自治体が抱える課題を高次元で解決するHPのソリューションが集結した自治体・公共Week 2025

自治体・公共Week 2025
自治体・公共Week 2025

2025年7月2日~4日、東京ビッグサイトで開催された「自治体・公共Week 2025」。時代と社会背景から変化を求められ続ける自治体には課題が山積している。その解決に役立つ最新の製品・ソリューションを集めたのが自治体・公共Weekだ。自治体の課題解決に豊富な実績を持つHPもこのイベントに参加。多くの来場者に役立つ最新情報を提供した。それではその内容を紹介しよう。

取材:中山 一弘

最初に紹介するのは、5年間上限なしのデータ通信が使い放題となる「HP eSIM Connect」と、対象PCの電源がオフになっている状態でもリモートから、探す、PCをロックする、データ消去をするといった命令が実行できる「HP Protect and Trace with Wolf Connect」のふたつのソリューションだ。

「このふたつのソリューションはPCの持ち出しを許可されている企業には最適なサービスで、場所を気にせず安定した通信環境が確保でき、万が一の紛失や盗難にも対応できる高いセキュリティが担保されるのが大きなメリットです。両サービスともそれぞれ携帯電話ネットワークを使いますが、PCの購入価格に通信費用も含まれているため、追加料金などは発生しません。5年間の通信費を考えれば、コストメリットが大きいことがご理解いただけるはずです」と説明する苫米地氏。

苫米地氏
苫米地氏

HP eSIM Connectを利用する企業は増え続けており、ユーザーの声も届いているのだという苫米地氏。「これまでテザリングでPCをネットワークに繋いでいたものが、PCを開けばすぐにアクセスできるようになる。他の通信デバイスも持たずにPCだけでインターネット接続ができることは想像以上に利便性が高く、みなさん生産性が大きく向上したとおっしゃいます」と同氏は語る。

HP Protect and Trace with Wolf Connectも同じく導入する企業が増加中であり、こちらは管理者からの声が多く寄せられているという。「なるべく使わずに済むことが一番なのですが、例えば海外拠点を持っている企業のIT管理者からは、海外出張の際にもPCの場所を特定できることに驚いたといいます。いくつかの国家では通信に制限があるため利用できませんが、基本的に海外にあるPCもセキュリティを維持できるのもこのサービスの特長です」と人気の理由を語る苫米地氏。

HP eSIM Connect、HP Protect and Trace with Wolf Connectは、相性も良いことから同時に導入されるケースも多いため、「ダブルコネクト」と称されることもあるほど浸透しはじめている。社外での業務効率化や生産性向上を考えている企業や、持ち出しPCのセキュリティに悩んでいる企業は、ぜひダブルコネクトを検討していただきたい。

「自治体のみなさまの基幹システムは3層分離で構築されているケースが多いですが、LG-WAN系から安全にインターネット接続をする際に、セキュリティ的な大きな壁を感じていらっしゃると思います。HPではそのようなシーンでも仮想化技術によって高いセキュリティを実現できるソリューション『HP Sure Click Enterprise』をご用意しています」と語る雨宮氏。

雨宮氏
雨宮氏

自治体の基幹システムを確立するために生まれた三層分離の考え方は、強固なセキュリティを実現した半面、システム内部からのインターネット活用に大きな制限をかけることになっているのはみなさまもご存じの通りだ。一般的にはシンクライアントのように、インターネット側に仮想サーバを立て、画面転送でWebの情報活用を進めるケースが多いと思うが、これには大変なコストがかかることや、ネットワークのリソース不足により処理が遅くなるといった不満も出てしまいがちだ。

HP Sure Click Enterpriseは、PCにインストールするソリューションで、OS上に使い捨ての仮想空間を設け、その中でアプリケーションを展開してデータを開く仕組みを簡単に作ることができる。これにより、万が一悪意のある攻撃が侵入を試みたとしても、アプリケーションを閉じた瞬間に仮想空間も消滅するため、PCを侵害することはできず、被害を無かったことにできるのだ。

この時、ユーザーは日常的な作業をしているだけにすぎないため、操作や作業に制約がかかることはなく、ネットワークトラフィックにも負担がないのも特長となる。シンクライアントと比較し、コストは圧倒的に低くすることができ、ネットワーク帯域の課題やユーザビリティへの変化も最小限となるため、導入価値の高いソリューションとして、すでに多くの自治体が導入し、運用フェーズへと移行している。

「今回のイベントでは自治体の方はもちろんですが、SIerの方々からもお問い合わせをたくさんいただきました。自治体への提案や、管理を委託されている場合の負荷低減など、現在抱えていらっしゃる課題解決の対応策としてHP Sure Click Enterpriseをお考えの方が増えていることを感じました」と雨宮氏は手応えを語る。実際にブースにある導入事例のカタログを持ち帰る人も多く、注目度の高いソリューションであることが分かった。自治体の三層分離環境で安全なインターネット活用を考えているならぜひ相談していただきたいソリューションだ。

HPのPolyブランドからはクラウドフォンが展示されていた。「近年、自治体業務ではテレワークやモバイルワークの導入が進む中、従来型のオンプレPBXでは運用負荷が高く、災害時の耐障害性や拠点間連携にも課題がありました。クラウドPBXへの移行は、場所や端末を選ばず同一の電話環境を利用できるほか、BCP(事業継続計画)対策としても注目されています。Polyは、50年以上にわたる音声デバイスの開発実績があり、独自のノイズ抑制技術『NoiseBlockAI』やエコーキャンセリング機能により、混雑した役所の窓口でもクリアな音質を提供します。また、Microsoft Teams や Zoom Phone など主要なクラウドPBXサービスと高い互換性を持つため、システム導入の柔軟性も評価いただいています。今回の展示では、電話機を『単なる通話デバイス』としてではなく、自治体の業務効率化や働き方改革の一環としての“次世代コミュニケーション基盤”として紹介しました。現場の防災・防犯、災害対策、コールセンター業務など、多様なシーンに最適なソリューションを提案できるのがHP Polyの強みです」と語るのは菊池氏だ。

菊池氏
菊池氏

Polyのクラウドフォンシリーズは、デスク用IP電話機にとどまらず、RoveシリーズのワイヤレスDECTハンドセットなど幅広いラインナップを揃えている。オフィスから現場業務まで幅広いシーンで利用可能だ。「防塵・防水対応や耐落下性能を備えたDECTハンドセットのRoveシリーズは、屋外作業や災害対応など過酷な環境でも安心して使用できます。特に、従来PHSを利用していた現場からは『PHS終了後の有力な代替手段』として注目が集まっています」と菊池氏。

こういったイベントで電話機をメインにした展示は珍しいと思うが、それについて真意を尋ねると「自治体のお客様からは『通信コストの削減』『BCP対策』『職員の働き方多様化』など、さまざまな課題が寄せられています。私たちは、こうした声に真摯に耳を傾け、HPの幅広いポートフォリオとPolyブランドの強みを生かした最適解をご提案しています。今後もHPはPolyブランドを通じて、電話・会議・クラウドサービスを横断する“統合コミュニケーション”の最前線を自治体のみなさまにお届けします。展示会での対話をきっかけに、新たな働き方や災害に強い通信インフラを共に構築していければ幸いです」と菊池氏は応えてくれた。

HPの幅広いポートフォリオの中でも一般的に触れることができないジャンルの製品に触れられるのもこうしたイベントの強みといえるだろう。次回、みなさまが立ち寄れるHP出展イベントがあった際にはぜひ参加していただきたい。

学校DXではもちろん、自治体の災害対策としても有効な電子黒板は今回のイベントでも注目の的となっていた。HPブースで展示されていた製品はさつき株式会社が開発・販売している「ミライタッチ ChromeOS 搭載モデル(以降、ミライタッチ)」だ。

「ミライタッチは ChromeOS を搭載した電子黒板です。使い方は Chromebook と同じなのでほとんどの方が操作できると思います。今回の展示ではPolyのビデオバー、HPのSmart Tankプリンターを組み合わせています。様々なデバイスと連携できるので使い方が大きく広がります」と説明するのはさつき株式会社の柳氏だ。今回は災害対策を意識して、ポータブル電源も用意されていた。

柳氏
柳氏

「通常時はブラウザを開いておいて情報収取などに活用いただいたり、Polyのビデオバーを組み合わせてWebミーティングをしたりするなど自在にご利用いただけます。被災時には最近は外国人の方も大勢いらっしゃる自治体も多いので、Google の翻訳機能を使って、外国語で文字起こしした情報の掲示や、HP Smart Tankプリンターで印刷して配布するといったこともできます。このように電子黒板とそれに接続されたデバイスのセットで多彩な使い方をご提供できるのが最大の強みです」と柳氏は語ってくれた。

自治体のニーズとして特に多いのは専用業務向けに長期間、安定して使えるコンピューターだ。一般的な Windows PC ではシステム更新の度に新しい機能が追加されるが、条件によっては頻繁な更新によって、特定のアプリケーションなどが使えなくなるケースも存在している。そうした「変化」を考慮せずに長期間使えるのがいわゆる「ロングライフPC」となる。

「HPのロングライフPCは長期間、パーツ構成に変化がなく販売され続けることが決まっている製品で、更新する必要のない Windows 11 IoT Enterprise 2024 LTSC をOSに採用しています。万が一トラブルが起こった場合の交換部品もHPが長期保管しているので、安心して使い続けることができます」と説明する竹下氏。

竹下氏
竹下氏

POSモジュールをベースにしており、拡張性に優れたSFFデザインを採用したモデルから、mini PCサイズの製品、ディスプレイ一体型のモデルなど、用途に応じたラインアップも特長だ。「プロセッサーにNPUを搭載したモデルを選択することもできますから、今後のAI活用を見据えた使い方にも対応します。また、タブレットPCが存在しているのもHPの中ではこのロングライフPCシリーズが最後ですから、ニーズがあるのであれば、ぜひご活用いただきたいですね」と竹下氏。なお、HPのロングライフPCはデジタル庁長官の林 将明氏も注目していたらしく、ブースを訪れた際にとくに熱心に聞き入っていたという。

3日間に渡っての開催を通じて多くの来場者が訪れた自治体・公共Week 2025は大盛況のうちに幕を閉じた。今回は新製品の中でも現場のニーズを意識した展示が多く、それだけに来場者が頻繁に質問をしていたのが印象的だった。その真剣な様子を見ていると、各自治体がDXを大きく意識していることがわかる。HPの製品やソリューションで解決できる諸問題も多いので、積極的にお声がけいただきご相談いただければと思う。みなさんもぜひ、さらなる業務効率化と生産性向上を実現していただきたい。

竹下氏
竹下氏

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