AIを前提とした働き方には、それに応えられるPCが必要になる――HP EliteBook X G2i 14 AI PCレビュー
2026-09-18
生成AIを日常的に使うようになり、調査を任せている間に別の資料を作り、複数の作業を同時に依頼し、短時間で返ってきた成果物を確認して仕上げるといったこれまでにはない働き方が可能になりました。
ひとつの仕事にかかる時間が短くなるほど、同じ時間に扱う仕事の数とアウトプットの量は増えていきます。
私は Microsoft MVP として、企業向けに Microsoft 365 Copilot の導入支援や研修・AIエージェントの実装支援を行っています。日々の仕事でも、基本的には Copilot を活用して、3件の PowerPoint 資料を並行して作らせながら、Teams で連絡を取り、別の資料を確認するといった働き方が増えました。
こうなると大事なのは「AI機能が付いているPCか」だけではありません。
AIを含む複数の仕事を同時に動かしても流れを止めないための、PCそのものの基礎体力です。
今回取り上げる「HP EliteBook X G2i 14 AI PC」は、最大50 TOPSのNPUを搭載した Copilot+ PC です。私が使用している構成は、インテル® Core™ Ultra X7 シリーズ 3 プロセッサー 358H、メモリ32GB、Windows 11 Pro を搭載した、HP eSIM Connect 対応モデルです。
※なお、機能やサービスの情報は2026年7月時点のものです。
本記事では一般的なスペック紹介だけでなく、生成AIを日々の仕事で使う立場からX G2iによって何が変わったかをご紹介します。特にAIによる並行作業を支える処理性能や移動中も仕事を続けられるHP eSIM Connect 、画面上の情報をすぐ扱える Click to Do、そして軽さやタイピング感といったPCの原点ともいえる部分を実務目線で見ていきます。
先に結論ですが、AI時代に必要なのはローカル環境で活躍するAI機能はもちろん、AIによって増えた仕事量を受け止められるPCなのだと思います。
ライター:神川陽太
HP EliteBook X G2i 14 AI PCとは
HP EliteBook Xシリーズは、HPの法人向けノートPC「EliteBook」シリーズの最上位ラインとして、高いパフォーマンスと快適な操作性を追求したプレミアムノートPCです。今回紹介するHP EliteBook X G2i 14 AI PCは、そのXシリーズに属するAI PCです。
日本HPの製品情報では、インテル® Core™ Ultra シリーズ 3 プロセッサー、最大50 TOPSのNPU、32GBのLPDDR5Xメモリを搭載し、最軽量構成では約999gからと案内されています。14インチ・16:10のディスプレイ、Wi-Fi 7、5G、5MP AI Webカメラ、AIノイズリダクション、HP Wolf Securityなど、外出先を含む業務利用を想定した機能も備えています。
なお、重量、ディスプレイ、ストレージ、5Gの有無などは構成によって異なります。本記事は、筆者が使用しているインテル® Core™ Ultra X7 シリーズ 3 プロセッサー 358H、メモリ32GB、HP eSIM Connect 対応モデルでの体験をもとにしています。
なぜPCの性能が必要なのか
AIにひとつの資料作成を任せて待つのではなく、複数のAIへ異なる仕事を同時に依頼する。AIが調査している間に、人は Teams 会議へ参加したり、別案件の PowerPoint を編集したりする。さらに、AIが短時間で文章や画像、資料案を生成することで、人が確認し、比較し、仕上げるアウトプットも増えていきます。
私の場合、Microsoft 365 Copilot に3件の PowerPoint 資料を並行して作らせることがあります。その間にも、ブラウザで情報を確認し、Teams でやり取りを行い、別の資料を開いていたりします。
PC上では複数のブラウザタブ、PowerPoint、Teams、M365 Copilot が同時に動いている状態です。
ここで動作が重くなったり、アプリの切り替えに時間がかかったりすると、せっかくAIが生み出したスピードが、最後にPC側で失われてしまいます。
顧客先でAI活用の相談に乗っていると、私のPCでデモしたときと先方のPCで同じような作業をしたときで体感が違うことがあります。具体例を挙げれば、AIの回答が表示されるまでの流れや参照するファイルの読み込み、その後の資料編集へ移る場面です。実際に「AI時代には、もっといいPCが必要なのでは」とお客様から聞いたこともありました。
もちろん、Copilot の回答速度はネットワークやクラウド側の状況にも左右されるため、PCの性能だけで決まるわけではありません。ただ、ファイルを開いてAIへ渡し、回答を待ちながら別の作業を進め、返ってきた内容を PowerPoint で仕上げるところまで含めるとPCの差は仕事全体の体感に表れます。
X G2iに搭載されたインテル® Core™ Ultra X7 シリーズ 3 プロセッサー 358Hと32GBメモリの価値は、単にひとつのアプリを速く動かすことではありません。人間と複数のAIが並行して働く状態を、滞りなく支えられることにあります。
インテル® とHPのリレーション
HP EliteBook X G2i 14 AI PCを強力に支えるのが、最新世代のインテル® Core™ Ultraシリーズ 3 プロセッサーだ。インテル® Core™ Ultra X7 シリーズ 3 プロセッサーは、最高レベルのパフォーマンス、最先端のAI体験、画期的なグラフィックス、そしてどこでも作業できる機能を提供する。妥協のないモバイル性を追求して設計されており、最新のPコア、Eコア、LP Eコアアーキテクチャ、Copilot+ を可能にする内蔵NPUを備え、最大約27時間の優れたバッテリー駆動時間、前世代比で最大60%向上したCPU性能、約2倍となったAI処理性能を基盤としている。さらに最大77%向上したグラフィックス性能を発揮するインテル® Arc™ GPU を内蔵したモデルも用意され、幅広いシステムタイプやユーザーのニーズに対応可能なのだ。
(※)インテル® Arc™ ブランドについて:
内蔵インテル® Arc™ GPU は、規定の Xe コア要件を満たす一部の「インテル® Core™ Ultraシリーズ 3 プロセッサー」搭載システムでのみご利用いただけます。その他のシステム構成には「インテル® グラフィックス」が搭載されます。詳細については https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/details/discrete-gpus/arc.html をご覧ください。なお、実際のパフォーマンスや測定結果は、ご使用環境やシステム構成により異なる場合があります。
5Gがあることで、AIとの仕事を現場まで持ち運べる
以前使っていたPCからX G2iへ乗り換えて、最も大きな違いを感じたもののひとつが5Gです。
私は出張や顧客先など、社外でAI活用の相談に乗ることが多くあります。その場で実際の機能を開き、情報を調べ、AIへ指示を出し、動きを見せる場面も少なくありません。
従来であればまず利用できるWi-Fiを確認し、なければスマートフォンのテザリングを有効にする必要がありました。場合によってはモバイルWi-Fiルーターも持ち歩くコストもかかります。ひとつひとつは小さな手間ですが、「今ここで試したい」という瞬間に準備が挟まると、仕事の流れは途切れます。
私はX G2iで「HP eSIM Connect」を利用しています。PCを開けばそのままオンラインのAIサービスへアクセスでき、モバイルWi-Fiルーターを持ち歩く必要も、スマートフォンでテザリングを有効にする操作もなくなりました。
移動中にも絶え間なくAIに指示を出しておける点も、AIにタスクを任せられる今ならではの働き方になっているように思います。
Click to Do で、画面上の情報をAIへ渡す手間を減らす
X G2iは Copilot+ PC の要件を満たしているため、Windows 11 に組み込まれた「Click to Do」を利用できます。
Click to Doは画面上のテキストや画像を選び、その内容に応じた操作を直接呼び出せる機能です。
私は特に通常の操作ではきれいにテキストを選択できないWebページから、必要な情報を取り出したいときに使っています。
Webページによっては、文章をコピーすると不要なメニューまで入ったり、改行やレイアウトが崩れたり、必要な範囲だけをうまく選べなかったりします。ほかにもAI生成画像が資料に含まれることも増えましたが、その文字データだけを抜粋したいといったニーズも増えています。
Click to Doを使えば、画面に表示されている対象を直接選んでコピーや検索、Copilotへの受け渡しといった次の操作へつなげられます。
生成AIの使い方というとどのようなプロンプトを書くかに注目が集まりがちです。しかし実務では、目の前にある情報を、AIが扱える形にして渡すまでの前処理が意外なボトルネックになります。
Click to Doは、その小さな摩擦を減らす機能です。1回の短縮時間はわずかでも、情報収集や資料作成のたびに繰り返す操作だからこそ日常的には大きな違いになります。
なお Click to Do で表示されるアクションは、Windows の更新状況や利用環境によって異なる場合があります。また Copilot へ内容を渡して処理する操作では、その段階からクラウドサービスが利用されます。画面の認識をローカルで行う部分と、クラウドAIへ引き渡した後の処理は分けて理解する必要があります。
軽さとタイピング感は、AI活用と無関係ではない
X G2iへ乗り換えて感じたもうひとつの違いが、軽さとタイピング感です。
Copilot+ PCという名称からは、NPUやAI機能に目が向きます。しかし、仕事道具として毎日使う以上は持ち運べること、長時間入力しても負担が少ないことがAI機能と同じくらい重要です。
X G2iは最軽量構成で約999gからとされ、以前使っていたPCと比べても、日常的に持ち出しやすいと感じました。
AIが下書きを作ってくれるようになっても、人間の入力がなくなるわけではありません。AIへ目的や背景を伝え、返ってきた文章を修正して追加指示を出す。むしろAIと対話する回数が増えるほど、キーボードへ触れる時間が増える場面もあります。
X G2iのキーボードはしっかりとした打鍵感があり、長い文章やプロンプトを入力しやすいと感じています。こればかりは触ってみなければわからないポイントだと思うので、ぜひ一度体感していただきたいと思っています。
価格をどう考えるか
X G2iはプレミアムビジネスPCであり、価格だけを見れば、誰にでも勧めやすい製品ではありません。AIをまだほとんど使っておらず、PCを社内の固定席で使うことが中心であれば、ここまでの性能や5Gを必要としない場合もあります。
一方でAIを使うことで同時に扱う案件やアウトプットが増えている人にとっては、PCの価値を購入価格だけで判断しにくくなっています。
Wi-Fiやテザリングを準備する時間、アプリの切り替えを待つ時間、PCを持ち歩く負担、複数のAIから返ってきた成果物を仕上げる時間。こうした小さな中断を減らし、同じ時間に進められる仕事を増やせるのであれば、PCは単なる消耗品ではなく仕事の生産量を支える設備になります。
HP EliteBook X G2i が向いている人
実際に使った経験から、X G2iは次のような人に向いています。
- Copilot や ChatGPT など、複数のAIサービスを日常的に使う人
- AIへ複数の仕事を任せながら、自分も別の作業を並行して進める人
- 出張、顧客訪問、現場での仕事が多く、通信環境に左右されたくない人
- PowerPoint、Teams、ブラウザなどを同時に開いて仕事をする人
- 軽さだけでなく、タイピングや会議品質も妥協したくない人
- 法人利用に必要なセキュリティと管理機能を重視する人
誰にでも必要なPCというより、AIによって仕事の進め方がすでに変わり始めている人ほど価値を感じやすい製品です。
まとめ ── AIを前提とした働き方に耐えられるPCを選ぶ
X G2iを使って感じたのは、Copilot+ PCの価値はAI機能だけではないということです。
Click to Doで画面上の情報をすぐ次の仕事へつなげる。HP eSIM Connectによって、出張や顧客先でもAIとのやり取りを続ける。そして、AIが生み出した複数の成果物を、インテル® Core™ Ultra X7 シリーズ 3 プロセッサーと32GBメモリを備えたPC上で確認し、仕上げていく。
AIによってひとつの仕事が速く終わるほど、人間はより多くの仕事を並行して扱えるようになります。だからこそ、AIに任せられる仕事が増えるほど、PCの基礎体力が重要になります。AIのためだけに高性能なPCが必要なのではなく、AIによって増えた仕事量を受け止めるために、それ相応のPCが必要になるのです。
その先を考えるうえで象徴的なのが、Microsoft が発表した「Microsoft Scout」です。Scoutは質問に答えるだけのチャットAIではなく、メールや Teams、予定表などの仕事の文脈を踏まえて会議の調整や準備、メールの下書きといった仕事をバックグラウンドで進めるための常時稼働型のパーソナルエージェントです。
2026年7月時点では、米国の一部 Frontier 顧客を対象としたプレビュー段階であり、日本で一般的に利用できる機能ではありません。
ただ、Scout が示している方向性はとても重要だと感じています。AIが人の指示を待つだけでなく、複数の仕事を先回りして進めるようになれば、人間が確認し、修正し、次の判断をするアウトプットはさらに増えていきます。PC上で同時に扱うアプリやファイルも、今より増えるはずです。
PCは、一度購入すれば数年単位で使う仕事道具です。今利用できるAI機能だけを基準に最低限の構成を選ぶのではなく、これからAIを前提とした働き方が本格化したときにも余裕を持って使えるか。
この視点で考えると、十分なCPUとメモリ、NPU、そして5Gを備えたX G2iを選ぶことは、すでに迎えつつある近い将来の働き方に向けた先行投資だと捉えられます。
生成AIをすでに仕事へ組み込み、PC側の待ち時間や中断が気になり始めた人にとって、検討する価値のある一台だと感じました。
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。







