最新AIエージェントツール徹底解説|活用事例と導入ポイント
2025-04-25


「AIエージェントって最近よく聞くけど、結局何ができるの?」「チャットボットとは何が違うの?」「自社のビジネスにどう役立つの?」
AI技術の進化が加速する中、特に注目を集めているのが「AIエージェント」です。AIエージェントは、単なるAIツールではなく、自律的にタスクを実行し、人間をサポートする、いわば「デジタルパートナー」のような存在です。
この記事では、AIエージェントの基本から、具体的な活用事例、今後の展望まで、徹底的に解説します。この記事を読めば、AIエージェントの可能性を理解し、自社のビジネスにどのように活用できるか、具体的なイメージが掴めるはずです。
ライター:國末拓実
編集:小澤健祐
AIエージェントとは?:自律的に動く「デジタルパートナー」
AIエージェントとは、ユーザーや他のシステムに代わって、タスクを自律的に実行できるソフトウェアのことです。高度な自然言語処理(NLP)によって指示を理解し、作業を細分化して計画を立て、外部ツール(ウェブ検索、アプリケーションなど)を使いこなすことで、複雑な目標を達成します。
従来の生成AI(例:ChatGPT)が、ユーザーの質問に対して単一の応答を生成するのに対し、AIエージェントは、環境と対話しながら判断・行動する点が大きく異なります。例えば、「市場調査レポートを作成して」と指示すれば、AIエージェントはインターネット上の関連情報を収集・分析し、引用付きのレポートを自動的に作成します。
AIエージェントは、内部にメモリを保持し、過去の対話やデータを参照して文脈を考慮した応答や計画修正を行うため、より柔軟で持続的なタスク対応が可能です。つまり、AIエージェントは、生成AIの知能に計画・実行力を組み合わせた「自律エージェント」として、複雑な問題解決や業務自動化を担う存在なのです。
生成AIとの違い、そして連携
AIエージェントの中核には、大規模言語モデル(LLM)などの生成AI技術が使われています。しかし、AIエージェントは、外部ツールの呼び出しによって知識範囲や機能を拡張している点で、単なる生成AIとは異なります。
生成AIが学習済みのデータに基づいて応答を生成するのに対し、AIエージェントは必要に応じてウェブ検索、API呼び出し、他のシステム操作を行い、最新情報を取得することができます。

生成AI登場以前のAI、生成AI、AIエージェントを比較すると下記のように整理できます。
種類 | 特徴 |
---|---|
(従来の)AI | あらかじめ決まった用途に特化し、予測や識別などで使用される。 |
生成AI | テキスト、画像、動画などのコンテンツ生成に特化。 |
AIエージェント | 生成AIの能力に加え、計画立案、外部ツール連携、自律的なタスク実行が可能。 |
AIエージェントは、生成AIを「頭脳」として活用し、より高度な業務自動化を実現します。生成AIが作成した文章を、AIエージェントが自動的にメールで送信したり、ウェブサイトに掲載したりするなど、両者の連携によって、これまで人間が行っていた作業を大幅に効率化できます。
主要なAIエージェントツール
AIエージェントは、様々な企業から提供されており、それぞれ特徴的な機能を持っています。ここでは、主要なAIエージェントツールと、その提供企業を紹介します。
OpenAI(Operator、Deep Research)
OpenAIは、ChatGPTのプロ向け機能として、ビジネスでの利用に特化したAIエージェントを開発しています。
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Operator:2025年1月に発表されたOperatorは、ウェブ上の操作を自動化するAIエージェントです。ユーザーに代わってブラウザ内でクリックや入力を行い、フォーム入力やボタン押下など、人間と同様の操作が可能です。
例えば、
○ 旅行予約サイトで、希望の日時、目的地、予算などを伝えるだけで、AIエージェントが最適なフライトやホテルを検索・予約
○ ECサイトで、欲しい商品の情報を伝えるだけで、AIエージェントが商品を検索し、代理で購入
といったタスクを実行できます。現在は、米国のChatGPT Pro加入者向けにプレビュー段階ですが、将来的にはより広範なユーザーに提供される予定です。 -
Deep Research:2025年2月に追加されたDeep Researchは、調査に特化したAIエージェントです。プロンプトを入力すると、数百のオンライン情報源を自動的に検索・分析・統合し、研究員レベルの包括的なレポートを作成します。
○ Web閲覧とデータ解析に最適化された新しいLLM「o3」を搭載
○ 従来、人間が数時間かけていた調査タスクを、数十分で完了
○ 当初はChatGPT Pro限定でしたが、将来的にはChatGPT Plusや企業向けTeamプランにも拡大予定
OpenAIは、これらのAIエージェント機能を、汎用人工知能(AGI)への重要な一歩と位置付けており、生成AI(GPT-4など)の能力を特定業務に応用する試みと言えます。
GoogleのAgentspace
Googleは、2024年に企業向けAIエージェント基盤「Agentspace」を発表しました。

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Agentspace:社内データと連携したマルチモーダル検索エージェントを中心に、様々なカスタムAIエージェントを統合するプラットフォームです。企業ごとのブランドで社内ポータルのように展開でき、社員は自然言語で質問すれば、社内文書やメール、クラウドデータベースから必要な情報を引き出せます。
○ NotebookLM:Agentspace内のエージェントとしても動作し、社内の膨大なドキュメントから要点を音声付きでまとめたり、ファイル翻訳・要約を行ったりします。
○ 外部サービス連携:Agentspaceには、外部サービスとの連携コネクタが用意されており、メール送信やカレンダー登録、SlackやJira検索など、他のツールでのアクションも自動実行可能です。
○ セキュリティ:権限管理のため企業の認証基盤と統合し、アクセス制御や監査も行えるなど、エンタープライズ向けの設計になっています。
Googleは、AgentspaceによってAIエージェントを企業のデータ活用や業務効率化に組み込み、社員の生産性向上や意思決定支援に役立てることを目指しています。
その他の注目AIエージェントツール
開発者向けプラットフォームでも、AIエージェント機能の提供が進んでいます。
- Replit Agent:オンライン開発環境Replitが2024年9月に公開したAIエージェントで、アプリの構築からデプロイまでを自動化します。ユーザーがアプリのアイデアを数行で入力するだけで、必要な開発環境設定からコード生成、クラウドへのデプロイまで実行可能です。
- Felo AIエージェント:日本発のスタートアップFeloが提供するAI検索エージェントです。自然言語で質問すると、複数の信頼できるソースから情報を収集し、正確な回答やレポート資料を自動生成します。例えば、競合企業のビジネスモデル分析では、企業の歴史、顧客、財務、競合優位性などを網羅したレポートを一括作成できます。
- Genspark AI Agent:Gensparkは、エージェント群(マルチエージェント)による検索エンジンを提供しています。単にWeb検索結果を並べるのではなく、複数のAIエージェントが各種情報源を専門分野ごとに分析し、ユーザーの問いに対し統合された回答ページ(Sparkpage)を生成します。
【業界別】AIエージェントの具体的な活用事例
AIエージェントは、世界中の様々な業界で活用され始めています。ここでは、具体的な活用事例を紹介します。
小売・EC業界の事例
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Best Buy:米Best Buyでは、Google CloudとAccentureと提携し、生成AI搭載のバーチャルアシスタントを導入予定です。2024年夏からBestBuy.comサイトや公式アプリ上で稼働するAIチャットボットにより、製品のトラブルシューティングや注文変更手続きなどをセルフサービスで行えるようにします。また、問い合わせ内容をリアルタイムで要約・分析してオペレーターに提示する社内ツールも導入し、応対品質と効率を向上させています。
出典:How Best Buy is using generative AI to create better customer experiences -
Carrefour Taiwan:台湾のCarrefour(カルフール)では、ワイン売り場向けのAIソムリエ・チャットボットを展開しました。モバイルアプリ内の対話型エージェントが、顧客の好みや予算に応じて最適なワインを推薦してくれます。
出典:AI Sommelier - Eric Tsai – Product Designer -
Etsy:ハンドメイドマーケット大手Etsyは、2024年に「ギフトモード」というAIエージェント機能を導入しました。贈り先の属性(家族、友人、上司など)や目的(誕生日、記念日等)、興味関心を選ぶと、Etsyの商品から適切なギフトアイデアをチャット形式で提案します。
出典:Etsy launches AI-based gift recommendation service
金融業界の事例
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ING Bank:オランダのING銀行は、McKinseyと共同で高度なチャットボットを開発し、問い合わせの約40%を自動応答で解決しています。このエージェントは社内データベースから最適回答を検索し40か国で3,700万人以上の顧客に影響を与えるとされています。
出典:Banking on innovation: How ING uses generative AI to put people first -
Scotiabank:カナダのScotiabankでは、コンタクトセンター向けにAIチャットボットを強化し、人間オペレーターへの引き継ぎ時には対話内容を要約するLLM機能を導入しています。その結果、顧客がチャットから電話に切り替えた際にも担当者が内容を即座に把握でき、応対時間を60~70%短縮する効果が出ています。
出典:How Scotiabank Built an Ethical, Engaged AI Culture -
Commerzbank:ドイツのCommerzbankは、Microsoftと提携してバーチャルバンキングアバターを開発中です。人型のデジタルアシスタントで、顧客が自然言語で相談できるものです。
出典:Commerzbank will realize AI Banking Avatar
ヘルスケア業界の事例
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Hackensack Meridian Health:米ニュージャージー州最大の医療ネットワークHackensack Meridian Healthは、ニューヨークのスタートアップK Healthと組み、バーチャル診療プラットフォーム「HMH 24/7」を立ち上げました。患者はAIチャットボットによる問診を24時間いつでも受けられ、必要に応じて医師のオンライン診察に繋がります。
出典:Hackensack Meridian Health unveils AI-powered platform to expand primary care -
Bayer:製薬・ライフサイエンス大手のBayerは、Google Cloudと協業し、放射線科医向けのAI支援ソフトを開発中です。膨大な医用画像データを解析し、検査レポートのドラフト作成や異常所見の検出を行うエージェントで、読影作業の負担軽減と精度向上を目指しています。
出典:Google teams with Bayer to address radiologist burnout via AI -
Sami Saúde:ブラジルのヘルステック企業Sami Saúdeでは、Google Workspace上に社内向けAIエージェントを導入し、保険請求処理などの定型業務を自動化しました。その結果、社員の生産性が13%向上し、月900時間相当の手作業が削減される効果を上げています。
出典:Discover how Sami Saúde, a leading Brazilian healthcare provider, optimized care coordination by implementing generative AI, saving 900 hours monthly and increasing client assistance by 50%.
物流・自動車業界の事例
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UPS:世界的物流企業UPSでは、社内開発の生成AIシステム「MeRA」を用いて顧客メール対応を自動化しました。MeRAはLLMにより1日あたり5万通超の問い合わせメールの一部に自動返信案を作成し、担当者が内容確認して送信するワークフローに置き換えています。
出典:UPS delivers customer wins with generative AI -
Volkswagen:Volkswagen(フォルクスワーゲン)は、2024年、Google Cloudの生成AI(Geminiモデル)を自社の車両オーナー向けモバイルアプリ「myVW」に統合しました。アプリ内のバーチャルアシスタントがオーナーズマニュアルやFAQデータを参照し、ユーザーの自然言語質問に答えます。
出典:Volkswagen integrates Google’s generative AI to enhance app experience -
Toyota:トヨタは社内開発プロセスにAIエージェントを活用しています。2024年公開の「O-Beya(オオベヤ)」は、複数の専門エージェントを束ねた社内ナレッジ共有システムです。振動解析や燃費、排出ガス規制など領域別に訓練された計9種のエージェントがあり、エンジニアは質問に応じて関連するエージェントから回答を得られます。
出典:Toyota is deploying AI agents to harness the collective wisdom of engineers and innovate faster
AIエージェントの今後の展望
AIエージェントは、今後さらに進化し、ビジネスや社会に大きな影響を与えると予想されます。
より高度なマルチモーダルAIの進化
今後は、テキストだけでなく、画像や音声、動画など、複数モードのデータを統合処理できる、より高度なマルチモーダルAIエージェントが登場するでしょう。
これにより、AIエージェントは、より多様な情報を活用し、より複雑なタスクを実行できるようになります。
例えば、製造業では、AIエージェントに設備の映像を見せて異常箇所を指摘させたり、接客業では、顧客の音声問い合わせに対し資料を検索して口頭回答したりといった応用が進むと考えられます。
企業のデジタル変革(DX)とAIの役割
AIエージェントは、企業のDXを推進する上で、重要な役割を果たすと期待されています。
AIエージェントを活用することで、業務のデジタル化が加速し、企業はより効率的で生産性の高い組織へと変革を遂げるでしょう。
AIエージェントと人間の共存
AIエージェントの台頭によって、今後の職場では、人間とAIの協調作業が当たり前になると考えられます。
AIエージェントは、単純で反復的な業務や大量データの分析をリアルタイムで肩代わりし、人間は創造性や戦略性が求められるコア業務に集中できるようになります。
人間とAIが互いの強みを活かし、協力し合うことで、より質の高い仕事が実現できるでしょう。
おわりに:AIエージェントが拓く、ビジネスの未来
AIエージェントは、生成AIの進化を象徴する技術であり、ビジネスの現場に革新をもたらす可能性を秘めています。
自律的なタスク実行、外部ツールとの連携、そして人間との協調。
AIエージェントは、これまでにない働き方を実現し、企業の生産性を飛躍的に向上させるでしょう。
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