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2024.09.18

マイクロソフトの生成AI戦略①(2024年8月版)

AIを本格活用する企業増加で起こっている変化を探る

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フリーランスライター:三浦 優子

2024年後半に入り、マイクロソフトの生成AIに関するアピール内容が変化してきています。登場から時間を経て、導入企業が増え、利用内容がより実務に即したものへと変わってきていることが要因のひとつです。さらに、新しい製品投入が予告され、AIによる進化はさらに加速していくことになりそうです。マイクロソフトのAIは今後どのように進化していこうとしているのでしょうか?

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マイクロソフトは「AIを使う・創る」の両方に対応
出典:2024年6月、日本マイクロソフト記者会見配付資料より

AI習熟度があがり本格的にAIを創る企業が増加

マイクロソフトでは企業がAIを活用するにあたっては、「AIを使う」と「AIを創る」という2つの方向性があるとしています。「AIを使う」は、複雑な準備をすることなくユーザーがAIを利用することを想定しています。既存のマイクロソフトソリューションに組み込まれたAIサービスを利活用することや、Copilot Pluginなどを活用することで、簡易にシステムに取り込んで利用することなどになります。代表的なソリューションが「Copilot for Microsoft365」になります。

「AIを創る」は、ユーザーのニーズにあわせ、自社システム内にAIを組み込むことを指します。自社業種に特化したAIモデルのカスタマイズやアプリケーション統合によって利活用することになります。「Microsoft Copilot Studio」、「Azure AI Studio」、「Azure OpenAI Service」を使い、多くの企業が「AIを創る」に取り組んでいます。

生成AIが登場した当初、第一段階として「AIを使う」ことで、ほとんどの企業は生成AIの評価と検証を行いました。さらに、第二段階として、「AIを創る」ことに企業は取り組み、AIプラットフォームの整備を行ってきました。そこに続く第三段階では、再び「AIを使う」フェーズに入り、AIのビジネス実装が行われ、評価ではなく、実業務にAIを利用する企業が増えていきました。ビジネス実装を行った後、さらに自分の会社に特化したAIを創り上げるために、第四段階として「AIを創る」ことが進みます。独自AI Agent実装など、自社に合ったAI創りが進められることになります。

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AI利用の成熟度よりAIを使う、創る内容が変化
出典:2024年6月、日本マイクロソフト記者会見資料より

2024年に入り、各企業が生成AIの評価段階を終え、第三段階、第四段階である自社に特化したAIを実務で利用する企業が出てきました。評価から実務へとAIを利用するフェーズが変わり、さらに自社に合ったAI創りの模索が始まっています。

生成AIが登場する数年前、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「いずれ全てのアプリケーションにAIが組み込まれる時代になる。AIを利用していることは企業の強みにはならず、企業は改めて自社の強みを考えなければならない」という趣旨の発言をしていました。

2024年に入り、自分の会社のためのAIを創る企業が増えていることは、まさにこの発言の通りの時代が訪れようとしているということではないでしょうか。マイクロソフトに限らず、様々な企業がAIを組み込んだシステムを提供しています。それを利用する企業側は、単純にそれらのシステムを活用するだけでは、他社との差別化がはかれません。いかに効果的にAIを活用していく方法を模索する第一歩が自社の戦略に特化したAIとなるのではないでしょうか。AIを利用する企業が増える中、自社に最適化されたAIを創ることに真剣に取り組んでおいた方が良さそうです。

言語モデルはマルチモーダルへ

AIを創る際にも、昨年までとは異なる傾向が出ています。昨年までのテキストだけの言語モデルではなく、画像、音声も含めたマルチモーダルを利用できるようになり、それを採用する企業が増えているのです。

マルチモーダルが注目される背景として、マイクロソフトでは2023年と2024年以降は、生成AIに関する技術トレンドが変化したと指摘しています。昨年までの生成AIは、言語モデルはその用途に応じて、相応のモデルを複数選択・利用することが最適とされていました。モデルサイズは、膨大なパラメーター数を持った大規模言語モデル、具体的にはLLMとして GPT-4などが最適とされていました。

それに対し2024年以降は、言語モデルには音声、画像、動画にも対応した単一のマルチモーダルモデルを利用できるAIが増加しています。モデルサイズもより少ないパラメーター数、低い計算資源で動作可能なオンデバイスモデルであるSLMのPhi-3やPhi-Silicaなどを求めるケースが増えています。

2023年は実務で使うというよりも、生成AIとはどんなものか、技術的側面を追求する評価用途で利用することが多かったのに対し、2024年以降は利用現場が明確になったことで、「現実的にこの現場で使えるものが必要になった」ということのようです。

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AIが利用するモデルはテキストからマルチモーダルへ
出典:2024年6月、日本マイクロソフト記者会見資料より

CopilotがAIエージェントへの進化を始める

マイクロソフトがすでに提供されている製品に加え、新しい製品を開発中であることが開発者向け年次イベント「Microsoft Build Japan」で発表になりました。発表された開発中の製品の中で興味深いのが、2024年後半からプレビューがスタートする予定の「Team Copilot」です。現行のCopilotが利用者のAIアシスタントという位置づけであるのに対し、Team Copilotはチームに貢献する新しいメンバーの一人という位置づけになります。時には会議の進行役となり、グループのコラボレーションを促進する役割を担います。場合によってはプロジェクトマネージャー役を担うこともあります。

現行のAIアシスタントは個人をサポートするものですが、Team Copilotはチームメンバーの一人として他メンバーをサポートします。さらに、今後はより複雑なタスクに対応することができるエージェントへと進化する計画となっています。

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Copilotはチームに貢献するメンバーへと進化
出典:2024年6月、日本マイクロソフト記者会見資料より

安全なAIのための機能がさらに強化

Microsoft Build Japanでは、他にも様々な発表が行われました。ここではその中でAI Safety機能の強化について紹介しておきましょう。

元々、マイクロソフトのAIは、生成AIを安全に利用するためのセーフガード機能が充実していることが特徴の一つとなっていました。今回、そのセーフガード機能をさらに強化することで、さらに「信頼できるAI」としての機能充実を進めています。

今回、新たに加わることになるのが「カスタムカテゴリ」、「プロンプトシールド」、「根拠性検出」という3つの機能です。

カスタムカテゴリは、特定のコンテンツフィルターニーズや、自社のAIポリシーに合わせた生成AIアプリ用のカスタムフィルタを展開することができる機能です。利用することばのポリシーは利用する企業/機関によって異なります。例えば通常企業では人間の身体の特定の部位の名称を連呼することは問題になる場合があるでしょう。しかし、医療機関では、「身体の部位の名称を使ってはいけない」では仕事に支障をきたします。 このように、「使ってはいけない単語」だけでも、利用する企業/機関によって異なるのです。

このように通常のコンテンツフィルタリングとは異なる基準が必要になるユーザーが、独自ポリシーを作ることができるカスタムカテゴリは、近日サービス開始予定となっています。

プロンプトシールドは、悪意あるユーザーによる、想定しない動作や不正にアクセスを目的としたプロンプト攻撃を監視・検出し、それに対抗していく機能です。今後、増加するであろうAIに対する攻撃を防ぐ手段のひとつとなります。こちらはすでにプレビューを公開中です。

根拠性検出は、モデルの回答において、ユーザーが提供するソース資料に基づいていた回答かどうか、根拠となるソースを検出することを可能とする機能です。企業がAIを活用する場合、正しいソースから得た情報か、否かを示すことの重要性が増しています。そこに呼応する機能で、プレビューが公開されています。

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生成AIを安全に利用する機能がさらに充実
出典:マイクロソフト記者会見配付資料より

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

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※2024年9月18日時点の情報です。内容は変更となる場合があります。

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