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2024.09.18

マイクロソフトの生成AI戦略②(2024年8月版)

様々な業種での生成AI利用をアピールするマイクロソフト

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フリーランスライター:三浦 優子

生成AIを本格的な業務に利用し、成果を出す企業が増えてきました。日本マイクロソフトでは、記者会見に導入企業を招き積極的にAI導入効果を紹介しています。どのような業種で、どのような事例が出ているのでしょうか?導入例を紹介することでどんな効果が出ているのでしょうか?日本マイクロソフトが実施した最近の発表会から考察してみます。

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AIプラットフォームであるAzure AIも導入企業が5万社を突破
出典:2024年、日本マイクロソフト記者会見配布資料より

先行してAI導入する企業を積極的に紹介

日本マイクロソフトでは、以前から様々な業種でマイクロソフトのソリューションが利用されていることを紹介してきました。

企業がシステム導入を検討する際、同業他社の導入事例を参考にすることが多く、「こんなシステムを導入している」、「こういう効果が出た」といった情報はユーザーにとって有用だからです。

AIにおいても積極的に導入企業を紹介してきました。AIに関するほとんどの記者会見に様々な企業が登壇し、導入効果や今後の期待などを紹介してきました。企業の顔ぶれは幅広く、教育関連事業を手がける企業や、ITソリューションを提供する企業、流通業、公共、医療機関など多彩な企業が並びます。

例えば、公共機関の発表会では「AIを使う/創る」を支援するために、マイクロソフトが政府情報システムのためのセキュリティ評価精度であるISMAPの取得状況などを紹介すると共に、経済産業省、東京都中野区の取り組みを紹介しました。政府や自治体でどのように生成AIに取り組んでいるのかを紹介することで、他の自治体にもアピールすることを狙ったものです。

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「行政機関でもAIの利用が拡大し、『使う』と『創る』が進む」
出典:2024年、日本マイクロソフト記者会見配布資料より

多彩な企業が記者会見に登壇するのは、AIを導入した企業が増えていることも要因となっているのではないでしょうか。最近はCopilotの導入企業数は明らかにしていませんが、「順調に導入企業数が増加していることは間違いない」と日本マイクロソフトはアピールします。AIを利用するためのプラットフォームの一つAzure AIはグローバルで5万社以上に導入され、こちらも導入企業は増加しているそうです。

導入企業が増えてきたことで、導入事例の内容も充実してきました。生成AIの提供が始まった当初は、記者会見に登壇した企業とはいえ、生成AIを評価するための導入が多かったのですが、最近では、その企業ならではのものへと進化しています。

例えば6月に開催された記者会見に登壇したイオン株式会社は、「商品説明自動生成AI」を利用していることを明らかにしています。この商品説明自動生成AIは、流通業には不可欠な商品説明を自動化したものです。イオン株式会社ではECサイト向けの商品情報をより詳しいものにするためにAI導入に踏み切りました。その結果、従業員の作業効率が向上し、セールスコピーの作成にかかっていた時間は約60%削減され、以前は締め切りを過ぎることも多かった作業終了時間が想定された期限内に間に合わせることができるようになったそうです。

また、AI導入後、消費者側からもプラス効果が出ているそうです。より詳しい商品説明を見ることを歓迎した人が多いようで、ページビューが増加するという効果が出てきました。

このように生成AI導入は、社内の従業員、社外の顧客からもプラス効果が出ていることが、裏付けとなる数値と共に示されたことで「AI導入は企業にとってプラスになる」ことが伝わります。こうした事例を紹介することで、生成AIを評価するだけでは終わらせず、実業に利用する企業を増やしていくことが日本マイクロソフトの狙いとなっています。

教師にも、学ぶ側にも効果を出した生成AI

教育分野での利用も増加しています。東進ハイスクールや四谷大塚などを運営する株式会社ナガセでは、GPT-4を活用し、英作文自動添削「英作文1000本ノック」をリリースしました。

英作文は受験、さらにはビジネスにおいても必須のスキルになってきますが、英作文を指導する教師にとっては指導に時間がかかるなど、負荷が高く、学習における教師への依存度が大きいことが問題となっています。そのため、学ぶ側にとっては十分に英作文を演習する機会を得ることができず、英作文の能力が身につかないことが課題となっていました。

そこで英作文1000本ノックでは、オンラインで学習させることで、いつでも、どこからでも利用できる環境を提供し、英作文を演習する機会を大幅に増加させました。

2024年2月から3月まで先行無償提供を実施したところ、1,310人の生徒が、延べ12万8,000回を超えて利用しました。2024年4月22日にスタートした正式開講後も、6月21日までに527人が申し込みを行い、累積演習研修数は19万5,000回を突破しました。

利用回数が増えることで、利用データも蓄積されることになります。株式会社ナガセでは継続的にデータの分析とAIの改善を進めています。「生成AIを活用した新しい学習法が確立されつつある」と成果をアピールしています。

このように教育現場と生成AIは相性が良く、マイクロソフトではKhan Academyと協同で教師向けAIサービス「Kanmigo for Teachers」を開発し、米国で無償提供しています。これは米国の事例で日本での提供予定などは明らかになっていませんが、AIを活用することで教育現場の作業負荷軽減、学ぶ側の学習機会が増えることは間違いないようです。

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米国では教師向けAIサービスを無償提供中
出典:2024年、日本マイクロソフト記者会見配布資料より

医療特化のAIモデルを発表

医療へのAI活用も、今後、大きく進展しそうな分野です。米Microsoft Researchと米医療機関大手のProvidenceは、米ワシントン大学にて医療向けAIモデル「GigaPath」(Pathology Foundation Model)の開発を発表しました。

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マルチモーダルをがん診断に応用
出典:2024年、日本マイクロソフト記者会見配布資料より

GigaPathは、全スライド画像(Whole-Slide Imaging,WSI)に特化したAIモデルです。スライドガラス上の腫瘍組織などの標本全体を高解像度のデジタル画像に変換します。

主な特徴は、デジタル病理画像を分析するAIモデルで、がんの種類や特徴をより正確に見分けることができることです。ベースとなっているのは、Providenceの提供する17万枚のWSIから得られた、3万人以上の患者の13億枚の病理画像タイルです。このタイルをモデルとして事前学習を行っています。実際のデータ(RWD)で大規模な事前学習を行った初めての全スライド画像基盤モデルとなっています。

従来のAIモデルは、デジタル病理画像のファイルサイズが非常に大きく、1つのファイルが数ギガバイトに及ぶこともありました。顕微鏡を使用して得ることができる画像は解像度が高く、1つのスライド(標本画像)が12万ピクセルに達することもあります。これだけ画像のファイルサイズが大きいと、計算負荷も高くなり、高精細で大きなサイズの病理画像をモデル化することは困難でした。

この問題を解決するために、GigaPathはWSIを256×256ピクセルのタイルという小さな画像ファイルに分けて処理しています。AIが一つ一つのタイルを見て特徴を理解し、タイルごとに特徴を捉えた後で、タイル間の関係性も考慮し、スライド全体の特徴を理解します。

評価結果については、人間の目では判別できない新しい関係性や洞察の発見など、有用なサービスであることが明らかになりました。さらに、他のAIと比較した結果、がん分類など26個の評価テストのうち25個で最高の性能を達成する結果が出たといいます。

このAIを使ったがん診断は特別なものではありますが、これ以外にも医療分野でAIを活用することで、作業効率が上がるよう、マイクロソフトでは「医療における生成AI活用シナリオ例」も公表しています。診断記録補助、患者サービス、診断、研究と幅広いシナリオがあり、数年後には医療現場ではAIが必須のものとなっていきそうです。

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医療現場にとって参考になるAI活用シナリオも公表
出典:2024年、日本マイクロソフト記者会見配布資料より

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

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※2024年9月18日時点の情報です。内容は変更となる場合があります。

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Windows 11 Pro+HP ビジネスPC

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