2023.04.07
今や日本の代表的文化と言われるアニメ制作、映画・CMなどあらゆる場面で使われる3D動画制作、CADを使っての設計デザインなど、クリエイティブな仕事に従事する方々は、高いパワーを持つワークステーションを “頼れる相棒”としてフルに活用されていることでしょう。
ワークステーションは単なる高機能PCではありません。ワークステーションから生み出されるデータは事業においての最重要アウトプットであり、取り扱いには厳重なセキュリティが求められます。ゆえにこれまでは、「ワークステーションは会社にあるもの」であり「作業メンバーは出社するのが当たり前」ということには、誰も疑いを持ちませんでした。
しかしコロナ禍を経て、多くの人はリモートワークの利便性を知りました。また少子高齢化による人材不足、ライフステージの多様化、直近の「2024年問題」(残業の上限規制が中小企業も対象に施行)などにより「場所を選ばない柔軟な働き方」が求められるようになっています。会社のワークステーションをリモートワークで利用できたら素晴らしいのではないでしょうか?「そんなことは不可能だ。ワークステーションを家に備えることは困難だし、設置できたとしても会社同様の通信環境やセキュリティを備えることはむずかしい」と否定されるかもしれません。しかし、それを可能にするテクノロジーが生まれているのをご存じでしょうか?
今回の記事では、「ワークステーションのリモートデスクトップ化」を実現し、事業活動を支える最重要アウトプットを生み出す大切な人材に「場所を選ばない柔軟な働き方」を提供するため、知っておくべき基本的な内容についてわかりやすく紹介していきたいと考えます。
まず、「ワークステーションをリモートデスクトップ化して得られるメリット」の1つ目は「生産性の向上」です。とくにクリエイティブな仕事の生産性の中心にあるのは、何と言っても「人」です。優れた人材を採用し、会社に定着してもらい、それぞれに合った働き方の場を提供することを念頭におきたいところです。
ワークステーションを“相棒”として、企業活動の重要な部分を生み出す制作者やクリエイターたちも、当然ひとりの人間であり、それぞれのライフステージ(子育て、介護、移住など)に合わせて、働き方に関するニーズや思いが変化するのは当然のことです。会社が「場所を選ばない柔軟な働き方」を提供することは、彼ら彼女らのモチベーションを高め、生産性を大きく向上させることにつながるのではないでしょうか?
総務省の情報通信白書(令和3年版)によると、「テレワークの継続意向」で「継続したい」と考える人は全体の66.4%に上ります。さらに注視したいのが同調査の中で「30-39歳」の層が「継続したい」71.6%と全世代の中でも飛び抜けて高い継続意向を示していることです。その世代の方々は、現場の働き手の中核でしょう。現場の中核世代は何より「場所を選ばない柔軟な働き方」を重視していると思われます。
しかし、ワークステーションを“相棒”として、企業活動の重要な部分を生み出すクリエイティブなメンバー達は、リモートワークの恩恵はほとんど受けられずに来ました。それは、「ワークステーションは会社にあるもの」という前提のもと、出社して作業をせざるを得なかったからです。中にはモチベーションを落としてしまう人もいるのではないでしょうか。
まとめますと、現場の中核世代(30-39歳)においてリモートワークを望む人が7割を超えていること。しかし、リモートワークを望んでもワークステーションを使い重要な仕事をするために出社せざるを得ない人が一定数存在すること。そのような現実から、「場所を選ばない柔軟な働き方」の実現は喫緊の課題であるということです。
それでは、ワークステーションで行うクリエイティブな業務をリモートワークで行えるようにするため、シームレスでセキュアな環境をメンバーの自宅(あるいはリモートワーク先)に構築するという課題に向き合ってみます。現実的に考えれば、メンバーそれぞれの自宅に会社同様のワークステーションと通信環境、セキュアな状態を提供するのはコスト面からも、管理面からも難しいでしょう。
そうすると、「リモートデスクトップ」の導入が解決方法となります。自宅(あるいはリモートワーク先)のパソコンで会社のワークステーションを利用できるようにするのです。「それこそ無理だろう。自宅の通信環境では作業にならないだろう」「そもそもセキュリティはどう担保するのか」という声が上がりそうです。
それを解決するテクノロジーが「PCoIP」(PC over IP)というプロトコルです。「PCoIP」とは「PC over IP」の略で「ぴーしーおーばーあいぴー」と読みます。これはカナダのTeradici(テラディシ)社が開発した技術で、リモートデスクトップ環境で画面転送を行うためのプロトコルの1つです。
PCoIPを実装したリモートデスクトップの大きな特徴が「低遅延」と「高いセキュリティ性」です。まず1つ目の「低遅延」ですが、PCoIPはデータの状態を判断し、ネットワーク速度が速いときは表示画質を上げて高解像度のグラフィックを伝送させ、遅いときは解像度を落として伝送します。つまり、リモートデスクトップ上で高精細な作図などの操作も遅延なくスムーズに行えるようになるのです。
まとめますと、PCoIPテクノロジーによりワークステーションをリモートデスクトップ化して、自宅環境や遠隔地でも、ネットワーク回線の状態に関わらずシームレスな作業が行えるようになるということです。
「ワークステーションをリモートデスクトップ化して得られるメリット」の2つ目は「高いセキュリティ性」です。
前述のように、事業活動における重要なデータを扱う現場において、セキュリティは最重要項目です。リモートワークでもっとも課題とされる部分でしょう。しかし、ここでもPCoIPテクノロジーを実装したリモートデスクトップの導入が、セキュリティを担保します。
PCoIPテクノロジーを実装したリモートデスクトップの大きな特徴のもう一つが「高いセキュリティ性」です。デスクトップのコンテンツについては、画像情報のみがエンドポイント端末に送信されますので、機密情報がデータセンターから外部に漏れることはありません。
リモートデスクトップ化により、物理的な情報漏洩リスクも防止できます。作業はすべてクラウド上で行われますので、例えば盗難や紛失などの事故が発生した場合にも、メンバーのクライアント本体には重要なデータは残されておらず、深刻な情報漏洩にはつながりません。
まとめますと、PCoIPテクノロジーを実装したリモートデスクトップは強固なセキュリティを担保すると言うことです。
「ワークステーションをリモートデスクトップ化して得られるメリット」の3つ目は「コスト削減」です。
高機能なワークステーションをリモートデスクトップによって、メンバーがクラウド環境で業務に活用できるようになると、オフィス維持にかかるさまざまなコストが削減可能になります。
まず、各メンバーがクラウドベースでワークステーションを利用するようになれば、オフィスにある物理的なワークステーションを減らすことが可能になります。そうすればその分のオフィススペースを削減し、スペース費用を削減できます。
クラウドベースでメンバーが仕事をできるようになれば、情シス部門が管理するマシンの数は減り、サーバーの構築や保守にかかる管理コストを削減できます。同様に電気代も削減できるでしょう。リモートワーク中心に働き方が変更できれば、交通費の削減はもちろん、オフィス全体の面積縮小も可能になり、さらにオフィス管理費用を削減できるでしょう。
まとめますと、ワークステーションをリモートデスクトップ化することにより、IT運用コストやオフィス管理費用などを削減可能になると言うことです。
次にPCoIPテクノロジーを基盤としたワークステーション・ソフトウェアソリューションであるリモートデスクトップ・ソフトウェア、HP Anywareを紹介いたします。
HP Anywareとは、前述のPCoIPテクノロジーを基盤とするワークステーション・ソフトウェアソリューションでありリモートデスクトップ・ソフトウェアです。ちなみにPCoIPを開発したTeradici 社はHPグループの一員であり、PCoIPテクノロジーをフルに活かすことができる随一のソリューションがHP Anywareです。
● 回線速度に関係なくワークステーションでの作業をリモート環境で実現
HP Anywareは、PCoIPテクノロジーにより、回線速度を自動で判断して伝送を行うため、回線速度に関係なく、会社のワークステーションでの作業同様にリモート環境で高精細なグラフィックを正確な発色で再現したり、3Dモデルの回転などをスムーズに行えたりできます。
● コンテンツをすべてピクセル画像で伝送するためセキュリティが万全
HP Anywareは、PCoIPテクノロジーによりVPNを使用せずデジタルワークスペースにアクセスします。また、コンテンツをすべてピクセル画像にして伝送するため、セキュリティが強固です。HP Anywareは、デバイス(のぞき見対策など)やアプリケーションにセキュリティ機能を備えているため、企業はセキュリティ対策にかかるコストを削減できます。
● ITインフラ構築・運用・管理のコスト削減
HP Anywareは、クラウドベースで提供されるため、企業が自社のITインフラを構築する必要がありません。これにより、サーバー費用やその運用コストが削減できます。さらにWindows、Linux、macOS、すべてのITインフラに対応しており、導入時にも手間がかかりません。これらによりIT管理コストはもちろん、総体的にオフィス管理費用も削減できます。
また、クラウドベンダーである複数のデータセンターを設置しており、必要な時にはリソースを迅速に確保できます。またサーバーの冗長性を確保していますので、万一のサーバートラブル時にも、ほとんどの場合、問題なくサービスを継続いただけます。
HP Anywareは、ワークステーションを用い、3DCG制作、アニメーション制作などのクリエイティブ業種、高精細なビジュアルを作成する自動車や建設に携わるCADオペレーター、設計デザイナーなどのリモートワークを強力に支援します。また、政府機関、メディア企業、金融機関、教育機関、医療機関など、機密性が高く、高いマシンパワー、高精細なグラフィック表現を必要とする職種のリモートワークに適しています。
高精細なビジュアルを扱い、原色に忠実なカラーの再現を必要とし、さらに3DDG(3次元空間でのコンピュータグラフィックス)をさまざまな角度で検証するなどのクリエイティブな作業に従事していたメンバーに、HP Anywareはリモートワークを提供できます。そして彼ら彼女らの「場所を選ばない柔軟な働き方」を実現します。勤務形態の選択肢が広がることで、モチベーションが高まり、会社への定着率向上が期待できます。また、優秀な人材を採用するためにも、「場所を選ばない柔軟な働き方」は重要な訴求ポイントとなるでしょう。そして会社管理面からは、これまで出社が必要だったメンバーの交通費、会社に残って残業せざるを得なかった場合の残業代の削減も期待できます。
カナダのアトミックカートゥーン社におけるHP Anywareの導入例をご覧ください。
オフィスと変わらぬ作業環境をクリエイターの自宅に実現できた事例です。
HP AnywareはTeradici CASソフトウェアとライセンスプラットフォームをベースにしており、1年および3年のサブスクリプションで利用できます。
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