新しいAI PCの時代を切り開くCore Ultra 200Vの3つのプロセッサーの技術的詳細
2025-01-10
48TOPSという従来製品の4倍以上の性能を実現するIntelの「第4世代NPU」
Core Ultra 200Vでは、AIの演算を担当するNPUも大きく改善されている。AIの演算は、従来のCPUやGPUが得意としてきた、整数演算や浮動小数点演算に加えて、行列演算のような特殊な演算もより効率よく行なえるようなっている必要がある。NPUはそうした整数演算、浮動小数点演算、行列演算のうちAIの処理を行なう用途に特化した演算器を備えており、AIアプリケーションが必要とする演算を高効率に行なうことが可能になっている。
Intelの従来製品に搭載されていたNPUは、Intelが「第3世代NPU」と呼んでいるもので、11TOPS(一秒間に11兆回のAI命令の処理が可能)という性能を備えていた。こうした11TOPSでも、Windows スタジオ エフェクト のようなTeamsやZoomなどの電話会議の背景をぼかす処理などをNPUでやることなどには十分対応できていたのだが、5月にMicrosoftが新しいAI PCの販促プログラムとして「Copilot+ PC」を開始して、その要件としてNPUの性能を40TOPS以上とするようになると、それでは性能が足りないという状況になった。
それに対して、Core Ultra 200Vでは、Intelが「第4世代NPU」と呼んでいる新しいアーキテクチャのNPUが採用されている。この第4世代NPUは、演算器の数が第3世代NPUに比較して3倍に増やされており、さらに内部構造の最適化などが図られ、48TOPSと従来製品の4倍以上の性能を実現し、同時にCopilot+ PCの要件である40TOPS以上という要件を満たすようになっている。
MicrosoftはCore Ultra 200VでのCopilot+ PCへの対応を既に明らかにしており、まもなく開始する予定だが、評価用ベータ版プログラムである「Windows Insider」版のWindowsでは既に対応が始まっている。
実はAIアプリケーションの実行に重要な役割を果たしているGPU、「Xe2」ベースに進化
GPUはGraphics Processing Unitという名称からもわかるように、もともとはPCのグラフィックス処理を専門に行なう演算装置として発展してきた。しかし、近年はGPUを一般的な演算、具体的には大きなサイズのデータを処理する演算装置として利用することが一般的になっており、CPUと並んで重要な演算装置になっている。さらに、GPUは大量のデータを並列して処理することが得意で、AIのような処理にも向いている。
確かにNPUはAI専用に処理を行なう演算装置で、特にMicrosoftのCopilot+ PCに対応したAIアプリケーションはNPUをフルに活用している。
しかし、一般的なAIアプリケーションは、現状ではほとんどがCPUとGPUを併用して処理するのが一般的だ。例えば、AdobeのPhotoshopやPremiere ProといったアプリケーションにもAI機能が実装されているが、そうしたAI機能はGPUを利用して演算する。NPUへの対応は今後行なわれる予定だ。そうしたことを考えると、現実的にはGPUの性能はAI活用のための重要なポイントになる。
今回IntelはCore Ultra 200VのGPUをXe2と同社が呼んでいる新世代のGPUへと進化させた。Xe2というのは「第2世代Xe」という意味で、同社が2020年後半に導入した第11世代インテルCoreプロセッサーで導入されたXeと呼ばれるGPUアーキテクチャの第2世代となる。Xe2ではグラフィックスの描画に利用されるシェーダーエンジンと呼ばれる内部の演算器が大きく改良されており、グラフィックスを描画するときの効率が大きく改善されている。
Xe2ではそれに加えてXMX(Xe Matrix eXtensions)という、GPU内NPUのようなAI専用の演算器が内蔵されている。これを活用することでGPU単体で67TOPSと、第4世代NPUの48TOPSを上回る性能を実現することができる。
目的に応じてCPU、GPU、NPUなどを使い分けていくことが重要、Core Ultra 200Vではすべてが強化
このように、GPUを使うと67TOPSとNPUを上回る性能でAI演算が可能になる。それならずっとGPUを使って演算すれば良くて、NPUは必要ないのでは?と思われる方もいるだろう。だが、それは正しくない。というのも、同じ性能(例えば48TOPS)で比較した場合、NPUの消費電力はGPUのそれに比べて圧倒的に低くなっている。
つまり、ACアダプターに接続してノートPCを使う場合には、GPUを使ってAI演算を行なうのが正解だが、逆にバッテリーでノートPCを使う場合にはそれだとあっという間にバッテリーがなくなってしまうので、NPUを使ってAI演算を行なうのが合理的だと言うことだ。
バッテリー駆動時のユースケースだと、例えばAIを利用して背後をぼかす(背景ぼかし)機能などが良い例だろう。こうした機能はTeamsやZoomなどで電話会議をやっている間、終始、利用されるため、それをCPUやGPUで処理するとバッテリーがあっという間になくなってしまうだろう。しかし、それをNPUでやれば、無駄にバッテリーが減っていくことを避けることができる。
このように、これからのAI PCは複数のプロセッサーを複合的に活用していくことが重要になってくると考えられており、Core Ultra 200Vはそのファーストステップとなる製品だといえる。
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