新しいAI PCの時代を切り開くCore Ultra 200Vの3つのプロセッサーの技術的詳細
2025-01-10
フリーランスライター:笠原 一輝
Intelが開発コードネーム「Lunar Lake」(ルナーレイク)として開発を続けてきた薄型・軽量ノートPC向けのSoCは、9月2日に「インテルCore Ultra プロセッサー 200Vシリーズ」(以下Core Ultra 200V)として発表された。その発表会が行なわれたドイツのデジタル展示会「IFA」では、Core Ultra 200Vを搭載したノートPCが多数発表され話題を呼んだ。
Core Ultra 200Vの、SoCとしての特徴は、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit、画像処理装置)、NPU(Neural Processing Unit、人工知能演算装置)といったいわゆる演算装置(プロセッサー・ユニット)がいずれも新しいアーキテクチャになり、従来世代よりも消費電力が減っているのに性能が向上していることだ。ここではCore Ultra 200Vの技術的な特徴に関して説明していきたい。
電力効率が大幅に改善されたCPU、Lion CoveとSkymontを採用
Core Ultra 200Vの大きな特徴は、CPUになる「Lion Cove/Skymont」、NPUになる「第4世代Intel NPU」、GPUとなる「Xe2」といずれも完全に新しいアーキテクチャになっていることだ。いずれも性能だけでなく、電力効率が大きく改善されており、消費電力は減っているのに性能が向上している。それがCore Ultra 200Vの最大の特徴となる。
Intelは第12世代インテルCoreプロセッサー(以下第12世代Core)以降のSoCでは、2つの種類のCPUコアを搭載するようになっている。同社が「ハイブリッド・アーキテクチャ」と呼んでいる構成だ。簡単に言えば大規模なCPUだけで電力はちょっと多めというCPU(パフォーマンスコア=Pコアと呼ばれる)と小規模なCPUで電力は少なめというCPU(エフィシェントコア=Eコアと呼ばれる)の2種類を搭載し、実行するアプリケーションの種類に応じた使い分けにより、高性能でかつ低消費電力というCPUを実現することが可能になる。
Core Ultra 200Vでは、PコアがLion Cove、EコアがSkymontという開発コードネームの新設計のCPUアーキテクチャが採用されている。いずれのCPUも、現在のCPU開発のトレンドとなっているシングルスレッド(スレッドというのは1つの命令を実行する単位のこと、それを複数同時に実行する場合にはマルチスレッドとなる)を処理する時の性能を高める設計が施されている。シングルスレッドの性能を高めると、同じ時間で実行できる命令の数が増え、同じ処理を実行するのにより短い時間で実行できるようになる。同じ処理を短い時間で実行できれば、それだけ無駄な電力を消費するのを防ぐ事ができるというメリットがある。
Core Ultra 200VはPコアとしてのLion Coveが4つ、EコアとしてのSkymontが4つという構成になっており、CPU全体で8コア搭載されており、マルチスレッド(複数の命令を並列的に実行すること)時にはそれらのすべてのコアが有効になって処理することで、処理能力を引き上げることが可能になっている。