AMD Ryzen™ AI Max PROプロセッサー搭載 HPワークステーション最新モデルが一挙登場となる「HPワークステーション次世代新製品特別セミナー2025」を開催
2025-06-03


2025年4月、東京・大阪・名古屋の三都市のイベントホールで「HPワークステーション次世代新製品特別セミナー2025」が開催された。このセミナーは日本HPが販売店向けにワークステーション関連の最新情報を共有する場として継続的に開催されている。今回は新製品群の中でも特に注目度が高いAMDプロセッサー搭載モデルを中心にしたセッションで構成されており、アーキテクチャの特長はもちろん、生成AIでの活用事例まで、最新の業界トレンドを交えての発表となった。それでは早速その中身をダイジェストで紹介したいと思う。
日本AMDによる基調講演
「AIのパワーをAMDが解き放つ!最高峰のプロセッサーをHPワークステーションに」
冒頭の基調講演では、ゲストスピーカーとして日本AMDの秋葉 浩氏を招聘し、AMD社の最新テクノロジーが紹介された。
データセンターからクライアント製品、さらにはゲーム機など幅広い業種に採用が進んでいるAMD。「AMDは時代の変遷と共に様々な業種のトレンドに合ったアーキテクチャに進化を続けています。最新のワークステーション向け『AMD Ryzen™ AI Max PROプロセッサー・シリーズ』 は前世代と比較して大幅な性能の向上と、これからの時代に必須のAIパフォーマンスを提供するプロセッサーです」と秋葉氏は2025年のワークステーション市場に最適な製品の投入を始めたことを発表した。
AMD Ryzen™ AI Max PROシリーズは、AI向けの演算に特化したNPUと、ディスクリートグラフィックスに匹敵するGPUを搭載した統合型のプロセッサーで、物理コアが最大で16コア/32スレッド、NPUにおいては最大で50TOPS以上のパフォーマンスを提供するモデルだ。また統合型メモリを搭載するのも大きな特徴で、最大128GBのメモリをシステム用とビデオメモリ用に共有できる。ビデオメモリとしては最大96GBまで設定できるため、従来のハイエンドGPUを凌駕するスペックで、デザインや解析、高度なAI処理においても十分以上の性能を提供することができる。
「AMD Ryzen™ AI Max PROシリーズは、380、385、390、395と4つのモデルがありますが、395についてはHPの高い技術力があってこそ、他社に先行して、いち早く搭載して最高のパフォーマンスを引き出していただけたと考えています」と秋葉氏。優れたパフォーマンスを十分に引き出すモデルの開発はもちろん、HP独自のセキュリティの中でAMDプロセッサーが持つ暗号化技術が活かせるといった部分に至るまで、両社のテクノロジーを補完し合うことで、最先端のワークステーションにふさわしいスペックを実現しているのが特長といえる。
なおAMD Ryzen™ AI Max PROシリーズを搭載するのは「HP ZBook Ultra G1a」および小型筐体を採用した「HP Z2 Mini G1a」となる。どちらもAI時代にふさわしいパフォーマンスを提供できる最新モデルだ。 最後に秋葉氏は「ぜひ幅広いお客様にご提案いただければと思います」と締めくくり、壇上を後にした。
AMD® Ryzen™ 搭載HP Z Workstationのご紹介
続いて、HPから最新のAMDプロセッサー搭載モデルについて、もう少し踏み込んだ紹介がなされた。プレゼンターはHPの柄津氏だ。「まずはデスクトップのポートフォリオからは2製品あります。先ほどもご紹介いただきましたHP Z2 Mini G1aと、AMD Ryzen™ Threadripper™ PROを採用するHP Z6 G5 Aになります」(柄津氏)。
HP Z2 Mini G1aは、これまでのMini筐体と比較して大きく違うモデルとなる。これまでのMiniはACアダプターが必須となっていたが、HP Z2 Mini G1aでは内蔵電源を採用した製品となる。「これによってラックマウントでも卓上でも様々なシーンによりマッチし、コンパクトに使っていただける製品となりました」と柄津氏は語る。
続いてHP Z6 G5 A Workstationの紹介をする柄津氏。「HP Z6 G5 A Workstationは先ほども触れたように、サーバクラスのコンピューターに搭載されるAMD Ryzen™ Threadripper™ PROを搭載します。最大で96コアの物理コアが提供でき、ハイエンドのディスクリートグラフィックスを最大で3基内蔵することが可能です」(柄津氏)。このモデルについては後ほど事例が出てくるのでそちらも併せて確認していただきたい。
続いてモバイルモデルの紹介をする柄津氏。「モバイルワークステーションからは、HP ZBook 8 G1aと、先ほどもご紹介いただいたHP ZBook Ultra G1aの2製品を紹介します」と同氏。
HP ZBook Ultra G1aに関しては、最新のAMD Ryzen™ AI Max PROシリーズを搭載し、14インチの小型・軽量モデルでありながら、16コア/32スレッドのCPU、大容量128GBの統合型メモリ、そしてミッドレンジクラスのグラフィック性能を発揮する、まさにゲームチェンジャー的な製品として紹介された。
そしてHP ZBook 8 G1aが搭載するのはAMD Ryzen™ AI 9 HX PROプロセッサーをはじめとした3モデルとなる。基本的に型番の数値が上がるほど高性能ということになるが、こちらも最上位の「375」が選択できるのはHPのみとなっている。さらにこのモデルは薄型の14インチモデルでありながら、日本の企業ユーザーから強い要望をいただいていたオンボードのLANポート、いわゆるRJ45のポートが用意されているのも大きな特徴だ。
「ワークステーションらしく、プロフェッショナル用途に向いたラインアップとなっています。様々なキャンペーンなども絡めてご提案していただければと思います」と柄津氏は最後に語り、セッションを終えた。
AMD最新テクノロジーで進化したBusiness PC製品とシンクライアント製品のご紹介
次に壇上に上がったのはHP浦野氏だ。「これまでAIサービスはクラウドから提供されることがほとんどでしたが、セキュリティ的な観点から今後はローカル環境で稼働するケースも増えてきます。そんな環境に最適な最新のHPビジネスノートPCをご紹介します」と語り、最新ラインアップについて説明を始めた。
現行モデルのG10 がG11へと順次移行し、そのほとんどがNPUを持つプロセッサーを搭載したAI PCとなるのが今後のポートフォリオとなる。AMDモデルに関してはAI処理に最適な55TOPSのハイパフォーマンスを実現した「HP EliteBook X G1a 14 AI PC」、プレミアムモデルの「HP EliteBook 835 G11 Notebook PC」などがラインアップ。ローカルAI活用の際に品質の高い操作環境を提供する。
また、HPはノートPCなどのデバイスだけでなく、ローカル環境で動作するAIソフトウェアも提供中だ。「AIがトラブルシュートを提供するだけでなく、各種設定の変更を自然言語によって対応することができる『HP AI Companion』や、内蔵するWebカメラにもAIを搭載し、画面制御を自動で行う機能なども搭載しています」と浦野氏は説明する。
デスクトップPCにもAI処理に最適なモデルが続々と登場している。「『HP EliteDesk 8 Mini G1a』はDesktop Next gen AI PCという位置づけで、50TOPSのNPUなどを搭載しながらミニファクターの筐体を採用したモデルです」と浦野氏は説明。そのほか、タワータイプのHP ProDesk 2 Tower G1aなどもラインアップするので用途に応じてデザインが選べるのも魅力だ。
「HPではこうした製品群に加えてローカルAI、クラウドAIの両方を扱うことが主流となるハイブリッドAI時代へ向けて、5年間データ通信が無料で制限なしに使える『HP eSIM Connect』と、電源がオフの状態にあるクライアントPCをリモート環境から探す、ロックする、データ消去をするといった命令を実行できるMDM『HP Protect and Trace with Wolf Connect』を提供しています。どんな場所にあっても安心してAI PCを活用できるソリューションです」と浦野氏は語る。
また、シンクライアントモデルにもAMDプロセッサー搭載モデルがあり、すでに好評を得ている製品も多くある。「HP Elite mt645 G8 Mobile Thin Client」はAMD Ryzen™ 3 7000プロセッサーを搭載したモデルで、ZOOMやTeamsなどが快適に動作するすぐれたパフォーマンスと高機能カメラ・オーディオなど豊富なインターフェイスで人気の製品となっている。HPが持つ豊富なポートフォリオの中核をなすAMD製品群についての説明を終え、浦野氏は壇上を後にした。
HP Anyware , Wolf Connect最新情報
次のセッションはHP高田氏のプレゼンテーションによるHPソリューションの紹介となる。始めにリモートアクセスソリューション「HP Anyware」について解説する高田氏。「様々な方式のリモートデスクトップソリューションがありますが、HP Anywareを簡単にご説明すると高品質な画面転送ソリューションとなります。データは一切クライアントPC側には残らないのでセキュリティ性が非常に高いのが特長です」と同氏は話し始める。
例えばWindows標準のリモートデスクトップでワークステーションをつなげた場合、画面の色味やマウスの追従性などに疑問が出てくるケースも多い。しかし、HP Anywareは画面の色味も非常に近く、レスポンスが高いのが特長となる。「例えば画質に厳しいアニメーション制作会社様や、ゲーム開発業者様、CAD/CAMでご利用の建築業者様にもご利用いただける品質のソリューションとなっています」と高田氏は説明する。
同氏は沖縄県の拠点で点群データによる解析をおこなっているワークステーションに対し、長崎県の別拠点からアクセスして作業するという事例を紹介。「長崎県からは普通のご自宅で、端末も通常のビジネスPCです。その環境でも軽快にワークステーションを操作できるのは企業にとっても有益です」と高田氏。セキュリティ面を気にする医療機関においても活用されており、訪問医療を行う出先から医院のワークステーションへアクセスし、レントゲンデータを確認するといった使い方をしている例もあるという。
「HP AnywareはVPNなしでも弊社のクラウドサービスに接続することで安全にワークステーションと連携できるサービスも提供を予定しています」と解説した高田氏。他にも柔軟な接続方法があるので、リモートソリューションに興味がある方はぜひお問い合わせいただきたい。
高田氏はそのまま、先ほど浦野氏も少し触れた「HP Protect and Trace with Wolf Connect」についてその概要とテクノロジーの詳細も解説。リモートソリューションとセキュリティを両立するうえでもMDMとしてのHP Protect and Trace with Wolf Connectの重要性を強調してセッションを終えた。
AMD Threadripper™ Pro搭載ワークステーションで実施した最新の生成AI PoC事例のご紹介
続いてのセッションにはHP勝谷(しょうや)氏が登場。AMD Threadripper™ Pro搭載ワークステーション「HP Z6 G5 A Workstation」で実施したローカル生成AI活用のPoC事例を紹介した。
ビジネスにおけるAI活用が普及期に入っているのではないかと指摘する勝谷氏。「生成AIの企業活用は70BクラスのSLMモデルを利用します。3BぐらいまのでモデルならいわゆるAI PCでも使えることが分かっており、モデルの棲み分けが進んでいると感じています」と同氏は説明する。
HPでは、ローカルSLMのプラットフォームとしてHP Z6 G5 A Workstationを活用したPoCを続けており、企業や組織の内部のみで完結できるAIサービスの構築による成果を確認している。今回はその中の一部を発表することになった。
最初に紹介したのは航空自衛隊横田基地でのPoC事例で、ここではRAG(Retrieval Augmented Generation)を使ったアプローチを実施している。「組織的に機密性の高い情報が多く、その大半がPDFで保存されており、隊員は分からないところが出てくると該当する文章を探し出す必要があるのです。それに対して非常に時間がかかっていたため、生成AIに自然言語で問いかけながら答えを見つけるというPoCを実施しました」と概要を説明。自衛隊独特の文法などもあり苦労する点も多かったが、結果としてかなりの業務効率化が確認できたというPoC事例となる。
続いては医療機関での実例で、ここではRAGによるガイドライン検索と看護記録の要約が目的となる。「過去の事例を調べる際、新人看護師などが検索すると目的の文章にたどり着けないケースが発生していました。HPワークステーションの中でRAGシステムを構築した結果、業務効率化が確認できたというPoC事例になりました」と勝谷氏。このPoCでは3Bと7Bの二つのモデルを使ってみたが、結果として3Bの方がレスポンスで優位性があったという面白い結果が出たのだという。「RAGの性能がよいと、上位モデルの性能と逆転するケースがあるというレアな結果が分かったPoCでした」と勝谷氏は感想を述べた。
最後のPoC事例は不動産業者向けのサービスで、不動産広告の内容が規定をクリアしているかAIで確認するというシステムになる。「ふたつの言語モデルを組み合わせ、AIエージェントのような仕組みを作り、書かれている文章や表現が、法律や規制にきちんと則っているかを確認することができるようにしてあります。これを手作業でやるのは非常に負担が大きく、ミスも起こりがちとなるため業務効率化と人手不足を解消するシステムとして期待されていました」と勝谷氏。実際に試したところ、9割の精度で違反を検知することができ、PoCとしては非常に満足のいく結果が得られたのだという。
「様々なPoCを通じてわかったのは、ローカルSLMの可能性は非常に高く、企業の需要も確実にあるということや、学習をやらせる段階では確かにGPUに依存しますが、その手前や後の工程ではCPUパワーも必要だったということもわかりました」と語る勝谷氏。AMD Threadripper™ Proプロセッサーによる圧倒的な演算能力はここでも活かされた形となっている。
AMD Threadripper™ Pro搭載ワークステーションでの最新事例と告知
次のセッションの担当はHP若宮氏。同氏は勝谷氏と同じく、HP Z6 G5 A Workstationの導入事例を紹介した。始めに紹介したのは能登半島地震における仮設住宅配置計画の効率化についての事例だ。「熊本大学の大西教授によると、熊本大震災の際に仮設住宅の設営に非常に時間が掛かったことをきっかけに、敷地にプレハブを建設する際の効率的な配置をさせるプログラムを開発しました。BIMソフトウェアで実現できるのですが、以前の環境と比較して、HP Z6 G5 A Workstationは圧倒的なスピードで計算することができました」と若宮氏は語る。
また、解析などに使われるAbaqusによるベンチマーク結果でも優位性が確認できたとし、「パフォーマンスはもちろん、コストバリューにおいても優位性があるのがHP Z6 G5 A Workstationといえます」と若宮氏は自信をのぞかせる。他にも様々ベンチマークが公表され、いずれの場合もAMDプロセッサーは優勢であることを紹介しセッションを終了した。
まとめ
以上のセッションを持って、「HPワークステーション次世代新製品特別セミナー2025」は終幕となった。生成AIへチャレンジを始める企業が増える中、会場を満杯にした来場者の多くが真剣に各セッションに聞き入っており、HPワークステーションへの期待が高まっていることが伺えるイベントだった。特にコストメリットの高いAMDプロセッサー搭載モデルは、今後の生成AI活用はもちろん、ハイエンドコンピューティング全般をけん引していくことが予想される。実際に導入を始める企業や組織も出始めており、本日のイベントにもあったようにPoCも活発に実施されている。
ブースでの注目は?
イベントが開催されたホール後方には本日発表された主製品が並ぶブースも用意されていた。「本日のイベントでも発表されていたHP ZBook 8 G1a Mobile Workstationや、HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstationはハイエンドモデルとしてここに並ばせています。そのほか、売れ筋のビジネスPCも持ってきていますので、クライアントPCとの比較や画面サイズのご確認もしていただけます」と語るのはブースの案内をしてくれたHP石川氏。その他、デスクトップモデルも展示されており、中でもHP Z2 Mini G1aのコーナーでは、HP Anywareのデモンストレーションも用意されていた。
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