HP GIGA向けChromebookの採用でICT教育を大きく前進させた松山市教育委員会
愛媛県松山市教育委員会 愛媛県松山市立小野中学校
2026-10-22
第2期を迎えたGIGAスクール構想では、第1期からの振り返りや課題解決を経たことで、端末に対してさらに厳しい要件を求めていた。各自治体がそれぞれの目標を定めるなか、OSを変更するといった思い切った施策をとるケースも多く見受けられた。今回は、Windows OSからChrome OSへ転換することで成果を得ることに成功した愛媛県松山市の事例を紹介したいと思う。
取材:中山 一弘
目的
- GIGA第2期に向けた端末の更新
調達方法
- ChromeOS ベースへの変更を前提に、一般競争入札により、HP Fortis Flip G1m 11 Chromebookを導入
端末の評価
- 授業の開始をスムーズにする素早い起動
- 軽量で持ち運びしやすく、壊れにくい頑強な本体( MIL-STD-810H をクリア)
- 高性能なタッチペンによる直感的な操作
導入効果と運用
- クラウドツールの活用による柔軟な運用性
- 豊富なアプリ群によるICT教育の活性化
- 低い故障率による運用コスト最適化
ICT教育環境を大きく変革
愛媛県松山市は四国地方の中でも人口規模が大きな中核市である。瀬戸内海に面しており、温暖で雨が少ない瀬戸内海式気候により、生活しやすく、農業にも適した地域でもある。文化面では日本最古の温泉のひとつといわれる「道後温泉」を擁しており、国の重要文化財に指定されている道後温泉本館を中心に温泉街として発展してきた歴史がある。正岡子規、夏目漱石、司馬遼太郎など文人ゆかりの地としても知られ、「文学のまち」として学びにも深いかかわりを持っている都市だ。
「松山市の小中学校は現在82校あり、児童生徒数は約36,000人となっています。GIGA第1期の課題をもとに、GIGA第2期向けの端末にはより学びに適した機種を選びました」と語るのは松山市教育委員会の小田氏だ。
松山市はGIGAスクール構想が開始されるに伴い、児童生徒向けの端末としてWindows OSの製品を選択した。様々なメリットはあるものの、年数の経過とともに課題が浮上してきたのだという。「もちろん、Windows OS端末にも良い面はたくさんあります。しかし、数年が経過したときに端末の起動に時間がかかるという問題が出てきました。また、どうしても発生するOSやアプリのアップデートの管理も大変でした」と当時を振り返る小田氏。
指導主事 小田 浩範 氏(右)
指導主事 長﨑 弘樹 氏(左)
授業を始めようとしても、ある児童生徒の端末がなかなか起動できないときがあり、授業の開始時間が遅れてしまうという問題や、端末を忘れてしまった児童生徒のために予備機を貸し出すのだが、初期化してセッティングするまでに時間も手間もかかるケースもあったのだという。
「児童生徒も学校の先生も負担を感じている中、Google様からChromebookをお借りする機会がありました。起動が早く、管理性も高いので、テストした学校では非常に好評でした」と小田氏。松山市教育委員会は、この検証時の反応や、GIGAスクール構想での端末評価を客観的に分析。GIGA第2期向けの端末はChromebookにすることが決まったのだという。
HPのGIGA端末を選択
そのような中、多くの候補から最終的に選ばれたのはHPのGIGA端末「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」だった。「日常的に児童生徒らが家庭に持ち帰る端末なので、なるべく軽量で壊れにくいモデルが最適だと考えていました。HP製品は堅牢性の面で特に優位性を感じました」と、選定に至った点について語る小田氏。
「タッチペンに関しては、HP製品は特に高い機能性を感じました。学校では図形を描いて考えることもありますし、テキスト入力だけではどうしても思考の幅が狭くなりがちですが、タッチペンで画面に直接書き込むことで直感的なひらめきを可視化することができ、思考を深めることができます。HPのタッチペンは、反応が速く書きやすいので、より深い学びに直結すると感じました」と長﨑氏も言葉を続ける。
「やはりコスト面からみたメリットが非常に高いモデルだと思いました。高い堅牢性を持つことで長く使えるという部分もコストバリューにつながってくると考えています」と語る井原氏。
「故障率を下げることも目的なので壊れにくいことも大きな評価ポイントとなりました。また、課題であった起動の早さという点でも優秀で、少しでも早く授業が始められるというのはICT教育を進めるうえでも大きなプラス材料になると考えます」と大野氏は語る。
実際に導入した小中学校からは次々と喜びの声が集まっているのだという。「起動の早さについてはもちろん、長時間駆動バッテリーについての評価も高いと聞いています。松山市では『学校と家庭での学びをつなげる』という目標を掲げていますが、軽量で頑丈な筐体はこれを後押ししているようです」と小田氏は語る。
副主幹 井原 徹也 氏(右)
副主幹 大野 陽平 氏(左)
クラウドサービスへの移行が教育DXを加速
GIGA第2期では松山市教育委員会の働きかけにより、各学校に予備機を多く配置している。「アカウント情報を入れるだけで個人の環境が呼び出されるので、学びを止めることもありません」と語る小田氏。さらにクラウドベースのサービスの導入に伴い、作成したドキュメントやデータもクラウドで管理されるため、本体にはデータが残らない点も安心材料なのだという。
また、家庭への持ち帰りを進めている松山市では、学校以外の場所での紛失や破損のリスクも増えてしまう。その場合、無制限に松山市が補充することは難しく、ケースによっては家庭に費用を負担してもらうことも想定している。だが、市が家庭と業者の間に入ると、会計の流れを複雑にしてしまうため、専用の「オンラインストア」をHP社が設置。これにより、松山市と各家庭間でもシンプルな物品処理が行えるのだ。
「仕組み自体はGIGA第2期が始まる少し前には実現して頂いていました。松山市やご家庭にとっても手続きの負担軽減となるサービスだと思います。まだ実際の活用事例はありませんが、準備が整っていることは安心材料だと思います」と井原氏は語る。
「校務支援システムもクラウド化を進める予定もありますし、ゼロトラストを前提としたセキュリティも実現させたいと考えています。ICT教育の活性化はもちろんですが、校務DXについても今後はさらに力を入れていきたいと思います」と語る長﨑氏。
「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebookは児童生徒にとって身近な道具となりつつあります。それと同じようにクラウドサービスも当たり前に使えるようになってもらいたいと思っています。同じように先生方も新しい環境に慣れてきているので、校務支援システムもさらに便利なものにしていきたいと考えています」と最後に小田氏は語ってくれた。HPは今後も松山市教育委員会をサポートしていく。
導入事例:松山市立小野中学校
ここからは、導入先の学校事例として「松山市立小野中学校(以降、小野中学校)」におけるHP Fortis Flip G1m 11 Chromebookの活用状況を紹介したいと思う。
小野中学校は2026年度に創立80年を迎える歴史ある学校で、2025年度における生徒数は426名となっており、校区の人口減少が見られないという暮らしやすい地域にある学校である。周囲に河川や山などもある豊かな自然環境と教育熱の高い地域性であることから、キャリア教育を基本とし、誇りや夢を大切にしながら、生徒の自立性を重んじる風土づくりをしていることで知られている。
校長 篠原 康展 氏(右)
教諭 小田 祐太郎 氏(左)
「松山市教育委員会の支援により、松山市として統一した教育を進めることができています。「NHK ONE for School」や「ロイロノート」といったデジタル教材を活用しながらの教育や協働編集、情報共有などを通じ、提案型の授業を進めています」と語るのは校長の篠原氏だ。同氏は、同時に「GIGA端末を”使用”することが目的ではなく、GIGA端末を”活用”しどのような形でアウトプットするか、そして成果物をまとめ、振り返ることが大切です。各教科の授業でもそれを大切に組み立てるようにしています」と教えてくれた。
現在までに一定のICT教育の流れはできているという小野中学校。特に教員の中でもICTに興味のある先生方が中心となり、新たな使い方のアイデアや改善案なども積極的に発掘、ナレッジを共有しているのだという。
「GIGA第1期の当初は調べ学習が中心となっていました。しかしGIGA第2期用の端末になってからは、OS環境も変わり、使えるツールも増えたことから生徒の中からもどんどん活用したいという意識が高まっています」と実際の授業での手ごたえを語るのは情報教育主任でもある教諭の小田氏だ。
松山市教育委員会の話にもあった起動の早さはもちろん、カメラの使いやすさや、長時間駆動バッテリーなども好評で、特にタッチペンについては積極的に使う生徒が多く、数学の授業などを中心に活発に活用されているのだという。「タッチペンは収納場所が分かりやすく、充電も早いので連続使用でもストレスがないようです。ほとんどの生徒が毎日端末を持ち帰っているので、中には家に忘れてくるケースもあります。しかし予備機に自分のアカウントでログインすれば、すぐに同じ環境が構築されるので、スムーズに授業に入れる点は先生方からも高く評価されています」と小田氏は語る。
今後はさらにGoogle社が提供する学校向けのツール群を使いこなしたいと語る小田氏。続けて、「最近ではGeminiの教育版を使いながら問題解決する授業を行うなど、生成AIについても導入し始めています。また、情報モラルも大切なのでリテラシーを高めるための情報発信なども並行して行っています。今後も児童生徒と先生方の意見を聞きながら、GIGA端末を積極的に使っていけるような授業に取り組みたいと考えています」と語ってくれた。
「生成AIは児童生徒だけでなく、先生方の校務DXにも役立つと思っています。例えば、学校のホームページ向けの記事作成などに生成AIを役立てれば、負担は大きく軽減できるでしょう。先生たちが抱える膨大な業務を整理することへの期待もあります。小野中学校は、今後も校務DX、教育DXを促進し、社会に貢献できる人材育成を続けたいと思っています」と最後に篠原氏は語ってくれた。HPはこれからも、小野中学校並びに松山市にあるすべての教育機関のサポートを続けていく。
HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook
先生、生徒、学校管理者からの声をもとに開発。耐久性、拡張性、汎用性を兼ね備え、高性能なペンが添付された教育向けコンバーチブルChromebook。
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