2021.09.09
Microsoft Edgeではブラウザを一本化する
既報の通り、MicrosoftはWindows向けWebブラウザ「Internet Explorer 11」(以下IE11)のサポートを2022年6月16日(日本時間)で終了する。日本マイクロソフトは、この発表に関しての詳細および具体的な対応/支援策について記者説明会を開催した。
Internet Explorerはこれまで長年Webを支えてきたブラウザだが、実装されている機能や技術が古く、最新のセキュリティ問題への対策が難しい。また、同社は既にその置き換えとしてMicrosoft Edgeを投入しており、業界標準や最新技術への対応が進んでいることから、そちらへの移行を進めたい考えだ。
今回、IE11の提供およびサポートが打ち切られるのは、あくまでもIE11アプリ本体と、Windows 10 20H2以降のデスクトップSKUにおけるIE11の提供のみ。Edgeに実装されているIEモード、そしてTridentと呼ばれるIEプラットフォーム、Windows 7 ESU/8.1/10 LTSC/Serverなどは対象外となっている。
そして、この対象外となっているIEモードは、少なくとも2029年まではサポート対象のOSで利用できることから、実質影響はほとんど受けない。個人ユーザーとしては、IEでしか閲覧できないサイトは、単純にIEモードを介してアクセスすれば良いからだ。
IE11のサポートは2022年6月16日で終了
サポート終了の対象製品と非対象製品
IEモードは少なくとも2029年までサポート対象のOSで利用可能なため、例え今すぐ最新のWeb技術に移行できなくても、猶予期間は十分にある
ユーザーへの影響
企業やサービス提供者としては、Webアプリ/サービスをWeb標準仕様に準拠させるか、IEモードで動作検証を行なうかのどちらかを選択する形とはなるものの、IEモードではすべてのドキュメントモードとエンタープライズモード、ActiveXコントロール(JavaやSilverlight)、ブラウザー ヘルパー オブジェクト、セキュリティゾーン設定、保護モードに影響を与えるIE設定、グループポリシー、IE用F12開発者ツール(IEChooserで起動する場合)、Edgeの拡張機能(IEページのコンテンツを直接操作する拡張機能を除く)などがサポートされているため、こちらも影響は少ない。
IEモードではほとんどの機能がサポートされているため、実質影響は少ない
サポートされないのは、IEツールバー、ナビゲーションメニュー(検索エンジンやホームページなど)に影響するIE設定とグループポリシー、IE11またはEdgeのF12開発者ツールとなっているため、影響はかなり限定的だといえる。
日本マイクロソフトでは、IE11からEdgeへの移行に際しいくつかのサポートを提供する。1つは企業向けの「FastTrack」と呼ばれる、Windows 10 Enterpriseを150シード以上展開しているユーザーに提供されるもので、Edgeへの展開が追加料金なしでサポートされる。
また、FastTrackのプログラムの中の「App Assure」では、WebアプリまたはサイトがIE11、もしくはサポートされているバージョンのGoogle Chrome、または任意バージョンのEdgeで動作している場合、新しいEdgeで機能することを約束する。互換性の問題が発生した場合は、展開準備ガイドを追加料金なしで提供。さらに、ユニファイド サポート契約をしている場合、Edgeは追加料金なしでサポートを受けられる。
このApp Assureでは、互換性に問題が生じた場合、根本原因を特定して修復を推奨するほか、ISVと連携してサポートの状況を確認。自社製品が影響を与えている場合はリグレッションに対処するとしている。一方、構築や構成、IEモードなしでEdgeで機能するようなコード変更などは支援対象外。
Edge展開に向けた支援
App AssureにおけるEdge互換性の約束
ちなみに企業の場合、「Enterprise Mode Site List Manager」のブラウザ版にあたる「エンタープライズサイトリスト作成」が、グループポリシーの有効化によって使えるようになる。このツールは特定のサイトに対してアクセスが行なわれた際に自動的にIEモードに切り替えて互換性の問題を解消する。
一方で小規模なIEモードの検証やテストを行なう際には、グループポリシーまたは起動オプションによって有効化できる「サイトをInternet Explorerモードで開く」を使うことで対応できる。
また今後、企業全体のEdgeへの移行を促進させるため、グループポリシーを使用してIE11を無効化できる。これによりIE11を起動しようとするとEdgeにリダイレクトさせるようなことが可能となる。
Internet Explorerモード(IEモード)
エンタープライズサイトリスト作成の機能
IEモードのテスト機能
IE11の起動制限
繰り返しとなるが、通常の利用にはEdgeをそのまま利用すればいいし、IEモードがあるため、互換性が必要な場合はそちらを利用すればよい。なお、個人ユーザーが特定のサイトを閲覧する際にどうしてもIEモードが必要となった場合、こちらの手順にある通り、URL欄にedge://settings/defaultbrowser と入力し、「Internet Explorerでの再読み込みをサイトに許可する」をオンにすれば良い。
Microsoft Edgeの特徴は、互換性と相互運用性の両立
【本記事は2021年5月27日、PC Watchに掲載されたコンテンツを転載したものです】
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