Windows AI APIsとは?OCRなどのAI処理をローカルで実行!使い方と精度を実機検証で解説
2026-10-22
ライター:株式会社WEEL
クラウドAIによる業務自動化が広がる一方で、画像や文書を外部サーバーへ送ることへの懸念は根強く残っています。こうした課題への答えが、Microsoft が Windows App SDK を通じて提供する「Windows AI APIs」です。テキスト認識(OCR)や文章生成といったAI機能を Windows アプリへ直接組み込め、対応端末では処理が端末内で完結します。
この記事では、Windows AI APIs の概要と、OCRを中心とした実機検証の結果、メリット・注意点までを解説します。最後まで読んでみてください。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて執筆されています。
記事のポイント要約
結論:Windows AI APIs により、Windows アプリ内でOCRなどのAI処理をローカルで実行できる。データが端末内で完結し、機密文書を扱う業務でのAI活用が現実的になった
重要度:中
ひと言評価:OCRは Copilot+ PC 専用APIのため、本格導入には端末選定が前提条件になる点を事前に把握しておく必要がある
Windows AI APIsとは
Windows AI APIs は、Microsoft が提供する Windows 向けのAI機能API群です。Windows App SDK を通じて利用でき、開発者が各種AI機能を自分のアプリに統合できます。※1
※1:Microsoft, "What are Windows AI APIs?"(Microsoft Learn)
https://learn.microsoft.com/windows/ai/apis/
なお、一般ユーザーが単独で使うツールではなく、開発者が Windows アプリに組み込んで使うSDK・APIです。機能ごとにハードウェア要件が異なり、OCRをはじめ多くのAPIは Copilot+ PC のNPUでのみ動作します。以下の表に主な概要をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | Microsoft |
| 利用方法 | Windows App SDK を通じて Windows アプリに組み込む |
| 主な機能 | テキスト認識(OCR)・Phi Silica(SLM)・音声認識・画像処理など |
| 処理方式 | ローカル処理(クラウド接続不要) |
| OCRの動作環境 | Copilot+ PC(NPU)のみ |
| 対象 | Windows アプリ開発者 |
Windows AI APIs は、クラウドサーバーへのデータ送信が不要で、オフライン環境でも動作します。
今回の検証環境と試す機能
検証PCは、Copilot+ PC の HP EliteBook X G2a(AMD Ryzen AI 7 PRO 450・NPU搭載、32GB、Windows 11 Pro)です。Microsoft 公式のデモアプリ AI Dev Gallery(Windows App SDK 1.8系)を使い、テキスト認識(OCR)を中心に画像説明と文章要約の3機能を試します。結果は端末や画像の条件によって変わるため、本記事で紹介する内容は本検証での一例です。
Windows AI APIs でOCRを実行してみる
OCRの実行には、Microsoft Store から無料で入手できる AI Dev Gallery を使います。「Windows AI APIs」メニューから Text Recognition のサンプルを開けば、コードを書かずにOCRを試せる作りです。
画像を読み込むと、認識されたテキストが行単位で画像上に重ねて表示されます。日本語の印刷文書は1秒ほどで全文が表示され、結果のコピーも可能です。
開発者が自分のアプリへ組み込む場合も、Windows App SDK の TextRecognizer クラスを数行のコードで呼び出すだけです。認識は端末内のNPUで完結し、処理中のネットワーク通信はありません。実行中はNPU使用率が20%前後まで上がることも確認できました。
複数の画像でOCRの精度を比較
条件の異なる5種類の画像を同じ手順で読み取り、原文と文字単位で突き合わせた一致率は次のとおりです。
| 画像の種類 | 実質一致率 | 処理時間 | 気づき |
|---|---|---|---|
| 日本語の印刷文書 | 99.5% | 約1秒 | 誤りは「覚書」→「党書」の1字のみ |
| 日英混在(URL・記号) | 100% | 約1秒 | URL・メールアドレスも完全一致 |
| 表形式の請求書 | 100% | 約1秒 | 数値は全問正解・行単位で認識 |
| スマホ撮影(傾き・影) | 100% | 約1秒 | 傾きと影の影響なし |
| 手書きメモ | 95.7%% | 約1秒 | 「メモ」→「人モ」など誤り2箇所 |
日本語の印刷文書は、205字中の誤りが「覚書」→「党書」の1字だけでした。日英混在の文書では、URL・メールアドレス・型番まで一字も外していません。表形式の請求書も数値は全問正解で、行単位の読み取りのため項目の対応も追えます。
意外にもスマートフォンで撮影した画像は、傾きと影があっても誤認識ゼロでした。一方、手書きメモは「佐々木」を「人左々木」と読むなど崩し字に弱く、数字だけは完璧でした。
共通の癖として、全角の記号や括弧は半角に正規化されるため、業務システムへ渡すなら表記を揃える後処理が必要です。総合すると印刷文書と帳票は業務利用に耐える水準、手書きは人の確認が前提で、この結果は今回の端末と画像に限ったものです。
OCR以外の Windows AI APIs も試してみる
OCR以外では、画像を説明する Image Description と、Phi Silica による文章要約(Text Summarizer)を試しました。
Image Description にデスクを写した画像を読み込ませると、数秒で「開いたノートPCとマウス、本、鉢植えが並ぶ机」という説明が生成されました。主要な物体は正しく認識できた一方でコーヒーカップは見落とされ、説明文は英語で出力されます。
Text Summarizer にOCRで読み取った社内文書を渡すと、毎秒5トークンで日本語の自然な要約が返ってきました。大意は正確でしたが、条件の対応が一部混ざったため、利用前には目視で確認する必要があります。
なお、Phi Silica は提供が限定される Limited Access Feature で、2026年11月に後継の Aion Instruct への置き換えが予定されています。※2 利用時は提供状況を確認してください。
※2:Microsoft, "Get started with Phi Silica"(Microsoft Learn)
https://learn.microsoft.com/windows/ai/apis/phi-silica
Windows AI APIs を使うメリット
クラウドAIと比べたときの利点を、3つ確認していきましょう。
データを端末内に留めて安全に処理できる
テキストや画像をクラウドへ送信せず、端末内でAI処理が完結する仕組みです。個人情報や社内機密など、外部送信を避けたいデータも安全に扱えます。
オフライン対応かつランニングコストがかからない
オフライン環境でも動作し、ネットワーク制限のある現場でも使えるのも利点です。クラウドAPIのような従量課金がないため、大量処理のコストも抑えられます。
Windows アプリへ直接組み込める
外部サービスとの連携設計が不要なうえ、OCR結果の座標・行情報・信頼度スコアも取得できます。後工程の自動化にも活用可能です。
Windows AI APIs を使うデメリットと注意点
一方で、導入前に把握しておきたい注意点も3つあります。
多くの機能が Copilot+ PC のNPU必須
OCR(Text Recognition)は Copilot+ PC のNPUでのみ動作し、通常の Windows 11 PC では利用できません。ほかにもNPU必須の機能が多く、一部でGPUやCPUへの対応拡大が進んでいる段階です。
SDK バージョンとOS環境に制約がある
Windows App SDK のバージョンによって使える機能が異なり、OS・SDK 双方の確認が必要です。Windows 以外のOSでは利用できず、SDK の更新で動作条件が変わる可能性もあります。
帳票・手書き文字ではOCR精度が低下する
複雑な帳票・手書き文字・低解像度画像では認識精度が落ちる場合があり、誤認識のまま業務システムへ登録すると誤入力につながります。精度が求められる業務では、人による確認工程を残した設計が必要です。
企業で想定される活用方法
Windows AI APIs のOCRは、紙文書のデジタル化・自動入力・情報抽出を中心とした業務での活用が期待できます。
- 請求書・領収書・納品書からの金額・日付・取引先名の抽出
- 紙の申込書やアンケートの入力補助
- 社内文書や画像PDFの検索可能なテキスト化
- 製造現場での型番・注意書きの読み取り
- 店舗・倉庫での商品情報確認
OCR の結果を Phi Silica の要約と組み合わせれば、文書の仕分けまで自動化できる可能性があります。
Windows AI APIs をフル活用するには Copilot+ PC が鍵になる
Windows AI APIs の主要機能の多くは、NPU搭載の Copilot+ PC でのみ動作する仕様です。Microsoft はNPU性能40TOPS以上の端末を「Copilot+ PC」と定義しています。※3 本格導入の際は、端末選定の段階から候補として検討するとよいでしょう。
※3:Microsoft, "Copilot+ PCs developer guide"(Microsoft Learn)
https://learn.microsoft.com/windows/ai/npu-devices/
Windows AI APIs のOCRを試して文書処理の自動化を始めよう
Windows AI APIs を使えば、Windows アプリ内のAI処理をクラウド不要で実行できます。データが端末外に出ないため、機密情報を扱う業務でも導入しやすいのが強みです。今回の検証では一般的な印刷文書で99%を超える一致率を確認できた一方、画像品質やレイアウトで精度は変わるため、対象文書を絞った小規模なPoCから始めるのが現実的でしょう。身近な業務から試してみてください。
HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。
Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。
組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。
ハイブリッドワークに最適化された、Windows 11 Pro+HP ビジネスPC
ハイブリッドなワークプレイス向けに設計された Windows 11 Pro は、さらに効率的、シームレス、安全に働くために必要なビジネス機能と管理機能があります。HPのビジネスPCに搭載しているHP独自機能は Windows 11 で強化された機能を補完し、利便性と生産性を高めます。
詳細はこちら








