2019.09.10
消費税増税を控え、2020年1月には延長サポートが終了するWindows 7などを背景に、ビジネス向けPCの販売が好調だ。最近では価格やデザイン、性能などさまざまなバリエーションが増えており、選択肢が豊富になった。いまだに昔のPCを使い続けている人に向けた、最新ビジネスPCの選び方を伝授しよう。
Windows 7の延長サポート終了や働き方改革といった社会的な流れを受けて、PCの買い換え需要が高まっている。特に、気軽に持ち運んでどこでも仕事ができる薄型軽量のモバイルPCに注目が集まっている。
モバイルPCにおける近年の技術の進歩は目覚ましく、薄型軽量でも数年前では考えられなかったようなハイパフォーマンスと、長時間のバッテリー駆動を両立させている。さらに、高解像度かつ高精細な美しいディスプレイや高速インタフェース、高速通信機能を備え、「いつでもどこでも」快適に仕事ができる魅力的な製品が数多く販売中だ。
この機会にPCをリプレースすれば、働き方改革のテーマである「時間と場所を選ばない働き方」の即戦力となり、生産性の向上に大いに貢献してくれることは間違いないところである。
ただ、最新PCならどれでもいいというわけでもない。せっかくコストをかけて導入するのだから、数年前よりいいというだけでなく、より大きな効果を求めたい。現在のPC事情は少し前とは異なるし、今だからこそ注意しなければいけないこともある。働き方改革を意識し、生産性を向上させるのに最適なPCはどのようなものがよいのだろうか。4~5年前くらいからの進化を意識しながら、チェックしていこう。
PCをアクティブに持ち出して使うならば、軽量な方が望ましい。ビジネスバッグへの収まりや、ビジネスで利用することを考えると薄型のボディーがいいだろう。
もっとも、薄型軽量というだけでは不十分だ。アクティブに外に持ち出して使えば、電車や車の中で揺られたり、満員電車で押されたりと、PCに振動や衝撃がかかる場面は増える。保護ケースにしまったり、過剰な保護をしたりせずに、気兼ねなく扱える丈夫なボディーを備えていることが望ましい。
また、見た目のデザインや質感も重要な要素だ。特に20代のビジネスパーソンにとって、これから肌身離さず仕事の相棒となっていくノートPC、最近では女性がカフェで仕事をする場面も多く見受けられるようになった。身軽に持ち運んでいつでもどこでも使えるモバイルPCは、それを使っている人とともに人目に触れる機会が断然増えている。デザインや質感に優れたPCを社外で上品に使うことにより、自社のブランディングにもつながり始めている。もちろん使う人自身のモチベーションアップにもつながるし、何より使っていて楽しくなる。
日本HPのモバイルPCは、金属素材とその質感を生かしたデザインが特徴だ(写真は「HP Elite x2 1013 G3」)。おしゃれなカフェや、モダンな共用ワークスペースにも違和感なく溶け込む
「HP Elitebook 830 G5」のボディーは、アルミニウム合金をCNC削り出し加工することで、金属の質感を生かして美しく仕上げられている
オフィスソフトを中心とする通常のビジネスパーソンの用途において、その生産性に大きく貢献するのがSSDだ。PCの起動や再起動、スリープへの移行や復帰、アプリケーションの起動、Webブラウジングなど、PCのレスポンスはストレージ性能の影響が大きい。
SSDを搭載したPCと、HDDを搭載したPCとでは天と地ほども使用感が異なる。また、ここ数年でSSD自体の性能も大きく向上している。PCI Express(NVMe)対応SSDを搭載していれば、より快適に利用できる。
レスポンス向上は、PCの使用感を大きく左右するだけに、作業効率の向上、生産性に良い影響を与えるのは必至だ。
今やストレージにSSD、特に高速なPCI Express(NVMe)SSDは欠かせない。PCの起動、スリープからの復帰、アプリの起動、ファイル操作など基本的な操作がサクサク行える
PC内部だけでなく、使用感に大きな影響を与える画面の進化も見逃せないところだ。とりわけモバイルワーカーにとって、常時目にする画面の大きさ、見やすさ、美しさといった要素は重要であり、業務に対するモチベーション、生産性を大きく左右する。
画面の表示解像度は、フルHD(1920×1080ピクセル)が現在の標準だ。数年前まで多くに見られた1366×768ピクセル前後に比べて情報量が多くなり、一覧性がよくなっている。
安価なPCで採用例が多かったTNパネルと比較し、最近のPCで採用が進む視野角が広いIPSパネルは、斜めから見て表示が破綻しないだけでなく、正面から見たときも明らかに見た目の印象が良い(正面から見ているつもりでも、実際目と液晶の間には角度があるため)。上司への報告、社内外でのプレゼンテーションなどで人に見せて使う用途でも好印象につながるだろう。
また、ボディーのサイズぎりぎりまで使って大きな画面を搭載しているのも最近のモバイルPCの流れだ。従来、12型以下の画面を搭載していたサイズ感のモデルでも、13型以上の画面を搭載できるようになっている。
例えば、HP Elitebook 830 G5は、スリムベゼルデザインを採用し、以前は12型クラスの画面を搭載していたボディーに、ゆとりのある13.3型の液晶ディスプレイを採用した。表示解像度1920×1080ピクセルと広い作業領域が使え、IPSならではの良好な視認性で作業もはかどる
これまでのビジネスPCにおいては、サウンド機能の優先順位は低く、音質にこだわった製品は少なかった。
しかし、仕事をする場所が多様化していく中で、TV会議やSkype会議などを行うことが増えると、サウンド機能は非常に重要になってくる。音圧が十分でなかったり、ノイズがひどくて会議の進行に支障が出たりすれば、かなりの時間ロスになり、その影響は意識決定の質やスピードまでに及ぶ。
ステレオで十分な音圧があり、クリアーで聞き取りやすい音声が再生できるスピーカーを搭載していることはもちろん、スピーカー/マイクのノイズキャンセル機能などにも注目したい。
日本HPのモバイルPCは、Bang & Olufsenとの共同開発したプレミアムオーディオを搭載し、迫力あるサウンドが楽しめる。マイク音声に加え、Skypeなどで着信したコールの相手側の雑音を除去する双方向のノイズキャンセルに対応している
いつでもどこでも持ち出せるモバイルPCは、情報漏えいに対するケアも欠かせない。物理的に盗難を防止するセキュリティロック・スロットの装備に加えて、セキュリティの確保とスピーディーなログインを可能にする指紋認証センサー、顔認証IRカメラなどの生体認証機能の搭載は必須といえる。
また、近年は、マルウェアの凶悪性が高まり、攻撃を受けるセキュリティリスクが年々高まっている。その対策も必須である。今や完全に防ぐことが難しくなったサイバー攻撃をできるだけ早く検知し、自己復旧を実現させる機能を搭載したPCを選ぶことが新しいセキュリティ対策の主流となるつつある。セキュリティ対策はPSとウィルス対策ソフトで、という考え方はすでに過去のものとなっていることにも注目しておこう。
ワンクリックで切り替えられる内蔵型プライバシースクリーンの「HP SureView」。日本HP独自のもので、両脇からののぞき見による情報漏えいを防げる
日本HPのモバイルPCは、マルウェア予防/対処を含む独自のセキュリティ機能を満載している。ハードウェアやソフトウェアの各レベルでクライアントPCを防御する
ここ2年ほどで、SIMロックフリーのWWAN機能(LTE、LTE-Advanced)に対応したモデルが急増中だ。Wi-Fi環境がなくても、モバイル回線のエリア内ならいつでもどこでもインターネットに接続して使える。身軽に持ち運べるモバイルPCのメリットをより生かすことができる。
無線LANについても、現在の主流はIEEE 802.11ac(Wi-Fi 5、理論値で867Mbps以上)で、2014年頃に主流だったIEEE 802.11n(Wi-Fi 4、同54Mbps)から大きく高速化している。
近年は、Wi-Fi環境がなくてもモバイル回線のエリア内ならいつでもどこでもインターネットに接続して使えるLTE対応モデルが増えている。日本HPでも対応モデルを複数用意している
ビジネスPCに欠かせない定番インタフェースといえば、HDMIや有線LANといったところだ。前者はプロジェクターへの出力の標準として、後者はセキュリティなどの理由で必要な企業が多い。オフィスでのプロジェクターもすでにほぼHDMI対応に変わっているため、ノートPCの薄さを大きく犠牲にしてしまうアナログRGB端子搭載のものを選ぶことは将来性を犠牲にすることに直結するため注意したい。これらに加えてもう1つ、将来性に配慮するならば、USB Type-Cやその上位互換規格であるThunderbolt 3にも注目したい。
ただのUSB Type-Cではなく、ディスプレイ出力(DisplayPort Alt Mode)とPCの充電(USB Power Delivery)に対応していることが重要だ。日本HPの「HP EliteDisplay 23.8型ワイドドッキングモニター E243d」など、Type-C対応モニターと合わせて使えば、PCの充電と画面出力、これまでUSBとしての利用(マウスやキーボードといった周辺機器接続)をType-Cケーブル1本でまかなえるスマートな運用が可能だ。
Thunderbolt 3は、USBと互換性を持ちつつ、最大40Gbpsでの高速転送を可能にした上位互換規格だ。USBの次世代仕様「USB4」に仕様が採用されていることもあり、USB Type-CポートがThunderbolt 3対応であればさらに将来性は有望といえる。現時点で対応モニターや対応周辺機器がなくてもPCが対応していれば、今後の運用の選択肢は格段に広がる。
Thunderbolt 3対応のドッキングステーション「HP Thunderbolt Dock G2」。2台の4Kディスプレイ(DisplayPort、D-Sub 15ピン)や有線LAN、Type-CとType-A両方のUSB周辺機器をThunderbolt 3ケーブル1本で接続することが可能だ。Thunderbolt 3ケーブルを外せば、すぐにモバイルPCとして持ち出せる
日本HPの「HP EliteDisplay 23.8型ワイドドッキングモニター E243d」は、Type-C対応の多機能モニターだ。日本HPのType-C対応モバイルPCと合わせて使えば、画面出力(デイジーチェーン対応)、PCの充電、ポップアップカメラ、有線LAN、USB 3.1ハブなどの機能がケーブル1本で利用できるようになる
これまでさまざまなチェックポイントを見てきたが、最後に具体的な製品で、どれだけ違うかを確認してみよう。最新PCの例としては、日本HPのモバイルPCの中から「HP Elitebook 830 G5」を取り上げている。
多彩なカスタマイズが可能だが、ここではWWAN(LTE-Advanced)対応のミドルクラスモデル(4WZ04PA#ABJ)をピックアップした。直販サイトでの販売価格は、13万9800円(税抜)、比較対象は2014年に似たような価格帯で販売されていた典型的なモバイルPCだ。
最新のCPUやSSD採用モデルを選べば、体感速度が劇的に向上する
並べて見るとメリットは歴然だ。パワフルな処理性能を筆頭に、見やすい液晶ディスプレイ、充実のマイクやスピーカー機能と生産性向上に大きく貢献してくれる。もちろん、Thunderbolt 3対応で将来性も有望だ。アルミニウム合金から削り出して作り上げた優れたデザイン性のボディーは、モチベーションアップにも大きく貢献してくれるだろう。
手持ちのPCが古かったり、Windows 7搭載PCを利用したりしているならば、ぜひ最新モデルに触れてほしい。日本HPのビジネスPCは価格やパフォーマンス、用途に応じて豊富なモデルが用意されている。上記のポイントごとにチェックしていけば、おのずと最適なPCが見つけられるはずだ。
【本記事は2019年8月23日、ITmedia PC USER に掲載されたコンテンツを転載したものです】
HP EliteBook x360シリーズ
最上位のフラッグシップシリーズです。360°回転するディスプレイにより、タブレットとクラムシェルの両方の形状で使用できるコンバーチブルPCは、あらゆるシーンに合わせて、さまざまなモードで使用可能。生産性を最大限に発揮し、作業効率を向上させます。14インチの「HP EliteBook x360 1040 G5」と13.3インチの「HP EliteBook x360 1030 G3」は、外出先や移動中も安定した通信環境を実現する、4G LTE-Advanced対応モデルも選択可能です。
HP EliteBook 830 G5
13.3インチのクラムシェルタイプで管理性、セキュリティ、耐久性を兼ね備え、軽量&コンパクトを実現。指紋認証センサーやIRカメラによる顔認証に加え、覗き見を防ぐプライバシースクリーンもオプションで選択可能など、先進のセキュリティ機能や、最新テクノロジーを提供するパフォーマンスシリーズです。