2024.11.20

アドビに聞く生成AIのビジネス活用

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―― マーケティング分野におけるAI活用について詳しく教えてください。

澤田:AIと生成AI、機械学習などを使った各種のツールが、顧客体験管理(Customer
Experience Management)のためのプラットフォームAdobe Experience Platformとして提供されています。マーケティングツールはたくさんありすぎて、使いこなすまで時間がかかると感じられるお客さまが少なくありません。まずは、ここに注力しています。
Adobe Experience Platformに内包されている「Data Science Workspace」機能やAIサービス群「Intelligent Services」を活用することで、Adobe SenseiのAIとマシンラーニングによる、統合データの利用、スコアリングやクラスターデータ等のプロファイルの拡張が可能になります。

分析を支援するインテリジェントキャプションなども好評です。これは、グラフを読み解いて解説するというものです。さらに、Adobe Senseiの時代から、自動ターゲットやレコメンデーションでマーケティングに最適なプランを提案する機能にも注目をいただいています。

また、制作システムでのスマートクロッピングシステムは、ビジュアル素材へのタグ付けを自動化します。あのイメージ写真がどこかにあったはず…と思っても、その検索が難しく、使いたい写真が最終的に見つからないということはよくありますよね。でも、AIが自動的にタグをつけてくれるようになって、後日の検索がとても柔軟で正確なものになりました。人間がタグをつけるのではこうはいきません。

さらに、Adobe Campaignなどのマーケティングオートメーションツールで、ダイレクトメールの配信タイミングを最適化し、配信は朝がいいのか夕方がいいのかなどを、そもそものデータを分析して提案します。

―― AI活用が浸透する中で、今後、ますます重要になっていく要素はありますか。

河合:コミュニティへのリスペクトがますます重要視されるようになるかと予想されます。
Fireflyは著作権問題を防ぐために、学習データとしてAdobe Stockの画像をもとにしていますから、それが生成した結果を企業として使うときに安心できるものとなっています。 現在のFireflyの生成AIモデルのトレーニングには、Adobe Stockなどの使用許諾を受けたコンテンツのデータセットおよび著作権の切れた一般コンテンツが使用されています。また、クリエイターが生成AIの恩恵を受けられるよう、自身のコンテンツがFireflyモデルのトレーニングに使用されたAdobe Stockコントリビューター向けに、報酬モデルを構築しています。実は、ここがとても大事で、今後は、さらに重要視されていくことになるでしょう。誰の権利も侵さないことが大事ですし、そのことを何よりも尊重しなければなりません。我々は企業ユーザーが安心して使えるAIにしようというところを非常に大事にして開発をしているという点では、アドビのAIの特長となります。

澤田:顧客中心という視点も重要です。ツールの中に自然にAIの機能が入り、気軽に使えるようなイメージです。たとえば、Photoshopで画像を生成させるという行為についていえば、絵心がまったくない人でも、「まあこっちの絵の方が好み」と思うことはありますよね。それは、Photoshopの使いこなしの知識が全然なくても、AIを使うことでそのツールとしてのパワーの何割かを自分のものとして使えるっていうのと同義なんですよ。マーケティングの知識があまりなくても、どこかからなんかこう事実が取り出せるみたいなね。
そういうようなことをAIの力を使えばできるという点ではクリエイティブもマーケティングも同じということかもしれませんね。少なくともまったく異質なものではありません。
クリエイティブのAIとマーケティングのAIが同じかどうかを言いにくいことはあったとしても、それは感覚としてだと思いますね。マーケッターが野生のカンで、「この情報がわかったら便利だと思うけど、そんなことをいちいち細かく調べることなんてできないよな、でも…」っていうことがAIに聞けばわかる時代になれば、またひとつ先のステップにあがれます。

河合:そうです。ツールの中に機能として取り込まれているAIなら、やりたいことの手段として活用しやすいものとなるはずです。
その昔にはできなかったことが今できるようになったように、システムそのものが貧弱だった時代にはできなかったことが、今AIの力もあって、できるようになったということです。

澤田:アドビのイメージは、Analyticsを使う顧客にとっては業務の上でのデジタルマーケティングツールの使いこなしそのものなのです。アドビはマーケティングオートメーション、
PDF、クリエイティブと、イメージやカバーする領域が異なる複数の顔を持っています。
アドビ自体がコンテンツ制作のためのクリエイティブのツールを持っていることで、アドビができる領域とその領域に対する期待が一気通貫でわかりやすくなっているということも大事にしていきたいと考えています。
その上で、AIにまかせられるところはまかせたい。そうすれば人間が考える時間をより多く確保できるはずです。

河合:それによって、クリエイティブの専門的な知識や経験があまりなくてもクリエイティビティをより発揮できるようになれるかもしれません。それこそが、今求められている人間へのAIによるサポートではないでしょうか。決して人間の仕事を奪うわけではありません。
だからこそ、ちゃんとAIが動くPCが必要です。できるはずのことができないと困るのは間違いないからです。
たとえば以前のPCはそこまでハイエンドではなかったので、例えばローカル環境でスタンドアローンの生成AIを動かすと、すぐにフリーズするなど、AIでできることは分かっているのにできないというのが結構なストレスで、実際に仕事の経験としてありました。

結論として、アドビは一貫して顧客中心のアプローチをとっていきます。それはIP(知的財産)フレンドリーであるということも関連します。それは顧客の企業にとって明確であってほしいものであり、アドビはそこに責任をもてるAIを開発していくということの証です。つまり、AI活用においてもっとも重要なのはクリエイティブコミュニティへのリスペクトであると考えます。

―― ありがとうございました。

アドビの製品/サービスで提供しているAIを活用した機能一覧ページ

直近のFirefly関連のリリース記事

Adobe Experience Cloud(デジタルマーケティング製品)の直近の大きな生成AI活用機能

参考
Firefly等を活用した公開事例①
Firefly等を活用した公開事例②
Firefly等を活用した公開事例③

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