みも、学習者主体の学びという意味で、IBの理念の延長線上にあるといえるでしょう。
2013年に発表されたOECDの国際成人力調査で、日本の「読解力」と「数的思考力」は1位でしたが、「ITを活用した問題解決能力」はOECDの平均レベルにとどまりました。これからの教育で、このギャップを埋める必要があります。我々は生徒の将来を預かっており、今後ITを活用した問題解決能力がますます必要とされるなか、よりコンピュータを活用できるスキルを身につけさせる必要があります。
そこで、今回のようなHP 2in1デバイスデバイスなどのコンピュータを活用した授業をより積極的に推進していきたいと考えています。調べて閲覧するだけならピュアタブレットやスマートフォンでも可能ですが、調べた内容をまとめてレポートにするといった作業には向きません。特に高校生になれば中学にも増して、文字入力の必要性が増えます。その点、HP 2in1デバイスは、キーボード、ペン入力、ソフトキーボードと入力の選択肢が多く、生徒それぞれの好みや目的、状況に合わせて自由な手段で入力可能です。PCとしてもタブレットとしても使えるので、場所を選ばず利用できる。教育用SNSと組み合わせることで、授業時間以外でも先生の指導を受けられるなど、学びの自由度がますます高まると思います。
一方で、コンピュータとインターネット環境を常に利用することによって、生徒たちも否応なくウイルスやマルウェアなどの脅威にさらされることになります。しかし、既に学習に欠かせないデバイスとなり、学校でも家でも学習にフル活用している以上、そのセキュリティは堅牢でなければなりません。その意味で、HP 2in1デバイスは、BIOSの自動修復機能を標準装備しており、BIOSの改ざんや破壊からデバイスを守ることができるので安心です。また、米軍調達基準に対応した堅牢さとのことで、今のところ故障したという報告は一切なく、安心して生徒に使わせることができています。
教育コンテンツの整備やITの活用によって、いろいろなことが簡単に調べられる今、従来の知識伝達型の授業から、より自発的、自主的な学びへと変化してきています。教師の役割も従来のように知識を与えるだけでなく、個人ごとに異なる学習の進捗を把握してアドバイスをしたり、方向性を示唆するなど、よりコーチングに近づいていくように思います。このような指導を的確におこなうためには、ますます学習履歴の確実な把握が重要です。ITをうまく活用することで学習履歴を可視化して、教員同士で生徒一人ひとりの過去の学びを共有し、教師がより的確な指導ができるようにしていきたいと思っています。
学校法人武蔵野大学
教育学部特任教授
千代田女学園中学校・高等学校
副校長
荒木 貴之氏
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