GIGA第2期はいよいよ佳境に。最先端の教育支援ソリューションが集結する「EDIX東京2025」にHPが出展
2025-06-17

2025年4月23~25日、東京ビッグサイトにて「EDIX 東京 2025」が開催された。教育総合展として毎年開催されるイベントで、最新の教育ソリューション、ICT支援機器類など、時代を牽引するテクノロジーが集結することで知られている。GIGA第2期もずいぶん進み、いわゆる教育DXを後押しすべく、教育関係者らの熱い視線が投げかけられる中、イベントは開催された。HPももちろんこのイベントに出展、多くの来場者へICTデバイスやソリューションをPRした。それでは早速内容を見ていこう。
取材:中山 一弘
広い会場でも特に目立ったHPブース
会場入り口近くの大きなスペースに設置されたHPブース。立地的な条件が良いこともあり、来場者の絶えない状況が会期中ずっと続いていた。ブースにはHPの教育向け製品がジャンルごとに分けて展示されており、担当スタッフが熱心に対応している姿が印象的だった。わずかな隙間を縫っての取材となったが、順番に案内していこう。
行事が多い学校で人気の大判プリンター
居並ぶ製品群の中でもひときわ目立つのは大判プリンターだ。ここでは学校向けに人気の高い「HP DesignJet」シリーズから「HP DesignJet T850 MFP」が展示されていた。「このモデルが人気な理由にはいくつかあり、学校行事やイベントで大きなポスターを印刷するのに最適な製品であることがひとつ。MFPとついている製品はデジタルスキャナーを搭載しているので教科書や世界地図の拡大コピーができることも理由です。そしてGIGAスクールとの相性の良さという部分でChromeOSに対応しており、学校でお使いの端末上からそのまま印刷可能な点があります」と説明する垣見氏と嫁坂氏。
また大判プリンターとしてはスリムで設置しやすいデザインなので置き場所に困らないという点も特長なのだという。「拡大コピー印刷などではモノクロ対応の拡大専用機と比較して、こちらのほうがランニングコストは低くなります。その点だけ比較しても大判プリンターに軍配があがるため、導入していただく地方自治体の方や学校のみなさまが多いのでしょう」と垣見氏と嫁坂氏は語る。学校と相性のよい大判プリンターを探している方は、一度HPの大判プリンターを見てから決めるとよいだろう。
GIGA第2期端末と教員向けPC
「今回のEDIX東京でGIGA第2期向け端末の主力はやはり、ChromeOSと相性が良いMediaTek Kompanio 520プロセッサーを搭載した『HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook』や、HP eSIM Connect対応の『HP Fortis Flip G1i 11 Chromebook』などが人気となっています」と説明するのはHP吉成氏。
特に追加料金無しで5年間データ通信が使い放題となるHP eSIM Connectに関してはブースでの注目も高く、常に質問者が絶えない形だった。「Wi-Fiインフラ環境が届かないような場所でも安定して通信ができるということと、Wi-Fiやテザリングにいちいち繋ぎ変えなくてもPCを開けばインターネットにつながっている利便性の高さで利用者には大好評となっています」と吉成氏は説明する。
また、教員向けのビジネスノートPCも注目度が高い製品が揃っているという。「背後からのぞき見をシャットアウトする『HP Sure View』をはじめとしたセキュリティ機能だけでなく、NPU搭載モデルでは、今後実装が進むAI機能のすべてが快適に利用できます」と吉成氏。最新モデルの「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」や「HP EliteBook 1040 G11 Notebook PC」が人気の中心となっており、AI活用への期待の大きさも感じることができた。
MediaTek社シニアディレクターも来場!
当日はMediaTek社のシニアディレクター、Victor Tyan氏も来場。同メーカー製のプロセッサー搭載モデルを片手に日本の教育市場への参入について語った。
「MediaTekは、長年にわたる低消費電力設計の実績を活かし、フィーチャーフォンやスマートフォンなどのポータブルデバイス開発で培った技術を、教育向けのコンピューティング分野にも展開しています。高性能なオクトコアアーキテクチャとバッテリー持続時間の最適なバランスにより、学生が一日中安心して学習に集中できる環境の実現に取り組んでいるのです。
HP Fortis G1m Flip Chromebookは、16時間のバッテリー駆動、軽量設計、優れた冷却性能を備え、学習用途に最適です。MediaTekとHPは約5年にわたり協力し、日本のGIGAスクール構想への貢献に積極的に取り組んできました。現地チームやグローバルチームが販売支援やトレーニングを提供し、教育現場への導入を全面的にサポートしています。今後もHPや販売店と連携し、より多くの学生と教師の皆様に価値ある技術を届けていきます。
今回、EDIX東京2025で教育現場の最新ニーズや現場の声に直接触れることができたのは非常に有意義でした。多くの教育関係者が熱心に展示を見学されており、GIGAスクール構想の次のステージに向けた期待の高さを実感しました。今後の製品開発や支援活動において、こうした現場の皆様の声をしっかりと反映していきたいと考えています。」
電源オフ時でもリモート管理ができるMDM「HP Protect and Trace with Wolf Connect」
HPはICT機器だけでなく、ソリューションの提供もおこなっている。GIGAスクール向けとして、5年間データ通信が無償で使い放題となる『HP eSIM Connect』と、端末をリモート環境から探す、ロックする、データ消去をするといった命令を実行できるMDM『HP Protect and Trace with Wolf Connect』の通称ダブルコネクトが提供されている。
HP eSIM Connectに関しては、後ほど詳しく解説するので割愛するが、外出先での通信環境が安定して使えるようになると端末を学校外へ持ち出す機会も増えてくる。「そのようなシーンが増えることでより重要になってくるのは端末管理、いわゆるMDM(Mobile Device Management)です。万が一、外出先で端末が盗難、紛失といったトラブルにあっても、デバイスを保護する機能があれば安心です」と語るのはHP寺園氏だ。
HP Protect and Trace with Wolf Connectは先ほども触れたようにリモート環境から、端末へ向けてデバイスの位置の特定や、BIOSレベルでのPCロック、完全なデータ消去を実行させることができる。この機能だけならばほかにもソリューションはあるが、端末の電源が入っていない状態でも実行できるのがHP Protect and Trace with Wolf Connectの特長だ。
「自治体を中心にたくさんのお問い合わせとお申し込みをお受けしています。データ漏出対策がしっかりしていれば、端末を持ち出すことに不安がなくなりますので、生産性も向上します」と寺園氏は語ってくれた。HP eSIM ConnectとHP Protect and Trace with Wolf Connectはダブルコネクトという表現があるほど、相性のよい組み合わせだ。端末の持ち出しによる生産性向上を目指す方はぜひご検討いただきたい。
臨場感を伝えるビデオバーでリモート授業を活性化
HPのPolyブランドからは、リモート授業や職員同士のWeb会議などに欠かせないビデオバーとヘッドセットが展示された。「今回お持ちした中で特に注目となっているのはUSBに接続するだけでWebカメラ、パッシブラジエータ搭載のパワフルスピーカー、高品質マイクを提供するビデオバー『Poly Studio R30』です」と語るのはHPの是枝氏だ。
コロナ禍が収束した現在でも、インフルエンザなどの流行や、不登校児対応としてリモート授業をおこなうケースは存在している。PCの画面でみる教員や教室の様子が固定カメラのみとなると、授業の温度感が伝わらず、子どもたちが集中できないこともあるのだという。
「先生の声がクリアに聞こえる、あるいはカメラが先生の動きを追うように動き、しぐさや黒板に書かれた文字がしっかり見えるといったように、相手に伝える情報の品質を上げることで没入感を高めることができます」と是枝氏は語る。
そうした高機能をビデオバーに集約したのがPoly Studio R30だ。手軽に使えるうえにセッティングも容易なのでリテラシーに頼らず積極的に使うことができる。リモート授業を始めるためにかかる時間の短縮にもなるので、現場を知る教員に評判が良いのだという。
そのほか、ヘッドセットについて質問を受けることも多いのだという。「Polyのヘッドセットは音質が良いというだけではなく、長時間着けていることを前提に人体にやさしい設計がなされています。ただし、着け心地については実際に試してみなければわかりません。例えば今回のようにHPが出展するイベントにおいでになる機会があれば、ぜひブースに立ち寄っていただき着用してみてください」と是枝氏はアドバイスをくれた。みなさんも他のイベント等でも機会があればPolyブランドのヘッドセットの良さを体験していただきたい。
ランニングコストを大幅に低減する「HP Smart Tank プリンター」
プリンター複合機として展示されていたのは「HP Smart Tank プリンター」だ。この製品はインクタンクを搭載することで、インクを直接補充するタイプのモデルになる。そのため、モデルによって差があるが、一回の補充でモノクロは約6,000枚、カラーで約8,000枚の大量印刷が可能。購入時に黒のインクボトルは2本ついてくるので、モノクロで約12,000枚もの印刷ができるのだという。
「GIGAスクール構想により、ひとり1台の端末を持つようになりましたが、学校の学びとしてデジタルのみでなく、紙ベースの資料も必要だといいます。ただドキュメントを印刷するだけでなく、プリンターのスキャン機能、電子黒板などとも連携するハイブリッド授業がトレンドになりつつあると考えます」と語るのはHPの松下氏。HP Smart Tank プリンターはChromeOSとの連携も得意でプリントも容易です。つながらない、印刷できないといったトラブルが少なくストレスの少ない点もポイントだ。
「低学年でワークショップをする際にどうしても紙ベースで書かれたものが必要になります。また、親御さんに授業の進捗を報告する際にも紙で成果物を渡す方が良いコミュニケーションになることもあるそうです。紙媒体にも良さはあるのでデジタルとアナログの間をとりもつこともHP Smart Tank プリンターの役目かもしれません」と最後に松下氏は語ってくれた。なお、本製品は電子黒板との相性も抜群なのでそちらも後ほどご紹介しよう。
HPデバイスとの相性抜群の電子黒板ソリューション
HPと協業関係にあるさつき株式会社からは電子黒板ソリューションの「ミライタッチ ChromeOS 搭載モデル」が展示されていた。「ChromeOSを搭載し、PCの画面と同じような感覚で利用できる電子黒板です。タッチパネルを採用したディスプレイなので、直感的に操作でき、ICTが苦手という先生でも簡単にお使いいただけるデザインを採用しています」と語るのはさつきの額賀氏だ。
大型ディスプレイの下部にはカメラが内蔵されており、そこへ紙資料や教科書などをかざせば画面に投影することも可能。HP Smart TankプリンターやPolyのビデオバーとの相性も良いので、投影した画像をすぐに印刷したり、教室や教師の様子をリモート先へ届けたりするといったことも簡単にできるのだという。
「ChromeOSに特化しているからこそ、様々なデバイスと連携できます。HP様は幅広いポートフォリオを持っているので、コラボレーションできる部分も多いと実感しています」と額賀氏は語る。
4Kディスプレイは非常にくっきりした映像を映し出すことができるので、表示される文字なども見やすい印象だ。教員の端末と連携させたり、直接ミライタッチを操作したりすることで、柔軟に授業に活かすことも可能だ。「本日はたくさんの教員のみなさまに体験いただくことができました。ミライタッチとHPのコラボレーションにより、授業の幅を大きく広げることができると思いますので、興味のある方はぜひご相談ください」と額賀氏は語ってくれた。
GIGAスクールとの相性抜群のHP eSIM Connect
HPブースとは別に、イベント開催中はデジタル庁が主催するセミナー会場も用意されていた。ここではHPの松本氏によるプレゼンテーションが開かれ、HPのテクノロジーがいかに教育に貢献できるかを伝えていた。その特別プレゼンテーションをダイジェストでお届けしよう。
「コンピューター ベースド テスティング(CBT)を実施した際、8割以上の学校が十分な通信速度は出ていないという結果がありました。その影響から自治体様を中心に急ピッチで通信環境の改善に臨んでおられると思います」と問題提起をする松本氏。
学校校舎内にいわゆるWi-Fiのデッドスポットが存在していたり、あるいは多くの人が集まる体育館では回線が不安定になったりするケースを見かけることは多い。また、家庭にGIGA端末を持ち帰った場合、自宅のWi-Fi環境の有無や品質はバラバラということもよく聞く話だ。
「そうしたケースに加え、日本は自然災害大国でもあるので、通信というライフラインが命に関わることもあります。つまり、安定した高品質な通信インフラは学びのライフラインでもあり、命のライフラインでもあるのです」と松本氏は語る。
大切な学びのための通信インフラに対してHPが提案するソリューションが「HP eSIM Connect」だ。当初法人向けサービスだったソリューションだが、HPはこれをGIGA端末向けにサービス範囲を拡張。HPのGIGA端末のeSIM搭載モデルに対し、5年間データ通信が使い放題になるソリューションとして提供を始めている。
「HP eSIM Connectのデータ通信を提供しているのはKDDIさんです。ご存じの通り、KDDIのau回線は全国隅々まで届いていますし、安定したインターネット接続環境がどこでも手に入ることになります」と松本氏。また、端末に内蔵されているeSIMを使うメリットとして、物理SIMが不要となるため管理工数が不要なほか、紛失や破損といったトラブルとも無縁であると強調。同時に学校のような大規模導入に関しても、一括アクティベーションができるのもeSIMのメリットだと語った。
松本氏は、HP eSIM ConnectのPoC事例なども紹介。特に離島や遠隔地において相性が良いことも付け加えていた。「現在、GIGA第2期向け端末に対応したモデルがございます。1台当たりの価格は実勢価格で9万円を切るところまでお安くなっています。ご興味をお持ちいただけたみなさまは、ぜひ一度HPブースでお尋ねいただければと思います」と語る、特別セミナーを終了した。
まとめ
多くの来場者が訪れたEDIX 東京 2025も無事閉幕となり、現時点での最新情報を持ち帰った教育関係者も多かったと思う。HPの教育向けサービスもいよいよ充実の一途を辿り、実際の教育現場からの声も広く聞かれるようになっている。そうした事例の情報もしっかり入手できるのがこうしたイベントの良さでもあるので、今後もHPが参加しているイベントではぜひHPブースを訪れていただきたいと思う。必ずみなさまのニーズに見合った製品やソリューションが見つかるはずだ。
関連リンク
- GIGA第2期
- HP eSIM Connect
- HP DesignJet T850 MFP
- HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook
- HP Fortis Flip G1i 11 Chromebook
- HP EliteBook X G1i 14 AI PC
- HP EliteBook 1040 G11 Notebook PC
- HP Protect and Trace with Wolf Connect
- HPのPolyブランド
- Poly Studio R30
- HP Smart Tank プリンター
- 離島でのHP eSIM Connect活用事例:伊平屋島(沖縄県)
- 離島でのHP eSIM Connect活用事例:屋久島(鹿児島県)
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。