2024.08.29
日本HP担当者が最新のビジネスPCの受注トレンドを分析し、その傾向を解説する企画の第2弾をお届けします。ビジネスPCを購入する際のヒントになるのと同時に、今後のトレンド予測にもつながる情報をお届けします。
【注:分析に活用している日本HPの受注データは、全体に与える影響が大きい大型受注案件を省き、1回の受注台数が100台未満のオーダーを対象としています。】
話者)
株式会社 日本HP
パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部長
岡 宣明氏
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―― まずは、デスクトップPCの筐体のトレンドを見ていきましょう。前回と比較して注目ポイントはありますか?
ボリュームゾーンは変わらずSFFとなっていますが、Desktop miniの堅調さも目立っていると思います。
―― Desktop miniは、VESAマウントでディスプレイに背負わせるのと、デスクトップとして使うのではどちらが多いのでしょう?
VESAマウントの方が多いと思います。省スペースという意味ではもっとも便利な使い方ですね。ただし、デスクトップとしてディスプレイの真下に置かれるケースも少なくはありません。
―― 例えばDesktop miniをVESAマウントするのとAiOとでは、結果的に同じような使われ方に見えます。
確かにそうですが、どちらかが故障した際に、壊れた方のデバイスだけ修理に出せばよいので、ビジネス継続性ではDesktop miniのVESAマウントの方が使い勝手は良いです。ただし、デバイスをバラで管理したくないというニーズもあるので、AiOには根強いファンがいるのだと思います。
―― ビジネスノートPCの方はいかがでしょう?
14インチは好調のまま推移していますが、15インチも人気になっている傾向があります。ハイブリッドワークで14インチをお求めのユーザー様が増えていますが、モバイルタイプの13.3インチと比較して、画面が大きいのに重量感はほとんど同じという特長があります。
また、単純に画面が大きい方がテキストが読みやすいなどのメリットがあるので、筐体が同じサイズでより大きいインチを選ぶのは自然な流れでしょう。
―― 15インチの人気の背景はどのようなものだとお考えですか?
コロナ禍以降は明らかにモバイルできるノートPCへの需要が伸びています。一方でこれまで主流だったデスクトップPCの良さは大きな外部ディスプレイが使えるという理由もありました。作業効率はディスプレイサイズが大きい方がよいので、15インチはデスクトップPCの代替えという位置づけになっているのだと考えます。
また、もうひとつ面白いのは、16インチも伸びを見せ始めている点です。近年のノートPCのデザインの場合、ベゼルを細く作るので、全体のサイズ感は従来のノートPCよりも一回り小さくなっています。
ですから、16インチは従来の15インチとの置き換えとして利用され始めているのだといえます。デスクトップの代替えとしては16インチの方が快適ですから、ご注目いただいても良いと思います。
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―― ではプロセッサーの傾向を見ていきましょう。まずはデスクトップ向けの製品ですが、こちらはいかがですか?
第13世代インテル® Core™ i5プロセッサーが人気の中心というのは変わりません。一方で、第13世代インテル® Core™ i3プロセッサー、インテル® Celeron® プロセッサーは縮小傾向にありますね。ただし、全体的な傾向は、前回から変わらずといった印象があります。
―― ラインアップとしても大きな変化はないですから、市場的にも同じ傾向なのですね。ではノートPC向けのプロセッサーはいかがですか?
ラップトップ向けのインテル® Core™ i5プロセッサーは相変わらず強いですが、AMD Ryzen™ 5000プロセッサー搭載のHP ProBook 635 Aero G8が春まで出荷を続けていた関係で、グラフ的には縮小しているように見えます。
しかし、現在はAMD Ryzen™ 8000シリーズ・モバイル・プロセッサー搭載のHP EliteBook 635 Aero G11がリリースされています。こちらは何といってもNPUを持っているため、いわゆる「AI PC」に分類されます。
さらに、AI PCとしてはもちろんですが、メガピクセル対応のWebカメラや、Poly Studioによる優れたサウンドシステムなど、Web会議向けのコラボレーション機能も充実している点も魅力です。
日常使いはもちろん、今後主流になるであろう生成AIを使った業務アプリなどにも対応できるモデルなので要注目だと思います。最新のAMDプロセッサー搭載モデルは今後も順次ラインアップに追加されていくので、どのようにトレンドが変わっていくのか、その辺りも非常に興味深いですね。
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―― メモリについては16GBがやはり主流になっているように見えますが、実際はいかがですか?
はい、こちらはデスクトップ、ノート共に16GBがもはや主流といえるようになっています。昨年までは8GBモデルも半数ぐらいの割合でしたが、Windows 11 を快適に動かそうと思えば、16GBは欲しいという市場からの反応なのでしょうね。
また、ハイエンドノートPCへのニーズが高くなっていることを受けて、32GBメモリをご指定いただくケースも増えてきたと思います。16GBあれば確かに困るようなことはありませんが、Web会議の増加によって、メモリリソースを激しく消耗する機会が増えています。
背景を合成して動画を出入力させ、Officeツールを使って共同編集しながら会議を進めるといったことも日常化していますから、PCへの負担は相当なものです。この場合、メモリ量が多いとある程度快適になるので、ヘビーユースに関しては16GB以上のメモリを必要とするケースが増えているのでしょう。
特にノートPCの場合は、マザーボード上にメモリを溶接して搭載するモデルもあるので、購入時にメモリ量を指定しておかないと、後からの追加は不可能です。そうしたモデルをお選びの方は、事前に余裕のある容量のメモリを選ばれることをオススメしておきたいですね。
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―― ストレージは256GB、512GBがそろそろ同比率になりそうな気配ですね。
その通りですね。容量は大きいに越したことはありませんが、企業ユースの場合は、そもそもデータをクラウドや、オンプレミスのデータベースなどで集中管理するケースが圧倒的なので、256GBもあれば十分というお客様が多いのが実情です。
ただし、最近では業種によっては動画ファイルのような大きなデータをやり取りするケースも増えているので、一時的にでもクライアントPC上に置いてしまうと、256GBではあっという間に容量が不足するといったことも増えています。
また、そろそろHDDへのニーズはかなり減ってきている印象です。ノートPCの場合はほぼありませんし、デスクトップでも減少傾向です。ただし、大容量データをクライアントPC上に保管しておきたいというニーズは一定層ありますから、ゼロになることはないと思います。
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―― OSに関してはもうWindows 11でほぼ埋まっていますね。
これは「Windows 11 Pro(Windows 10 Proのダウングレードプリインストール済み) OS」、いわゆる「ダウングレード10」の出荷が終了になった影響が大きいですね。私たちのデータ上では確かに Windows 11 へ完全に移行した形になっていますが、業界全体を見ればまだまだWindows 10が動いているのが実情です。ただし、いずれにしても2025年10月には Windows 11へ移行しなければならないことは自明なので、私たちとしては変わらず、早期の移行を促していきたいと考えています。
―― HPの受注データから見たトレンドの解説はいただきました。今回の結果から特に注目した点はどこにありましたか?
プロセッサーのグラフに略称で「Core U5」という項目が新たに追加されていたのに気が付かれたかと思います。このデータは2024年4月までのデータですから、2024年3月下旬に販売を開始しました「インテル® Core™ Ultra プロセッサー(通称:Meteor Lake)」はまだグラフ上ではまだそれほど目立たない程度の出荷量でした。次の四半期からはいよいよNPU搭載モデルの出荷量が反映されますので、インテルもAMDもプロセッサーの比率に変化がでてくるのではと思います。
―― いよいよビジネス業界でも大きな注目を浴びているAI PCの時代が来るのですかね。
確かにAI PCも受注トレンドに入ってくるでしょうし、早期の動き出しがどうなるのかは私も楽しみにしています。
また、ここ2回の特集でもお分かりのように、変わらずハイスペック化は進んでいくと思います。メモリは16~32GB、ストレージは256~512GB SSD、OSは Windows 11という流れに加え、インテル® Core™ Ultra プロセッサー、AMD Ryzen™ 8000シリーズ・モバイル・プロセッサーの両モデルがどのように市場からの評価を受けるのか注目し続けていきたいですね。
―― 注目のモデルはありますか?
先ほども少し触れましたが、ハイブリッドワ--ク全盛の今の時代に最適な軽量スタイリッシュでありながら頑丈なデザインに、高いコストバリューを提供してくれるHP EliteBook 635 Aero G11ですね。生成AIをビジネスに活用する企業が増える中、こうしたモデルでその実力を引き出していただきたいですね。
付け加えておきますと、HP EliteBook 635 Aero G11をお試しいただける貸出機のご用意もあります。ノートPCの良さ、特にその軽さや使用感をご実感いただくには実物を触ってみていただくのが一番かと思いますので、ご検討のみなさまはぜひお気軽にHP担当者にお申し付けください。
―― そのほかの注目ポイントはありますか?
発表以来、ご質問やご相談が多い「HP eSIM Connect」ですね。SIM/eSIM対応モデルはこれまでもお問い合わせが多かったのですが、やはり通信料がネックとなって導入に至らないケースが非常に多かったという実情がありました。
HP eSIM Connectは対応モデルの本体価格に5年間データ通信使い放題の権利がバンドルされているため、追加料金や月額課金なしで、LTEまたはLTE/5G回線による24時間365日のデータ通信が可能になります。
本当に追加料金はないのか、帯域を制限されることはないのかというご質問を受けますが、これにはまったく当たりません。最近では、HP eSIM Connectのことをご理解いただけた方たちからのご相談も増えていて、2024年7月の時点ですでに数千社からお見積りのご依頼を受けており、最大で数千台規模の大型受注案件もでてきています。私たちとしても是非お勧めしたいソリューションであり、みなさまにもご注目いただきたいと思います。
―― 本日はありがとうございました。
HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。
Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。
組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。
※コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。
ハイブリッドなワークプレイス向けに設計された Windows 11 Pro は、さらに効率的、シームレス、安全に働くために必要なビジネス機能と管理機能を搭載しております。HPのビジネスPCに搭載しているHP独自機能はWindows 11で強化された機能を補完し、利便性と生産性を高めます。