制作現場の課題から考える最適なクリエイティブ環境を実現するHPワークステーション

2026年9月9日、「DaVinci Resolve 21での快適な編集とAI効率化のためにチューニングされたHP Z2 Tower G1i Workstation三友オリジナルモデルのご紹介」と題されたセミナーが日本HP本社内のCWCで開催された。プロが選択するケースが多い映像編集ソフトウェア「DaVinci Resolve」の最新情報や、現場で即戦力となるチューニングされた専用ワークステーションが紹介されるとあり、リアル会場もオンラインも盛況となった。取材してきたのでさっそく概要を紹介したいと思う。

映像制作現場の業務効率を向上させるヒントが満載のイベントを盛り上げたプレゼンテーターの3名
映像制作現場の業務効率を向上させるヒントが満載のイベントを盛り上げたプレゼンテーターの3名
映像制作現場の業務効率を向上させるヒントが満載のイベントを盛り上げたプレゼンテーターの3名

取材:中山 一弘

ブラックマジックデザイン株式会社 岡野 太郎 氏
ブラックマジックデザイン株式会社 岡野 太郎 氏
ブラックマジックデザイン株式会社
岡野 太郎 氏

ブラックマジックデザインは、三友、HPと共同構築した編集システム「DaVinciターンキー」を披露し、動画編集ソフト「DaVinci Resolve」の普及の背景と、最新版21/21.1の新機能を紹介した。

同社の岡野氏は、カラーグレーディングソフトとして知られたDaVinci Resolveについて、「現在はオフライン編集、オンライン編集まで幅広く使われています」と説明した。

導入事例として、NHKが編集用途に全国約400式を採用している。一般企業でも、YouTube動画や社内マニュアルの制作に活用が広がっているという。

岡野氏は、選ばれる理由に「安定性、日本向けの機能、AI、クラウド、価格」を挙げた。多数の映像レイヤーや約1000個のテロップを含む番組も安定して編集でき、「放送現場で求められる安定性には、特に力を入れています」と語った。

インターレース、XDCAM、テロップなど日本の放送・納品環境への対応も、国内導入を後押ししている。NHKをはじめとするユーザーの要望を受け、強化してきたという。

講演の中心はAI機能だ。DaVinci Resolveには46種類のAI機能が搭載され、ソフト内のAI処理はオンプレミスで行われるので、インターネット接続や追加課金が不要。処理速度はマシン性能に左右される。

日本語の文字起こしでは、文章を選択、削除、並べ替えて映像を組み立て、字幕も作成できる。岡野氏は、「文章を編集する感覚で、映像の下準備ができます」と説明した。

このほか、音声のノイズ除去、複数カメラで収録した音声の同期、話者の口や手の動きを解析したカメラの自動切り替えなども紹介された。

横長動画を縦型へ再編集する機能も実演。素材をカットごとに分割し、スマートリフレームで被写体を中央に配置するなど、SNS向け動画の制作を効率化する。

オーディオアシスタントは、用途に応じた音声の分類、配置、音量調整、ミックス、ラウドネス計測を自動化する。BGMの長さ調整や、肌の質感を保ったシミ・ニキビ除去、若返り、顔の形状補正も披露された。

ただし、AIがすべてを完成させるわけではない。結果はキーフレームや設定として残り、編集者が修正できる。岡野氏は、「AIに下準備を任せ、最後は人が品質を高める使い方が中心になります」と説明した。

クラウド機能「Blackmagic Cloud」は、各地の編集者が素材やプロジェクトを共有し、映像処理は各拠点のマシンで行う。Cloud Storeやカメラ、レコーダーとも連携し、撮影現場から編集室への素材同期を自動化できる。

Blackmagic Cloudは全国の放送局、映画やドラマのプロダクションで活発な活用が進んでおり、収録ファイル共有、低遅延での映像伝送、リモート編集、リモート試写などのクラウドソリューションによって、業務効率化や品質向上が実現しているという。

報道でも、大量の現地素材を自動共有し、複数の編集者がすぐ作業に入れる。岡野氏は、「共有された時点で編集に入れます」と、放送までの時間短縮を強調した。

有償版は買い切りで約5万円。機能が増えても基本的に追加購入は不要だ。大きなアップデートも、これまで無償で提供してきたと強調した。一方、Blackmagic Cloudは容量などに応じて費用が発生する。

バージョン21.1の注目機能として、MCPサーバーへのネイティブ対応も紹介された。ClaudeなどのAIアシスタントから、チャットでDaVinci Resolveを操作できる。

実演では、起動からプロジェクト作成、素材の読み込み、文字起こし、字幕付きタイムライン作成、MP4出力まで、チャットの指示だけで進めた。

岡野氏は、「初心者を助けるだけでなく、プロの反復作業や仕込みも減らせます」と説明。定型作業をAIに任せ、編集者は創造的な判断や品質向上に時間を使えるという。

外部AIとの連携には有償版が必要で、実演では月額制のClaudeを使用した。ソフト内で完結するローカルAIとは、利用条件や費用が異なる。

今回の講演では、AIやクラウドによって編集工程の自動化が進む一方、最終的な判断と仕上げは人が担うという制作環境の方向性が示された。DaVinci Resolveは、放送局や映像制作会社だけでなく、企業の動画制作や報道現場にも利用範囲を広げながら、編集者の作業を効率化し、より創造的な工程へ時間を振り向けるためのプラットフォームとして十分な存在感を示すだろう。

プロに利用者が多いDaVinci Resolveの最新機能について説明する岡野氏。映像の品質はもちろん、業務効率も格段に向上する
プロに利用者が多いDaVinci Resolveの最新機能について説明する岡野氏。映像の品質はもちろん、業務効率も格段に向上する
プロに利用者が多いDaVinci Resolveの最新機能について説明する岡野氏。映像の品質はもちろん、業務効率も格段に向上する
三友株式会社 技術事業部 ITソリューション部 水沼 治久 氏
三友株式会社 技術事業部 ITソリューション部 水沼 治久 氏
三友株式会社
技術事業部 ITソリューション部
水沼 治久 氏

三友株式会社は、DaVinci Resolve向けの「HP Z2 Tower G1i MITOMOカスタムワークステーション」を紹介した。水沼氏は、高性能パーツを組み合わせるだけでなく、映像制作現場に必要な処理性能、コスト、安定性のバランスを重視した構成だと語った。

三友は放送・映像機器の販売やシステム構築、技術支援に加え、ポストプロダクションも運営する。水沼氏は「制作現場で本当に使いやすい構成を考えました」と説明した。

DaVinci Resolveは、素材の取り込みから編集、VFX、カラー、音声、書き出しまでを一つのアプリで完結できる。ただし、カラーやResolveFXはGPU、デコードやエンコードはCPU、再生や書き出しはストレージと、工程によって負荷のかかる部分が異なる。FusionやAI処理にはCPU、GPU、メモリなど複数の要素が関係する。

水沼氏は「一部のパーツだけを強化しても、ほかがボトルネックになれば全体性能は伸びません」と指摘。業務用途では、性能のバランスと導入コスト、長時間運用の安定性が重要だという。

今回は導入しやすいHP Z2 Tower G1iをベースに、CPUはCore Ultra 9 285K、GPUはGeForce RTX 5080を搭載した。

CPUは、GPU処理を支えつつ素材処理やアプリ全体の動作にも余裕を持たせた。上位機種にはコア数やメモリ容量、拡張性の利点があるが、今回はシステム全体の費用との釣り合いを優先した。

GPUは、RTX 5070より高負荷な処理に対応し、RTX 5090ほど価格や消費電力が大きくないRTX 5080を選択。公開ベンチマークでも、ResolveFXなどGPU負荷の高い処理でRTX 5070を上回ったという。

ただし、水沼氏は、「ベンチマークはあくまで参考値です」と注意する。実性能は素材や処理、プロジェクト設定、周辺機器を含む構成で変わるためだ。

メモリは32GBを標準搭載し、2スロットを将来の増設用に確保。内蔵ストレージは1TBのM.2 NVMe SSDで、OS、アプリ、キャッシュに使い、映像素材は外部ストレージで扱う。

接続端子としてThunderbolt 4とUSB 3.2 Gen 2×2を備え、映像機器や高速外付けSSDを接続できる。一部機器は動作確認済みだが、すべての機器との互換性を保証するものではなく、必要に応じてデモ機で事前検証するという。

一方、RTX 5080は約3.5スロットを占有するため、内部拡張には制約があり、残るPCIeスロットもカードのサイズや空間を考慮する必要がある。

デモ機にはネットワークカードを搭載し、SDI出力にはThunderbolt機器を使用。水沼氏は「GPUを大型化したことで、拡張カードの選択には注意が必要です」と説明した。

電源は1200Wで、冷却ファンも追加。長時間の高負荷処理では、瞬間的な性能だけでなく、安定して処理を続けられることが重要だからだ。

実演では、4分45秒の日本語動画で字幕を生成。マジックマスクによる人物や車の切り抜きも紹介し、背景ぼかしやモザイクに必要な追跡作業を短縮できることを示した。

暗い映像を補正した際のノイズ除去では、デモ環境で29.97fpsでの再生を確認した。拡大映像の文字を鮮明にするAI機能も披露し、編集からエフェクト処理、書き出しまで快適に進められることを示した。

水沼氏は、「特定の処理だけを速くするのではなく、制作工程全体を止めないことを重視しています」とまとめた。HP Z2 Tower G1i MITOMOカスタムワークステーションは、GPU性能を軸にCPU、メモリ、ストレージ、冷却、拡張性を組み合わせた実務志向の一台といえそうだ。

当日は「HP Z2 Tower G1i MITOMOカスタムワークステーション」を活用したデモンストレーションを中心にプレゼンを展開した水沼氏
当日は「HP Z2 Tower G1i MITOMOカスタムワークステーション」を活用したデモンストレーションを中心にプレゼンを展開した水沼氏
当日は「HP Z2 Tower G1i MITOMOカスタムワークステーション」を活用したデモンストレーションを中心にプレゼンを展開した水沼氏
株式会社 日本HP ワークステーションビジネス開発部 小俣 裕二 氏
株式会社 日本HP ワークステーションビジネス開発部 小俣 裕二 氏
株式会社 日本HP
ワークステーションビジネス開発部
小俣 裕二 氏

最後に登壇した日本HPはDaVinci Resolveをはじめとする映像制作アプリケーションに適したワークステーションについて、品質検証から製品選定、GPUの使い分け、導入後の保守までを紹介した。講演では、日本HPの小俣氏が、映像制作現場で求められる性能だけでなく、長期運用における安定性やサポート体制の重要性を強調した。

「製品の性能だけでなく、導入後に安定して使い続けられるかどうかが重要です」と小俣氏。HPはこれまで、製造業や医療、映像制作など幅広い分野でワークステーションを提供してきた。そこで蓄積した知見をもとに、機器の選定段階から運用時の支援までを一貫して提供しているという。

映像制作環境では、ストレージの故障やメモリエラー、GPUの不具合、冷却不足に加え、OSやアプリケーションに起因するトラブルも安定動作を妨げる要因となる。HPでは、開発・検証施設において、長時間の連続運用を想定した耐久試験やシステム統合テストを実施。NVIDIAとの共同検証も進めている。

検証対象は、単純な性能評価にとどまらない。電磁波干渉や輸送時の振動、使用材料の適合性まで確認し、各ワークステーションと映像制作ソフトウェアの互換性も検証している。検証結果は公開されており、国内でも独自の評価を進めることで、実際の映像制作現場における信頼性を高めている。

「現場で使われる環境を想定し、ハードウェア単体ではなく、システム全体として確認しています」と小俣氏は説明した。

製品ラインアップは、導入しやすいZ1・Z2から、高い処理能力と拡張性を備えるZ4〜Z8まで幅広い。講演では、特に高度な映像制作や生成AI用途に適したZ8、4K・8K編集やカラーグレーディング向けのZ4、三友のカスタムモデルのベースとして採用されるZ2 Tower G1iが紹介された。

さらに、生成AIを社内環境で実行できる小型AIステーションや、必要な処理能力に応じて選択できるモバイルワークステーションも取り上げられた。デスクトップ型だけでなく、設置スペースや作業場所に制約のある現場にも対応できる選択肢を用意している。

GPUの選定については、GeForceとRTX PROの違いを整理した。GeForceは映像編集における費用対効果に優れ、DaVinci ResolveやAdobe Premiereでは、用途によってRTX PROとの性能差が小さい場合もあるという。

一方、RTX PROは、ECC対応のビデオメモリや同期機能、長期供給といった特徴を備える。「一般的な映像制作ではコストパフォーマンスが重視されますが、放送設備や大規模なポストプロダクションでは、長期安定運用や保守性がより重要になります」と小俣氏。用途や運用条件に応じて、GPUを使い分ける必要があるとした。

HP純正のGeForce搭載モデルについては、パートナー企業を通じて提供しており、GPU単体での販売は行っていないと説明した。ワークステーション本体との組み合わせや検証済みの構成を重視することで、導入後のトラブルを抑える考えだ。

保守体制は、標準で土日祝日を含む3年間訪問修理保証、専任エンジニアによる直接サポートを紹介した。故障時に機材を送り返す負担を減らし、制作現場の停止時間を抑えることを狙う。

「HPのWorkstationは導入前の相談は勿論、導入して終わりではなく、更新計画や日々の運用まで含めて支援しております」と小俣氏は最後に語った。

HPワークステーションを利用するメリットや新たにラインアップに加わった新製品の説明を行った小俣氏
HPワークステーションを利用するメリットや新たにラインアップに加わった新製品の説明を行った小俣氏
HPワークステーションを利用するメリットや新たにラインアップに加わった新製品の説明を行った小俣氏

今回の講演では、HPワークステーションの強みとして、処理性能や拡張性だけでなく、品質検証、製品選定、GPUの使い分け、導入後の保守を含めた総合的な運用支援が示された。映像制作の高解像度化や生成AIの活用が進むなか、用途に適した機材を選び、長期にわたって安定運用できる体制を整えることが、制作環境の構築における重要なポイントになりそうだ。DaVinci Resolveを中心としたクリエイティブ環境構築の際には、HP Z2 Tower G1i MITOMOカスタムワークステーションならびにHPワークステーション製品群をぜひ有効活用していただきたい。

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。

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