石垣島の中学英語教育に新しい視点をもたらしたPolyヘッドセット
石垣市教育委員会 / 石垣市立大浜中学校
2026-08-25
実践的な英語を学ぶことはとても大切だ。ビジネスシーンで英語力を試される機会は年々増えており、今後少子高齢化が進み、海外との協働が必須となる状況になれば、その傾向はさらに強まるだろう。現在、中学校では社会に出てからすぐに役立つような実践的な英語教育が進んでいる。その中で、ICTを活用することでさらに効率よく英語力を向上させようという動きが出始めている。今回はPolyのヘッドセットを使い、英語の「聞く・話す」という能力向上に役立てようとする中学校に話を伺ってきたので紹介しよう。
取材:中山 一弘
目的
- 英語のリスニング・スピーキングに高品質なヘッドセットを活用
調達方法
- Poly Blackwire 3300シリーズによる実証実験
端末の評価
- ”聞こえやすさ”の向上
- 遮音性とノイズキャンセリングによる周りの雑音に邪魔されない音声の明瞭性
- 準備中のトラブルが激減
効果と運用
- 周囲の声があっても自分の声に集中できる
- 控えめな声でもしっかり録音・再生
- 自分の発音を正しく認識できるため上達しやすい
より実践的な英語教育の実現へ
石垣島は沖縄県の南端に位置し、豊かな自然と都市部が同居する住みやすい島だ。周囲がサンゴ礁に囲まれていることから、海洋レジャーは特に人気で、日本人のみならず、海外からも美しい海を一目見ようと大勢の観光客が訪れている。沖縄本島からも距離があることから、テクノロジーで距離を埋めるためのICT整備が進んでおり、石垣市としてもデジタル教育を盛んに取り入れている。
「石垣島には都市部と集落に5つの中学校と4つの小中併置校があります。その中でも英語教育ではAI型学習ドリル(クラウド型国際英語学習教材)を導入するなど、ICTを使った教育を進めており、先生や生徒も学習への手応えを感じているところです」と語るのは石垣市教育委員会の西垣氏だ。
英語を身につけるにはICTによる効率のよい学習はもちろんだが、やはりリスニングとスピーキングは欠かせない。「1クラス30名規模の中学校の場合、周囲の音も大きいため、自分の発している英語が聞き取りづらく、イヤホンマイクをPCに接続して自分の声を聞くというスタイルをとっていました。予算が潤沢にあるわけではないので、安価な市販品を使っていましたが、品質の点でなかなか満足できない環境でした」と西垣氏は振り返る。
音声がうまく拾えない、あるいは拾えても隣の生徒の声と混ざってしまいよく聞き取れないといった環境となってしまう事がある。また、英語のスピーキングに自信がない生徒はより小声になってしまい余計にAIドリル側での判別に問題がでてしまっていた。あまり教育環境としてはよくない循環が課題になっていたのだ。
「英語の授業の中にはAIドリルのほかに、Google Vidsなどを使って録音して教諭に提出するということもしています。ですから、録音の品質が悪いと先生たちも評価が難しくなる側面もありました」と西垣氏は語る。そんな折、ふとしたきっかけで手にしたのがPolyのヘッドセットだったのだという。
学校教育課 情報教育推進係
教育DX推進アドバイザー(学校ICT支援員)
西垣 春香 氏
Polyの高品質なヘッドセットが課題解決のヒントに
「HP様とはGIGA端末をはじめ、オンラインコミュニケーションのためのデバイスのご紹介などを通じて、様々な形で石垣市に関わっていただいております。その中でPolyのヘッドセットを見せていただく機会があり、その機能のすばらしさを見て、今回の実証実験を実施させていただくことになりました」と西垣氏。Polyのヘッドセットには周囲の生活音や騒音を自動で判定してカットするノイズキャンセリング機能や、自分の発している音声をクリアに再現するテクノロジーを搭載するなど、明瞭で品質の高い音声の再現を可能とする機能が用意されている。
「製品を見せていただき、ご説明を聞かせていただきましたが、いつも使っているイヤホンマイクとは比較にならないほどの高品質な音声であることが理解できました。そしてすぐに英語の授業における課題解決に役立てられるのではないかと考えました」と西垣氏は言葉を続ける。
HPも石垣島の中学校の英語教育に課題があることを把握。まずは確実な効果があるのか実証実験を提案したのだ。
「音声が明瞭になり、自分の声に集中できる環境で英語教育がどのように改善されるのか。石垣市立大浜中学校の1クラスを選定して実証実験を開始しています。生徒だけではなく、先生にも配布しているので、両者にとってどのような効果があるのか非常に楽しみです」と西垣氏は期待を語る。
株式会社オキジム デジタルソリューション事業部 DXイノベーション課
次長 長友 正樹 氏(左)
株式会社 日本HP エンタープライズ統括 第二営業統括 第三営業本部 ハイブリッドワークソリューション営業部
是枝 日登志 氏(右)
石垣市のデジタル教育をけん引する大浜中学校
石垣島の中でも市街地にあり、生徒数が405名(2025年度)と最大規模となるのが石垣市立大浜中学校だ。リーディングDXスクールに指定されており、2026年度より生成AIを用いた教育を取り入れるなど、先進的なデジタル教育を推進している。
「Polyのヘッドセットを使い、最初に感じたのは圧倒的な音質の違いです」と語るのは石垣市立大浜中学校 英語教諭 西原 啓世 氏(以降、西原氏)だ。以前は、コストを優先する形で随時購入したヘッドセットを使っていたが、自分の発音をパソコンに録音する際の品質に問題が多かったのだという。
英語教諭
西原 啓世 氏
「以前使っていたヘッドセットは品質にばらつきが多く、かなりはっきりしゃべらないと明瞭に再生されないものもありました。また、入力端子がピンタイプだったのですが、すぐに接触不良を起こすこともありました」と当時を振り返る西原氏。
自分の声が明瞭でないと、発音にも自信が持てず、実力を発揮できていない生徒もいたのだという。「英語を話すのに苦手意識がある生徒はますます自信を失うことにつながります。ところがPolyのヘッドセットを使いはじめたところ、ぼそぼそと小さな声で発音しても明瞭に聞き取れるので、自信を持って声を出して授業に臨む生徒が増えたように思います」と語る西原氏。
大浜中学校3年生の英語の授業では、着座でヘッドセットを利用する。英語を話す際には周囲の声も当然聞こえてくる。つまり、両隣、前、後ろと周囲の生徒も同じように英語を聞く、話すという環境になるため、ヘッドセットから聞こえる音声やマイクが拾う自分の声の品質がより重要になるのだ。
「Polyのヘッドセットの場合、隣の声があまり聞こえず、自分の発話に集中できます。2025年に実証実験が始まった際に、校長はじめ先生方にも使ってもらいましたが、その品質の高さは全員が共有しています」と西原氏は語る。Polyヘッドセットは英語を聞く、話すという学びを得るのに最適な環境づくりに貢献できているようだ。
また、今回提供しているPolyのヘッドセットはUSB Type-Cによる接続が可能となっている。「以前あったピンタイプの端子よりも、USB Type-Cのほうが圧倒的に安定しています。機械的なトラブルが激減したことで、授業がストップすることがなくなり、私としても修理対応などの手間がほとんど不要となっています」と運用面でのメリットを語る西原氏。
そのほか、ヘッドセットは肌に密着して使用するものなので、衛生面から他者と共有しづらい感覚があるように思う。「コロナ禍以降、そうした傾向は確かに高くなっています。例えば、殺菌タイプのウェットティッシュなどで、1つずつ丁寧に清掃すればまた違うと思いますが、授業の合間に30個以上のヘッドセットにそれを施すのは事実上不可能です。そのため、今回の実証実験では使用するクラスをひとつに絞り、生徒単位で同じヘッドセットを使用するような環境で授業をしています」と西原氏は語る。
西原氏が担当するこのクラスではヘッドセットにナンバリングをして管理。英語の授業のときに自分用として同じデバイスを使用する。「持ち帰りはいまのところ禁止しています。家での予習復習にも効果的だと思うのですが、置き忘れをすると授業に影響が出るのと、ゲームなどの目的外使用による物理的なダメージを避けたいという理由があります」と西原氏は説明する。実際の授業も見せてもらったが、生徒たちは授業が始まる前に収納している箱からヘッドセットを自分の机に置いておき、使い終わったらケーブルをきれいにまとめてから専用の収納袋に収めるなど、非常に丁寧に扱っていたのが印象的だった。
「近々国際交流の授業があり、海外の生徒と英語によるコミュニケーションをする機会があります。その際にもこのヘッドセットを使いたいと思っており、生徒たちがどのような反応をするのか楽しみです」と西原氏は期待を語る。PolyのポートフォリオにはUSBビデオバーやスピーカーフォンなどのWeb会議ソリューションも存在しているので、そうしたデバイスを適切に配置することで、よりよい国際交流のための環境構築も可能だ。
「英語の授業でも生成AIと英語で会話するといったカリキュラムを取り入れていますが、それだけでは100%の英語力は身につきません。最終的に人対人のコミュニケーションが図れることが目標になるので、国際交流の授業などのリアルな体験を大切にしてもらいたいですね。社会に出た時、英語が話せるようになっていると人生の選択肢が大きく広がると思います。今、懸命に学んでいる生徒たちには、いずれそのことを理解してほしいですね」と西原氏は最後に語ってくれた。
大浜中学校での実証実験はまだしばらく継続される。学校側では授業でのICT活用の効果検証を行い、今後の指導要領改定に対応した評価方法の検討を重ね、HPは使い勝手や課題を持ち帰り、次の製品の改善のためにそれを活かしていくことになる。今後もHPは石垣市教育委員会および石垣市立大浜中学校のサポートを続けていく。
Polyのヘッドセットを使いはじめたところ、ぼそぼそと小さな声で発音しても明瞭に聞き取れるので、自信を持って声を出して授業に臨む生徒が増えたように思います。
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