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2024.10.08

わずか2年で急速に浸透したコンピューターの活用モデル「生成AI」とは

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一般のビジネスマンが一人一台のパソコンを使うようになって、ざっくり四半世紀といったところでしょうか。そこまでにも助走ともいえる四半世紀がありました。ちなみにパーソナルコンピューティングの歩みを牽引してきたMicrosoftは1975年の創業で2025年に50周年を迎えます。

ところが、この直近のわずか2年間で急速に浸透したコンピューターの活用モデルがあります。それが生成AIです。ここでは、その登場と歴史、それがもたらす働き方やビジネスの変化をとらえながら、われわれが今、どのように生成AIと向き合えばよいのかを考えてみます。

フリーランスライター:山田 祥平

ChatGPTがリードしてきた生成AIの歩み

2022年11月30日、米・OpenAI社は汎用対話AI、いわゆる人工知能チャットボットとしてのChatGPTのプロトタイプを公開しました。今に至る生成AIの走りともいえるもので、当時は大きな話題を呼びました。

文字などで問いかけられたプロンプトに対して、テキストや画像、あるいは、他の表現を応答として生成する人工知能システムは、生成AI、ジェネレーティブAIなどと呼ばれ、幅広いユースケースが期待され、またたく間に浸透しようとしています。

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AIスタートアップELYZA社が解説する生成AIの歩み

OpenAI社の設立は2015年で、当初は非営利法人として現CEOのサム・アルトマンらによって設立されました。あのイーロン・マスクもその役員の一人として名を連ねていました。

2019年になって、AIがビジネスにもたらす可能性を確信したMicrosoftはOpenAIに出資することを決定しています。そして、2022年にChatGPTが公開されたのです。

その勢いは止まりませんでした。2023年になってMicrosoftはOpenAIに追加出資、49%の株式を取得しています。

ChatGPTのエンジンともいえるGPTはGenerative Pre-trained Transformerの頭文字をとったものです。最初のGPTは2018年にOpenAIによる論文の中で導入されています。

GPTは改版を続け、2023年には早くもGPT-4に達しています。そして、それを機にMicrosoftは、追加出資を決め、株式の取得に動きました。さらに、Azure、Edge、Bingといった多くの同社製品に組み込み、その後のOfficeアプリでの活用などに展開しています。

Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏は2023年1月に、すべての同社製品にAIを組み込むと宣言しています。実際その宣言は公言となり、MicrosoftのAIのブランドであるCopilotとして実装されつつあります。

たった2年間での著しい進化

IT業界のもう一社の雄、Googleも、大規模言語モデルとしての生成AIを提供する準備を進めてきました。まずは2023年のPaLM APIです。先行するOpenAIやMicrosoftの勢いを抑止し、同市場への参入遅れを奪回する期待をこめられた戦略でした。その後、GmailやGoogleドキュメント、スライドなどへの組み込みでの展開を目指しました。2023年3月には同社の会話型AIとしてBardを提供しています。また、同年5月のGoogle I/OではPalM、PalM2の後継としてGeminiがお披露目され、その年の暮れにはGemini 1.0として正式発表されています。そして年が明けた2024年、GoogleはBardをGeminiにリブランディングし、サービスとしての提供を開始しています。

ITプラットフォーマーとしては、AmazonやMetaの動きにも注目する必要があります。AmazonはAWSでの大規模言語モデルの提供や、Alexaでお馴染みのスマートスピーカー/ディスプレイサービスでのAIサービス提供をもくろんでいます。また、Facebookで知られるMetaは大規模言語モデルLLaMAでAIサービスを模索しています。さらに、クリエイティブアプリ/サービスに生成AIとしてのFireflyを組み込み、クリエイターの支援に余念がないAdobeのような企業からも目が離せません。

こうしてめまぐるしく進化を続ける生成AIですが、そのきっかけとなった2022年11月から今日(2024年8月現在)まで、まだ2年しかたっていないのです。

2018年頃までは人間の知能に遠く及ばない限定的な利用にとどまっていた生成AIですが、2018年に大規模言語モデルが登場して急激に精度が向上、汎用性が高いモデルを使い少量の学習で人間の精度を超えられるようになりました。2020年には計算コスト、データ量、パラメータ数が増えれば増えるほど精度が高くなる法則が見つかりました。その法則にのっとり、OpenAIは2020年6月当時最大モデルの10倍サイズで学習したGPT-3を完成しました。そのあとは、モデルの大規模化のフェーズに移ります。また、オープンソース化も多くなりました。

そして2022年にChatGPTが登場するのです。翌2023年にはGPT-4が登場、改良され他言語での精度向上、ハルシネーションと呼ばれる捏造の出現率を低下させることに成功しています。OpenAIはAppleとも提携の契約をしています。

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