現代社会が抱える課題を対話型AIエージェント「HITO」で解決
HP ハイブリッドAI推進コミッティレポート
2026-08-18
2026年6月9日より提供が開始された株式会社Awwの新サービス、対話型AIバーチャルヒューマン「HITO(ヒト)」。画面の中に存在する、バーチャルヒューマンモデルが自律的に自然会話し、施設案内やよくある質問への対応を多言語で行うことが可能ということで大きな注目を浴びている。「採用せずにチームを増やす」をコンセプトに開発されたこのサービスについて、代表者の守屋 貴行 氏に話を伺ってきたので紹介しよう。
取材:中山 一弘
AIエージェント開発の経緯
今回、新しいAIサービスである「対話型AIエージェント『HITO』」の提供を開始されたそうですが、これはどういったきっかけで作られたサービスなのでしょうか。
Awwではこれまでも、バーチャルヒューマンと対話できる仕組みなどは持っていました。ただ、これについては個社開発が基本になっていて、「こういうのが欲しい」というオファーを個社単位で受注し、対応するという形になっていました。
しかし、最近では需要が増大していることを実感していましたので、それだったらきちんとサービス化して提供しようということで、様々な企業様にも対応するものとしてサービスをまとめ上げて、対話型AIエージェント「HITO」を今回ローンチしたということになります。
このニーズの高まりには大きく2つの理由があると考えています。ひとつは社会問題でもある人口減少による人材不足が特に地方を中心に顕著化してきたこと。もうひとつはインバウンド需要の急増があると思っています。こちらは日本の人口は減っている状況でも、訪日外国人の方は増えている実情があるのに、そこにきちんと対応できていないという事情もあるようです。
この2つの要因に対してマッチするサービスとしてお問い合わせをいただくことが多いと思います。
観光業などはもちろんですが、自治体様や鉄道・空港などの公共サービスの分野でも幅広い需要があります。あるいは大規模なイベントなどで、例えばレース会場などでは海外からのお客様がとんでもない人数で集まるようなこともあります。そういった場所では本当に人材不足が深刻で、大勢の海外のお客様に対して、「英語を話せる係員は1人しかいません」というようなこともあったりして、なかなか十分な対応ができないこともあります。
こういった現場でも、「HITO」を導入して対応したいというお問い合わせをいただくことも多いと思います。
そのような様々なニーズに対応できる「HITO」の開発にあたって、いちばん苦労したのはどういったところだったのでしょうか。
弊社では自社でLLMを開発している訳ではありません。TTS、ASRと呼ばれる技術があるのですが、このTTS(Text-to-Speech)はテキストを人間の声のような自然な音声へ変換する技術で、ASR(音声認識)は人間の声を聞き取る技術を指しています。この技術に関して、弊社では現在世界中にあるこういったサービスについて、常に検証を繰り返しており、多くのノウハウを得ています。
例えば、単体のTTSとして優れていても、「HITO」に組み込んでみると想定したほど機能しないというようなこともありました。このため、ひたすらテストを繰り返してTTSとASRを最適な組み合わせに調整していくというのが、開発で最も苦労した点だと思います。
現在、一定の完成度に達している「HITO」に関しても機能・性能は常にアップデートしていますし、例えば最近でもお客様とAIエージェントが会話した内容を、持ち帰れるようにするクローニングの仕組みや、画像出力できるようにするなどの改良を行っています。
「HITO」をご利用いただくと単純に多言語での対応ができますということだけではなく、その会話の記録をレポートとしてまとめることができますし、100人の対応をしたときにどういう傾向があるのか、設置場所による傾向の違いなども簡単にまとめることができます。
これによって、クライアント企業様がこれまで気づいていなかった情報や、需要などについての知見を得ることができるようになるのも大きなメリットだと思います。いってみれば「フィジカル空間のDX化」というところが、大きな特徴だと思います。
「HITO」に関しては、人間のような顔があって表情があるところが特徴だと伺っています。これによって、お客様との対応には差が大きく出てくるものなのでしょうか。
Awwはバーチャルヒューマンに長く取り組んできていますので、この「表情」というものをとても大切に考えています。
いま3DCGも活用していますが、技術がどんどん進んでいるので、これまでのキャラクター的なものから、まさに生身の人間がいるような状態にもなってきています。
ただ、これに関してはバーチャルヒューマンとして人間の姿だけを重視するのではなく、業務内容やニーズに応じて、キャラクターなどにすることも可能です。とはいえ、多くの企業様と話しているなかで、会社の顔としてはキャラクターだけでやるわけにはいかないというところも多く、もう少しリアルな人間の感じでやりたいというニーズも多いと感じています。
現在、レンタルキャラクターが男性2種類、女性2種類の4種類あって、これはそのまま使っていただく形になるので、比較的安価にご提供できるタイプになっています。
また、セミオーダーとフルオーダープランもあって、セミオーダーでは男性8種類、女性8種類くらいのキャラクターから、それぞれに対して髪の色などの多少のカスタマイズが可能になっています。フルオーダーに関しては完全にイチから作成するので、オリジナルとしてどのようにもご希望に応えることができます。
「HITO」はいまどのような業界で使われているのでしょうか。
実際にリリースして感じたのは、冒頭で述べた人手不足とインバウンド需要の対策へのニーズはかなり大きいという現状です。特に海外のお客様への対応に関して、例えばインバウンド向けに海外の方を10人雇ってみたとしても、それぞれのスキルも異なるので均一の対応というのはなかなか難しくなります。
回答の均一化も難しくて、言って欲しいポイントが抜けているなどの問題があるので、それを解決するものとして「HITO」に注目してご相談いただいている例もあります。その場合にもレンタルキャラクターであれば、実際に人間を雇うよりも安く済みますので、そういった点での引き合いも増えています。
その他の事例としては自動車産業や住宅販売などでもご相談をいただいています。特に住宅販売系では、ショッピングモールのなかに入っている住宅販売の無人カウンターで、そこにバーチャルヒューマンを置いて対応しようとしているものなどがあります。現在進行形では、空港や電鉄など幅広い業種で準備しているところがあります。
「HITO」の場合は特定の業種というよりは「単純に自分の会社を紹介するために置きたい」といった理由や、多業種で展開している企業様などで導入してみて多部署で使ってみたいというようなニーズもあります。
他にも一定期間いろいろな部署で使ってみて、「ここではこういう使い方ができる」などの知見が得られたら、複数台実際に導入したいというようなお話も進んでいます。
柔軟なサービス提供が可能な「HITO」
クライアント企業の規模や都合にもよると思いますが、「HITO」はクラウドサービスとして利用する形になるのでしょうか。
ある程度ハイスペックなPCがあるとよいのですが、お客様の手持ちの環境のままでクラウドから「HITO」のサービスのみをご利用いただくことも可能です。もちろん必要であれば、モニターやPCなども含めてパッケージとしてご提供することもできます。
例えばKDDI様に池袋の店舗で「HITO」を導入していただいているのですが、この場合はワークステーションなどの環境はそろっているので、Aww側ではサービスのみをご提供するという形になっています。
必要なコンピューターのスペックに関しては、バーチャルヒューマン自身を自社内で運用するのであれば、AMD Ryzen™ Threadripper™ Proプロセッサ搭載の「HP Z6 G5A Workstation」クラスが最適だと思います。クラウドからご利用の場合は、AI PCのスペックを持つものをお勧めしています。例えば「HP ProBook 4 G2i 14 AI PC」、「HP ProBook 4 G2a 14 AI PC」クラス以上であれば安心だと思います。
通信回線に関しては、有線LANであれば安定してお使いいただけますし、5G回線でも問題なく利用できます。KDDI様のStarlinkなどの通信回線に関しても、これから対応していく予定ではあります。
実際に「HITO」をリリースしてみると、これまで弊社が想定していなかったような業界やお客様からの引き合いもありました。例えば教育機関などからもお問い合わせをいただきましたが、子どもたちが自由に相談できるような場所を作りたいなどのお話もありました。
特に教育機関などでは一気に導入するのは難しい場合もあると思いますので、PoCプランなどについても準備を始めています。例えば3カ月くらいの短期で使ってみたいというお客様もいらっしゃいますので、そういう場合にはこちらからもいろいろとご提案しながら、ある程度のディレクションをしながら使っていただき、便利さを実感していただければと思っています。
やはり真新しいサービスなので、いきなり1年間プランというのではなく、手軽にお試しいただけるプランもご用意していこうと思っています。
様々な使い方やニーズに対応する「HITO」
これまで個社対応の経験も多かったとのことですが、実際に「HITO」を扱うのはそれぞれの企業様で簡単にできるようになるのでしょうか。
従来の個社対応では、簡単にいえば「こういう風にしゃべらせたい」といったニーズが多かったように思います。「HITO」ではわかりやすい管理画面を提供することによって、担当者がRAGプロンプトを手軽に扱えるようにしていますので、その作業はとても楽になっています。さらに現在では、そのプロンプトを決める作業自体にもエージェントが入り始めているので、「こんな感じで~したい」というようなざっくりした決め方でも、エージェントが理解して自律的にプロンプトを作成してくれるようになってきています。
応用の幅も広いので、様々な環境に合わせて活用していけるものだと思います。いまのところ、これが「HITO」のいちばんの強みだと考えています。本サービスはまだまだ序章に過ぎないと感じているので、対話型のモニターのなかでできることを、もっともっと拡張しようと考えています。
様々なエージェントを追加する構想もあります。例えば会社で外向けに使うだけではなく、内向きの用途で使うこともできるようになります。工場の在庫や資材管理などに応用すれば、「あのパーツはどこにあったかな」ということを「HITO」に問い合わせるだけで簡単に教えてくれるようになるかもしれません。様々な可能性が広がる技術だと思いますので、今後もご期待いただきたいと思います。
現在の課題を解決するだけでなく、今後も成長してくれるサービスであることが分かりました。その分、期待も大きいソリューションになりそうですね。本日はありがとうございました。
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