【導入事例・鹿児島大学】歯学研究に新たな視点と最新テクノロジーを投入する鹿児島大学のチャレンジをHPワークステーションが支援
鹿児島大学
2025-06-04

進化を続ける医療の裏では、日夜研究者らの努力によって膨大な実験が繰り返されている。その傍らにはコンピューターがあり、そのパフォーマンスによって研究の進展が左右されるほどの影響がある。鹿児島大学医歯学総合研究科に所属する大塚裕太助教も最先端のテクノロジーを使った研究者であり、HPワークステーションの導入により研究に活用しているソフトウェア運用の効率化に成功している。同氏に話を伺ってきたので紹介しよう。

目的
- 研究促進のためのワークステーションの導入
アプローチ
- AMD Ryzen™ Threadripper™およびNVIDIA RTX™ 6000 Ada を搭載するHP Z6 G5 A Workstationの導入
システムの効果
- 圧倒的プロセッサーパワーによる、並列演算処理の向上
- AI処理の効率化をサポートするハイエンドグラフィックス
- CPU/GPUのパワーバランスの良さでCAD、解析、AIなどのあらゆる研究に対応
ビジネスの効果
- 研究時間の短縮により、トライアンドエラーの回数が増加
- ソフトウェア運用の効率化による研究促進
- 新しいテクノロジーを導入し新しい研究にチャレンジ
多様な視点から歯学研究を見つめなおす
新井
はじめに大塚助教とこちらの研究室の概要を教えてください。
大塚
私は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯科生体材料学分野 助教(研究准教授)の大塚裕太といいます。現在薬科学博士ですが、大学のころは理工学部で化学を学んでいたこともあります。その後、人の生命に関わっていきたいと思うようになり、薬学部に進み、現在はこちらの大学で歯学部に所属しています。
鹿児島大学での私の活動は歯に関係する研究がメインになるのですが、私自身が薬科学博士なので、薬学と歯学を融合させるような視点を加えたアプローチで研究したいと考えています。そのほか、理工学部に在籍していた当時に機械学習などにも携わっていた関係で、AIのテクノロジーも取り入れたいと考えていますから、一般的な歯学関係の研究とは少しアプローチが異なる感じかもしれません。現在は、「CAD」「医薬品可溶化」「画像解析」の3つを柱にして研究活動を行っています。
新井
今回はHPワークステーションを導入し研究に活用いただいておりますが、それ以前はどのような環境で研究されていたのですか?
大塚
ゲーミングパソコンなどを利用していました。現在の研究室にきてからまだ2~3年なのですが、人工骨の設計などでCADソフトウェアなども使いますから、ある程度のマシンパワーは必要なので、一般的なパソコンではなく、ゲーミングパソコンを選んでいました。
当時使っていたのはCPUにインテル® Core™ i7プロセッサーの8000番台、グラフィックボードにはNVIDIA GeForce 1650とゲーム向けとしてはオーソドックスといえる性能のモデルでした。このスペックで作業すると、例えば金曜日の夜の帰宅前に課題を実行しておいても、月曜日の朝にもまだ計算中といったようなこともよくありました。マシンパワーという点で、課題を感じることも多くありましたね。
ワークステーション営業部 市場開発担当部長 新井 信勝 氏
HPワークステーションに研究促進の活路を見出す
新井
そのような状況下ですと研究を円滑すすめることができなかったことも多いと思います。そこでHPワークステーションの導入を検討されたのですね。
大塚
はい、その通りです。今回は「HP Z6 G5 A Workstation」を導入させていただきましたが、本格的なハイエンドワークステーションのすごさを毎日体感しています。
新井
それはうれしいお言葉です。今回ご利用いただいているマシンのスペックですが、プロセッサーに、AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7975WX(4.0GHz - 5.3GHz / 32コア/ 128MB / 5200MHz)、メインメモリはECC DDR5 256GB、ストレージにはZTrb 1TB 2280 PCIe-4x4 TLC M.2、そしてグラフィックスにはNVIDIA RTX™ 6000 Adaと、AMDベースのハイエンド構成ですね。以前の環境よりもどのような点で研究が効率化されましたでしょうか?
大塚
ワークステーションを導入してからは、当然ですが物理コア32個、64スレッドの並列処理ができるハイエンドプロセッサーのおかげで計算速度が飛躍的に向上したので、これまで時間がかかっていた処理でも、1日に複数回実行できることも多くなりました。このため、例えばハイパーパラメーターなども、時間をあまり気にせずに試行錯誤できるようにもなりました。
実際に導入したのは2024年の12月くらいなのですが、性能が段違いであるため研究活動にも大きなプラスの影響がありました。使用するソフトウェアは以前とほぼ同じなので、速度差などが圧倒的に違うことが実感できています。
新井
ここからは大塚様の研究内容とワークステーションの実用性についてご質問していきます。まずは「CAD」の分野ではどのような活用がされましたか?
大塚
例えば入れ歯のスキャンデータを利用して何度でも作り直せるようにすることや、骨折などで骨が失われた箇所を骨補てん材で埋め合わせるといったことができるような研究を続けています。これらの研究は新たな分野でもあり、課題も多いのですが積極的に取り組んでいきたいと考えています。
この研究ではAutodesk Fusion などのCADソフトウェアを使うのですが、スキャナーで取り込んだデータはメッシュ数が非常に多いため、とてもサイズが大きく“重い”データになってしまいます。入れ歯などはマイクロメートル単位といっていいほど細かいところで、装着感や痛みを感じるかどうかなども変わってきます。その意味でも、なるべく高精細なデータでスキャンし再現することが必要になってくるのです。従来の環境と比較すれば、飛躍的に快適な環境になったことで、大きなデータの扱いが非常に楽になりました。
新井
「医薬品の可溶化研究」はどのような内容になるのですか?
大塚
例えば水に溶けにくい医薬品分子があるとします。それをほかの分子と結合させて、水に溶けやすくするといったような研究はこれまでにもありました。仮説を立てたあと、粉と粉を実際に混ぜて粉砕したりしながら、本当に水に溶けやすくなったかどうかなどを溶かしてみたり、X線を当ててみたりしながら判断していたのですから、手間も時間も必要だったのが実情です。
最近ではGaussianなどの量子科学計算プログラムを使い分子動力学計算や第一原理計算などの手法を用いることで、パソコン上でもある程度実証実験ができるようになってきました。先ほどの例でいうと水に溶けやすい分子同士の結合はどれとどれかという推測が成り立ってから実際の実験に移ることができます。我々はこれを研究のDXと呼んでおり、研究の効率が大幅に良くなっています。
これらの計算処理について例えば従来は約1時間30分くらいかかっていたものが、ワークステーションでは30分以下にまで短縮できています。こういった処理はまさに繰り返しが必要になるものなので、体感的にもワークステーションの恩恵を感じているところです。新たな医薬品の開発スピードも向上することにつながるので、期待を持っている分野です。
時間がかかっていた処理でも1日に複数回実行できることも多くなりました。このため、前処理やハイパーパラメーターの検討時に、時間をあまり気にせずに試行錯誤できます
歯科生体材料学分野 助教(研究准教授) 大塚裕太
歯学研究にもAIの波
新井
いまもっとも力を入れてらいらっしゃるという、「AI画像解析」について教えてください。
大塚
歯医者ではパノラマX線写真という、口腔(こうくう)内全体を1枚のレントゲン写真として使うものがありますが、そのイメージを使ってかみ合わせや診断補助の研究をしていました。歯医者さんがきちんと診れば、10枚や20枚は連続してかみ合わせや口腔の特徴を分類していくことも難しくはありません。しかし、それが研究目的などで数百、数千枚規模などになってくると完璧に処理するのが難しくなります。
この画像解析にAI技術を導入すれば、分類などの負担を少なくできます。今回の研究をベースに、虫歯の進行具合の予測や、歯科医学的統計への補助、インプラントの埋入補助など現場の歯医者さんなどの負担軽減につながるものとして、期待しているところです。いまのところワークステーションの導入によって、大きく時間効率が上がっているという体感があります。解析結果がすぐに出るので、論文の作成に充てる時間も増やすことができています。
新井
実に様々な分野の研究にワークステーションの有効性を感じていただけているようで安心しました。今後の研究テーマや抱負を教えてください。
大塚
現在行っているAI技術を導入した研究なども継続していきたいのですが、さらに医薬品の開発にもさらにチャレンジしていきたいと考えています。創薬の分野でも、AIを使いながらの研究が重要になってくると思います。今回のワークステーション導入によってソフトウェア運用の効率化が進んでいますので、今後もよりよい研究につなげていきたいと考えています。
新井
大塚様のご研究の場合、研究分野と研究手法も幅広くCPUとGPUもフルに使うような負荷の高い処理が求められていました。特にCAD、創薬系などではCPUもGPUも高いレベルで使用することが重要かとおもいます。その点でワークステーションのパフォーマンスでは総合力が問われる環境だと思います。そこにGPUのパフォーマンスの要求されるAI技術なども含めて研究の効率化を図るための環境作りのお手伝いができたと実感しています。
弊社にも解析系のエンジニアなどもおりますので、必要に応じてそういったところとも情報共有しながら、今後のサポートなどを通じて、お手伝いなどもしていきたいと思っています。
本日はありがとうございました。
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