【導入事例・東海大学】解析・シミュレーションの効率化を実現し、より精度の高い開発環境の構築にHPワークステーションが貢献

東海大学

2026-07-13

集合写真
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日本の未来を左右する大きな取り組みとして注目されている分野に宇宙開発がある。すでに国産ロケットでは世界的な評価を得ているが、今後はさらに高度なニーズに応えられるようにしていく必要がある。大きな期待が掛かったこの取り組みを支えていく人材の輩出先として東海大学工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻が注目されている。そんな彼らの活動をテクノロジーで支えているのがHPのワークステーションだ。どのように活用されているのか伺ってきたので紹介しよう。

取材:中山 一弘

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目的

  • 高度なコンピューティング環境の構築

アプローチ

  • HPワークステーションの導入

システムの効果

  • 従来と比較し、約1/3の時間的圧縮を確認
  • 複数の同時解析も可能
  • より大規模なシミュレーションの実現

運用上の効果

  • 超小型筐体を活かした柔軟な運用性
  • トライアンドエラーの回数増加
  • 部員のモチベーション向上

東海大学工学部は、複数の技術を組み合わせて活用できる人材を求める現代社会に必要な学びを得ることを目的に、7学科、2専攻を横断的に選ぶことができる学部だ。社会的な課題に対し、豊富なスキルを得た科学技術者の視点で取り組み、それらを解決。持続可能な社会の実現に寄与する人材を育成している。多くの学科・専攻のひとつ、「航空宇宙学科 航空宇宙学専攻」では、今後人類が到達すべき宇宙開発への知識を得るため、多くの学生が学んでいる。

中でも、広く注目を集めているプロジェクトに、「東海大学 学生ロケットプロジェクト(以下、TSRP)」がある。このプロジェクトは1995年4月に設立されたもので、学生のために手作りかつ安価なロケット開発の場を提供し、机上の勉学では学べない宇宙理工学の知識・技術を取得した未来の宇宙技術者を養成している。

「現在、宇宙業界は非常に盛り上がっていますが、ここでもエンジニア不足は深刻な問題になっています。将来、学生たちがそこで活躍してくれるのはもちろん嬉しいのですが、それだけではなくTSRPで経験を積むことはどういう進路を選んだとしても社会で役立つ能力になると思っています。エンジニアとしてだけではなく、チームマネジメントやコミュニケーション能力など、いろいろな才能を磨いて各業界で活躍してくれると期待しています」と語るのはプロジェクトのアドバイザーを務める、東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻 特任講師 川端 洋 博士(工学)だ(以降、川端氏)。

「直近でTSRPが行ったロケットの打ち上げは、2026年3月に北海道の大樹町で実施されました。小型のH-63号機の打ち上げでしたが、成功裏に終わることができ、H-63号機を含めた当団体のロケット打上げ成功数は累計33回となりました」と近況を語るのはTSRPの団体代表を務める安江 航大 氏(以降、安江氏)だ。

過去にはアラスカ大学や富山県立大学などと共同開発に取り組んだ打ち上げがあり、TSRPは磁力計というセンサー部分を担当。大型の固体燃料エンジンを搭載したロケットで、高度98kmという記録も残している。TSRPはこうした活動を通じ、机上だけでは学ぶことができない知識や技術を得ているのだ。

TSRPには燃焼班・構造機構班・計測制御班・統合解析班の4つの班があり、それぞれの班でコンピューターを活用してデータ管理や解析が進められる。

「構造機構班ではロケットを回収するためのパラシュートや、それを展開するための分離機構などを製作しています。次に燃焼班ですが、ロケットの肝となるモーターの開発や燃料を流すためのバルブシステムの開発などを行っています。計測制御班は実際にロケットを打ち上げたときの姿勢や、着地地点をGPSデータなどから割り出していきます。統合解析班は、打ち上げたロケットが設定された保安区域内にきちんと落下するかなどの飛翔シミュレーションや、ロケットの構造解析や流体解析などについてコンピューターを使って計算していくことが主な役割になります」と説明する安江氏。どの班も連携しながらバランス良く進めていかないと、ロケットの製作や打ち上げはうまくいかず、チームワークと共にコンピューターの能力も大切になってくるのだという。

「飛翔シミュレーションについては、自作のソフトウェアを使っていますが、構造解析と流体解析については、空力解析に「Ansys Fluent 2025 R2」、燃焼室内のCFD解析に「Ansys CFX 2025 R2」を用いて計算を行っています。ロケットの設計に関しては、CADソフトの「Autodesk Inventor」や「Autodesk Fusion」なども利用します」と安江氏。いずれにしても高いパフォーマンスが必要とされるソフトウェアを多く扱っていることがわかる。

「企業や専門機関でも使われるいわゆる定番といわれる専用ソフトウェアを自在に使いこなし、解析業務などができる人材というのも多方面から求められています。出てきた結果が正しいかどうかを、工学の知識を持って確かめられるエンジニアというのは貴重な存在なので、その能力を培ってもらえるのが嬉しいと私は感じています」と語るのは川端氏だ。

そんなTSRPが今回導入したのは「HP Z2 Mini G1a Workstation」だ。「ミニPCと同等の超小型筐体に、CPU+GPU+NPUがバランス良く、ひとつのパッケージに収められたAMD Ryzen™ AI Max 300 シリーズ プロセッサ + PROテクノロジを搭載した製品で、このサイズ感でありながらデスクトップ型ワークステーションと同等のパフォーマンスを発揮することができるモデルとなっています」とHPの川口氏は語る。

「このプロセッサはユニファイド・メモリ・アーキテクチャを使うことで、最大128GB搭載可能なメインメモリをGPUのビデオメモリとして96GBまで割り当てることができるため、大きなサイズのAIモデルや、科学技術計算を始めとした大型のアプリケーションを扱うことも得意です」と解説するAMDの城田氏。

「ハイエンドモデルの『AMD Ryzen™ AI Max+ PRO 395 プロセッサ』は、最大16コア/32スレッドのCPU、最大40CUのGPU、最大50 NPU TOPSを誇るNPUをそれぞれ持っており、HPだけが法人向けとして製品化しています。科学技術計算・解析においてはCPUのコア数がパフォーマンスに大きく影響する場合が多く、TSRPにとって最適なプロセッサといえます」とAMDの柴田氏も言葉を続ける。

「使い始めて間もないですが、解析時間がとても短くなったことに驚きました。例えばロケット外部の空力解析では、16コアのCPUを持つ比較的ハイスペックなデスクトップパソコンで計算していました。その時の解析では約10時間かかっていましたが、同じ作業をHP Z2 Mini G1aでやってみたところ、約3時間で解析を完了する結果になりました」と語る安江氏。他の解析作業などでも、概ね1/3の時間短縮を実現しているのだという。

「私は飛翔シミュレーションを担当しているのですが、これまで使っていたノートパソコンでは複数のパターンを同時に実行するということはできませんでした。しかし、HPのワークステーションでは10パターン同時に解析可能になって、しかもそのときのメモリ消費量は半分以下ということで、安定した余裕のある解析ができるようになりました」と語るのはTSRPの栗田氏だ。そのほか、500万メッシュ規模のシミュレーションでもかなりの時間が必要だったものが、HP Z2 Mini G1aであれば1200万メッシュのシミュレーションが十数分で終わるなど圧倒的な違いがあったのだという。

「HP Z2 Mini G1aだと、ほとんどのソフトウェアで処理時間の短縮が認められました。その結果、何度もトライアンドエラーを重ねていくことができるので、計算精度の向上はもちろん、モチベーションの維持にもつながっています」と安江氏は導入の手ごたえを語る。

2台のHP Z2 Mini G1aを導入したTSRPでは、1台を拠点である川端研究室に設置し、もう1台をTSRPが必要に応じた場所で使用している。「我々の場合は運用リハーサルなどで外に持ち出して利用することもあります。そういう場合も、このサイズであれば持ち運びにも困らず便利だと実感しました。また、打ち上げの様子をライブ配信する際などにも利用しましたが、安定した動作なので助かりました。TSRPでは広報活動にも力を入れているので、そうした面でも役立っています」と川端氏は語る。ロケットの打ち上げで北海道の大樹町へ持ち出したこともあったそうだが、外気温0度の環境でもまったく問題なく、ソフトウェアの処理や配信にも影響なく、スムーズに運用できたのだという。

北海道大樹町でおこなわれたH63ロケットの打ち上げの様子。HP Z2 Mini G1a Workstationは厳しい環境の中、きちんと役割をこなした(画像提供:TSRP)
北海道大樹町でおこなわれたH63ロケットの打ち上げの様子。HP Z2 Mini G1a Workstationは厳しい環境の中、きちんと役割をこなした(画像提供:TSRP)
北海道大樹町でおこなわれたH63ロケットの打ち上げの様子。HP Z2 Mini G1a Workstationは厳しい環境の中、きちんと役割をこなした(画像提供:TSRP)
北海道大樹町でおこなわれたH63ロケットの打ち上げの様子。HP Z2 Mini G1a Workstationは厳しい環境の中、きちんと役割をこなした(画像提供:TSRP)
北海道大樹町でおこなわれたH63ロケットの打ち上げの様子。HP Z2 Mini G1a Workstationは厳しい環境の中、きちんと役割をこなした(画像提供:TSRP)

「私の担当となる空力解析のなかではロケットの軸力係数をさらに高精度で計算したいと考えています。HP Z2 Mini G1aであれば、期待に応えてくれると思います」と今後への意気込みを語る栗田氏。

「次の打ち上げでは最高到達高度の2403mを更新できるようなロケットを開発したいと考えています。それには解析作業の重要性も増してきますし、本番へ向けてのシミュレーションも大切になります。今後もHP Z2 Mini G1aを積極的に活用していきたいと考えています」と安江氏も言葉を続ける。

「研究室としてもTSRPとしても、やはり解析の重要性というのが浸透してきています。利用する人も増えてきているので、ワークステーションの拡充も考えたいところです。TSRPも人数が増えているのですが、コンピューターリソースをうまく振り分け、全員にとって快適な環境を作っていきたいと思います。HP様には最新の情報を共有していただき、適切な時期に必要な台数をそろえられるよう、アドバイスをいただきたいと考えています」と最後に川端氏は語ってくれた。HPは今後も東海大学 工学部とTSRPのサポートを続けてゆく。

研究室でのHP Z2 Mini G1a Workstationの様子。解析やシミュレーション、CADなど多彩なソフトウェアを使いこなしている
研究室でのHP Z2 Mini G1a Workstationの様子。解析やシミュレーション、CADなど多彩なソフトウェアを使いこなしている
研究室でのHP Z2 Mini G1a Workstationの様子。解析やシミュレーション、CADなど多彩なソフトウェアを使いこなしている
研究室でのHP Z2 Mini G1a Workstationの様子。解析やシミュレーション、CADなど多彩なソフトウェアを使いこなしている
研究室でのHP Z2 Mini G1a Workstationの様子。解析やシミュレーション、CADなど多彩なソフトウェアを使いこなしている

ほとんどのソフトウェアで処理時間の短縮が認められました。その結果、何度もトライアンドエラーを重ねていくことができるので、計算精度の向上はもちろん、モチベーションの維持にもつながっています。

TSRP 団体代表 安江 航大 氏
東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻 特任講師 博士(工学) 川端 洋氏
東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻 特任講師 博士(工学) 川端 洋氏
東海大学 工学部
航空宇宙学科 航空宇宙学専攻 特任講師
博士(工学) 川端 洋氏
TSRP 団体代表 安江 航大 氏
TSRP 団体代表 安江 航大 氏
TSRP 団体代表
安江 航大 氏
TSRP 統合解析班 班長 栗田 隼兵 氏
TSRP 統合解析班 班長 栗田 隼兵 氏
TSRP 統合解析班 班長
栗田 隼兵 氏
日本AMD株式会社 コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング 城田 フィリックス 氏
日本AMD株式会社 コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング 城田 フィリックス 氏
日本AMD株式会社
コマーシャル営業本部
セールスエンジニアリング
城田 フィリックス 氏
日本AMD株式会社 コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング 柴田 由貴 氏
日本AMD株式会社 コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング 柴田 由貴 氏
日本AMD株式会社
コマーシャル営業本部
セールスエンジニアリング
柴田 由貴 氏
株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーションビジネス開発部 市場開発担当部長 川口 剛史 氏
株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーションビジネス開発部 市場開発担当部長 川口 剛史 氏
株式会社 日本HP
エンタープライズ営業統括
ソリューション営業本部 ワークステーションビジネス開発部
市場開発担当部長
川口 剛史 氏
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