CopilotとChatGPT、ビジネスに最適なAIはどっち?
2025-03-21



「最近、AIツールってよく聞くけど、結局どれを選べばいいの?」「有名どころのAIツールは知っているが、会社に合うのはどっち?」
多くの企業が導入しているCopilot(コパイロット)とChatGPTは、どちらもビジネスの可能性を広げるAIツールとして注目されていますが、その特徴や強みを理解し、自社に最適な選択をするのは容易ではありません。
そこで本記事では、CopilotとChatGPTの違いを徹底的に比較し、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。この記事を読めば、自社のビジネス課題を解決できるAIツールを選び、業務に活かすことができるでしょう。
ライター:國末拓実
編集:小澤健祐
【一目でわかる】CopilotとChatGPTの違い
まずは、CopilotとChatGPTの違いを主要なポイントで比較します。以下の表に、開発元や用途、カスタマイズ性、価格など、両者の特徴をまとめました。
項目 | Microsoft Copilot | OpenAI ChatGPT |
---|---|---|
開発元 | Microsoft社(OpenAI技術提携) | OpenAI社 |
基盤モデル | GPTモデル(Microsoft Graphデータと連携) | GPTモデル、o1などの推論モデル |
主な用途 | Microsoft 365上での文書作成、データ分析、作業自動化 | 幅広い対話対応や創造的コンテンツ生成、プログラミング支援 |
最新情報へのアクセス | Bing検索との統合により最新情報の取得が可能 | 一部のモデルでは検索機能が利用できない |
連携ツール | Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams・Windows 11等と統合 | ChatGPTサービス上のみ |
カスタマイズ性 | 低い(Microsoft提供の範囲内で利用) | 高い(GPTsやプロジェクト機能など) |
価格 | Microsoft 365アドオン製品(企業向け: 約$30/ユーザー・月※) ※別途Microsoft 365のE3/E5ライセンスが必要 |
基本無料・追加機能はChatGPT Plus $20/月、Team $30/月 |
向いているユーザー | Microsoft 365を日常利用し、業務効率化を図りたい企業ユーザー | 独自にカスタムしたり、ChatGPTの持つ機能をメインに利用したいユーザー |
※Copilotの企業向け価格は2024年時点のMicrosoft 365 Copilotアドオン料金です。
出典:Microsoft 365 Copilot の価格、ChatGPTの料金プラン
上記のように、CopilotはMicrosoftエコシステム内での生産性向上に特化し、ChatGPTはプラットフォームに依存しない柔軟な対話型AIとして位置付けられています。
ここからは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
Microsoft「Copilot」とは?
Microsoft Copilotは、Microsoftが提供するAIアシスタントです。Microsoft 365アプリやWindows 11、Bing検索などと深く統合されており、ユーザーの作業を支援します。
Copilotの主な特徴
- Microsoft 365アプリとの統合:Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsといった日常業務ツールに組み込まれており、文書の要約や編集、メールの下書き、会議内容の要約などをアプリ内で直接サポートします。例えば、Outlook上でCopilotに指示すればメール要約や返信案の作成が可能です。
- Windows 11への標準搭載:Windows 11には「Windows Copilot」として組み込まれており、PC上の設定変更やアプリ起動、情報検索などをチャット形式で手助けします。タスクバーから呼び出せるため、作業中いつでもAIアシスタントに質問できます。
- Bing検索との連携:CopilotはBingのAI検索の機能も活用しており、Webから最新の情報を取得して回答に反映できます。そのため、社内データだけでなく公開されている最新ニュースやトレンド情報の確認も可能です。
- 企業向けセキュリティ:Microsoftのエンタープライズセキュリティと権限管理に準拠して動作し、社内の機密データもMicrosoft Graph経由で安全に扱います。データはMicrosoftクラウド内に留まり、アクセス制御も既存のMicrosoft 365のポリシーを継承するため、企業利用でも安心感があります。
Copilotのメリット
Copilotのメリットとしては、上述のようにMicrosoft製品とのシームレスな連携による業務効率化が挙げられます。日常使っているOfficeツール内でAIアシスタントが提案や自動生成をしてくれるため、ユーザーはツール間の移動を減らし作業時間を短縮できます。
また、Bingによる最新情報の取り込みや、Microsoftによるセキュリティ対策も大きな利点です。例えば、社内議事録をTeams会議後に即座に要約したり、最新の市場データを引用したプレゼン資料をPowerPointで自動生成するといった使い方が可能です。
Copilotのデメリット
一方、CopilotのデメリットとしてはMicrosoftエコシステムへの依存度の高さが挙げられます。他のプラットフォームや非Microsoft製ツールとの連携は限定的で、社内環境がMicrosoft中心でない場合は真価を発揮しづらいでしょう。また、ユーザー側でのAIモデルのカスタマイズ性が低い点も留意が必要です。
Copilotは提供された範囲内の機能で利用する形となり、独自の追加学習や調整はできません。そのため、「自社独自の文体で回答してほしい」「特定の業界知識に特化させたい」といった要望に対しては柔軟に対応できず、現状の機能セットの中で活用法を模索していくことになります。
OpenAI「ChatGPT」とは?
ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の汎用AI(大規模言語モデル)です。2022年末のリリース以来、その高度な応答能力が注目され、個人から企業まで幅広く利用が進んでいます。ChatGPTはWebブラウザ経由のチャットインターフェースで利用でき、TeamプランやEnterpriseプランなど、企業向けのサービス展開も行っています。
ChatGPTの主な特徴
- 多様なトピックに対応:ChatGPTは百科事典のように幅広い知識を持ち、一般常識から専門知識まで様々な質問に回答できます。業界知識、最新ニュース、歴史、科学、エンタメなど話題を問わず対話可能で、ユーザーからの追加質問にもコンテキストを踏まえて応答します。
- 創造的なコンテンツ生成:単なるQ&Aに留まらず、ブログ記事やキャッチコピー、ソーシャルメディア投稿文の作成などクリエイティブな文章生成を得意としています。指定した文体やトーンに合わせて文章を書かせることもでき、アイデア出しやライティング支援に有用です。例えば、ブランドイメージに合わせた広告コピーの作成や、顧客に響くキャッチーなフレーズの考案などに活用できます。
- 柔軟なカスタマイズ:GPTsと呼ばれる、カスタムGPTを作成し、他のユーザーと共有したり、特定の内容のみを設定できるProject機能や、画像生成、メモリー機能、特定の頻度でプロンプトを実行できるタスク機能など、さまざまな機能を持ちます。業務に合わせた柔軟な活用が可能です。
- コードや数式の支援:ChatGPTはプログラミングコードの生成やデバッグ支援、数式の計算説明など技術的な質問にも対応します。例えば、ウェブサイトの改善に必要なHTML/CSSコードを生成したり、データ分析に必要なPythonコードの作成を依頼したりすることも可能です。
ChatGPTのメリット
ChatGPTのメリットは、その幅広い応答能力と高い自由度にあります。前述のように業務・日常問わず様々なテーマで対話できるため、ビジネス分野でもアイデアの壁打ちや、コンテンツ制作に役立ちます。
また、ChatGPT自体が持つ、GPTsやProjectなどの、さまざまな機能と自身の業務プロセスを組み合わせることで、単なるチャットボット以上の活用も可能です。Copilotのように他のツール上で呼び出すことはできませんが、ChatGPTの画面のみで多くのことを完結させることが可能であり、業務ワークフローに合った形でAIを取り入れられます。
ChatGPTのデメリット
一方、ChatGPTのデメリットとしては、作成したGPTsなどを他のツールと連携できないことなどがあげられます。普段業務で利用しているチャットツールや、スプレッドシート上で呼び出すことはできません。
また、セキュリティとプライバシー管理も利用者側の責任となります。無料版やChatGPT Plusでの対話内容はサービス改善等に利用される可能性もあるため、社外秘データを不用意に入力すれば情報漏洩のリスクがあります。
企業で安全に使うには、OpenAIが提供するChatGPT Enterprise(エンタープライズ向けプラン)の利用や、API利用時に自社で暗号化・アクセス制御を施すといった対策が必要です。
ビジネスシーンでの活用比較
では、CopilotとChatGPTは、ビジネスシーンでどのように活用できるのでしょうか?
ここでは、①業務への適用例、②導入コストと容易さ、③セキュリティとデータプライバシーの3つの視点から両者を比較していきましょう。
①業務への適用例
- Copilotの活用例:Copilotは、Microsoft 365との連携を活かし、日常的な業務の効率化に力を発揮します。
- 文書作成:Wordで報告書や企画書を作成する際、Copilotが文章の構成や表現を提案し、作業時間を短縮します。
- データ分析:Excelで売上データや顧客データを分析する際、Copilotがピボットテーブルの作成やグラフの生成を支援し、分析の効率を高めます。
- コミュニケーション:Teams会議でCopilotが議事録を自動作成し、ネクストアクションを抽出することで、議事録の作成や会議後のフォローアップをスムーズにします。
- ChatGPTの活用例:ChatGPTは、創造的な発想や幅広い知識を活かし、新たな価値創造に貢献します。
- マーケティング:新製品のキャッチコピーや、SNS投稿のアイデアを生成し、クリエイティブなマーケティング戦略を支援します。
- 顧客対応/社内ヘルプ:サービス情報や社内ナレッジを学習させたGPTsを作成し、問い合わせに対応する時間を削減することができます。
- リサーチ業務:市場動向や競合分析など、幅広いテーマに関する情報を収集し、レポート作成を効率化します。
②コストと導入の容易さ
- Copilot:Microsoft 365の有償アドオンとして提供されるため、Microsoft 365ユーザーにとっては導入が容易です。ただし、利用にはMicrosoft 365のライセンスが必要であり、中小企業にとってはコストが課題となる可能性もあります。
- ChatGPT:基本無料で使用でき、ChatGPT Plusへの加入も比較的低コストです。APIを利用する場合は従量課金制となります。
③セキュリティとデータプライバシー
- Copilot:Microsoftのエンタープライズセキュリティ基盤上で動作するため、セキュリティ対策は充実しています。社内データを安全に扱いたい企業にとっては安心です。
- ChatGPT:無料版やChatGPT Plusでは、セキュリティ対策は利用者側の責任となります。企業で利用する場合は、TeamプランやEnterpriseプランを検討する必要があります。
どちらを選ぶべきか?
このように、CopilotとChatGPTは、どちらも強力なAIツールですが、その強みはそれぞれ異なります。
以下に、ユーザーのタイプやニーズ別に、どちらのツールが適しているかをまとめました。
ユーザーのタイプ・ニーズ | おススメAIツール | オススメの理由 |
---|---|---|
Microsoft 365を日常利用している企業 | Microsoft Copilot | 既存のOfficeアプリに深く統合されているため、トレーニングコストを抑え、すぐに業務に取り入れることができます。 |
セキュリティを重視し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えたい企業 | Microsoft Copilot | Microsoftのエンタープライズセキュリティ基盤上で動作するため、社内データを安全に管理できます。情報漏洩対策やコンプライアンス遵守を重視する企業におすすめです。 |
創造的なコンテンツ生成や、幅広い知識を必要とする業務が多いユーザー | OpenAI ChatGPT | 既存の枠にとらわれない、新しい企画立案、キャッチコピーの作成、コンテンツ制作など、創造的な業務において力を発揮します。 |
特定の業務に特化したAIを構築したい、カスタマイズ性を重視するユーザー | OpenAI ChatGPT | GPTsやProject機能など、業務に合わせて柔軟なカスタマイズが可能です。自社のデータと連携させたり、特定のタスクに特化したAIを構築することで、より高度な業務効率化を実現できます。 |
Microsoft製品との親和性を重視するならCopilot、幅広い業務に活用したいならChatGPT、というように、自社の状況や目的に合わせて適切なツールを選択することが重要です。
まとめ
Microsoft CopilotとOpenAI ChatGPTは、それぞれ異なる強みを持つ、ビジネスの可能性を広げる強力なAIツールです。Copilotは、Microsoft 365との連携による業務効率化、ChatGPTは創造的な発想と幅広い知識による新たな価値創造に貢献します。
どちらを選ぶべきかは、貴社の状況や課題によって異なります。日々の業務を効率化したいならCopilot、創造的なアイデアや幅広い知識を必要とするならChatGPT、または両方を組み合わせることで、AIの恩恵を最大限に享受できるでしょう。
そして、AIの進化は、まだ始まったばかりです。Copilot+ PCのように、AIが直接デバイスに搭載されることで、場所や時間を選ばずに、AIの力を活用できるようになります。今後、AIは私たちのビジネスや生活に、より深く、より自然に溶け込んでいくでしょう。
適切なツールを選び、AIを使いこなすことで、生産性を向上させるだけでなく、これまでになかった新たな価値を生み出すことができるはずです。
HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。
Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。
組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。
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