2023.03.08
コロナ禍において、ほとんどの企業が「場所を選ばない柔軟な働き方」を検討することとなりました。多くの企業がリモートワークを取り入れ、デジタルワークスペース実現のため、リモートデスクトップを導入しました。仮にコロナ禍が完全に収束したとしても、それらの企業はリアル出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドなワークスタイルを選択・継続すると思われます。しかし、リモートデスクトップを使うことがむずかしく、「場所を選ばない柔軟な働き方」の恩恵を受けられない職種があります。そんな職種に従事するメンバーは相変わらず出社を義務づけられ、「場所を選ばない柔軟な働き方」が選択できません。
この課題を放置すると、パンデミックや災害発生などメンバーが出社不可能な事態が起きた場合には、事業継続が困難になるかもしれません。また育児や介護など、どうしても「場所を選ばない柔軟な働き方」が必要なライフステージに差し掛かったメンバーの要望も満たせないでしょう。その時、メンバーは退職を選択せざるを得なくなるのでしょうか。
今回の記事では、リモートデスクトップによるリモートワークが困難な職種について考え、その解決に向けて知っておくべき基本的な内容について、紹介していきたいと考えます。
リモートデスクトップを利用しづらく、リモートワークの恩恵を受けられない職種の代表は、製造業とくに自動車関連事業や建築の設計デザインに携わる設計デザイナーでしょう。なぜ恩恵を受けられないのかを考えてみます。
設計デザイナーが作成するデータは、企業の機密データの中でもとくに秘匿性の高いものでセキュリティ対策が必須です。セキュアな環境でなければ安心して作業に取り組めません。
また、取り扱うデータのファイルサイズがかなり大きく、高精細なグラフィックの再現性も求められるため、大きなパワーを持つマシンが必要になります。リモートデスクトップを利用し、ネット経由で会社のマシンを使って作業しようとしても、VPN などを用いた場合遅延が発生して、仕事がはかどらないでしょう。
前述のように、設計デザイナーのリモートワークを阻む主な要因は「セキュリティ」そして「遅延」と言えます。これらを解消するために、会社同様のIT環境をメンバーそれぞれの自宅に整備するのは現実的ではないでしょう。
それを解決するのが、次に紹介する「PCoIP」(PC over IP)です。
「PCoIP」とは「PC over IP」の略で、正式には「ぴーしーおーばーあいぴー」と読みます。カナダのTeradici(テラディシ)社が開発した技術で、リモートデスクトップ環境で画面転送を行うためのプロトコルの1つです。ちなみにTeradici社は、2021年10月HP Incの一員となりました。
PCoIPのメリットはどのようなところにあるのでしょうか?
PCoIPにおいては、コンテンツとデータはデータセンターまたはパブリッククラウドで安全に保護されます。なぜなら、デスクトップに表示されるテキストや動画などのコンテンツを認識し、画像情報のみがピクセル単位でエンドポイントに送信するため、ビジネス情報が安全なデータセンターから外部に漏れることはありません。つまりセキュリティが強化されるのです。
また、それぞれの特性に合わせた圧縮方法を選び、データ転送の優先順位を付けます。かんたんに言えば、PCoIPが自分でネットワークの状態を判断し、ネットワークが遅いときは解像度を落として伝送し、ネットワークの回線速度が高いときは表示画質を上げて高解像度のグラフィックを表示させるよう伝送してくれるものです。これにより、リモートデスクトップでCADなどの操作が遅延なくスムーズに行えるようになります。
PCoIPを組み込んだリモートデスクトップの特徴をまとめます。
PCoIPのプロトコルを実装したリモートデスクトップと、その他のプロトコルを使用するリモートデスクトップなどには大きな差があります。比較して見ましょう。
プロトコルの機能 | PCoIP | その他のプロトコル |
---|---|---|
ロスレスのテキスト、細い線、テクスチャー | ○ | × |
RGB可逆圧縮による色の正確性 | ○ | ○ |
CPU(AVX2)とGPUアクセラレーションの間の自動オフロード | ○ | △ |
WAN ビデオ用の低帯域幅 H.264 | ○ | ○ |
遅延時間が長く損失の多いネットワークでのエラー耐性のあるUDP | ○ | 低スループットのFECモードが必要 |
60 FPSまでの高フレームレート | ○ | △ |
低遅延でステートレスのゼロクライアント | ○ | ○ |
Windows、Linux、ゼロクライアントでのワコムデバイスのアクセラレーション | ○ | ○ |
SDKやAPIを介したホワイトラベル統合 | ○ | ○ |
HP Anywareは、安全にワークステーションにアクセスできるリモートデスクトップ・ソフトウェアです。ユーザーはPCoIPに対応しているクライアントであれば、WindowsやmacOSのデバイス(デスクトップ、ノートPC、ペンタブレット)などからリモートマシンにアクセスすることができ、事実上あらゆるホスト環境やワークロードに柔軟に対応し、現在求められる「場所を選ばない柔軟な働き方」を実現します。パフォーマンス、セキュリティ、および対応端末の広さから、リモートデスクトップ設計デザイナーにとって最適なソリューションと言えるのではないでしょうか?
HP Anywareの大きな特長を3つ挙げます。
また、ハイライトすべきソフトウェアの機能を3つ挙げます。
HP Anywareは、自動車や建設に携わる設計デザイナーはもちろん、政府機関、メディア企業、制作スタジオ、金融機関、教育機関、デザイン会社など、機密性が高く、高いマシンパワー、高精細なグラフィック表現を必要とする職種のリモートワークに適しています。
ネットワークアクセス可能な場所であればどこでも、メンバーのクリエイティブな活動に必要な解像度、サウンド、忠実度の高い色をシームレスに提供します。同時にTeradici 社のPCoIPプロトコルにより、高いセキュリティ環境が担保され、最高クラスの機密のセキュリティ要件を満たします。
HP Anywareを導入することによって、これまで出社を余儀なくされていたメンバーの「場所を選ばない柔軟な働き方」が可能になります。彼らの勤務形態の選択肢が広がることで、会社への定着率向上が期待できます。また、優秀な人材を採用するためにも、「場所を選ばない柔軟な働き方」は重要な訴求ポイントとなるでしょう。そして会社管理面からは、これまで出社が必要だったメンバーの交通費、どうしても会社に残って残業せざるを得なかった場合の残業代の削減も期待できます。
残業代と言えば、建設業においては、2024年4月から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されることが法令で確定 しています。今後設計デザイナーに残業をさせることが難しくなりますので、その通勤時間などを圧縮し、労働効率を上げることは喫緊の課題でしょう。そのためにはセキュアなリモートデスクトップを活用し、「場所を選ばない柔軟な働き方」を導入することが望まれるのではないでしょうか。
カナダのアトミックカートゥーン社におけるHP Anywareの導入例をご覧ください。
オフィスと変わらぬ作業環境をクリエイターの自宅に実現できた事例です。
HP AnywareはTeradici CASソフトウェアとライセンスプラットフォームをベースにしており、1年および3年のサブスクリプションで利用できます。
価格表はこちら
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