2024.04.25
株式会社サンワは、基盤とする複写業から一歩進み、品質の高い印刷物で新たな市場にチャレンジするために、2011年4月にHP Indigo 5500デジタル印刷機を導入した。同機導入と共に、特任営業チームを結成。HP Indigoデジタル印刷機専任営業チームの売上は年々2倍3倍に成長し、2018年には会社の売上の1割以上を稼ぎ出すようになる。2023年3月~4月に、HP Indigo 5500デジタル印刷機のリプレースとして、HP Indigo 7Kデジタル印刷機を2台導入。現在HP Indigoデジタル印刷機が生み出す同社の売上は、会社全体の約3割を占める。印刷業界で新たな活路を切り拓き、成長を続けるサンワの秘訣を探る!
株式会社サンワ
1962年に設立、複写業を基盤としながらも、様々な情報やデータをお客様の望む形態・形式に変え、有効活用を図れる「情報活用サービス」として提供する。飯田橋に本社を構え、お客様の立場で考える「お客様中心主義」と、社員一人ひとりが誇りを持って夢や将来を語れる「社員中心主義」を基本理念に掲げる。
代表取締役社長 山根 章 氏(文中表記:山根氏(社))
営業本部 営業2部 次長 鈴木 直人 氏(文中表記:鈴木氏(営))
生産部 次長 落合 直之 氏 (文中表記:落合氏(生))
――HP Indigo 5500デジタル印刷機を導入されてから12年が経ち、2023年にHP Indigo 7Kデジタル印刷機を2台購入されました。その経緯を教えてください。
山根氏(社):2011年に導入したHP Indigo 5500デジタル印刷機は、複写業という既存のビジネスから、新しい分野に踏み出すための一つの大きな決断でした。当時、期待に沿うものはHPしかなく、色が綺麗であること、バリアブルに対応できること、インクや原反の幅広さ、厚紙に対応できることなどが大きな魅力でした。運用を軌道に乗せるには一定の時間を要しましたが、HP Indigo 5500デジタル印刷機を導入したことで、私たちが提供できる商品の幅が広がりました。
昨年、HP Indigo 5500デジタル印刷機をリプレースするに当たり、もちろん他社との比較も行いました。その結果、総合的に、品質、本体価格、ランニングコスト、運用方法などが最も優れていたHP Indigo 7Kデジタル印刷機を導入することに決定したのです。
――2台同時購入というのはかなりインパクトがありました。
山根氏(社):当初は2台導入するつもりはなかったのです。1台は補助金を活用するため計画通りでしたが、もう1台は、もし条件が合うものがあれば…くらいのつもりでした。ちょうどコロナ禍で停滞していた需要も戻り、受注数も伸びていましたから、1台では間に合いそうもないという背景もありました。また、1台では、何かトラブルが発生すれば生産が止まってしまうリスクと常に背中合わせですから、日頃からバックアップ機が欲しいと感じていたこともあります。
すると、価格や設置条件など、ぴったりと合うものがタイミング良く見つかり、2台目の導入を決断したのです。かなり短い期間で海外と交渉したり、社内調整をしたりと頑張って対応してくれたので、HPさんの営業手腕も大きかったのではないでしょうか。
――HP Indigo 7Kデジタル印刷機を導入されて、どのようなメリットがありましたか?
山根氏(社):HP Indigo 7Kデジタル印刷機は、特長でもあった「生産性」でかなり大きなメリットがあると感じています。印刷速度が上がったので生産性が格段に向上し、さらに、従来よりも安定性が高まりました。デジタル印刷機の案件受注数は増え続けていますから、生産性の高さで受注数に対応できるようになり、とても助かっています。今では2台をフル稼働して既にキャパシティの限界に近い状態です。
鈴木氏(営):2台ある意味は大きいですね。万一の時のバックアップにもなるので心強いです。そして、やはり印刷品質は飛び抜けていると感じます。
私はサンワに転職して12年目くらいになりますが、前職でも印刷会社の営業をしていました。実は、前の会社でもHP Indigoデジタル印刷機の導入を検討していたのですが、結局頓挫して購入には至らず、導入賛成派だった私は「Indigoがあればこんな商品ができるのに」「こんな売り方ができるのに」と思い描く日々でした。当時、HP Indigoデジタル印刷機のレベルの違いを目の当たりにし、未来的な機械という驚きと共に、「これは、これからの印刷ビジネスに絶対に必要になる。Indigoを扱える会社に入りたい!」という強い想いを抱いてHP Indigoデジタル印刷機を保有していたサンワに転職したのです。
実際に扱ってみての印象ですが、HP Indigoデジタル印刷機は、「尖り」があって、得意・不得意がはっきりしているところが一番の魅力だと感じます。それは、不得意なところは切り捨てて、営業として何に特化すべきかがはっきりとしているということです。あれもこれもではなく、何を売るべきか、どこをターゲットとして攻めるべきか集中して取り組める。やるべきことが明確なので、新しく入ってきたメンバーも成長が早く、チーム運営がしやすいと感じます。
HP Indigoデジタル印刷機の品質の高さを表現できる商品をうまく見つけることも一つです。例えば、HP Indigoデジタル印刷機とユポ紙※の相性は抜群に良く、とても安定しています。
※紙とフィルムの良さを兼ね備え、強度や耐水性の高い機能合成紙
落合氏(生):静電気の対応には一苦労しましたが、ユポ紙はニーズも高く、お客様に安定的に提供できるようになったことが大きな強みとなりました。
鈴木氏(営):他社製の印刷機と比較すると、日本製の印刷機は、問題が起こりそうな部分を先回りして準備するような感じで、使う人に親切なんですね。「おもてなし」の言葉が合う日本式と言いますか、その代わり、特徴がない。誰でも扱いやすく、故障やトラブルが起こりにくい良い機械ですが、推すポイントがあまり見当たらないんです。
片やHP Indigoデジタル印刷機は、海外製ということもあり、印刷機を動かすオペレーターからすると不親切に感じる点もあります。オペレーションでは想定外の「えぇっ!」という驚きも起こりますし、様々な紙を使用するためには、試験をした上で、試行錯誤が必要です。例えば、特定の紙に載せるとインクが剥がれてしまうことが判明した場合、安定的に生産するための方法を探し出さなければなりません。うまく扱える方法を見つけられることもありますが、見つからないケースもでてきます。ですが、そういったマイナス分を補うだけの「尖り」がHP Indigoデジタル印刷機の魅力だと私は思います。他の印刷機にはない得意分野も多く、どの業界にどの尖りをぶつけていくかが楽しい。印刷レベルに関しては、誰もが認める高い評価を得ていることは間違いありません。うまくはまれば、その業界で一定の地位を短期間で作ることができる、本当に面白い印刷機です。
今は、多彩な特殊インキを活かすため、シルバーインキで営業用のサンプルを作成してお客様に提案をしています。
――コロナが明けて回復されている会社もありますが、紙の業界は7割くらいまでしか復活しないのではという予測もありました。現実問題としていかがですか?
山根氏(社):そうですね、同じような予測感はありました。受注は戻ってくるだろうけれど、予算が前年よりも増えるわけありませんから、コストが上がっている分、部数を減らすしかありません。そうなると、同じ予算でも結局7割くらいでしょうか。当社は、主力事業として、営業1部がPOD機で官公庁の仕事を、営業2部がHP Indigoデジタル印刷機をメインに民間の仕事をしています。官公庁は電子化も進んでいますから、受注が大幅に増えるとは考えづらいので、残りの3割は民間の仕事で増やしていくしかありません。当社の場合は、イラストなどエンターテイメント系のコンテンツビジネスが拡大しています。フードピック、コースター、フォトブック、ポストカード、アーティストの制作物などの事例が多くあります。
もともと当社はオフセットがないので、オンデマンドを主体でやる中でHP Indigoデジタル印刷機は、売上において重要な役割を果たす主力の生産機になっています。
落合氏(生):HP Indigoデジタル印刷機は、ワンランク上のオンデマンド製品という位置づけですね。写真より、イラスト系の方がより合っていると感じます。
鈴木氏(営):コロナ前に、コンテンツビジネスは盛り上がりを見せ、売上は毎年5千万~1億円強くらい右肩上がりでした。ところが、売上の最高を記録したところでコロナ禍になり、もはやコンテンツをやっている状況ではなくなってしまった。仕事はほぼなくなり、1年間苦しい時期が続きました。ですが、2年目にイベントが少しずつ再開してから、ビジネスはすぐに回復し、2023年の時点で、2019年と同程度の売上に戻り、その後は継続的に拡大しています。
その理由の一つとしては、大手企業も含め、かなり幅広い会社がプロモーションやコラボ商品などで様々なコンテンツを使用するようになったことが考えられます。また、動物園、水族館、プラネタリウムといった観光系の施設が、コンテンツ系のイベントで集客を行っているのも大きな流れですね。イベントを開催する場所も増えましたが、それと同時に1件当たりの発注数量も格段に多くなっているので、ここ最近は、1案件の通し枚数が増え、1商品で3000通し、4000通しを回すことも珍しくありません。
――デジタル印刷機の印刷物に対するお客様の受け止め方も変わってきているのでしょうか?
鈴木氏(営):正直、お客様から見ると、オフセットだろうがデジタルだろうが、もうそこにこだわりはありません。事実、オフセットしか持っていない印刷会社さんに、同じものをHP Indigoデジタル印刷機で刷って比べてもらったところ、目視では判別がつきませんでした。ひと昔前であれば、仕上がり具合の差が目視でもわかりましたが、今はそれくらい差がなくなっているのです。
当社のお客様はオフセットかデジタルかは一切気にしておらず、「どちらでもいいから良いものをください」と言われます。むしろ、コンテンツ系のお客様は、デジタル印刷を好まれる傾向があるかもしれません。最初は少なく作って、必要に応じて増刷する場合にも動きやすいのでしょう。
――HP Indigo 7Kデジタル印刷機導入の際に、HP PrintOSX のアプリケーションである「Site Flow(サイトフロー)」も導入されました。自動化や効率化について、将来の期待を教えてください。
山根氏(社):これからもデジタル印刷機に関する売上や案件数は増えていく見込みです。それに対応するためには、単純に人を増やせばできるというものではありません。当然、今いる人材と同じように動けるオペレーターを育てるのは大変ですから、効率化できる部分は進んで改善していきたい。今回、Site Flowを導入したのは、そういった意味で未来に向けての準備のつもりです。
HP PrintOSx Site Flowについて
https://jp.ext.hp.com/printers/digital-presses/indigo/solutions/printos/
HP PrintOSxに関するTech & Device TV記事
https://jp.ext.hp.com/techdevice/printing/30indg02/
また、当社には、生産ラインと制作ラインがあり、生産ラインは自動化できるラインでもあります。受注数量を見込んで、プロセスが効率化するように、Web入稿の仕組みを取り入れるなども積極的に検討していきたいと考えています。
後編は、サンワがHP Indigoデジタル印刷機で急速に成長を遂げている秘訣に迫ります。
後編はこちら
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。