2024.10.22

森永製菓「おかしプリント」快進撃
~オリジナルデザインのお菓子ノベルティー製造に
HP Indigoデジタル印刷機が活躍~

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森永製菓は、オリジナルデザインのラベル・パッケージでお菓子が作成できるサービス「おかしプリント」を2016年から展開。ノベルティーやギフト用途で反響を得ている。ラベル・パッケージの印刷は大洞印刷(株)(岐阜県本巣市下真桑、大洞広和社長、TEL:058-320-5123)が担い、デジタル印刷機「HP Indigo 15K HD」によってオリジナルデザインの製造をサポート。反響や近況について、取材した。

会話生み出すノベルティーにデジタル印刷を

おかしプリントは、森永製菓を代表する「ハイチュウ」「ミルクキャラメル」「小枝」といった知名度の高い様々な商品をオリジナルデザインで小ロットから発注可能。展示会で配布するノベルティー、企業の記念日ギフト、営業ツールなど多彩な用途で活用されている。

公式ホームページには企業や団体の採用事例とコメントが掲載されるほか、同サービスが選ばれる理由を「会話が弾む!」「忘れにくい!」とPR。実証実験を通して「オリジナル雑貨と比べ、実験の最後の2分間における会話量が約1.8倍、印刷された企業名が記憶に残る割合は2倍に」といった検証効果も示されている。

利用者は価格表をダウンロードした後、見積もり依頼、おかしプリントのスタッフからの連絡を受けて「Adobe Illustrator」「Microsoft PowerPoint」などで作成したデザインデータ入稿といった手順を踏む。最小100個から、最短で2週間ほどの納期となっている。

コロナ禍に見舞われた際にはイベントなど人と人が対面する機会が失われ需要減となったが、2023年からノベルティー分野などの復調に合わせて回復傾向。展示会に出展しておかしプリントを訴求したことも奏功し、問い合わせ件数は増加している。

ダイレクトマーケティング事業部 事業推進グループのおかしプリント事業担当を務める大森 貴裕氏は「ハイチュウ自体も来年50周年を迎え、10歳の頃に初めて口にした方も還暦となるほど長きにわたって愛されてきた商品です。食の経験が蓄積され、誰もが楽しめるおやつとして認知されています」と話す。

商品の知名度に加え、お菓子自体が持つ効果もノベルティーとしての魅力につながっている。同担当の江口 美輝氏は「お菓子のノベルティーは、おカタいイメージのあるビジネスなどの場面でも、会話を生み出すユーモアを発揮できます。企業の周年記念グッズの事例では、上層部の方が社員の皆さまへ1本ずつオリジナルデザインのハイチュウを配ったことも。会話などコミュニケーションのきっかけに重宝されています」と紹介する。

ハイチュウの商品名から「10〝チュウ(周)年〟記念」といったデザインが多いとし「チュウ年というワードは当社が提案したわけではなく、利用者のかたがた発で広まったものです」(大森氏)とし、口コミ効果も相まって反響は拡大している。

こうした遊び心を実現するおかしプリントは、デザインできる面積の広さがこだわり。パッケージ6面のうち、成分表示などが印字される背面以外、利用者が自由に画像・文字を配置することができる。24年2月にハイチュウのブランドロゴを「HI-CHEW」と英語表記へ変更し、おかしプリントもアルファベットのフォントを拡充するなど、デザインの自由度向上を進めている。

「デザインデータを作る利用者の方も、楽しんで制作してもらえている印象です。子どもの頃から慣れ親しんだハイチュウのデザインができるということに、価値を感じていただいているとの声を得ています」(江口氏)と紹介する。

サプライ支える印刷体制の構築

小ロットからお菓子を発注できる同サービス。商品の製造に際して、オリジナルデザインを印刷したラベル・パッケージの供給体制の構築は欠かせない。印刷を手がけているのは、「プリント・サービス・プラットフォーマー」を標榜する大洞印刷(株)。多品種小ロットから、カスタマイズ対応の印刷物製造を可能としている。

ウェブ・ツー・プリントのノウハウを蓄える同社は、文具やシール・ステッカー、雑貨などさまざまな印刷アプリケーションに対応。デジタル印刷機とオフセット印刷機を設備するほか、IT・ウェブマーケティングの知見も生かし、オリジナルグッズ製造の上流工程から顧客と相談。最適なシステム構築を実践している。

おかしプリントのラベル・パッケージ印刷には、デジタル印刷機「HP Indigo 15K HD」を活用。紙器製造の厚紙、ラベル印刷の粘着紙といった基材を問わず、印刷適性を示す同機で適宜生産を行うほか、ロットに応じてコンベンショナル機を使い分けている。意匠性と輸送時のキズ・擦れ予防に向けてコーティングやラミネートも施し、品質に関して「森永製菓市販品と比べてもそん色ない仕上がり」(大森氏)と評価。白抜きや細線、極小文字の再現性も高く、大洞社長は「HP Indigoで高精細な表現ができています。加工まで含めた相性のよさは同機ならでは」とコメントする。

大洞印刷はコンベンショナル・デジタル印刷機を稼働させているだけではなく、森永製菓との相互協力によって、印刷データの作成を最適化。おかしプリントのオーダー情報、デザインデータの扱いについて、大洞印刷は実績に基づくノウハウを蓄積してきた。「森永製菓さんには、販売実績などの数値も共有していただきました。これまでの製造実績から生産計画を立て、最適な納期で実現できています」(大洞社長)とするほか「シートに対し、協業によって最適化した印刷データを自動で多面付けするなどし、コストニーズにも応えています」と説明する。

森永製菓と大洞印刷が印刷データの作成に関して協業体制を深化させたのは、2019年。2020年に入ってコロナ禍へ突入してしまったが、直近では受験シーズンの応援グッズをはじめ、定番の活用シーンが定着化し、大ロットジョブも拡大傾向。目安のひとつとして、7,000個を境にデジタル・コンベンショナルに振り分ける。両方式で品質の差異なく、ラベル・パッケージを提供する。

さらに、食品表示の内容物に関する記述変更といった細やかな対応についても、おかしプリント利用者の手元へ商品が届く時期を考慮した上で切り替えを行う。大洞社長は「今後の提案の話ですが、ECサイトの仕組みも当社で提供できるため、おかしプリントの事業展開にあたって、より手間のかからないようサポートができます」と強調した。

そのほか、直近で関心が高まっている環境対応へのニーズを満たすため、FSC認証も取得。おかしプリントの成分表示が印字されている面にもFSC認証マークが入れ込まれ、持続可能な印刷物であることを利用者に対しても明示している。

BtoB主導する存在へプラットフォーム整備

森永製菓の多彩な菓子類は、業務用もラインアップしているが、メインはBtoCの商材。新規事業のおかしプリントは「BtoBビジネスを引っ張っていく存在。当社内でも存在感が徐々に高まってきています」(大森氏)とし、拡大が期待されている。活用シーンの増加に向けて発注できる種類も充実させ、ぶどう糖補給、タンパク質の摂取といった明確な目的に沿った「ラムネ」「inバープロテイン」もラインアップ。「今後はさまざまな可能性を模索し、自社製品だけにとどまらない商品もラインアップするプラットフォームへ発展させていければ」(江口氏)と展望を話す。

BtoCの場面では競合同士となる他社商品を預かるプラットフォームとなれば、市場性・話題性など大きな可能性を秘める。反面、ラベル・パッケージの見当精度や色味など、印刷品質や供給体制の確かな信頼性が求められる。

大洞社長は「データの段階で最適な色味を決め、HP Indigoによって確かな再現性を発揮できます」とコメント。将来のおかしプリントのさらなる拡大へ、万全のサポート体制を整備する。印刷業界からみた同サービスの特徴について、クリアファイルや写真集、トレーディングカードといった多彩な製品を展開してきた大洞社長は「お菓子のノベルティーは、手に取られやすいというメリットがあるのでは。コミュニケーションを促進させるもので、他ノベルティーにはない魅力を感じています」と説明し、高付加価値な印刷を施すアプリケーションとして期待を寄せる。

おかしプリントは直販だけではなく、代理店販売も広まっている。ノベルティーの用途は無限大とし、企業や団体、学校、自治体など活用シーンも問わないポテンシャルを持つ。

人と人とのコミュニケーションをよいものへと変えていく、緊張した場面を和らげるといった効果を強調し「人生やビジネスの各シーンでご活用いただけるサービスを提供していきたい」(江口氏)とした。

海外展開の可能性 「Print OS」活躍

市販品のハイチュウは北米市場でも出荷が伸長。ゆくゆくはおかしプリントの海外展開もあり得るとした大森氏は「自社・他社さまのお菓子を取りそろえ、オリジナルデザインで発注できるプラットフォームは世界市場でも魅力を発揮するはず。アジア市場でも引き合いを得ており、海外需要はあるのでは」と分析する。

おかしプリントのグローバル展開に際しては、大洞印刷によるデータの扱いのノウハウに加え、HPが提供するシステム「PrintOS」などで印刷物の品質標準化を実現可能。「環境負荷を考慮して、地産地消の印刷物製造を勧めている」(大洞社長)とし、国や地域ごとに適したHP Indigoの導入企業へデータを共有して、日本国内で出力する場合とそん色ない精度で印刷が行えるという。「複数、多品種のジョブ管理には同システムの機能『SiteFlow』も使用し、効率よく印刷・加工を行っています」(同)とする。

インタビューの最後に、大森氏は「中身はもちろん、ラベル・パッケージの品質もお客さまにご満足いただけています。おかしプリントのBtoBプラットフォームをますます広め、お菓子の価値を高めてまいります」と総括した。

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【本記事はラベル新聞株式会社が制作しました】

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