2025年のビジネスPC、AI利活用の光と影

2025-02-18

2025年になって間もないというのに、AI周辺トレンドは活発な動きを見せ、そこから目を離すことができません。個人的には2025年のビジネスPCは先祖返りをするんじゃないかと考えています。PCがいったい何の役にたつのか誰もわかっていなかった時代に、その可能性を信じてPCにのめり込んでいった人たちがいました。今のAI活用にはそんなムードを感じます。

フリーランスライター:山田祥平

MicrosoftのCopilot+ PC特設サイトより
MicrosoftのCopilot+ PC特設サイトより

AI活用の道具としてのCopilot+ PC

Microsoftは今後のPCにおけるAI利用を促進するために、Copilot+ PCというカテゴリを提唱しています。マーケティングのためのブランディングですが、特定の要件を満たすPCがCopilot+ PCを名乗ることができるとして、既存PCとの差別化をもくろんでいます。

そして、その要件のうち、もっとも重要なもののひとつがAI処理に使える40TOPS以上の能力を持つNPUです。その高性能NPUが搭載されていなければCopilot+ PCを名乗ることはできません。NPUはニューラル・プロセッシング・ユニットの頭文字です。つまりAI処理に特化したプロセッサーです。また、TOPSというのは1秒あたり、どのくらいの演算ができるかを示す単位で、テラ・オペレーション毎秒を示します。つまり、Copilot+ PCを名乗るためには40兆回/秒超のAI処理ができる能力があることが求められるのです。

Copilot+ PCがMicrosoftのパートナー各社から発売されはじめたのは2024年6月です。その時点で、40TOPS以上のAI処理能力を持つNPUを持ったPC用SoCはQualcommの「Snapdragon X Plus」および「Snapdragon X Elite」だけでした。

2023年に登場したIntelのCore Ultraプロセッサーは、Intel初のNPU内蔵プロセッサーで、それを搭載したPCはAI PCであるとされていましたが、その処理能力は40TOPSには届かず、IntelはCore Ultraプロセッサーの刷新を急ぐ必要性に迫られました。果たして1年後の2024年秋、Core Ultraプロセッサーはシリーズ2となり、圧倒的な省電力と40TOPS超のAI処理能力を提供できる製品としてリリースされました。

HPもシリーズ2のCore Ultraプロセッサーを搭載したビジネスPCとして HP EliteBook X G1i 14 AI PC を発表済みで、その日本での発売が待たれています。

NPUとAI

Copilot+ PCの40TOPS超というAI処理能力を有効に活用するには、AIアプリがNPUの存在をしっかりと認識し、それを積極的に活用する必要があります。昨年夏に発売されたQualcomm Snapdragon搭載のCopilot+ PCは、確かに40TOPS超の性能を持つNPUを持っていましたが、この半年の間、本当にそれが有効に使われたかどうかには、ちょっとした不安があります。それがAI活用の影の部分です。

Copilot+ PCで稼働するWindows 11では、Microsoftが提供するいくつかのAIアプリが有効になり、確かにそれらはNPUを使ってAI処理をし、その結果を生成したりはするのですが、それがビジネスアプリとして仕事の効率化に直結するものかどうかはまだ判断できません。Windows 11で標準アプリのWordPadが廃止されたことが話題になりましたが、Microsoft Wordを使わずにWordPadを使ってビジネス文書を作っていたエンドユーザーがどれほどいたでしょう。Copilot+ PCに提供されるAIアプリにはそんなムードを感じます。

今どきのPCにAI処理能力を求められているのは、今後のAI活用がエッジ、すなわちPCローカルで処理されるようになる可能性があるからです。それはAI活用の光の部分といってもいいでしょう。

処理する材料をクラウドに投げ、返ってきた処理結果を並べて表示するだけなら、PCにそれほど高性能なNPUを実装する必要はありません。

クラウドサービスとしてのAIとローカルサービスとしてのAI、そしてそれらをハイブリッド統合したAIはそれぞれがそれぞれで使い勝手や用途、役割が異なります。

いっさいの情報をローカル処理系から外部処理系には渡さないというパーフェクトにクローズドなポリシーでAI処理を実行するにはローカルPCに高性能NPUが欠かせません。

超絶に機密な情報を処理するためには重要なポリシーです。あるいは他者の知的財産を侵害していないことを保証する必要もあります。それには外部の処理系との明確に切り離した処理が必要です。でも、その代償として、頼りになる相棒としてのAIはそのPCに閉じ込められます。

現時点でローカル処理されるAIは、常に新たな情報を学習して成長していくというよりも、事前に学習したスキルを元に生成のための膨大な単純処理を繰り返すような方向性で使われているように見えます。また、現時点ではGPUを積極的に使うソリューションも目立ちます。

すべてのAI処理がローカルで行われるようになった場合、その成長はPCに閉じ込められることになってしまいます。複数のPC、スマホ、デスクトップ、ワークステーションといった異なるデバイスを適材適所で使いこなすスタイルでの運用が難しくなってしまいます。それともクローズドなネットワークを介し、組織内の知的財産を単一の組織内サーバーストレージに集約するような仕組みが確立されるようになるのでしょうか。その環境にNPU処理も求められるのかどうかも気になるところです。

PCの基礎能力の底上げを望むAI

ハードウェアとソフトウェアはクルマの両輪であるというのは昔からよく使われるたとえです。AI処理に長けたハードウェアとそれを駆使するアプリの存在は、これからのビジネスPCの使い方に大きな影響を与えていくことになるでしょう。

これからといってもそんなに遠い話ではありません。AIの活用がたった数ヶ月で一般のビジネスの現場に浸透していったのです。それをこなす道具としてのPCが変わらないわけにはいきません。

そんなことを妄想していたら、Microsoftが話題のDeepSeekをCopilot+ PCに導入することを発表、最初は既発売のSnapdragon Xデバイスで、それに続いてIntel、AMDのプロセッサー搭載機に導入されるそうです。

また、アドビもAcrobatでPDFやWordドキュメント等を学習して、その要約や質問への回答などをこなす「Acrobat AIアシスタント」日本語版の一般提供を開始することになりました。こちらは指定した文書ファイルの内容のみが対象となるモデルで、学習にはクラウドに文書をアップロードする必要があります。

アドビによるAcrobat AIアシスタントのキービジュアル
アドビによるAcrobat AIアシスタントのキービジュアル

いや、まったく、AIのトレンドからは二度と目が離せません。大げさではなく、本当に、PCのユセージモデルを変えてしまいそうです。年初なのに、来年どころか、来月の話を想像しても鬼に笑われそうです。

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

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ハイブリッドワークに最適化された、Windows 11 Pro+HP ビジネスPC

ハイブリッドなワークプレイス向けに設計された Windows 11 Pro は、さらに効率的、シームレス、安全に働くために必要なビジネス機能と管理機能があります。HPのビジネスPCに搭載しているHP独自機能は Windows 11 で強化された機能を補完し、利便性と生産性を高めます。

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