出会いから創業まで
1934年、創業者のビル・ヒューレットとデイブ・パッカードは、
スタンフォード大学電気工学科を卒業後、
2週間のキャンプをきっかけに親友になりました。
ビルはMITとスタンフォードの大学院で勉学を続け、
デイブはGEに就職しました。
その後、スタンフォード大学の恩師フレッド・ターマン教授の奨めにより、
二人は起業を決意しました。
1938年、デイブは、妻のルシールとカリフォルニア州パロアルト市
アディソン通り367番地のアパートの1階に引っ越しました。
ビルはその家の裏の小屋を借り、ビルとデイブはガレージで
538ドルの運転資金を元手にパートタイムで仕事を始めました。
オーディオ発振器を開発
音声装置をテストするために使用されるオーディオ発振器
(resistance-capacitance audio oscillator)「HP 200A」を開発。
最初の製品に「HP 200A」と命名したのは、この製品名によって、
我々が多くの経験を積んできたかのように見られると考えたからだと、
のちにデイブは語っています。
HPは、1939年にカリフォルニア州パロアルト市内の小さなガレージで創業しました。
後にそのガレージは、ITの最先端企業が集結している「シリコンバレー発祥の地」として、ハイテク業界のみならず、歴史家、技術者、その他多くの人々から認めらるようになり、1987年にカリフォルニア州の歴史的建造物第 976 番に指定され、カルフォルニア州によって記念碑が築かれました。
そのガレージを可能な限り創業当時に近い形で世に残そうと、2005年1月に復元プロジェクトが開始されました。そのプロジェクトでは、ガレージ(広さ3.7 m×5.5mでコンクリートの床にワークベンチ付)のほか、デイブと妻のルシールが暮らした家や、その裏にあるビルが独身時代に住んでいた小屋も復元が行なわれました。
その復元までの歩みをご紹介します。
記念碑と撮影する、ビルとデイブ
2004年12月17日
当時の建築の秘密が次第に明らかに。
2005年1月19日
保存・復元作業が本格的にスタート。
2月4日
当初の間取りや家の細部が徐々に明らかに。
2月8日
家の裏側で本格的な解体作業が始まる。
2月22日
作業が急ピッチで進みだし、意外な新事実が判明。
2月24日
隠れた階段など、家の中の新たな秘密がいくつか明らかに。
3月1日
月初めは雨、また雨・・・。
3月7日
ついに好天に恵まれ、屋外の作業が再開される。
3月10日
硬質レンガの煙突の解体や部材の一覧作成作業が始まる。
3月14日
雨が降る前に煙突の解体が急いで行われる。
3月25日
「持ち上げ」準備として、内部の支柱や骨組みの取り付けが続く。
4月1日
構造技術者、現場作業員、住宅運搬業者が一大計画に向け結集。
4月4日
何段階にもわたる工程を経て、家が地面から4フィート(1.2メートル)余りの高さにゆっくりと持ち上げられる。
4月12日
HPガレージの解体が始まる。
4月13日
ガレージが目隠し用のシートで覆われ、小屋の最終工事が進む。
4月18日
予定されていたガレージの屋根の作業が始まる。
4月22日
新しい基礎の型枠が設置される。
4月27日
基礎を強化するため、コンクリート補強用の鉄筋が入れられる。
5月12日
この日は大々的なコンクリートの流し込み作業が行われる。コンクリートが固まれば、家を下ろす準備は完了。
6月2日
基礎が完成し、家が下ろされる。
6月2日
家が下ろされる中、元の垂木が修復、再利用される。
6月14日
ガレージの新しい縁石にコンクリが打たれ、近くの古い納屋の解体によりガレージの修復にちょうど良い木材が確保される。
6月21日
シロアリ対策といったきわめて重要な処置を含め、床下から屋根に至るまで、すべての建物に、必要とされる処置が丁寧に施される。
6月30日
家の窓枠が復元され、裏口部分の骨組みが完了。ガレージの外壁版が再び取り付けられる。
7月7日
正面玄関の改築が始まる。玄関部分は1938年当時のようにオープンな構造に戻される。
7月14日
家に玄関の新しいひさしが取り付けられ、電気配線、配管が行われたほか、ガレージの風雨への耐性が強化される。
7月21日
この週は合板の屋根の下地が作られ、雨どいが交換されるなど、作業が着実に進行する。
7月28日
小屋とガレージにペーパールーフが付けられ、暖炉の基礎が作られ、配管や暖房設備などが設置される。
8月2日
この週は完成間近のガレージや小屋の細かい作業が行われる。
8月9日
暖炉や屋根窓など、家の各所の作業が行われる。
8月12日
家の作業が進むとともに、歴史的建造物の記念プレートを新しく、より見やすくするための土台作りが行われる。
8月16日
小屋に杉板の屋根材が取り付けられ、家の2階に窓が設置され、特製の垂木の補強材が組まれるなど、この週も改装が着々と進む。
8月23日
補強された煙突の土台や暖炉が設置され、屋根の上まで鉄柱が伸びる。
8月23日
玄関の階段が作られ、内部の階段や窓、ドアが取り付けられる。小屋はほぼ完成し、HPガレージの屋根が新しいものになる。
8月30日
家に新しい雨どいや屋根板が取り付けられ、ドアが追加される。裏口の階段の型枠が作られ、装飾調のデザインが復活。
9月6日
家の作業が集中的に行われる。玄関の基礎にコンクリが打たれ、トリムペイントの下塗りが行われる。硬質レンガで煙突が作られ、チームが自らの名を刻む。
9月13日
裏口や車椅子用の昇降装置の作業が行われる。煙突が完成に近づき、家の部屋に断熱材やシートロックが取り付けられる。
9月20日
残りわずか1カ月となり、塗装、組み立て、シートロックの設置、目張り、窓枠取り付けといった作業が内外で本格化。
9月27日
ペンキが塗られ、キャビネットや備品を設置。幅木や絵をかけるための横木が取り付けられ、新しいパティオにコンクリが打たれる。
10月3日
スタッフたちはガレージ内外、その他あらゆる部分で最終段階の作業に取り組む。
10月11日
家の最後の仕上げが行われる。環境に配慮した私道が作られ、ビルとデイブの作業台の再現計画が始まる。
10月18日
通路、歴史的建造物の看板、フェンス部分などの総仕上げが行われる。
10月25日
造園作業が進み、家具が設置される。ガレージの塗装が完了し、ビルとデイブの作業台が再現される。
10月31日
保存、復元作業が正式に終了。