圧倒的な精度・詳細さを誇る「LCC」土木・建設現場における最適な活用環境は?
2026-10-05
ワークステーション・ビジネス開発部 部長 若宮 明日香 氏
株式会社 神戸清光 松本 隆佑 氏
株式会社 神戸清光 代表取締役 走出 高充 氏
土木・建築業界で今、新たな3D技術に注目が集まっている。それが、点群データの詳細さと3DGS(3D Gaussian Splatting)の美しい表示を両立する新技術「Lixel Cyber Color(LCC)」だ。大量のデータを速やかに処理し、快適な利活用を実現するためのシステム環境について、測量機器販売商社の神戸清光がHPワークステーションで行った検証結果を基に探る。
提供:日経BP
※本掲載内容は2026年7月31日 『日経クロステック』に掲載された記事広告を転載したものです
点群と3DGSの良さを併せ持つ新技術「LCC」
建設現場や周辺環境をデジタルデータ化する方法として、長く現場で活用されてきたのが3Dレーザースキャナーを用いた3次元点群取得による測量だ。3D座標を高精度に取得・管理できる点がメリットといえる。一方、画像は点の集合となるため、建造物の輪郭などのリアルな再現は得意ではない。また、点群表示には高性能PCが必須となり、あくまで専門的技術であった。
2023年頃には、カメラを使って撮影した写真、映像をつないで3Dデータを作成する3DGS(3D Gaussian Splatting)技術が登場した。一眼レフなどの高性能カメラで作成可能で、見た目(テクスチャー再現)は非常に高精細、点群に比べてデータも軽量だ。しかし、寸法や測量の精度はあまり高くなく、数十センチ単位の誤差が生じてしまう点が弱点だった。
そんな中、両者の弱点を補った技術として、中国XGRIDS社が開発したのが「Lixel Cyber Color(LCC)」である。
「美しい見た目と誤差1cm以下の高精度を両立できる上、物体の輪郭部分だけ点群を残すエッジ抽出技術によって、ビューワデータを軽量に抑えられる点が特徴です」と神戸清光の走出 高充氏は語る。同社はXGRIDS製品をいち早く国内で取り扱っている測量機器の販売商社だ。
LCCの注目度は高い。「例えば、『工事現場を丸ごと3Dデータ化したい』というお客様や、『工場、プラントのメンテナンスに使いたい』といったご相談をいただいています」と同社の松本 隆佑氏は紹介する。
ほかにも、歴史的建造物をデータ化して保存したり、水道や工場の配管をデータ化し、増設・改修に役立てたりすることもできる。新たな建物の建設においても、作業進捗のデータ化や、周辺施設との干渉、重機搬入経路の確認など、様々な用途で活用が見込めるという。
一般のPCで2日かかる処理を最速10時間以内で完了できる
一方で、LCCの活用においては乗り越えるべきハードルもある。それがデータ生成時の処理負荷だ。
ビューワデータは軽量だが、その生成過程で発生するエッジ抽出などのAI処理には強力なシステム性能が要求される。そのため、土木・建設現場がこれまで使ってきたPCではそもそも生成が不可能、あるいは数日単位の時間がかかってしまうのだ。
「そこで私たちは、LCCとその処理に最適なワークステーション製品をパッケージ化して販売することにしました。検証済みのセットであれば、お客様が製品選びで失敗したり、煩雑な選定プロセスを経たりすることなく導入できます」と走出氏は言う。
組み合わせるワークステーション製品に選んだのがHPの「Zシリーズ」だ。採用の決め手は、その圧倒的な処理性能である。
これについて同社では、Zシリーズの性能検証を実施した。XGRIDS製品で取得した約2時間分の周辺測位データと、ドローンの空撮データ1500枚を組み合わせることで、あえてデータ生成の負荷を極大化。処理時間を見て、実務で使えるかを確かめたという。
「使ったマシンは、『HP Z6 G5 A』(以下、Z6)と『HP Z2 Tower G1i』(以下、Z2)の2機種です」と松本氏(写真)。Z6はAMD製CPU「Ryzen Threadripper PRO 9975WX」を搭載するほか、GPUには「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q」を3枚まで搭載可能なハイスペック製品だ。Z2もハイスペック製品となり、最大でインテル製CPU「Core Ultra 9 285K」と「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell」を搭載可能だ。
写真 HP Z6 G5 A(左)とHP Z2 Tower G1i(右)
「一般的なコンシューマー向けPCで処理すると約2日(47時間54分)かかりました。その間はほかの作業を行えないため、これは実利用に適するとはいえません。一方、Z2に32GBメモリーのGPUを搭載したケースでは処理時間は25時間15分に、Z6のNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell(96GBメモリー)で実行すると約14時間40分という驚異の結果でした。 また、Linux版のLCCではマルチGPUに対応しています。当社はこれまでチャレンジしたことがありませんでしたが、今回、日本HPの手厚い技術サポートのもと、マルチGPU環境での検証を国内で初めて行うことができました※。Z6にNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellを2枚搭載することで、なんと約9時間30分で処理を完了。これは十分、実務で使えるレベルです」と走出氏は強調する。
この結果から、GPUが処理に影響を与えることが分かる。なお、GPUは稼働時に温度が上がるため、どう冷やすかが性能向上のカギになる。その点、例えばZ6は筐体内に20個以上の温度センサーと7つの冷却ファンを配置。高温の箇所だけを冷やすことで、静音性を維持しつつ性能を高めているという。
※XGRIDS社確認による
複数のHP製品と組み合わせて顧客ニーズに柔軟に応える
もう1つ、神戸清光が日本HPを評価した点が製品供給やサポートの体制である。
従来、同社は市販のコンシューマー向けGPUを搭載したPCとLCCを合わせて顧客に提案していた。だが、コンシューマー向けPCは製品供給が不安定で、必要なときに提案通りの製品を用意できないケースがあったという。
「HPの法人向けワークステーションは、GPUやメモリーを含めて製品ロードマップの計画通りに提供可能です」と日本HPの若宮 明日香氏は述べる。法人向けの手厚いサポートも含め、顧客に安心して提案できる点はメリットだと考えた。
今回の検証結果を踏まえて神戸清光は、複数のHPワークステーション製品との組み合わせによるLCCの販売を始める予定だ。
「加えて、HPでは遠隔からGPU搭載ワークステーションを操作できるリモート接続ツール『HP Z Remote Graphics Software』も用意しています。映像制作など、計算負荷が高い用途に特化したツールのため、LCCの美しい画質はそのままに出先で作業したり、お客様先でのプレゼンテーションに活用したりすることが可能です」と若宮氏は付け加える。両社では、これをパッケージと組み合わせることも視野に入れていく計画だ。
土木・建築業界における3Dデータ化の新手法として登場した3DGS、そしてLCC。広く普及する前に活用に取り組むことは、他社差別化、そして新たなビジネス価値創造の重要な一手になるだろう。神戸清光が提案するパッケージ製品は、最初の一歩を踏み出す企業にとって魅力的なソリューションといえそうだ。
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