ICT教育の未来が見えるイベント「NEW EDUCATION EXPO 2025 大阪」にHPが出展
2025-07-02
2025年6月12日~14日、OMM(大阪マーチャンダイズ・マート)にて「NEW EDUCATION EXPO 2025 大阪」が開催された。前の週に東京のイベントが終了。翌週にセッティングされた今回も西日本の教育関係者を中心とした来場者がたくさん訪れた。ここでは大阪会場の中でもひときわ注目度の高かったHPブースの模様をお伝えしたいと思う。
取材:中山 一弘
注目が集まるHPのソリューション
HPブースでは製品展示が中心だが、今回特に質問が多かったものの中にMDMソリューションの「HP Protect and Trace with Wolf Connect」があった。「教育関連の組織の方々の中でもDXや働き方改革でPCの持ち出し例が増加中です。業務効率や生産性を高める有効な施策として捉えられますが、その分リスク管理をきちんとしておく必要があり、そのためのソリューションとしてMDMは重要とされています」と説明するHP 川上氏。MDM自体はたくさんの製品やソリューションがあるが、PCの電源が入っていないときはどうするのかという課題が出てくるのだという。
「例えばスマートフォンはもともとバッテリーが長持ちする設計ですし、いちいち電源をオフにする人も少ないのでテクノロジーで探すのは容易です。しかし、PCの場合、使っていない時には電源をオフにするというのが日本の文化なので、その場合に多くのMDMは機能しないということになります」と課題が浮上する背景を語る川上氏。
そこでデバイスメーカーのHPが考えたのは、電源が入っていない状態でもPCを探すことや、BIOSレベルでのPCロック、データ消去などがリモート先からでも命令できるHP Protect and Trace with Wolf Connectなのだ。
「特別なチップをPCにセットすることで、非常に微弱な電波によってPCが携帯電話のネットワークと常に通信状態にあります。バッテリーに悪影響があるほどでないので通常使用時にユーザーが気にするレベルにはありませんが、そのおかげでリモート先からでもPCの位置特定やPCロック、データ消去などを命令できるのです」と川上氏はそのメカニズムをわかりやすく説明する。
PCを探す機能はもちろんGPSと連動できる電源オンのときの方が正確に位置を特定できるが、電源オフの際でも通信状況にもよるがいくつかの基地局と通信することでかなり正確な位置がわかる。これは筆者が独自にテストした際のことだが、東京のような都市部であれば、どのビルにPCがあるかといったレベルで特定できることは確認している。
「HP Protect and Trace with Wolf Connect対応モデルは、HPのビジネスノートPCを中心にラインアップを拡大中です。みなさん、このソリューションの仕組みをご説明すると、通信費を後から請求されるのではとご心配されますが、そもそも通信キャリアとHPの間で包括契約済みとなっており、PCの購入価格にすべて含まれているので追加費用などの心配はございません。ですからみなさんぜひ安心してHP Protect and Trace with Wolf Connect対応PCをご導入なさってください」と川上氏は語ってくれた。
また、PC製品群では、GIGA向け端末や教員向けノートPCの各ラインアップがずらりと並んでおり、来場者の注目を集めていたが、その中でも特に問い合わせが多かった機種があったのだという。「13.3インチコンバーチブルPCの『HP Elite x360 830 G11 Notebook PC』を指名でご来場いただいた方がかなりいらっしゃいました。市場ではメーカー問わず無くなりつつあるコンバーチブルモデルで、AI PCのハイパフォーマンスと生徒さんたちと同じタッチパネルにタッチペンというスタイルで操作できるところが大きな特長となります。HPでもこのモデルしか残っておらず、それがお問い合わせいただくケースが増えている要因だと思います」とHP 吉成氏は語る。
HP Elite x360 830 G11 Notebook PCをはじめとしたAI PCに注目が集まっているが、来るAI時代に備えているのだろうか。「何よりも先生方も働き方改革をしたいとお考えですから、AIの力で資料作りや書類の作成を自動化できれば生産性があがり、時間にゆとりがでます。AIを使いこなすことで他にやれることがたくさんできるようになりますから、今のうちからそのための環境を整備しておきたいという方が増えているように思います」と吉成氏は語ってくれた。教員向けPCを中心にAI活用が進めば、学校DXがさらに促進されることが期待できる。
より高度なテクノロジーを学ぶために必要なワークステーション
ワークステーションでは、東京でのイベント同様、モバイルワークステーションとデスクトップからはHP Z2 G5シリーズを中心にした展示がされていた。「ハイスクールDXということで工業系、デザイン系の学校が中心となることは間違いありませんが、最近では農学部でもドローンの使用はもちろん、点群データを取得して3Dで保管するといった使い方も広まり、それらのデータが扱えるワークステーションへのニーズも高まっているのを感じます」と語るのはHPの西野氏だ。デジタルネイティブ世代にとって、ワークステーションの高い処理能力は魅力的であり、より高度な学びを得られるきっかけにもなっているのだろう。
「また、モバイルワークステーションへのニーズも増えていて、HP ZBook Firefly 14 inch G11 Mobile Workstationでも十分なパフォーマンスが出せるので人気となっています。高度な3Dとなると、ディスクリートグラフィックスが必要となるのですが、その場合はHP ZBook Power 16 inch G11 Mobile Workstationがあるなど、HPのラインアップから自在に選択できるのが弊社をお選びいただく際のメリットだと思います」と西野氏は解説する。
今後のハイスクールDXの方向性として、AIがそこに組み込まれることは考えられるのだろうか。「AIをやりたいというニーズは今後増え続けるでしょう。生成AIモデル、RAGなど、様々なツールが出てきているのでそれらを動かすためのプラットフォームとして、CPUのコア数が多いものや、パワーのあるGPUは必須となってきます。弊社のラインアップとしてもHP Z4、Z6、Z8とサーバクラスに匹敵する、あるいは凌駕するモデルもありますから、そんな時代になってもあらゆるニーズにお応えできると思います」と西野氏は力強く語ってくれた。
心置きなく印刷するためのプリンターを展示
HPのプリンターからは東京でのイベントと同じく、HP Smart TankプリンターとHP OfficeJetシリーズが展示されていた。「HPからのプリンターに関するメッセージは変わりませんが、多機能を優先するよりもいかにランニングコストを抑えるか、そのためのテクノロジーを開発し、みなさまにお届けすることでよりよい学校DXにつなげていただきたいと考えています」とHPの河野氏は語る。インクタンク式のプリンターや扱いやすいA3対応複合機などをラインアップしている理由はそこにあるのだ。
「GIGAスクール構想をはじめとした学校DXが進む中、校務などではペーパーレス化が進みましたが、教育の中では紙に印刷して情報を共有するスタイルは残り続けていますし、あらためて紙媒体の意義を見直す動きも出ています。そのときになって、印刷コストがボトルネックになって教育を妨げることがないように、私たちはコストメリットを追求して学校での使いやすさを提供していくつもりです」と河野氏は語ってくれた。
テクノロジーでリモート授業を支援
HPのPolyコーナーにはビデオバーとヘッドセットが展示されていた。「リモート授業が増えていますが、その際に教室で感じるような臨場感が集中力を保つために必要不可欠だと考えます。Polyのビデオバー『Poly Studio』シリーズにはそのための機能が備わっています」とHP 是枝氏は語る。
発言者にクローズアップする仕組みや、教員が移動する様子を追従するようなカメラワークはすべてAIによって制御されているため、特別な操作や設定を必要としないのも利点だ。「例えば、従来のWebカメラと外部マイクを使ったやり方では、授業が始まっても最初の10分はセッティングで消費してしまうといったケースも多かったと聞きます。Polyのビデオバーなら、プロ並みの品質を提供する各種機能が、USBケーブルをPCに挿すだけで使えるようになります。この手軽さで、臨場感のあるリモート授業が提供できるのは大きなメリットになると考えます」と是枝氏は説明する。
リモート授業に関しては、現在社会問題となっている不登校児に学びを与えるために活用するという大きな期待がある。「誰一人残さないという大きな理念のもと、授業にきちんとついていくことのできる学力を保つことは大切です。私たちのテクノロジーを体験していただいた先生方からは、遠くの生徒たちから教室にいるのと同じようなイメージで授業ができたと感想を貰ったというありがたいお話しをいただいています」と是枝氏は手応えを語る。
ヘッドセットに関しては品質や音質はもちろん、かけ心地がとても大切だという、「例えば大きな音が鳴り続けているような状態だと耳に障害が残るようなケースでも、Polyのヘッドセットなら大音量を出さない処理をしてから出力するなど、体に優しい仕様となっています。また、長時間利用する場合、頭の形に合っているかが非常に重要です。片耳にかけるタイプや、マイクブームの位置を反転できるものなど、その人が使いやすい形が選べるよう工夫されています。ぜひ一度実際にお試しいただくことをおすすめします」と是枝氏は語ってくれた。
HP製品を体感できるイベントに参加しよう!
NEW EDUCATION EXPO 2025 大阪が開催された3日間はあっという間に過ぎ去り閉幕を迎えた。今年も大勢の来場者がHPブースを訪れたが、納得の表情で次のブースへと向かう人々の姿が実に印象的だった。教育関連イベントに並ぶ製品やソリューションはこうした場所でしか触れられないものが多く、年に数回の機会にこうして訪れることでより深い理解が得られるのは確かだ。NEW EDUCATION EXPOは来年も開催されるので、この体験をしたいという方はぜひご来場いただきたいと思う。
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