LTE対応GIGA端末を使った実証実験で大きな成果を残した石垣市の取り組みに密着
HP GIGA端末実証実験レポート 石垣市教育委員会 / 伊野田小学校 / 明石小学校 / 野底小学校
2026-04-22
周囲をサンゴ礁が取り囲み、緑に包まれた丘陵地帯を持つ石垣島は、多くの観光客にとって憧れの島であると同時に、豊かな自然が地域住民の暮らしを支え、子どもたちを育んでいる。自治体である石垣市ではICT活用が進んでおり、特にGIGAスクール構想においては『Iプラン』という独自の方針も取り入れ、先進的なデジタル教育を展開している。そんな石垣市に2025年秋に試験導入されたのがHPのLTE対応GIGA端末「HP Fortis Flip G1i 11 Chromebook(HP eSIM Connect対応)」だ。今回は、この端末を用いた実証実験の中間報告をいただいてきたので紹介しよう。
取材:中山 一弘
国の施策と独自の方針を両立する石垣市教育委員会
石垣市教育委員会
学校教育課 情報教育推進係 副主幹兼係長 村山 信太郎 氏
学校教育課 情報教育推進係 教育DX推進アドバイザー(学校ICT支援員) 西垣 春香 氏
学校教育課 情報教育推進係 主任 比嘉 幸宏 氏
「石垣市の『I』、ICTの『I』、“私”という意味の『I』を取って『Iプラン』という教育方針をもって学校教育を進めています。これにより、石垣市が自ら考え、計画を立て、判断をして行動し、児童生徒の自立した学習者育成を目指しているところです」と語る西垣氏。
GIGAスクール構想が始まって5年が経過した現在、石垣市では「教え込む授業」から「子どもたちが自分たちの力で学び取る」という方針へとシフトチェンジをしているのだという。「例えば、AI型ドリルと学習アプリの活用をはじめ、Googleベースのアプリなどを使い、1人ひとりに合わせたデジタル教育を進めています。共同的な学びという部分ではクラウド活用が大前提となっています」と西垣氏は説明する。
クラウドサービスを使う理由として、例えば学校に来られなかった欠席者が、自宅に居ながら遅れた分の授業内容が分かるような仕組みを取り入れている。「とはいえ、石垣島全体を見ていただければお分かりのように、自然環境が非常に多く残っている地域です。都会では考えられないような理由でネットワークが停止することもよく起こります。クラウドは教育のインフラなのでこれがなくなると困るのが学校なのです」と語る比嘉氏。
生き物がケーブルをかじって断線する、配電盤に巣を作り故障するといったことが起こりえるのが離島なのだ。「地域によっては台風などの影響で電話線が切れやすいといったところもまだまだあります。教育施設のインフラの改善は数年前から続けていますが、自然環境由来の事象の解決には至っていないのが現状です」と、地域のICT運用を見守ってきた株式会社オキジムの長友氏は語る。
「学校から自宅への端末の持ち帰りに関しても、私たちとすれば毎日持ち帰って欲しいというスタンスです。しかし、インフラのこともありますが、持ち帰った後にどうするかという部分でまだ学校側の準備が足りておらず、地域によって差があるのが現状です」と語る村山氏。
このような地域において常に安定したネットワークインフラを提供したいと考えたHPは自社ソリューションである「HP eSIM Connect」に対応したGIGA端末の実証実験を提案した。「HP eSIM Connectは、端末の購入費用のみで5年間LTE回線が使い放題となるソリューションです。今回はGIGA第2期向けのHP Fortis Flip G1i 11 Chromebook(HP eSIM Connect対応)が石垣島で有効にご利用いただけるかの実証実験にご協力をいただくことになりました」と説明するHPの小笠原氏。
今回の検証は2025年秋より開始されている。「もともとau回線が強い地域なのでどこでもインターネットにつながるという強みはあります。児童生徒からも修学旅行に持っていけないかというリクエストをもらったことがあります。実際の使用状況は各校で伺ってみてください」と語る比嘉氏。
毎日、文房具のようにデジタル端末を使いこなすことを前提とした場合、故障や破損への備えも大切だ。「HP様と協力しながら、常に予備機がある状態を維持する体制づくりはもちろん、問題があった際にはすぐに駆け付けられるようなサポートもご用意しています」と語るオキジムの外間氏。
「より身近にインターネットがあるようになることから、ネットリテラシーも教えていきたいと考えています。また、GIGA第2期からはペンが必須となりましたが、HPの端末には高性能なUSIペンがついています。書き取りが必要な学年もありますし、スケッチにも使えるので積極的に活用して欲しいと思っています」と西垣氏は語る。
「今後は生成AIについても活用していく方向で協議に入っています。ガイドラインの草案の策定も開始しており、近い将来積極的に利用できるようにしていきたいと考えています」と村山氏は語ってくれた。
万全の体制の中、スタートすることになった実証実験プロジェクト。以降は、実際の現場となっている3校の小学校から中間報告を紹介したいと思う。
株式会社オキジム
デジタルソリューション事業部 DXイノベーション課 課長 外間 貴 氏
デジタルソリューション事業部 DXイノベーション課 次長 長友 正樹 氏
株式会社 日本HP
エンタープライズ営業統括 パブリックセクターDX推進営業部 部長 小笠原 孝 氏
石垣市立伊野田小学校
校長 前泊 康史 氏
石垣島の開拓時代に合わせて作られた学校で、現在は、地域の子どもたちと国外からの移住者の子どもたちが共に学んでいる伊野田小学校。「当校でのICT活用ですが、市や県と歩調を合わせるための情報収集と、外部との情報共有のツールとして使うのがメインとなります。児童においては学習の成果をプレゼンするための資料作りなどにも利用しています」と語る前泊氏。
児童はGIGA端末への順応性が高く、端末を使っての授業への反応がとてもよいのだという。「今回、お借りしているHPのGIGA端末は、どこにいてもインターネットにつながるということで、直近では『島の秋』を見つけるというテーマで、山へ端末を持ち出して動植物を撮影して調べるといった授業に使用してみたそうです。担当の教員からはその際にとても役立ったという話をもらっています」と、前泊氏は語る。そのほか、町を探検するといったテーマにも使ったことがあり、現地で疑問に思ったことをその場で調べるという学習スタイルは児童へのインプットの早さという点でメリットが確認されたのだという。
「児童なりにGIGA端末を使いこなしているようですが、教育や学習で使うとなると、教員側のスキルも上げていく必要があると感じています。今回の実証実験で最新のGIGA端末を試す機会をいただくなど、設備は十分に整っているので石垣市教育委員会やICT支援員のみなさまの力を借りながらデジタル教育を推し進めていきたいと考えています」と最後に前泊氏は語ってくれた。
石垣市立明石小学校
校長 仲皿 善也 氏
石垣島の中では最北端にある学校が明石小学校だ。豊かな自然に囲まれ、祭りなどの文化を積極的に授業に取り入れるなど、地域との繋がりが強く、児童は町の人々に見守られながら健やかに育っている。「石垣市が進めている『Iプラン』に則した形で、デジタル教育を取り入れています。低学年では慣れることを優先し、高学年になるほどアプリの活用やタイピングを重視した教育へとシフトさせています」と語るのは校長の仲皿氏だ。
「HPのLTE対応GIGA端末を試させていただいていますが、教員によるとWi-Fiよりも速く感じることがあるほど使い勝手がよいという声を聞きました。また、児童からは、GIGA第1期のときの端末に比べ、起動がとても早くて快適、ペンが非常に書きやすく図形や立体的な作図も描きやすいといった意見がありました」と仲皿氏。そのほか、特にこの地域は大きな台風があると電話回線が切断される傾向があるので、そのような際の災害対策にもなるのではないかという期待もあるのだという。
「教員からは、起動の早さやどこでもつながるというネット環境の良さを活かして、授業にも積極的に取り入れていきたいといった話も出ています。また、児童数から複式学級を採用していますが、今回のGIGA端末を使いこなすことで、教員の負担軽減にもつながると考えています。今後も実証実験を続け、よりよいデジタル教育の在り方を探したいと思っています」と最後に仲皿氏は語ってくれた。
石垣市立野底小学校
石垣市立野底小学校
教諭 ICT担当 押尾 瑞紀 氏
校長 大浜 覚 氏
教頭 田中 直晶 氏
2025年に創立70周年を迎えた野底小学校。ハイキングで有名な野底岳のふもとに位置し、「みんなで創る学校」を標榜する自然と人々に恵まれた学校だ。「ICT活用に関しては、学級間で差はあるものの、学校や児童の実態に合わせながら率先して取り組むように進めています」と語るのは校長の大浜氏だ。今回のLTE対応モデルの実証実験について「この地域の一部で停電が起こりやすい部分も残っています。Wi-Fiが使えない際に、LTE対応端末があれば、環境としてはかなり助かると期待しています」と同氏は続けて語る。
「GIGA端末については授業で日常的に使うほか、観察や保全活動のために培養している『ウミショウブ』の育成状況などをまとめるために使用しています。画像データをスライドに貼り付け、それを児童が協働しながら編集するといった使い方がメインですね」と語るのは教頭の田中氏だ。
「Chromebookなので起動が早く、クラウドベースになったことで各サービスとの連携もよくなりました。また、タッチペンがとても優秀で、デバイス上で手書きのメモを残せるのは大変便利です。それにペンの収納場所が決まっていて、充電もごく短時間で済むのもよい点だと思います」とICT担当の押尾氏は語る。
「せっかく環境が整っているので、個別最適な学びにつながるような取り組みを続け、児童にしっかりとした学力を定着させるようなデジタル教育を進めていきたいと考えています」と最後に大浜氏は語ってくれた。
取材後記
石垣市教育委員会および、伊野田小学校、明石小学校、野底小学校を現地で視察をおこなった今回の取材では、児童生徒らの明るい声と、端末を使いながら楽しそうに学ぶ姿が印象的だった。最新テクノロジーを採用したデジタルデバイスの可能性については、子どもの目線から新たなアイデアが出てくるようなケースも多く、教員からもそれを期待する声も出ていた。今後も可能な限り追加取材をしてさらなる報告を紹介したいと思う。日本HPとオキジムは今後も石垣市を全面的にサポートしていく。
※本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。
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