鋳物業界の「湯流れ解析シミュレーション」において、初となるGPUコンピューティングに対応した製品「JSCAST」をリリースしました。
―― 今回、GPUコンピューティングに対応した新バージョンの「JSCAST」がリリースされたそうですが、ソフトウェアの概要をお聞かせください。
木佐貫:弊社は製造業や流通業向けのソリューションや、近年ではクラウドサービスを提供していますが、製造業の中でも鋳物業者向けに開発している解析ソフトウェアが「JSCAST」です。鋳物製造の工程の中でも重要な「湯流れ」という部分で、鋳型に注ぎ込まれる流体がどのように流れていくかを解析します。これによって、湯流れが上手くいっていない箇所や気泡ができやすい場所を事前に特定することが可能です。この製品は創業当時から開発を続けており、エンジニアリングワークステーションが主流だった時代から連綿と続いています。
別府:湯流れ解析シミュレーションを使わない部品開発では、型を作って金属を流してみて不具合があれば修正するというトライアンドエラーを繰り返します。しかし、JSCASTを使用すれば、何回も繰り返していたトライアンドエラーがソフトウェア上で実行できますから、いわゆる「手戻り」という工程を大きく削減することが可能です。
八十田:様々な機械の部品を作るための鋳物の設計は「芸術」と評されるほど多くのノウハウと匠の技が必要ですが、それを手助けする解析シミュレーションソフトウェアの大半はCPUベースで動作するものがほとんどでした。ですから、従来のシステムで速度を向上させようとすればクラスタHPC環境を大規模化するか、より高性能なスーパーコンピューターを使う以外は方法が無かったのです。今回のJSCASTは、業界では初めて湯流れ解析の分野でGPGPUに対応させることで、ワークステーションによる高効率運用を可能にしたソフトウェアということになります。
鋳物製造における「湯流れ」を解析する
シミュレーションソフトウェア「JSCAST」