AI PCで何ができる?スペックやおすすめノートPCを紹介
2025-07-25

AI PCとは、NPUと呼ばれるプロセッサーを搭載し、キーボードにCopilotキーがあり、Microsoft Copilotを操作できるPCのことです(2025年7月時点の定義)。現在、AI PCは、複数のPCメーカーからリリースされ注目されています。
本記事では、AI PCの定義や従来のPCとの違い、AI PC普及率の予測、「Copilot+ PC」の定義や「Copilot+ PC」でできること、AI PCをビジネス利用するメリットと利用しないデメリット、ユースケースなどについて、わかりやすく解説します。
AI PCの定義とは
AI PCの定義は各企業で内容が異なる場合もありますが、共通事項は以下の2点です。
- NPUを搭載している
- Copilotキーを搭載している
NPUを搭載している
新しく定義されたAI PCでは、PC上に設置された「NPU(Neural Processing Unit)」と呼ばれる新しいタイプの演算装置(プロセッサー)が利用できるようになります。NPUがPCに搭載されることで、従来のPCと比べて高性能かつ低消費電力で、AIの推論処理がローカルで実行可能になります。
なお、現段階(2025年7月時点)において、NPUに対応しているソフトウェアの数は増加傾向です。
Copilotキーを搭載している
Copilotキーは、Microsoft社が提供するAIアシスタント「Microsoft Copilot」を起動するためのキーです。Windows PCのキーボードに追加されています。
AI PCと従来のPCとの違い
AI PCにはNPUと呼ばれるプロセッサーが搭載され、ローカルでのAI処理も可能となり、従来よりも動作がスムーズになります。
AI PCの代表的な特徴として、以下の2点が挙げられます。
- AI処理に長けたプロセッサーをPC内(SoC上)に設置
- AI処理に長けたプロセッサーはNPUと呼ばれる
従来のPCの仕組みと比較しながら、以下で特徴を見てみましょう。
AI処理に長けたプロセッサーをPC内に設置
AI PCで使用するプロセッサーは、PC内(SoC上)に設置されます。SoC(System on a Chip)とは、一つのチップ(基盤)上にさまざまなプロセッサーを内蔵した半導体のことです。
AIの処理プロセスは、「学習」と「推論」の2段階に分けられます。学習フェーズでは、AIが過去のデータからパターンを学習し、推論フェーズでは新たなデータと掛け合わせて最適な結果を導きます。
AI PCでは、ローカルでNPUを使用してのAI推論が可能になります。これにより、処理速度が向上し、データをクラウドに送信しないためセキュリティ面も担保されます。
従来のPCでもAIを活用した機能はありましたが、CPUやGPUでは負荷が大きく、動作の遅延や消費電力の増加が課題でした。そこで、AIの推論処理に長けたNPUが開発され、これを搭載するPCを「AI PC」と呼ぶようになりました。
NPUと呼ばれるプロセッサーを利用
そもそもPCの性能は、プロセッサーの仕様によって大きく左右されます。従来のPCではCPUとGPUの2種類が主に使われてきました。AI PCでは、CPUやGPUに加えて、NPUも含めてAIの推論処理を実行します。それぞれのプロセッサーの概要は、次のとおりです。
- CPU(Central Processing Unit)…幅広いデータ処理に必要な計算を実施
- GPU(Graphics Processing Unit)…画像や映像など、大量データの処理に必要な計算を実施
- NPU(Neural Processing Unit)…AI処理などを高性能・低消費電力で実行
NPUは、CPUやGPUと比較してAIの推論処理に優れているため、消費電力を抑えられる点が大きな特徴です。たとえば、これまでCPUでは数十ワットの消費電力を要するAI処理でも、NPUであれば1/10程度の消費電力に抑えられます。
さらに1秒間に何兆回の演算を実行できるかを表す「TOPS」で見ると、現在は40TOPSを超えるものも販売されています(2025年7月執筆時点)。
ただし、PCの性能はNPU単体ではなく、CPUやGPUを合わせて総合的に性能を判断することが大切です。
AI PC普及率の予測
アメリカのIT専門調査会社IDC Researchによると、AI PCの需要は今後急速に拡大し、2027年には全世界のPC出荷台数の60%を占めると予測されています。
とくに企業向け市場では、データ保護や処理スピード向上の観点から、AI PCへのリプレイスが進むと考えられます。
AI PCと「Copilot+ PC」の違い
AI PCへのリプレイスを検討する方の中には、「Copilot+ PC」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。Copilot+ PCは、AI PCの中でも特に高性能なNPUを搭載し、先進的なAI機能をローカルで実行できるWindows PCです。最小システム要件は以下のとおりです。
- 40 TOPS (毎秒 40 兆回の演算処理) 以上の実行性能を持つコンピューター チップである超高速ニューラル プロセッシング ユニット (NPU) を搭載している
- RAM: 16 GB DDR5/LPDDR5以上。
- ストレージ: 256 GB SSD/UFS 以上のストレージ デバイス。
次の章で、Copilot+ PCでできることを具体的に見ていきましょう。
関連リンク
「Copilot+ PC」でできること
Copilot+ PCは、Microsoft社が定義したAI技術を搭載したWindows PCです。ここでは、Copilot+ PCでできることを紹介します。
AI活用のためのAI PC「Copilot+ PC」のラインナップはこちら
「リコール」でPCの過去のタイムラインを検索できる
「リコール」機能は、Copilot+ PCでの過去の操作を検索できる機能です。PC上で見たことのあるアプリ、ドキュメント、Webサイトなどをタイムライン上でスクロールしたり、自然言語で検索することにより探せます。
この機能は、アクティブな画面のスナップショットを数秒ごとに自動保存します。ウィンドウの内容が変更された際にも記録されるため、PCの過去の状態を詳細に振り返ることが可能です。検索時には、覚えている手掛かりを入力するだけで、関連する履歴を素早く見つけられます。
「コクリエイター」でテキスト・スケッチから画像を生成できる
「コクリエイター」は、AIの力でアートワークを生成できる機能です。テキストやスケッチなどでプロンプト(AIへの指示)を入力すると、その内容にもとづいてリアルタイムでAIが画像を作り出します。
「Windows スタジオ エフェクト」でビデオ通話の質を改善できる
「Windows スタジオ エフェクト」は、NPUを備えたPCでのみ利用できる機能です。この機能により、ビデオ通話時の照明や映像の品質を向上させることができます。たとえば、Windows スタジオ エフェクトの「ポートライト」と呼ばれる機能では、暗い環境でも顔を明るくし、視認性を高めます。
その他、ビデオ会議での「背景ぼかし」や常に画面の中央に表示される「自動フレーミング」など、NPUの搭載によってWindows スタジオ エフェクトでさまざまな機能が利用可能です。
「ライブ キャプション」で翻訳された字幕を表示できる
「ライブ キャプション」では、そのPCで再生されている音声、たとえばビデオ会議中の音声などをリアルタイムにテキスト化して字幕で表示できます。さらに、一部の言語では翻訳機能も利用でき、リアルタイムで別の言語(2025年7月時点では英語のみ)に変換しながら字幕を表示することも可能です。
AI PCをビジネスで利用するメリット
ここでは、AI PCをビジネスで利用する4つのメリットをご紹介します。
処理性能が向上する
NPUが搭載されたAI PCを使うと、ローカルでのAI処理性能が向上します。NPUに高い処理性能が求められるタスクを割り当てることで、従来の方法よりもAI処理の高速化が期待できます。
クラウド上でAIを処理する場合、PCとクラウド間でやり取りするデータ量が増加し、通信遅延が発生する点がデメリットです。しかしローカルAIであれば、それを回避でき処理スピードが向上します。
また従来のPCのように、CPUやGPUを使用してローカルでAI処理する場合、バッテリー消費が激しく、他のアプリケーションや作業のレスポンスが遅延することがあります。そこでNPUに負荷が大きいAI処理を任せることで、CPUとGPUが空き、PCの動作がスムーズになるなど、パフォーマンス向上が期待できるでしょう。
消費電力の低下が期待できる
AI PCに搭載されるNPUは、AIの推論処理に特化したプロセッサーであり、CPUやGPUに比べて低消費電力でAI処理を行える点がメリットです。
従来のPCでは、AI機能の実行はCPUやGPUに負荷をかけ、消費電力が増大する課題がありました。しかし、NPUを活用し、ビデオ会議時の背景ぼかしなどを効率的に処理することで、PCの消費電力を抑えることが可能です。
さらに、AIがPCの使用状況を予測し、パフォーマンスと電力のバランスを最適化することで、無駄なエネルギー消費も抑えます。
セキュリティリスクを抑えられる
AI PCで生成AIをローカル処理できれば、セキュリティリスクを抑えられます。
一般的に公開されているような生成AIを使い、クラウド上でAIの推論処理を行う場合、データをクラウドにアップロードする必要があります。つまり社外秘のデータを外に出すことになるため、セキュリティ面が懸念されます。企業によっては、クラウドへのデータアップロードやAIの活用も制限されている場合があるでしょう。
しかし企業向けの Microsoft 365 Copilotのように、セキュアな状態でクラウド利用も可能なAIや、ローカル処理で完結するAI PCを使うと、セキュリティリスクが低減します。AI活用の幅が広がり、業務効率化につながります。
業務効率化が期待できる
AI PCでは、Microsoft Copilotを活用することで、資料作成や表計算などの業務効率化につながると期待できます。CopilotはWordやExcel、PowerPointなどのアプリケーションと連携し、文書の自動生成、要約、データ分析、グラフ作成などをサポートしています。
たとえば、Excelでは複雑なデータ処理を自動化したり、関数を提案してくれたりするため、手作業による負担が軽減することが期待できます。WordやPowerPointでは、AIへ簡単な指示を出すことで文章やプレゼン資料を効率的に作成でき、業務のスピードと生産性が向上すると考えられます。
ビジネスにおいてAI PCを選ばないデメリット
ビジネスにおいてAI PCを選ばないことで、そもそもの「AI活用」が進まない事態になると考えられます。ここでは、AI活用が進まないことによるデメリットを紹介します。
生産性の低下
AIによる業務効率化やデータ分析の恩恵を受けられないことで、従業員による手作業が減らない、あるいは増えた結果、生産性が低下する恐れがあります。これにより、AIの活用により自動化を進める競合他社に対して後れを取る可能性が高まるでしょう。
イノベーションの遅れ
AI活用が進まないことで、製品開発のスピードが遅れたり、顧客分析や市場予測の精度が低いままとなったりして、イノベーションや新たなビジネスチャンスを逃すリスクも考えられます。結果として、企業の成長が妨げられることになります。
セキュリティリスク
AI PCが提供する堅牢なセキュリティ機能を活用できず、導入済みの企業と比べてセキュリティリスクが高まる点もデメリットとして挙げられます。情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが増大し、IT部門担当者の負担も重くなってしまうでしょう。
ビジネスシーンにおけるAIのユースケース
ビジネスシーンでAIはどのように活用されるのでしょうか。ここでは、Microsoft社が提供するAIアシスタント「Microsoft Copilot」を例に挙げて解説します。
PCにWindows OSを提供するMicrosoft社は、ChatGPTを開発するOpenAI社とパートナーシップを構築しています。そのような背景からMicrosoft Copilotが開発されました。
現在はクラウドベースでの利用が中心ですが、今後NPUが使えるようになればローカルで生成AIを実行でき、大幅な業務効率化や生産性向上が期待できます。
以下では、「Microsoft Copilot」(以下、Copilot)を、資料作成や営業活動でどのように活用できるか、ユースケースを見てみましょう。なおCopilotの戦略については、以下の記事も合わせてご覧ください。
資料作成
販促支援活動の一環としてセミナーを開催する際、以下の手順でCopilotを活用すると、セミナー企画からプレゼンテーション資料の作成まで効率的に進められます。
- セミナーの目的とターゲットを決める
- Wordファイルを起動し、Copilotにセミナー企画書の作成を指示する
- 企画書を参照しながら、セミナー開催に必要な準備物をリストアップするよう指示する
- 当日までのスケジュール作成を指示する
- PowerPointにWordファイルの企画書を読み込ませ、当日のプレゼンテーション資料を作成するよう指示する
Copilotが実際に資料を作成する様子は、以下の記事で詳しくご紹介しています。合わせてぜひご覧ください。
営業
営業活動において企業調査を行うときにもCopilotを活用できます。Copilotを使って、顧客の事業分析を効率的に行う手順を見てみましょう。
- 顧客の投資家向けページから、株主向けレポートのURLを入力し、分析するよう指示する
- サマリーが作成されるので、必要に応じて過去数年間の売上高や営業利益の推移を表示するよう指示する
- 気になる成長分野などがあれば、市場規模などを聞いて事業環境や競争状況を把握する
- 顧客のニュースに関するURLがあれば、要約するよう指示することも可能
以下の記事では、実際にCopilotがURLから作成したサマリーをご覧いただけるので、合わせてご確認ください。
AI PCを選ぶときに確認したいスペック
ビジネス向けAI PCのノートPCを選ぶときに確認したいスペックについて、以下の一覧表で確認してみましょう。
スペックの種類 | 推奨 |
---|---|
OS |
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プロセッサー |
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画面サイズ |
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重さ |
|
Wi-Fi規格 |
|
Windows 11 Proは、ビジネス向けWindows 11です。Windows 11は10と比較してセキュリティを含む様々な点が強化されており、Windows 11 を使用するだけで生産性向上が期待できます。また、AI PCならばNPUを搭載した最新のSoCによりAI処理やマルチタスクをスムーズに実行でき、ビジネスでの効率化を支援します。
日本HPによるおすすめのAI PC
日本HPは、ビジネス向けノートPC「HP EliteBook シリーズ」を展開しています。このシリーズには、NPUを搭載し、最先端のAIモデルを活用してローカル処理するAI PCと「Copilot+ PC」が含まれています。
HPのビジネスPCは、AIがPCの使用状況を学習してバッテリーの充電レベルや速度を自動調整し、経年劣化を抑えるなどの多様なAI機能も備えています。
詳しくは、以下のリンクをぜひご覧ください。
まとめ
AI PCの導入によって、生産性やセキュリティの向上なども期待できます。生成AIがビジネスシーンにおいても活用されはじめた近年、AI処理専用のプロセッサーNPUが搭載されたAI PCを利用していなければ、業務効率が低下し、ひいては競合他社に後れを取る事態になりかねません。今後、AI PCの活用が重要視されるようになると考えられます。
日本HPでは、NPUを搭載し、最先端のAIモデルを活用してローカル処理するビジネス向けノートPC「HP EliteBook シリーズ」を提供しています。詳しくは、以下のリンクをご覧ください。
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※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。


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