2023.11.21
日本においてデジタル活用によるDXが進む中、レガシーシステムの在り方について多くの議論がなされている。システムへの課題が浮き彫りとなり、その解決の手段としてクラウドネイティブな働き方に注目が集まっているのは自然な流れだ。そのためのプラットフォームとして、企業や自治体、官公庁などが採用を始めているのが「ChromeOS」を搭載した各デバイスだ。ChromeOS 環境の導入のポイントやメリットについてよく知る各ベンダーが一挙に集まるイベントが「ChromeOS DX Roadshow」だ。日本中の都市で順次開催されているが、今回は2023年10月11日に行われた札幌開催の様子をお届けしよう。
会場となった京王プラザホテル札幌に設置されたイベント受付
ChromeOS DX Roadshow はグーグル合同会社が主催するイベントだ。レガシーシステムの課題解決に ChromeOS を選択する企業、自治体などの組織が増加傾向にあり、実際に製品としての Chromebook の販売も伸びている。注目が集まる ChromeOS 環境に関するこのイベントにHPも協賛、出展はもちろん、セミナーにも登壇した。
「HPの Chromebook は、エントリーレベルからハイエンドまで、幅広いラインアップが大きな特長です。例えばGIGAスクールで提示されたようなスペックなら、エントリーレベルで十分ですし、最近増えている業務としてマルチタスク、マルチウインドウで使うようなら、ハイスペックなハイエンドモデルがおすすめです。あらゆる状況に合わせて選択できるのは、お客様にとってもメリットになるはずです」と説明するのはシンクライアント端末と Chromebook を担当する株式会社 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 クラウドクライアント・カテゴリ・マネージャー 浦野 敏明氏(以降、浦野氏)。
当日のHPブース
この日、会場のスペースに用意されたのはエントリーモデルの「HP Chromebook x360 11 G4 EE」や、GIGAスクール向けの「HP Fortis x360 G3 J Chromebook」、ビジネス向けの「HP Elite c645 G2 Chromebook Enterprise」、そしてHP Chromebookシリーズのフラッグシップとなる「HP Elite Dragonfly Chromebook Enterprise」だ。
「近年、ニーズが増えているのはビジネス向けの Chromebook ですね。仕事で使うとなると、先ほども触れたように複数のアプリを起動することも多く、Web会議も頻発します。そうなるとハイスペックが要求されますし、スピーカーやマイクなどの品質もよくないと生産性に影響があります。そういったニーズに応えられるのが、HP Elite c645 G2 Chromebook Enterpriseや、HP Elite Dragonfly Chromebook Enterpriseです」と浦野氏は解説する。
さらにHPブースでは、話にも出てきたWeb会議をさらに充実したものにするためのヘッドセットや専用スピーカーマイクなどを擁するHPのPolyブランドも出展。「ビジネスユースとなれば、コミュニケーションを支えるテクノロジーは重要度を増します。長時間かけていても疲れにくいデザインや、自分の声をしっかりと相手に伝える品質の高さなど、自分だけでなく、相手にも心地よい環境を提供することが大切だと思います。Polyの製品群は Google meetをはじめ、ほとんどのWeb会議ソリューションの認定を取得しており、個人、グループおよびオフィス環境でのクラウドネイティブな働き方を支えるための優れた機能を提供します」とPolyを担当する株式会社 日本HP ハイブリッドワークソリューション・ベルフェラル事業本部 パートナー営業本部 高木 宏記氏は説明してくれた。
それでは、当日行われたもう一つの注目ポイント、「民間企業と自治体が Chromebook を導入した理由とその効果」と題されたセミナーの模様を紹介しよう。
満席に近い状態となっていたセミナー会場
壇上に上がったのは浦野氏。「HPの Chromebook は、自治体、企業問わず非常に売れています。VDI端末として使われることが多いのですが、最近はこの分野に地殻変動が起こっているように感じます」と話を切り出す浦野氏。それまではWindows IoTのデバイスでの見積もりや問い合わせが多かったものが、最近では Chromebook が注目されるようになっているのだという。
壇上の浦野氏
「Chromebook を導入する場合、大きく4つの理由があることが分かってきました」と浦野氏。その4点とは以下になる。
「この4つを一度にすべて実現しようと考えた時に、Chromebook と Google Workspace の導入は、各項目で手間やコストを大幅に削減できるので、まさに理想的といえます。また、HPのエンタープライズ向け Chromebook には Chrome Enterprise Upgrade(CEU)という端末管理のためのMDMライセンスがバンドルされています。このMDMを使えば、HP Sure View(覗き見防止のための画面フィルタリング機能)を管理ポリシーで強制適用させることも可能です。ハイブリッドワークが進む今、サイバー攻撃対策だけでなく、こうしたリアル空間での端末活用を想定したセキュリティも合わせて考えていく必要があります」と浦野氏は語る。
その実例を紹介するという形で壇上を引き継いだのは株式会社シンクライアント総合研究所 取締役 奥野 克仁氏(以下、奥野氏)だ。「例えば鹿児島県の肝付町は今から10年以上前に役場の端末をシンクライアント化することを考え始めた当初からのお付き合いになります。DXを進める上で、Windows 環境でシンクライアント基盤を構築するのはコストも手間もかかりますし運用も大変です。サポートするベンダーは鹿児島市内からも宮崎県からくるので片道90分以上もかかります。そんな中でなんとか自分たちの力で進めないといけないというときに、目に留まったのが当時GIGAスクール で用いられていた Chromebook だったのです」と振り返る奥野氏。
HPの導入事例としても発表されている鹿児島県肝付町役場の事例について語る奥野氏
その話を聞いたHPが快く肝付町へのPoCに参加、実際に事務作業に携わる職員らを対象に1年近い実証実験を経て、本格導入に至ったのだという。「これに伴って、全端末はパブリックインターネットに接続しています。さらに鹿児島県情報セキュリティクラウドからも脱退していますが、本年6月同クラウドを襲ったサイバー攻撃にも全く影響を受けることなく、県内で唯一業務継続性を維持したセキュアな環境での運用を実現しています」と奥野氏。そんな肝付町でも Windows 環境は一部残っているが、今後は Googleクラウドプラットフォームにリフトすることを目指して、PoCを実施しているという。「新しく目指している環境ではADすら使いません。すべてを Google Cloud Platform 、Google アクセス、Google ドライブなどを活用して、DXを推進していきます」と奥野氏は解説。時間の都合で、事例の詳細までは語れなかったが、貴重な情報に会場の聴衆は真剣に聞き入っていた。
HPのセミナーが終了し、休憩時間になると聴衆はHPブースに集まり、浦野氏、奥野氏らとの名刺交換をする人が続出。改めて ChromeOS へのニーズの高まりが分かる状況となった。
来場者が途絶えなかったHPブース
大勢の聴衆や参加者が訪れた ChromeOS DX Roadshow。2023年は東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5都市で開催され、終了となったが、この盛況ぶりを見ていれば2024年も引き続き開催されることが期待される。ChromeOS に新たな期待を持っている方はぜひHPに相談していただきたい。
ChromeOS DX Roadshow Sapporo を支えたHPメンバー(左から、浦野氏、小笠原氏、奥野氏、日笠氏、高木氏)
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