高校生のデジタル教育を大きく進化させるHPワークステーション

岡山県立瀬戸高等学校

2026-08-19

岡山県立瀬戸高等学校
岡山県立瀬戸高等学校

現在、日本の教育にとってICTは欠かせないものになっている。小学校、中学校を対象にしたGIGAスクール構想はもちろん、高校向けの施策も次々と施行されている。2024年度から施策のひとつである「DXハイスクール」採択校となり、先進的なICT教育を続けている岡山県立瀬戸高等学校では、学びのステップアップを目的として、HPワークステーションを導入することになった。どのような狙いがあるのか、担当者から話を伺ってきたので紹介しよう。

取材:中山 一弘

岡山県立瀬戸高等学校

目的

  • 高校生のデジタルスキルの向上にワークステーションを活用

調達方法

  • HPのワークステーション専任担当による様々なアドバイスから最適なスペックを選定したHP Z2 Tower G1i Workstationの導入

端末の評価

  • 容量の大きい画像・映像制作や3D処理等におけるパフォーマンス不足が大きく解消
  • Chromebookでは成しえなかった、生徒の可能性を引き出す活動が飛躍的に増加
  • ハイレスポンスによりトライアンドエラーを重ねることが可能に

導入効果と運用

  • 様々な領域のプロが使う環境を再現
  • 社会で通用する即戦力を身に付けられる教育が可能に
  • デジタルで再現できるイメージが大幅に向上

岡山市東区瀬戸地域は、里山と清流に囲まれる中に山陽線が通っていることから、都心部が身近にあるベッドタウンとしての顔を持つ、暮らしと自然が調和しているのが特長だ。その地に根付いている岡山県立瀬戸高等学校(以降、瀬戸高校)は、予測不能な時代を生き抜く力を育むことを目的に、「受けとる力、伝える力、つながる力、考える力、見つける力、より良くなろうとする力」という瀬戸高校6つの力を掲げている学校だ。同校は2024年度からDXハイスクール採択校となっているほか、文部科学省の生成AIパイロット校としても指定されており、ICT教育に関して、常に探求心あふれる先進的な学びを続けている。

「瀬戸高校のデジタル教育は、各学年の授業担当者と一緒に、授業の中にAIやICTのコンテンツをどのように入れていくのかをデザインしながら進めているという特長があります。さらに広い見識を共有するために、年10回程度のAIやDXに関する研修もしており、本校だけに限らず、他の学校でも教職員向けに開催することもあります」と語るのは教育DX推進室長 教諭の久米 託矢 氏(以降、久米氏)だ。AIに関しては「セト AI-Café」というイベントを開催し、その中でAI実践共有会という場を設けており、他校との交流の中でAI活用のあり方を模索しているのだという。

「全校生徒に対して、AIやDXに関しては全学年で取り入れています。令和6年度の4月の段階からAIを全校生徒が使えるようにしています。すでにみんな当たり前のように使っていて、分からないことはAIにも尋ね、その回答を自分で確認・検証した上で、友人や教員との対話につなげています。私たちが考えるよりも、生徒にとってAIは敷居が低いもののようです」と久米氏は明るい表情で語る。

岡山県立瀬戸高等学校 教育DX推進室長 教諭 久米 託矢 氏
岡山県立瀬戸高等学校 教育DX推進室長 教諭 久米 託矢 氏
岡山県立瀬戸高等学校
教育DX推進室長
教諭 久米 託矢 氏

そんな瀬戸高校が2026年に導入したのが、HPワークステーションだ。ICT教育を始めた当初は、各生徒のスキルにも上限があり、スペックの高いPCは不要だった。しかし、DXハイスクール採択校となった3年前から、教育活動の中でAI活用なども進み、PCのパフォーマンスに対する要求が高くなっていったのだという。

「例えば何かのやり方が分からなくて困っているようなときでもAIで解決できるようになりました。現場の教員が持つ専門知識の有無に関係なく、例えば、4K動画編集にAI機能を使うことや、既存のAIモデルを活用した機械学習を行うなど、これまでの瀬戸高校では想定されなかったような機器の使い方が生まれるようになりました」と久米氏は振り返る。

そうなると必然的にこれまで所有していたGIGAスクール用のPCだけでは対応が難しくなってくる。生徒たちのコンピューターに対するニーズの高まりは通常のPCに収まる範囲を超えていたこともあり、久米氏はワークステーションの導入を考えるようになったのだ。

「動画編集や生成AI開発だけでなく、3Dデータを作成し、3Dプリンターで出力するといった用途や、VR空間の中でCGを再現するといったニーズもあります。つい先日も災害をVRでシミュレーションし、それを他地域の方に体験してもらうといったアイデアを実現したいという生徒たちがいました」と久米氏は語る。

生徒たちの自発的なデジタルへのニーズはとどまるところを知らない。「従来であれば専門的な知識がなければ不可能だったようなことも、子どもたちだけの力でどんどんできるような時代になってきたと実感しています。そのために、足かせになっていたマシンスペックの壁を突破するためにも、ワークステーションが必要なのではないかと考えました」と久米氏は改めて導入経緯を語る。

数ある候補の中から瀬戸高校が選択したのは「HP Z2 Tower G1i Workstation」だ。「ワークステーションのスペックに関しては、プロのエンジニアからも助言をいただきました。本校での活用の場面を想定しつつ、AI利用なども踏まえて必要なCPUやメモリ容量、さらに並列処理がどのくらい必要になってくるのかなども考えながら、最適なマシン選びをしてゆきました」と機種選定の経緯について語る久米氏。

Zシリーズ
Zシリーズ

「最初はZ2とZ4の、2つのシリーズで比較していただいていました。Z4シリーズはプロセッサのコア数が多いので分析・解析に向いており、Z2シリーズは、プロセッサのコア数は少なくなりますが、クロックが高いので処理がスピーディになるという特長があります。こうした特長をお伝えしつつ、快適に使っていただけるモデルを選んでいただきました」とHPの浅井氏は語る。

HP Z2 Tower G1i は2026年3月に導入され、すでに生徒たちは使い始めている。「ノートPCやタブレットなどに親しんでいた生徒たちからすると、やはりデスクトップタイプのPC自体に憧れのようなものを持っていたようです。高性能なワークステーションが使えるようになって、今までできなかったことが快適にできるようになった喜びや、頭のなかでどこか制限をかけていたようなことも、自由にできるというので評価も高いです。そういう姿を実際に見ていると、生徒たちが非常に面白い体験をしているのだなということを実感します」と久米氏は導入の手応えを語る。現在は放課後の活動としてAI活用をけん引するAIリーダーズと呼ばれる生徒たちを中心にワークステーション活用が進んでいるのだという。

右から) 株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 浅井 春光 氏 エンタープライズ営業統括 ワークステーション事業開発部 市場開発担当部長 新井 信勝 氏 エンタープライズ営業統括 パブリックセクター DX推進営業部 アカウントマネージャー 三浦 郁也 氏
右から) 株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 浅井 春光 氏 エンタープライズ営業統括 ワークステーション事業開発部 市場開発担当部長 新井 信勝 氏 エンタープライズ営業統括 パブリックセクター DX推進営業部 アカウントマネージャー 三浦 郁也 氏
右から)
株式会社 日本HP
エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 浅井 春光 氏
エンタープライズ営業統括 ワークステーション事業開発部 市場開発担当部長 新井 信勝 氏
エンタープライズ営業統括 パブリックセクター DX推進営業部 アカウントマネージャー 三浦 郁也 氏

「最初にお話しした動画編集では、実際にプロとして活躍されている外部講師を招いて特別授業をすることがあります。これまでは中学校からの流れで使っていたChromebookでGoogleフォトの動画エディタを使用するなど、比較的軽量な編集ツールがメインでしたが、4K動画へのニーズが高まると共に、より高度な編集ツールが必要になったのです。現在はBlackmagic Designの『DaVinci Resolve』を使って動画編集をしています。プロが使う動画編集ソフトと機材がある環境で学んでおくことで、社会に出たときに気後れなく動画編集ができるようになることを期待しています」と久米氏は語る。

また、授業の際にワークステーションを導入したことで浮き彫りとなった課題が、生徒自身のスキル不足だったのだという。「動画編集でいうと、これまでは簡易なカット編集がメインでしたが、現在ではカラーグレーディングやVFX、音声編集といった総合的な映像制作に近い環境が手に入ったわけです。今までできなかったことができるようになると、次に自分たちの想像力が試されるようになります。自分が表現したいのはどんなことか、それを伝えるにはどんなテクニックが必要で、自分に足りていないのは何なのか、といったように自分を見つめ直すことにもつながっているようです。これは非常に大切な経験で、失敗ができない社会人になってからではできない若者の特権ともいえると思います。生徒たちにはたくさん失敗しながら大いに学んでほしいですね」と語る久米氏。生徒にとってもHP Z2 Tower G1i がプロの世界でも使われているワークステーションであることが理解できているはずだ。彼らの若さと吸収力があれば、すぐにスキルは得られるはずであり、さらに難易度の高い表現さえ自分のものにしていけるだろう。

「ワークステーションの有用性は実感できたので、今後は台数を増やすことも検討する必要があると考えています。生徒たちがより自由な発想で活用していけるような環境を作ってあげたいですね」と語る久米氏。

「HPには『HP ZGX Nano AI Station』という手のひらサイズのAIワークステーションがあります。この端末は単体で生成AIなどの動作や研究をすることもできますし、既存のワークステーションに接続して外部GPU計算資源として活用することが可能です。例えばAI教育について強化したいようなケースではそうした方法があることも知っておいていただけるとより効率的な導入につなげられると思います」とアドバイスを送るHPの三浦氏。

「広範囲に高度なICT教育をご提案されているので久米先生も大変だと思います。その中でも生徒たちの興味と自主性を引き出し、それが実現できる環境づくりを推進されているのは素晴らしいことですね。このような環境で身に付けた力は社会でも必ず役に立つと思います。私たちとしても今後も良い人材が社会に出ていけるよう、瀬戸高校様のICT環境づくりをサポートさせていただければと思います」とHPの新井氏も言葉を続ける。

対談風景
対談風景

「バイブコーディングでアプリケーションを作る授業があるのですが、『もっとその先もやってみたい』という生徒が出始めています。これまでは教員が生徒の少し前にいて生徒がそれを追いかけるというのが普通でしたが、今後は生徒が前に進んでいく状況も生まれるでしょう。教員は授業の本質をきちんと把握し、先に進む生徒の足かせになっている部分を取り払い、学びに役立つ環境づくりをしてあげることが今後は大切になるのだと思います。HP様には引き続き最新情報を教えていただけると助かります」と最後に久米氏は語ってくれた。HPは今後も瀬戸高校をサポートしてゆく。

従来であれば専門的な知識がなければ不可能だったようなことも、子どもたちだけの力でどんどんできるような時代になってきたと実感しています。そのために、足かせになっていたマシンスペックの壁を突破するためにも、ワークステーションが必要なのではないかと考えました。

岡山県立瀬戸高等学校 教育DX推進室長 教諭 久米 託矢
集合写真
集合写真

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