変革が続く自動車業界の最先端が集結する「人とくるまのテクノロジー展 2026 NAGOYA」にHPが出展
2026-07-27
2026年6月17日から19日、名古屋にあるAichi Sky Expoで「人とくるまのテクノロジー展 2026 NAGOYA」が開催された。「新しい技術との融合で創る クルマとモビリティの未来 -DXと共創で革新する自動車技術-」をテーマに、自動車業界の新たな方向性を見いだす、様々なテクノロジーやサービス、ものづくりに関連する企業が一堂に会した。このイベントにHPも参加。これまで自動車業界を支えてきたコンピューターの分野における最先端を披露した。さっそくイベントの様子をお伝えしよう。
取材:中山 一弘
自動車業界を支えてきたHPワークステーション
このイベントでHPはワークステーションをメインにブースを展開。自動車業界では特に車両の開発に欠かせない、様々な解析業務をはじめ、3Dデザインなどに必須の高性能なワークステーションを提供してきた。どのような業務の中でも素早いレスポンスが開発期間の短縮やトライアンドエラーの増加による品質の向上などに直結するため、ハイパフォーマンスをトラブルなく連続で発揮し続けられるHPワークステーションは自動車業界のあらゆる企業にとってなくてはならないものだ。
―HP AI Workstationコーナー
「最新のトピックスとして、『HP ZGX Nano AI Station』を使いOpenCodeやNotebookLMなどを使ったバイブコーディングのデモをご覧いただけるようにしています。今後は自動車業界においても開発手法などがAIを取り入れることで変わってくると考えられるので、みなさま真剣にご確認いただいております」と語るHPの勝谷氏。
HP ZGX Nano AI Stationは手のひらサイズの筐体にNVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchipを搭載し、最大1,000TOPSのAIコンピューティングを実現する超小型のAIワークステーションだ。ネットワーク越しに接続して一般のノートPCやデスクトップパソコンのGPUリソースとして活用することも可能だ。そのため、既存のシステムを使いながらAI開発向けに拡張したいといった際に、システム全体ではなくHP ZGX Nano AI Stationを使ってスケールアップするといった使い方もできる。また、HP ZGX Nano AI Stationを連結することも可能で、ハイパフォーマンスを効率よく拡張できる次世代のデバイスといえる。
―NVIDIA RTX PROシリーズコーナー(フツパー社「ラクラグ」デモ)
このエリアの隣ではNVIDIA RTX PROシリーズの紹介と、HPワークステーションの中でも人気が高いHP Z2 シリーズを中心に展示した。HP Z2シリーズはNVIDIA RTX / RTX PROシリーズと相性がよく、タワー筐体、スモールファクタ筐体(SFF)、手のひらサイズのMiniPC筐体と、ニーズに合わせた筐体が選べるのもメリットだ。当日は、HPワークステーションにプリインストール済みとして出荷が可能なAIソリューション「ラクラグ」を展開する株式会社フツパーがデモンストレーションを実施した。「ラクラグ」に関しては、当日ミニセッションも行っているので詳細はそちらでお伝えしよう。
―RGS(HP Z Remote Graphics Software)コーナー
ブースの中でもひときわ目立っていたのは「HP Z Remote Graphics Software(HP RGS)」のコーナーだ。「ネットワーク越しであっても、手元にマシンがあるのと同等のレスポンスを実現するリモートグラフィックスソリューションです。遠隔地からノートPCを使って拠点にあるHPワークステーションにアクセスし、解析やモデリングを実行することが可能です」と語るHP 川口氏。
この遠隔操作は海外にいても問題なく使うことができるため、海外の顧客先でのデモンストレーションや、いつものように開発業務なども実行できる。「パフォーマンスや画質の劣化がなく、低遅延で操作できます。働き方改革や海外との取引など、活用いただける場面は非常に多いと思います」と川口氏は語る。
―最新HPワークステーションコーナー
隣のコーナーでは最新モデルとなる、「HP Z8 Fury G6i Workstation」、「HP Z4 G6i Workstation」が展示されており、強化されたエアフローを強調するフロントデザインに、多くの来場者が目を留めていた。
特にグラフィックスカードの選択肢が広くなっており、より柔軟なスペック構成が可能となっている。パーツの高騰や品薄が続いているだけに、必要なスペックを必要なだけ効率よく構成できるHPワークステーションはこのような時期においても導入価値の高い製品といえるだろう。
ミニセッションも盛り上がり!
イベント中、ブースに用意されたセミナーコーナーでは、Ansys、NVIDIA、HPらによるミニセッションも開催された。最新テクノロジーが発表されるだけあって、来場者の多くが集まっていた。
ローカルAIエージェントが3D CAD/CGを自律操作する世界
エンタープライズ営業統括ソリューション営業本部
AI/データサイエンス市場開発担当部長
データサイエンティスト
勝谷 裕史
最初に登壇したのはHPの勝谷氏。「本日はAnsys製品群とMCP(Model Context Protocol)、HP ZBoostで何ができるかをお話したいと思います」と冒頭で語る勝谷氏。Ansys製品が続々とMCPに対応していく現状を受け、HP ZBoostもこれに続くように対応が予定されている。
「実際にHP ZBoostがMCP対応になるのはもう少し先ですが、HPワークステーション上に生成AIとAnsys製品群を導入し、MCPで連携させることによって解析業務をAIにやらせることが可能になってきます」と勝谷氏。これにより、解析業務がいよいよ自動化へと進化する可能性が見えてきたというわけだ。
その後、Ansys製品と生成AIをMCP連携させるロジックについて解説した勝谷氏は、HP ZBoostとの関連性についても言及する。「HP ZBoostはHPワークステーションが持っているGPUリソースをリモート接続して利用することができるソフトウェアです。冒頭で話したようにこのソフトウェアがMCP対応になると、生成AIがワークステーションに搭載されているどのGPUを使って解析するか、自律的に判断できるようになるのです」と勝谷氏は説明を続ける。
このシステムが機能するようになると、専門知識を持たないユーザーでも、自然言語により「このような解析をおこないたい」と命令するだけで、生成AIがどのソフトウェアを使い、どのGPUを利用して解析すればよいかを自律的に実行できるようになるのだ。
「この世界観が実現できるようになると大変な業務効率化が期待できます。今後は様々なソフトウェアと生成AIのMCP連携が可能になってくると思います。解析系の業務は様々なツールとの連携により、さらに効率化されていくと考えます」と勝谷氏は最後に語りセミナーを終了した。
AV開発を加速するフィジカルAI
エンタープライズマーケティング
シニアマネージャー
田中 秀明
「私たちがGPUだけではなく、様々なAIソリューションを提供していることはみなさまご存じかと思います。今回のイベントでは、特にフィジカルAIを支えるNVIDIA Cosmos とNVIDIA Omniverseについてご紹介させていただきます」と田中氏。
フィジカルAI基盤モデルであるNVIDIA Cosmosは最新のバージョン3へアップデートされており、マルチモーダル出力に対応し、物理的に正確なデータ生成や予測機能を強化している。NVIDIA Omniverseは3Dワークフローとデジタルツイン構築の基盤であり、AIエージェントの組み込みも進んでいる。
「いよいよ、NVIDIA Omniverseのような3DのワークフローにAIエージェントを組み込む時代になりました。そのためにAnsys様をはじめとしたソフトウェアベンダーと協力してこの取り組みを進めてきました」と語る田中氏。例えばこれにより、大量のトレーニングデータを生成することで、ロボットや自動運転車の開発効率が大幅に向上することが期待できる。
AI活用による様々な可能性に言及したのち、ハードウェアについてもトピックスを語る田中氏。「ここ最近ではGPUの性能が大きく向上しており、推論もローカルで動かせるようになりましたし、もともとの役目であるビジュアルコンピューターグラフィックスについても進化しています。NVIDIAとHPが連携して開発した『NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Edition』が4枚搭載できるワークステーションも登場しています」と語る田中氏。
同氏が語るハイエンドグラフィックスの4基構成はHP Z8シリーズで可能となる。HP Z8シリーズはワークステーションのフラッグシップモデルだが、100V電源2系統で運用でき、オフィスサイドにGPUサーバークラスのコンピューターが設置できるのが大きなメリットとなる。
「また、ローカルLLMの構築で注目いただいたDGX Sparkですが、今後受注が開始される『DGX Station GB300』というモデルもあります。Blackwellの300シリーズが採用されることになるのでデスクサイドに設置できるデバイスの中でも最大規模のパフォーマンスが提供できます」と語る田中氏。従来のDGX StationはGB10で構成されていたが、それでも十分以上のAI開発環境が構築できた。GB300版となった場合、かなりの大幅アップデートが期待できる。
「工場規模での様々な施策やCAD/CAE、開発設計など、AIエージェントを駆使して効率化したいというのであれば、最新のHPワークステーションが選択肢になると思います。みなさまもぜひブースでご覧になってください」と最後に田中氏はHPブースへ来場者を促し、セミナーを終了した。
SDV時代を勝ち抜くバーチャル開発技術
マーケティング部 スタッフ
堀川 優
冒頭、Synopsysとの統合によるブランド力強化、製品展開について語った堀川氏。同氏は続けて「わたしたちはAIとシミュレーションの併用が最善の戦略であると位置付けていますが、その理由は自動車業界の至上命題である開発期間短縮を可能にするからです」と語った。
シミュレーションにおいて生成AIモデルはトレーニングデータを大量に生成できること。さらに過去に大量のデータを学習した生成AIモデルは現在の設計に対して深い洞察を瞬時に得ることができる。そして、生成AIは過去の資産にさらなる付加価値を与え、現在のイノベーションを加速し、製品開発の意思決定プロセスの改善が可能という3つの大きな理由から、開発期間短縮を実現できるのだという。
「これまでは20のデザインを評価するのに3、4人のエンジニアで1週間は必要でした。AIを使うことで1人のエンジニアで2,000のデザインをわずか10分で評価できます」と具体的な数値を告げる堀川氏。これにより、開発やテストにおけるコスト削減はもちろん、エンジニアリング全体の生産性、拡張性、製品品質も大幅に向上する。
続いて堀川氏は、デジタルツインにも言及する。「デジタルツインの構築にはいくつかの要素があります。リアルタイムに近い高速な物理シミュレーション、システムモデルの構築、実測データを用いることによるモデルの高精度化、そしてモデルをクラウドやエッジに展開して活用するといった技術が必要です」と語る堀川氏。Synopsysとの統合によりこれらに必要なソフトウェアがワンストップで提供されることになり、デジタルツインにおける高精度なモデル構築を実現している。
そのほか、SDV開発における制御部分に特化したシミュレーションソリューションの提供など、自動車業界に最適なソリューションをいくつか紹介した堀川氏。「NVIDIA Omniverseとの連携により、仮想環境構築のプロセスを大幅に効率化しています。また、HPワークステーションによるリアルタイムデモもおこなっております。ブースではシミュレーション性能を最大化する体験ができますので、ぜひご覧になってください」と堀川氏は最後に語り、セミナーを終了した。
社内データを丸ごと理解する!“ネット接続不要”の「社内専用AI」活用術
エンタープライズAI事業部 営業部
近藤 拓也
「『ラクラグ』はクラウドを使わない生成AIソリューションです。ローカルとはいっても、使い方そのものは一般的な生成AIと変わりません。質問をすると返ってくる。非常にシンプルなサービスです」と語る近藤氏。企業として導入、展開しても教育コストが不要で、誰にでもすぐに使えるローカルLLMサービスなのだ。
「非常にシンプルなソリューションですが、社内で保管しているPDFや、Officeドキュメントをあらかじめデータベースとして投入しておくことで企業のデータに合わせた社内専用AIが完成します。フツパーでは基本的にHPワークステーションにAIモデルとデータベースを含めた形で提供することで、ハードウェアとソフトウェアをワンパッケージとしてご購入いただけます」と近藤氏。「ラクラグ」はすでに多くの企業に採用されており、自動車メーカーはもちろん、大手重電メーカー、化学メーカー、大手総合印刷業など幅広い業種に採用されているのだという。
「ラクラグの導入に際して3つのポイントがあります。それはセキュリティ、精度、コストです」と語る近藤氏。セキュリティに関してはクラウドタイプの生成AIの使用に対して、ほとんどのDX担当は懸念を感じるはずだ。いくら安全といわれても社内のデータをクラウドにアップロードするのには抵抗があるからだ。また、データベースの中には実に様々なファイルが存在している。テキストであれば問題なく情報を抽出できても、PowerPointの中に貼られている、図表が読み取れないのではデータが不足するケースも出てきます。また、生成AIモデルは常に進化しており、次のバージョンが出たからといって入れ替えが頻繁になればコストに跳ね返ってしまうのだ。
「ラクラグはローカルLLMであり、情報を外部には出さず、社内で完結する生成AIサービスです。その点でセキュリティ上、問題はありません。また様々なファイルが混在しているようなケースでもOCRや画像認識など複数の情報抽出モジュールを用いるため、AIが理解しやすい形でデータベースに格納することができます。生成AIモデルについてですが、最新版が出た際にはアップデートにも対応しています。インターネットを通じてダウンロードするわけではなく、SSDに保存してお送りするなど物理的な方法でお送りすることになります」と、近藤氏は運用においてもきめ細かなサービスが提供できることを強調する。
その後、導入メリットや運用に関するアドバイスなどを語った近藤氏。「蓄積されたデータを安全に活用いただき、現場における判断や改善などにつなげられるサービスとしてラクラグはみなさまのお役に立てると考えています。まずはお気軽にご相談ください」と最後に近藤氏は語ってくれた。
取材後記
自動車業界におけるテクノロジーの進歩はすさまじく、特に開発環境のDXや生成AIを取り入れての業務効率化などが大きく変化していることがよくわかるイベントだった。アンシス・ジャパン、NVIDIA、HPとそれぞれに違った領域を持つベンダーが協力することによって、顧客にとって最適なテクノロジーが提案できるのは大きな強みといえる。時代の変化をけん引するようなソリューションがそろっているので、課題を抱えている企業はまずは相談してみるとよいだろう。
HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。
Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。
組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。
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