未来が垣間見える最新テクノロジーが集結する「未来をつくるテクノロジー展 日経クロステックNEXT 東京 2026」に HP が出展
2026-11-06
2026 年 9 月 29 日、30 日、東京国際フォーラムにおいて日経BPが主催するイベント「未来をつくるテクノロジー展 日経クロステックNEXT 東京 2026」が開催された。AI をはじめとした最新の IT 基盤や、セキュリティ、各組織が提供している DX サービスなど、業務効率化、生産性向上に直結する最新のサービス・ソリューションがここに集まった。HP も、もちろんこのイベントに参加。多くの来場者に HP が持つテクノロジーの最新情報を届けた。ここではその概要をお届けしたいと思う。
取材:中山 一弘
HP の現在を伝えるブース展示
本イベントにおいて HP ブースはコーポレートカラーのホワイト&ブルーに彩られたレイアウトを採用。PC のグローバルベンダーとしてはもちろん、企業や組織の DX をけん引する最新ソリューションを紹介した。
「特に働く場所を選ばない、HP eSIM Connect、HP Protect and Trace with Wolf Connect(HP Wolf Connect)、HP Sure View といった、外出先での生産性向上や安全性を高めるソリューションを紹介しています。また、インテル様との共同出展ということもあり、最新のインテルプロセッサーを採用したモデルも多数展示させていただいております。素晴らしい音質をご確認いただける HP Poly のコーナーや、豪華製品が当たるエンターテインメントイベントなどもご用意していますので、来場者のみなさまに楽しみながら、HP を体感していただける構成となっています」と HP ブースの概要を説明する日笠氏。
特に 2026 年 10 月に販売を開始した 1kg 未満の最新モデル「HP EliteBook 8 G2iW 14」も展示されているなど、開場と同時に大勢の来場者がブースを訪れていた。「このモデルは日本のお客様からご要望が多かった仕様をすべて盛り込んだモデルに仕上がっています。最軽量構成時の想定質量が 1kg を切るボディはもちろん、LAN ポートを備えるなど、みなさまからリクエストが多かったスペックを満載していることもあり、注目度はとても高かったです」と新製品の手応えを語る HP の岡氏。軽量というだけでなく、剛性感がしっかり伝わるデザインや、小型化された超軽量 AC アダプターに、多くの来場者が非常に驚いていたのが印象的だった。
「この製品もそうですが、どんな場所でも生産性向上が実現できる AI PC にみなさん注目されていました。また、追加料金なしで 4G LTE/5G が 5 年間使える HP eSIM Connect がバンドルできるのかといった具体的なご質問も多かったです。みなさん、HP の PC を手にされて目を輝かせていただいていたのがうれしかったです」と岡氏は感想を伝えてくれた。
ずらりとヘッドセットやビデオ会議ソリューションが並ぶ HP Poly コーナーにも多くの来場者が訪れていた。「AI 時代に必須とされるオンラインコミュニケーションの品質向上には高品質な音声を送受信するデバイスが不可欠です。Poly のヘッドセットが持つ高性能マイクやノイズリダクション機能は、みなさまの会議の品質を大きく向上させてくれます」と説明する HP の菊池氏。
今回はモバイルに最適な折り畳み式のヘッドセット「HP Poly Focus 625 Fold」が展示されるなど、最新モデルにも注目が集まっていた。「人間工学に基づき、耳の自然な形状に合わせたイヤークッションを採用するなど、長時間でも快適に装着できるよう配慮しています。また、バッテリーを交換できるため、製品を長く使い続けられる点でも、サステナビリティに配慮した設計になっています」と菊池氏は解説してくれた。
多くの人が足を止めていたのはセキュリティコーナーだ。「オン、オフを問わず、企業が持っているすべてのデバイスを管理する『HP Workforce Experience Platform(WXP)』を中心にご紹介しています。これにより、AI を利用した予測分析と洞察を得ることで、従業員の利用満足度を測ることも可能です」と説明する千葉氏。
また、外出先にある PC を管理するという視点では「HP Protect and Trace with Wolf Connect」も展示されており、オフライン状態にある PC へ向けて、「探す」「PC をロックする」「データを消去する」といった命令を実行できるデモンストレーションも人気だった。
「私たち HP のセキュリティソリューションは、いわゆるサプライチェーンセキュリティ評価制度という視点における管理性にも十分お応えすることができる製品をご用意しています。お客様のニーズに合わせた製品を組み合わせることで、統合プラットフォームとしてご利用いただけると思います」と千葉氏は説明してくれた。
ブースはまだまだ活況だが、この辺で当日行われたセミナーの模様もお届けしておこう。
AI PC の「便利さの代償」――利便性を支える端末保護の新たな視点
「今日は新しい攻撃の名前を覚えて帰る機会ではありません。明日の投資や調達の判断に使える軸を持って帰っていただく、それが本日のゴールとなります」と、講演の冒頭で語る日本 HP セキュリティエバンジェリストの木下氏。同氏は「便利さの代償」をテーマに、エッジ AI や AI PC の普及によって広がるリスクと企業が見直すべき対策を解説した。
「AI PC は単純に速い PC ではありません。業務データ、ローカル AI の処理、そして管理操作までが 1 台の端末に全て集約されます」と、AI PC を性能だけで評価しないよう促す木下氏。ローカル AI には、データを外部へ送らず利用できる利点があるが、守るべきデータが端末の中へと移動していることを示唆。AI PC の導入により、利便性が向上するとともに、端末が抱える情報の価値にも目を向ける必要があると語った。
また、AI は攻撃者にも恩恵をもたらしているのだという。「従来は専門家が時間をかけていた作業を、より早く、より安く、より大規模に実行できるようになっています。脆弱性の探索や攻撃コードの修正などが自動化されれば、多くの組織へ短時間で攻撃を仕掛けられるのです。AI は攻撃手法以上に攻撃の経済性を大きく変えています」と、木下氏は指摘する。
では、ローカル AI の利用を考えた場合、何を守るべきなのか。木下氏は、未発表の経営計画を要約する場面を例に説明した。「入力した文章だけではなく、プロンプト、推論途中でメモリーに展開される情報、出力結果、そして対話履歴が端末内に存在します。それらが PC 内部でどのように分離され保護されているかまで確認する必要があります」と訴える。
さらに、その処理を支える基盤の信頼性も問われる。「NPU の信頼性は、ハードウェアだけで決まるものではありません。AI の処理は、アプリケーション、OS、ドライバー、BIOS、ファームウェアなどの積み重ねに支えられています。OS 上の情報だけでは下層の完全性を独立して保証できないため、AI の処理の信頼は OS より下から確認する必要があります」と指摘した。
OS 上のセキュリティツールでは、ハードウェアやファームウェア層の侵害を検知できないリスクがある。そのため、セキュリティ対策は検知だけでなく、被害を最小化する封じ込めと信頼確認の多層構造が不可欠なのだと木下氏は説明する。ハードウェアレベルでの信頼の起点(Root of Trust)を確保し、OS より下の層から保護を行うことが求められるのだ。
HP 製品は、OS より下層を保護する機構についても備えており、OS が起動する以前に PC 全体を管理する「BIOS/ファームウェア」を自動復旧する「HP Sure Start」や BIOS 設定を一括管理する「HP Sure Admin」、BitLocker の復号キーのコピーを防止する「HP TPM Guard」、物理的な PC の開封を検知する「HP Tamper Lock」などの機能でこれをカバーすることができる。
また、最新の脅威に侵入されない環境構築についても説明がなされた。具体的な対策としては、外部から届くコンテンツを最初から隔離された環境で開く、加えて重要な管理操作を OS から独立した保護環境で行うといった手法を紹介。HP では、「HP Sure Click Enterprise」と「HP Sure Access Enterprise」により、これを実装することができると説明した。
木下氏が重視するのは、「高リスクな日常業務と高価値な管理操作を分離」する設計だ。「端末の土台についても、検証する側は検証される側から独立していないといけません。独立したハードウェアによる検証と、改ざん時の復旧が重要なポイントです」と木下氏は説明する。
講演の締めくくりとして、「端末の土台」、「封じ込め」、「ローカル AI のデータ」、「実行環境」、「事業継続」で構成された「5 つの問い」というチェックリストを提示した木下氏。「この 5 つはセキュリティ担当者だけの質問ではありません。このような基準を設けて調達仕様や契約、インシデント対応計画にも反映し、AI を安心して活用できる環境を整えることが企業に求められているのです」と同氏は語った。これからの AI PC 調達や運用において、AI 時代だからこそ必要なリスクを管理し、それを確認できる仕組みを持っているかが問われているのだ。
生成 AI を使いこなす環境づくり――「行動量」と「行動の質」を高める AI PC の役割
生成 AI を導入しても、使える状態にするだけで活用が定着するとは限らない。HP のコマーシャルマーケティング 部長の日笠氏は「生成 AI を使いこなすための環境づくり」をテーマに、社員の実践と、それを支える AI PC や通信・セキュリティ機能の役割を解説した。
講演を通じて日笠氏が繰り返したのが、「行動量」と「行動の質」という言葉だ。「時間には限りがあり、増やすことはできません。従業員一人ひとりが業務に使える限られた時間こそ、組織にとって重要な経営資産です」と同氏は説明する。組織が生産性を高めていくためには、既存業務を効率化し、そこで生み出された時間を新しい取り組みへの挑戦に振り向けていくことが重要だ。日笠氏は、既存業務の効率化を「行動量」と「行動の質」の掛け算と捉える。限られた時間の中でより多くの行動を起こし、その一つひとつの質を高めていく。その実現を支える有効な手段の一つが AI であり、安全かつ効率的に活用できる環境を整えることが重要になる。
日本 HP では Microsoft 365 Copilot を導入し、さまざまな業務で活用している。日笠氏自身も、資料作成に必要な情報を集める際、その効果を実感したという。「Outlook のメール、Teams のチャットの内容、SharePoint の情報、全部横断して回答してくれます。ときには自分が見落としていた情報まで拾ってくれることもあり、短時間で処理が進むことから、行動量と行動の質の向上につながっています」と日笠氏は説明する。
AI を使いこなすにはいくつかのポイントがあるという日笠氏。それについて同氏は「まず理解すべきこととして『AI で何ができるか』『どうやって使えばいいのか』『どんなときに使えばいいのか』を整理しておくとよいと思います」と述べた。
また、AI に対して目的や課題、要件、手順を伝えることについて日笠氏は「人にお願いするときと一緒だと思います」と指摘する。曖昧な指示で意図が伝わることを期待するより、仕事を頼む感覚で条件を具体化することが大切なのだ。
一方で、生成 AI を業務の中で活用しようとする際に、自分で作業した方が早いと感じるケースもある。しかし、日常の中で繰り返す業務であれば、AI に試行させることが次回以降の効率化につながるのだと日笠氏はいう。「『まずは使ってみる』という姿勢で臨むことが大切です。さらに、成功例をみんなで共有し、その成功例を共有した人を正しく評価する。そうすることで、AI をうまく使うためのノウハウがチーム全体に広がり、結果として組織の生産性向上につながるのではないでしょうか」と、日笠氏は AI 活用を組織に定着させるための考え方を示した。試行錯誤を個人任せにせず、成果やノウハウをチームへ広げていくことが、生成 AI 活用の定着につながるという。
生成 AI をより安全かつ効率的に業務で活用するための選択肢として、日笠氏は AI PC を取り上げ、基本性能に加えて標準搭載のオンデバイス AI 機能や、今後活用が進むであろうローカル AI アプリの例を紹介した。
Copilot+ PC のデモでは、画面上の画像に含まれる文字をコピーする操作や、過去に画面で見た情報を検索する「リコール」を提示。小さな作業や情報探索の手間を減らし、次の行動に移りやすくする価値を示した。
ローカル AI アプリについては、オフラインで契約書を要約し、誤字脱字やリスクを抽出するデモを実施。「契約書には機密事項も書かれます。これをどこにも外に情報が出ない状態で作成し、まずはラフにチェックできる段階まで作り込むことができるのです。ここまで進めば、あとは人間の目で見て判断できるでしょう」と日笠氏は説明する。
クラウド AI との関係も、優劣ではなく使い分けで考える。「クラウド、ローカル、どっちがすごいではなく、それぞれの良い部分を組み合わせて使っていくスタイルが最適です。扱う情報や通信環境、コストに応じて組み合わせるハイブリッド AI が、活用の幅を広げてくれます」と日笠氏は指摘する。
さらに日笠氏は、外出先での作業を支える HP eSIM Connect と HP Sure View を紹介した。ネット接続に手間取る時間や、周囲からのぞかれる不安で手が止まる場面を減らすことも、行動量を増やす環境づくりの一部だ。
「AI を使うことを目的とするのではなく、そもそもやりたいことに対して AI がどのようにサポートしてくれるのかを考えることが大切です。AI PC の導入は社員の AI 活用定着を支える投資であり、まずは 1 台だけでもよいので何ができるかの検証を始めてもよいタイミングだと思います」と日笠氏は語った。組織が環境を整え、社員が実践を重ねる。AI によって既存業務を効率化し、そこで生み出した時間を新しい取り組みに振り向けていくことが、組織の生産性向上につながっていく。
編集後記
ブース展示、セミナーともに大盛況の中、「未来をつくるテクノロジー展 日経クロステックNEXT 東京 2026」は幕を閉じた。HP は新製品や最新テクノロジーを余すことなく来場者に伝え、それぞれの企業・組織が求める DX に大きなヒントを与えることができたはずだ。
「こうしたイベントで情報発信をしていると、やはり触って体感していただけることが一番大切なことだと実感できます。ローカル AI に注目が集まる中、AI PC やさらに重要とされるようになったセキュリティについて、HP として最新テクノロジーのご案内を引き続きやっていきたいと改めて思いました」と最後に日笠氏は語ってくれた。
こうしたイベントは最新情報を得るのに最適な場所となっている。ぜひみなさんも次のイベントには足を運んでいただきたい。
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