AI時代は中堅・中小こそWindows 11に移行せよ 有識者に聞く、移行のコツとPCの選び方

「Windows 10」のサポート終了がいよいよ2025年10月14日に迫っている。

サポートが終了したOSは当然ながら更新プログラムの配布が停止する。セキュリティアップデートもなくなるため、新規のバグが見つかっても修正されず、新たな手法のサイバー攻撃やウイルス、脆弱(ぜいじゃく)性に対応できなくなる。業務アプリケーションやPC周辺機器は最新のバージョンに合わせて開発されるため、それらが利用できなくなる可能性もある。

そのため既存のPCを「Windows 11」にアップデートするかWindows 11搭載PCに買い替える必要がある。買い換える場合はなるべく早く対応した方がいい。日本マイクロソフトの調査によれば、日本では2025年10月までに約700万台の買い替えが発生すると予測されている。GIGAスクール構想の第一弾で導入した約900万台のPCの買い替えも2025~26年にまたがる見込みだ。PCの調達をギリギリに始めた場合、品薄による納期遅延や欲しいPCが手に入らないといった事態にもなりかねない。

しかし、アップデートするか買い替えか、買い替えるならどんなPCを選ぶべきかなど迷っている担当者は多いだろう。

そこで本記事では、アイティメディアのIT製品・サービス総合情報サイト「キーマンズネット」で情報システム担当者向け連載「情シス百物語」を執筆している久松剛氏にインタビュー。Windows 11への移行手段や運用管理をスムーズに進めるコツ、選ぶべきPCなどを伺った。

※本記事はITmedia NEWSにて掲載されたものです。 

久松剛氏
エンジニアリングマネージメント 社長兼レンタルEM/博士(政策・メディア) 久松剛氏
IT、Web企業で情シス部長や開発部長、技術顧問などを歴任。海外開発拠点EMやPjM、エンジニア採用・組織改善コンサルなども担当する。2022年にエンジニアリングマネージメントを設立し、スタートアップやベンチャー、老舗製造業でITエンジニア採用や研修、評価給与制度作成、ブランディングといった組織改善コンサルの他、セミナーなども開催する。

アップデートか買い替えか Windows 11移行をチャンスに

Windows 10のサポート終了に当たって、PCの買い替えではなく既存のPCを使い続けようとする企業もあるが、久松氏は買い替えを推奨する。

「『拡張セキュリティ更新プログラム』(ESU)を使う方法もありますが、有償ですし結局それなりのコストがかかります。移行直前の世代のCPUだからと、スペック不足にもかかわらず無理やりWindows 11をインストールする方もいますが、動作保証がないのでどこかで業務に大きな支障を来す可能性があります」

今使っているPCのスペックがWindows 11のアップデート要件をギリギリ満たしている場合でも買い替えを勧めている。

「スペックが高くないPCを強引に使い続けると処理が重くなるため、業務効率が悪くなります。過去に私が支援したある企業では、古いPCを使い続けていて表計算ソフトの一つの処理が終わるのに20分も待っていました。ハイスペックなPCに入れ替えたらその時間がなくなって別の仕事をできるようになりました。こういうスペック不足の古いPCを使っているなら、Windows 11への移行を機に買い替えるべきです。効率化の機会として捉えましょう」

セキュリティ対策も強化

セキュリティリスクを回避するだけでなく、対策を強化する意味でもWindows 11に移行するメリットは大きい。

Windows 11はウイルス対策ソフトを停止させるようなサイバー攻撃に対応するため、通常のWindows OSから安全なメモリ領域を仮想的に切り離してセキュリティ上の重要なOSを利用する「コア分離」機能や、OS起動時に正当なコードのみ実行できるようにする「メモリ整合性」といった機能を追加している。生体認証システムの「Windows Hello」の認証をクリアしなければWindows11へのサインインやディスクの暗号化解除ができないようにするなどデータの機密性を高め、OSの乗っ取りを防ぐ「セキュアブート」機能も備える。

これらの機能でデフォルトのセキュリティを強化できるのはもちろん、Windowsに標準搭載しているセキュリティ機能「Microsoft Defender」もWindows 11でさらに強化され、Windows Helloで多要素認証に対応すれば利便性もセキュリティもより高められる。

「ファイアウォールやサードパーティー製のウイルス対策ソフトを契約しなくても、デフォルトのMicrosoft Defenderで十分という企業もあります。法務や監査部門などにも確認する必要がありますが、ウイルス対策ソフトをうまく整理すればコスト削減が可能です」

運用管理の見直しで効率化やコスト削減も

多忙な情報システム部門やPC管理担当者にとってPCをリプレースするのは気が重いかもしれないが、Windows 11への移行を機にキッティングや運用管理にWindows純正のツールを使うなどやり方を見直せばさらなる効率化やコスト削減も可能だと久松氏はアドバイスする。

キッティングのフェーズでは、「Windows Autopilot」を使えば作業の自動化が可能だ。Windows Autopilotはクラウド経由でPCの設定や展開ができるサービスで、従来のようにマスターイメージを作成・検証して複数のPCに展開するという一連の作業を簡略化できる。遠隔からPCの初期化やデータ消去なども可能なので、PCの不具合やインシデントが発生した際にも迅速に対応できる。

久松氏は、デバイスとアプリケーションの管理に、MDM(Mobile Device Management)やMAM(Mobile Application Management)機能を備えたサービス「Microsoft Intune」を使うのもお勧めだと言う。登録したデバイスをクラウドで一括管理できて、デバイスを紛失した際には遠隔からロックやワイプが可能だ。業務用にインストールするアプリケーションの配布や管理、社内リソースへのアクセス管理もできる。

「自社で貸与するPCはもちろん、BYODや外部パートナーに業務委託する場合でも、彼らのデバイスやアプリケーション、データをMicrosoft Intuneで管理・保護できます。資産管理システムを別途契約すると数千万円かかることもありますが、Microsoft Intuneは1ユーザー当たり月額1199円から(2025年1月現在)と比較的安価なので、特に中小企業の場合はコスト削減が期待できます」

今、買い替えるなら「AI PC」を

Windows 11に移行する必要性は理解したが、どんなPCを選べばいいか悩むという担当者もいるだろう。今購入するなら「今後5年ほど使うことを考えて、『AI PC』を推す」と久松氏は言う。

AI PCとは、簡単に言えばAI処理をローカルでできるPCだ。AI処理専用の演算装置「NPU」(Neural Processing Unit)を搭載している。Windows 11は、AIでWeb会議の背景ぼかしやノイズ除去、明るさ調整、カメラで常に話者を追い掛ける「Windows スタジオ エフェクト」機能を備えており、これはNPUで処理している。

現時点ではローカルでAI処理をするソフトウェアはそう多くないが、近い将来、そうしたソフトウェアが増えることが予想される。「生成AIを使いこなすスキルがデファクトスタンダードになりつつある今のうちから、AI PCに投資をしておくことをお勧めします」

AI PCの中でも、中堅・中小企業が導入するのにちょうどいい選択肢となるのが「HP EliteBook 1040 G11」だ。

ディスプレイは14型(1920×1200ピクセル)でアスペクト比は16:10と縦方向に大きく、一度に広範囲を表示できる。内蔵型プライバシースクリーン機能の「HP Sure View Reflect」を使えば、ボタン一つでのぞき見を防止できるので、コワーキングスペースなどで作業をする場合にも安心だ。

※ HP Sure View Reflectを搭載するには購入時に選択が必要です

HP EliteBook 1040 G11
HPのビジネスAI PC「HP EliteBook 1040 G11」。ボディーカラーはグレイシャーシルバーで、指紋や汚れが付きにくいコーティング仕上げになっている

本体重量は約1.2キロ、厚さは最厚部で17.55ミリとスリムで持ち運びやすい。天板の素材にはマグネシウム合金を使用し、12万時間を超えるHP独自の耐久テストと米軍調達規格をクリアした耐久性と堅牢(けんろう)性を備える。

CPUに「インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ1)」(以下、Core Ultra シリーズ1)を搭載している。Core Ultra シリーズ1の大きな特徴は、インテルのCPUとして初めてNPUを搭載した点だ。CPUやGPUよりも高い電力効率でAI処理ができる。

インテルロゴ

「Intel vPro® プラットフォーム」(以下、vPro®)にも対応している。vPro®はリモート管理機能やセキュリティ機能を統合したプラットフォームで、PC管理者が遠隔から従業員のPCを一括で操作・管理できる。PCがシャットダウンしていても電源操作やソフトウェアのインストール、アップデートなども可能だ。

※ vPro®に準拠したモデルの選択が購入時に必要です

MicrosoftのAIアシスタント「Microsoft Copilot」を即座に呼び出せる「Copilotキー」も備える他、音声やカメラの品質にもこだわっている。2022年にHPブランドの一つとなった「Poly」の技術「Poly Studio」によるオーディオチューニング機能付きの高品質マイクを搭載しており、ノイズキャンセリングが強力に効く。複数の人が話しても距離を問わず明瞭に聞こえる。

運用保守を見据えた機能もチェック

AI PCに加えて久松氏がお勧めするのが「eSIM」対応モデルを選ぶことだ。スマホのテザリングでネットワークに接続するビジネスパーソンは多いが、接続に手間がかかったりデータ容量を使い切って速度が落ちたりすることがある。かといってセキュリティの観点からフリーWi-Fiは使わせたくない。PCを紛失してしまい、遠隔から位置把握や操作をするためネットワーク接続が必要になることもある。eSIMを搭載していれば万が一のときの対応もスムーズだ。そこで「最初からeSIMで、PCを開いた瞬間にネットワークにつながるようにすればトラブルも防げます」。

HP EliteBook 1040 G11は「HP eSIM Connect」対応モデルも選択できる。au回線を利用した法人向けMVNOサービスで、5G/LTEのデータ通信が5年間無制限で使える。通信費はPCの購入代金に含まれているので、5年間ネットワークが使い放題になる。モバイルWi-Fiルーターを購入したり、別途携帯電話の回線契約をしたりするよりも安価で済む。

PCの紛失や盗難時にデータを保護する「HP Protect and Trace with Wolf Connect」に対応するモデルも選べる。購入時に選択すると専用チップが追加され、PCの電源が切れていても低電力の通信を続け、遠隔操作で位置を探したりPCをロックしたり、データを消去したりできる。HP eSIM Connectと組み合わせると、PCの位置をより高精度に検出可能だ。

PCの故障・破損時には、HPのサポートサービス「HP Active Care」を利用できる。ハードウェア障害に対して365日のリモート障害診断とサポート、引き取り修理、訪問修理を提供する。水漏れ、落下、衝撃、電圧異常、盗難といったアクシデントサポートなどのオプションも付けられる。

「情報システム部門の視点に立ってみれば、Windows 11の導入を機にPCのメーカーを統一してこうした純正のサービスを使うとより運用保守が楽になると思います」

久松剛氏

AI時代に中堅・中小企業がビジネスを加速させるために、従業員と情報システム部門の生産性を向上させ、AI活用に特化したWindows 11搭載のAI PCに移行することは重要な意味を持つ。運用管理の効率化やセキュリティの強化も実現するHP EliteBook 1040 G11やHPの独自サービスをぜひ検討してほしい。

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

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