7種類の光学解析シミュレーションの処理時間を検証!
最新GPU&HPの高性能ワークステーションで自動車製造の現場はどう変わる?
2026-05-19
自動車業界で、外装・内装の視認性などを評価するための光学解析シミュレーションの利用が広がっている。ここ数年で高性能ワークステーションの低価格化が進んだことが、それに拍車をかけている格好だ。今回は、業界で広く採用されている光学解析ツール「Ansys Speos」と、エヌビディア製GPUを搭載したHPのワークステーションを用いてその効果を検証した。最適な環境の構築に当たり参考にしてもらいたい。
※本掲載内容は2026年4月28日 『日経クロステック』 に掲載された記事広告を転載したものです
アンシス・ジャパン株式会社
技術部 光学 シニアスタッフエンジニア
川口 剛史氏
株式会社 日本HP
エンタープライズ第一営業統括
ソリューション営業本部
ワークステーション・ビジネス開発部
市場開発担当部長
光学解析シミュレーションの領域で広く使われる「Ansys Speos」
近年、自動車業界では光学解析技術によるコンピューター・シミュレーションの利用が一般的になっている。新車やパーツを開発する際、外装・内装の視認性や見栄えなどをデジタル空間上でテスト・評価するのはその一例だ。
以前は部品メーカーと手書きの図面をやり取りし、モックアップを試作して評価を行っていたが、実車を作るには多くのコストが必要な上、再テストや修正にも時間がかかる。そこで、図面をCADで作成し、CADデータに表面の材料特性や光源・受光面位置などの情報を加えてシミュレーションを行う手法が広く普及した。「試作レス」でテスト・評価を行うことで、かかる期間とコストを大きく圧縮できる。検証回数を増やして設計・開発の精度向上につなげることも容易になる。
この自動車業界における光学解析シミュレーションの領域で大きなシェアを有しているのが、米Synopsys, Inc.の 「Ansys Speos(アンシス・スペオス)」である。約30年前のリリース以来、日本や欧州、米国、中国などの多くの主要自動車メーカー(OEM)で導入されている光学解析ツールだ。
「OEMやサプライチェーン各社とのやり取りで、Ansys Speosで作成したデータを要求されることが多くあります。そのため、業界内のデファクトスタンダード的な位置付けで、広くご利用いただいている状況です」とAnsys Speosの国内販売・サポートを担うアンシス・ジャパンの土屋 幸治氏は説明する。
第三者機関が認める高精度、マルチフィジックスにも対応
自動車製造現場の例を基に、Ansys Speosの特徴を紹介しよう。
典型的なのは、車内外のミラーや液晶モニターへの映り込みの評価だ。ドアミラーに車内のエアコン吹き出し口が映り込んだり、運転席のメーターパネルに液晶モニターの画面が映り込んだりすると、視認性が低下して危険になる。「評価は様々な条件下で行う必要がありますが、早朝や夕方の光の影響を見たい場合、従来は1日がかりでテストを行う必要がありました。Ansys Speosで検証すれば特定の時間帯の画像データを作成できるため、待ち時間を削減できます」と土屋氏は話す。
シミュレーションの精度も第三者機関のお墨付きだ。例えば、国際照明委員会(CIE)が発行した「照明コンピュータプログラムの精度を評価するためのテストケース」(CIE171:2006認定)を取得済み。これはあくまで特定環境下での精度を評価したものだが、ユーザーからのフィードバックを基に、さらなる精度向上に向けた改善を続けているという。
「さらにAnsys Speosは流体、構造、電磁場、熱伝導など、異なる複数の物理現象が相互に作用する状態の解析や予測をシミュレーションするマルチフィジックスにも対応しています。様々な用途のデータを一元的に扱うことが可能です」と土屋氏は続ける。
HPの高性能ワークステーションでベンチマークを実施
一方、開発期間や工数の最適化が求められる自動車製造の現場では、デジタルシミュレーションの実施に当たっても、より一層高速かつ低コストに行えることが要求されている。そこでアンシス・ジャパンは、最新のユーザー環境でAnsys Speosがどのくらいの性能を発揮できるのか、日本HPと共にベンチマークテストを実施した。
「現在は、大掛かりなサーバー環境を構築しなくても、デスクトップ型のワークステーションで高負荷な処理を実施できる環境が整っています。特にここ10年ほどのグラフィック性能の向上は目覚ましく、1~2年に一度、新製品が出るたびに性能が1.5~2倍になっている印象です。グラフィック性能によるところが大きい光学解析シミュレーションも、より高速・省コストに実施できるようになりました」と日本HPの川口 剛史氏は語る。モックアップを作っていた時代と比べると、4倍程度の頻度でシミュレーションを実施できるようになっているという。
シミュレーションをはじめとする高負荷な業務のニーズに応えるため、日本HPが提供しているワークステーションが「Zシリーズ」だ(図1)。今回のベンチマークではデスクトップ型の以下2機種を使用した。
■ HP Z8 Fury G5 Workstation(以下、Z8)
インテルのワークステーション向けCPU「Xeon」W7-3575WXとエヌビディアのGPU「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Edition」(以下、RTX6000 Blackwell)を搭載したシリーズ最上位モデル。AI処理能力が3511TOPSのGPUを最大4枚、GPUメモリーは最大384GBを実装できる。
「RTX6000 Blackwellを4枚搭載すれば、視点を1度ずつずらした大量の検証用画像を短時間で出力するといった使い方も十分可能です。GPU1枚で使い始めて効果を実感したのち、複数枚に増強するユーザーも増えています」と川口氏は紹介する。
■ HP Z6 G5 A Workstation(以下、Z6)
AMDのCPU「Ryzen Threadripper PRO」(9975WX)を搭載したハイグレードモデル。RTX6000 Blackwellを最大2枚搭載できる。Z8とほぼ同様の用途で使えるが、ハードウエアコストを抑制したい場合に好適だ。
エヌビディアのRTX6000 BlackwellをZ8は4枚、Z6は2枚実装できる。筐体内に設置した20個の温度センサーを使う冷却機構で、GPUの排熱問題にも対処している
「また、光学解析シミュレーションのようなGPUをフル稼働する処理で重要なのが排熱です。Z8とZ6では20個の温度センサーを用いて冷却ファンの回転数を個別に制御し、高熱の箇所だけを効率的に冷やす機構を採用しています。これにより、GPUのパフォーマンス劣化を最小限に留めることが可能です」と川口氏。冷却ファンの回転数を最適化することで、静音性も維持しているという。
給電の仕組みも特徴的だ。例えば、最大4枚のGPUを搭載可能なZ8は2250Wの電力を必要とする。この場合、一般的なワークステーションでは200V電源が必須になることが多いが、それだと日本のオフィスでは設置場所がサーバールームなどに限られてしまうだろう。Z8は、通常の100V電源が2口あれば設置できる※。環境を選ばず設置できるのは重要なメリットといえる。
※アグリゲートモード
GPUリソースを増やした分だけ処理性能を高められる
ベンチマークで行ったシミュレーションは7種類(図2)。それぞれ負荷が異なる処理を、主にZ6を用いて実施した(Z8はGPU4枚を使用するケースのみで使用)。
ボトル(左上)、夜間、霧環境下での照明環境(右上)、リアランプ(左下)、トンネル出口付近(右下)という、それぞれ処理負荷が異なる7種類の光学シミュレーションによって、Ansys Speos、エヌビディア製GPU、Z8/Z6の性能を検証した
結果が図3だ。シンプルなボトルの反射を見る低負荷なシミュレーションでは、エヌビディアが2019年に発売したGPU「NVIDIA Quadro RTX 5000」を1枚搭載した場合(基準値)と比べて、RTX6000 Blackwellを1枚搭載した場合は5倍、4枚搭載した場合は30倍以上の処理速度になっている。リアランプの見え方を見る高負荷なシミュレーションでも、RTX6000 Blackwellを4枚搭載すると20倍程度高速化されることが分かった。
図2の7種類のシミュレーションについて、NVIDIA Quadro RTX 5000を1枚使った場合の処理速度を100%としてほかのGPUの速度を示した。ハードウエアは、GPU4枚搭載(右端)はZ8、それ以外はZ6を使用。GPU数が増えるほど処理性能が上がっているが、ここまではっきりGPU数に連動して性能が上がるアプリケーションは多くないという
「Ansys Speosは、GPUリソースを増やした分だけ処理性能をスケールアップできます。もちろん、GPUは安い買い物ではありませんが、追加投資に見合う高速化の効果を得られることが今回の結果から分かると思います」(土屋氏)。現状、旧世代のGPUを使ってシミュレーション環境を構築している企業も多いだろう。目標とするシミュレーションの実施頻度、設置場所や予算などの条件と照らして環境を見直すことで、より多くの価値を享受できるはずだ。
なおアンシス・ジャパンは、2026年5月と6月に開催される「人とくるまのテクノロジー展 2026」(パシフィコ横浜:5/27~29、Aichi Sky Expo:6/17~19)にAnsys Speosを出展する。ブースには日本HPも協賛し、ワークステーションの実機環境を体験できるようにする予定だ。より詳しい内容を知りたい方は、ぜひ参加してみることをお勧めする。
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