2019.04.12
パソコンの調子がおかしいときは、システムの復元を行うことで直るケースもあります。システムの復元はとても便利な機能なのですが、パソコンの操作に慣れていない人のなかにはやり方が分からない人もいるのではないでしょうか。また、システムの復元を実行できてもなかなか終了しなくて困っている人もいますよね。そこで、この記事ではシステムの復元の操作方法や実行時の注意点、トラブルの対処法などについて紹介します。
システムの復元とは、簡単にいうとパソコンの設定情報を過去のある時点に戻すことです。なぜ、このようなことが可能かというと、Windows は設定情報について自動的にバックアップを取ってくれているからです。そのため、ユーザーは任意のタイミングでバックアップを取らなくても、Windows に記憶されている過去の設定情報を呼び出すことができます。設定情報とは、Windows を操作するために重要な情報で、万が一データが壊れてしまうと一部のソフトウェアやハードウエアが使えなくなる可能性があります。また、最悪のケースでは起動そのものができなくなるかもしれません。システムの復元機能は、このようなトラブルが発生した場合に有効な対処方法です。Windows が正常に作動していたときにバックアップしておいた設定情報に戻すことができます。
システムの復元を行うときは、基本的にWindows が正常に作動しない状態です。そのため、システムの復元をするときはOSが起動しない場合と起動する場合の2つの状況が考えられます。それぞれでやり方が異なるので、よく確認したうえで実行しましょう。
OSが正常に起動しない状態というのは、Windows にログインできない状態です。つまり、インストールしたアプリを使えないのはもちろん、Windows の各種設定を変えることもできません。パソコン初心者のなかにはこのような状態になるとお手上げだと感じる人もいるでしょう。しかし、OSが正常に起動しなくてもシステムの復元を実行すれば直る場合もあるので諦めてはいけません。そこで、まずはOSが起動しない場合におけるシステムの復元方法について紹介します。
OSが起動しない場合にまず行うことは「自動修復メニュー」を表示させることです。自動修復メニューとは主にトラブルが発生したときなどの緊急時に稼働させるシステムで、コンピューター自身が問題点を探し、対処してくれます。自動修復メニューを表示させる方法は、Windows の起動中に「リセットボタンを押す」「電源ボタンを長押しして強制終了させてから電源を入れなおすのを2回繰り返す」のいずれかです。いずれの場合も操作間違いで表示されるのを防ぐため、通常では行わないような操作をすることになっています。強制終了を2回繰り返した場合は、3回目の起動画面で自動的に自動修復メニューが実行される仕組みです。
正しく操作した場合、パソコンの画面に「自動修復を準備しています」と表示され、しばらくすると「PCを診断中」という表示に切り替わります。「自動修復でPCを修復できませんでした」と表示された場合は、画面にある「詳細オプション」ボタンを選択して次の作業に移ります。
自動修復で問題が解決しない場合は、さまざまな選択肢のなかからユーザーが自分で修理方法を選ばなければいけません。修理方法を選択する画面を表示させる方法は、まず詳細オプションを選択したあとに表示される「オプションの選択」画面で、「トラブルシューティング」をクリックします。次に、トラブルシューティング画面が表示されるので、そのなかにある「詳細オプション」を選択しましょう。すると、「システムの復元」が含まれる、全部で6つのメニューが表示されるはずです。
詳細オプションの画面が表示されたら、そのなかにある「システムの復元」をクリックします。なお、詳細オプションには全部で6つのメニューがありますが、パソコン初心者の人はシステムの復元以外のボタンをむやみにクリックしないようにしましょう。なぜなら、詳細オプションに表示されているメニューは、パソコンの設定に大きく影響するものも含まれているからです。安易な気持ちでメニューを試してみると、設定が大きく変わって使いにくくなるかもしれません。システムの復元以外のメニューを使ってみたい人は、それなりに知識を習得してから臨むほうが無難です。システムの復元を選択したら、「システムファイルと設定の復元」というウィザードが立ち上がりますので、画面下部に表示されている「次へ」をクリックしましょう。
システムファイルと設定の復元で「次へ」をクリックすると、「システムの復元」という画面が表示されます。すると、画面の中央部分に「日付と時刻」「説明」「種類」と表示されるはずです。その部分に表示されているのが「復元ポイント」と呼ばれるもので、Windows がバックアップしている設定情報になります。複数ある場合は、ユーザーが任意で復元ポイントを指定することになりますが、注意することは正常に作動していた最後の日時にさかのぼることです。あまり過去の日付にさかのぼりすぎると、設定情報が古すぎて使いにくいことがあります。反対に、新しい日付を設定すると起動がおかしくなった状態の復元ポイントが指定されてしまい、システムの復元を実行しても直らない場合があるので気をつけましょう。
任意の復元ポイントを指定したら、画面下部に表示されている「次へ」をクリックすると「復元ポイントの確認」という画面が表示されるはずです。その際にすぐに完了ボタンをクリックせずに、ドライブの下に表示されている「影響を受けるプログラムの検出」で内容を確認しておきましょう。影響を受けるプログラムを確認して問題なければ、「閉じる」をクリックして「復元ポイントの確認」に戻って「完了」を選択します。すると、「いったんシステムの復元を開始したら、中断することはできません。続行しますか?」というメッセージが表示されるので、内容を確認したら「はい」を選択しましょう。「はい」を選択したら、システムの復元が開始されるので、処理が終了するまで待ち、正常起動画面の表示と復元の完了を確認します。
OSが起動する場合は、ログインした状態から操作を行います。いつも見る画面で操作することになるので、パソコン初心者でも比較的安心して作業できるでしょう。OSが起動する場合のシステムの復元について説明していきます。
OSが起動する場合は、まず起動中のアプリをすべて終了しておきましょう。なぜなら、アプリを起動しながら操作すると誤作動する恐れがあるからです。アプリを終了したら、「スタートメニュー」から「Windows システムツール」、「コントロールパネル」と進み、「システムとセキュリティ」をクリックしましょう。システムとセキュリティ画面の「セキュリティとメンテナンス」を選択すると、「トラブルシューティング」と「回復」というメニューが表示されるはずです。そのうち「回復」をクリックして、「高度な回復ツール」という画面が表示されたら、「システムの復元を開く」を選択しましょう。
システムの復元を開くと、「システムファイルと設定の復元ウィザード」が立ち上がり、画面下部にある「次へ」を選択すると、復元ポイントを選ぶ画面が表示されます。なお、すでにシステムの復元を実行したことがある場合は、「システムの復元の取り消し」「別の復元ポイントを選択する」のいずれかを選ぶ画面が表示されることがあります。その場合は、「別の復元ポイントを選択する」にチェックを入れて「次へ」をクリックすると復元ポイントを選択する画面に移動できるので、覚えておきましょう。
復元ポイントの一覧からそれぞれの時刻や説明を確認したうえで任意の復元ポイントを選択し、「次へ」をクリックすると「復元ポイントの確認」が表示されます。復元ポイントの時刻や説明を確認したうえで「影響を受けるプログラムの検出」を実行し、問題がないかチェックしましょう。
復元ポイントの確認をして問題がなければ、「完了」ボタンをクリックします。すると、「いったんシステムの復元を開始したら、中断することはできません。続行しますか?」というメッセージが表示されるので、内容を確認したうえで「はい」を選びましょう。「はい」をクリックするとシステムの復元が実行されるので、終わるまでしばらく待ちます。完了するとパソコンが自動的に再起動し、「システムの復元は正常に完了しました」というメッセージが表示されるはずです。メッセージを確認して「閉じる」ボタンをクリックすれば、システムの復元作業は終了です。
システムの復元を行うと、パソコンの動作不具合を解決できる可能性があります。ただし、システムの復元はさまざまなトラブルを発生させる可能性もあるので、注意が必要です。まずは、簡単に行えるパソコンの再起動など、その他の方法を試してみましょう。どうしても解決しない場合はシステムの復元を実行してみるのもひとつの方法ですが、事前に注意点についてよく理解しておくことが大切です。システムの復元にはどのような注意点があるのでしょうか。
システムの復元における注意点の一つ目は、「処理の完了までに多大な時間がかかるケースがあること」です。復元ポイントの確認画面で「完了」をクリックすると実際に復元作業が実行されますが、1時間程度かかるケースも珍しくありません。復元にかかる時間は一般的に復元する容量によって異なり、1時間以上かかる場合もあるので時間に余裕をもって作業を始めましょう。また、処理の途中で電源が切れてしまうと、ハードディスクの重大な損傷につながる可能性があります。シャットダウンするのはもちろんNGですが、充電が切れてしまうようなミスが起きないように気をつけましょう。
実際にシステムの復元を実行してみると分かりますが、作業中は「システムの復元」というタイトルのプログレスバーしか表示されません。つまり、キャンセルボタンはないので、作業が始まると電源を切る以外にキャンセルすることはできないのです。そのため、システムの復元が実行されている間は、パソコンで他の作業をすることはできなくなります。もしも、急いで作業しておきたいことがある場合は、システムの復元を実行する前に済ませておきましょう。
システムの復元はWindows の調子が悪い場合などにおける有効な解決策のひとつです。しかし、パソコンに内蔵されているハードディスクやSSDに問題を抱えている状況で実行すると、データが消失する危険性があるのも事実です。パソコンの動作不良を解決するつもりだったのに、データが丸ごと消えてしまっては本末転倒だといえます。そのため、システムの復元を行うにあたっては、あらかじめバックアップを取っておくようにしましょう。
システムの復元を行うと、設定情報が復元ポイントまでさかのぼることになるので、インストールしているアプリが消える可能性もあります。消えたアプリや設定内容は自分で再びインストールや設定変更をしなければいけません。また、システムの復元では初期化される情報もあるので、再びインストールしたアプリで再度ユーザーIDやパスワード、シリアルキーなどの入力を求められることがあります。システムの復元を実行する前に、あらかじめ必要になりそうな情報をメモしておくことが大切です。
システムの復元は、パソコンにとって比較的高度な修復作業になるので、ちょっとしたことが原因で出来ない場合があります。システムの復元ができない要因にはさまざまなものがありますが、この段落では特に多い3つの原因について紹介します。
システムの復元は、Windows のバックアップ機能を利用した修復方法です。システムの保護が無効になっていると復元ポイントが自動では作成されず、システムの復元を利用できない場合があります。システムの保護は初期値では無効に設定されているケースも多いので、注意しましょう。システムの保護を有効にする場合は、「コントロールパネル」から「システムのプロパティ」へと進み、「システムの保護」を選択します。システムの保護にある「構成」をクリックすると、「システム保護対象ローカルディスク」が表示されるので、「システムの保護を有効にする」にチェックを入れましょう。チェックを入れたら画面下部に表示されている「OK」ボタンをクリックして完了です。
システムの復元が途中で失敗するときは、「システムドライブの空き容量不足」を疑うとよいでしょう。システムが実行できるということは、それまでの操作については問題ありません。しかし、実行途中で作成されるファイルなどを保管しておく容量が足りないために、作業が途中で中断されている可能性があります。そのため、空き容量を確保することで問題なくシステムの復元作業が完了するケースがあるのです。空き容量を確保するためには、パソコン上のファイルやアプリを処分しなくてはいけません。不要なアプリやファイルを削除するか、作業を行っている間だけ外付けハードディスクなどに避難させておきましょう。
システムの復元を実行している途中で「0x80070005」というエラーメッセージが表示された場合は、セキュリティアプリやソフトが邪魔をしている可能性があります。セキュリティアプリやソフトはコンピューターウイルスなどの早期発見・駆除に役立ちますが、過剰に反応してシステムの邪魔をすることもあるからです。そのため、セキュリティアプリやソフトの無効化や一時停止をしてからシステムの復元を実行すると、正常に作業が完了する場合があります。改善されない場合は、アプリやソフトを削除してみると良くなる場合もあるので、試してみましょう。ただし、システムの復元実行後に再度インストールする必要があります。
システムの復元を実行していると、作業がなかなか終わらなかったり、「レジストリを復元しています」といったメッセージが表示されたまま完了しなかったりする場合があります。このような症状が発生した場合は、ハードディスクのアクセスランプを確認してみましょう。アクセスランプが付いていてパソコンが起動している場合は、正常な作業中である可能性も考えられるので、半日~1日程度は待ってみるのもひとつの方法です。しかし、アクセスランプが付いていなくて、ディスクアクセスや処理が止まっている場合は別の方法を試してみるほうがよいでしょう。
具体的には、「セーフモードで再起動する」「スタートアップ修復を実行する」といった方法が考えられます。ただし、自己判断で対処してしまうと、データの消失につながる可能性も否定できません。そのため、自己判断をする場合は慎重に対処することが重要で、不安を感じるなら専門業者に見てもらうようにしましょう。
パソコンは非常に便利な機器ですが、その精密さゆえに非常にデリケートな一面を持っています。そのため、ちょっとしたことで動作不良になるケースもあります。システムの復元はパソコンの動作不良を改善するための有効な解決策のひとつですが、一歩間違えるとデータ消去につながってしまう危険性もある方法です。システムの復元を実行するときは、細心の注意を払わなくてはいけません。さまざまなトラブルを回避するために、手順や注意点をよく把握してから作業を始めましょう。
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